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社外CFOと顧問税理士のどちらに財務を任せるか、機能と費用の比較

財務の判断を誰に委ねるかという問いは、常勤の役員を迎えるか、社外CFOへ業務委託するか、いま結んでいる顧問契約の幅を広げるかという三つの選び方に整理できます。

三つの道は、備えられる財務体制の厚みも、資金調達の場面で動ける速さも、経営戦略へ関われる深さも同じではありません。機能とコストの内訳を比較したうえで、自社の年商と成長段階に合わせた選び方の手順を解説します。

監修者:
山下 健一(株式会社タックスコム代表)
20年・27,000件超の実績と1,600名との面談をもとに、経営者向けの税理士選びの情報を発信しています。

社外CFOと税理士のどちらに会社の財務を任せるのか考えている経営者

社外CFOという呼び名が指すのは財務の意思決定を担う機能の部分である

数字を読んで次の一手を決める仕事には、記帳や申告の実務とは別の名前が与えられています。求められるのは作業の速さではなく、限りある資金をどこへ配分するかという意思決定の部分です。

中小企業ではこの役割が空いたままになりがちです。経営者が本業の合間に数字を眺めているうちは、資金調達の準備も後手へ回りやすくなります。

肩書きだけを先に作ってしまう失敗もあります。名刺に役職を刷っても、お金の配分を決める権限が渡っていなければ、肩書きだけで終わります。

社外CFOという呼び名は、その空いた席を常勤の社員以外が引き受ける形を指しています。会社の外にいる人が、内側の決めごとへ加わる点に特徴があります。

機能として数えられるのは、月次の数字を読む部分と、読んだ内容を経営戦略へ結び付ける部分です。前者だけであれば、会計事務所へ月次で見てもらう範囲でも届きます。

後者を社内へ置こうとすると、人をひとり抱えるだけの仕事量があるかどうかが問われます。仕事量が足りないまま採用へ進むと、給与に見合う成果が出ません。

社外CFOに関心が集まるのは、この中間の段階にいる企業が増えているためです。財務体制を厚くしたいが、常勤ひとりを抱えるほどではないという企業も多くあります。

求める役割が曖昧なまま相談へ入ると、期待と見積りが食い違ってしまいます。何をどこまで任せるのかを先に言葉にしておくと、話が具体的になります。

定義そのものを深追いする必要はありません。必要な機能を押さえたら、その機能をどう確保するのかという話へ移ります。

選べる道は数え上げられるだけの数しかありません。手段を並べてから比べる順序は、遠回りに見えて結局は早く着きます。

CFO機能を確保する道は常勤採用と業務委託と顧問契約の三つに分かれる

机に向かって座り、机の上に平らに置いた無地のタブレットに指先を触れながらその面に目を落としている経営者

必要な機能が決まると、次は確保する方法の話へ進みます。社内へ抱えるか、外から借りるか、いま契約している顧問の関与を広げるかという三つが並びます。

一つ目は常勤で迎える道です。役員として招く場合と部長級の社員として採用する場合があり、どちらも人件費と社会保険料が固定費として発生します。

二つ目は外へ業務委託する道です。月に数回の関わりを買う形になり、必要な時間だけ財務体制の中心へ入ってもらいます。

三つ目は顧問税理士に頼む範囲を広げる方法です。すでに数字を預けている先であれば、資料を渡し直す手間がかかりません。

社外CFOという言い方は二つ目の道を指す語として広まりましたが、実務では三つ目との境目が曖昧になることもあります。頼む回数と決裁の範囲を具体的に整理すると、両者の違いが明確になります。

三つを並べずに一つだけ見積りを取ると、金額の高い安いだけが残ります。比べる基準が一つしかない状態で決めると、後から任せる範囲の食い違いが出ます。

方法が三つに分かれるのは、CFO機能が単一の業務ではないからです。数字を作る部分と読む部分と決める部分は、別々の先へ割り振ることもできます。

社外CFOを検討する場面でも、いま社内で誰が何をしているのかという棚卸しは省けません。経理の担当者が資金繰りまで見ていた、という重なりが見えてきます。

三つの道は排他ではありません。決算の組み立ては顧問へ、資金調達の資料づくりは外部へ、と分けて頼む形も選べます。

分け方を決める材料は、頼む頻度と決裁の範囲の二つです。どちらも契約書の言葉として残せるため、後から検証できます。

割り振りが決まると、財務体制の中で数字を持ち込む役目が誰にあるのかもはっきりします。空白のまま走り出すより、判断の起点が早く定まります。

常勤の役員として迎える選択は人件費と役員給与の制約を同時に抱える

社内へ抱える道から見ていきます。毎日その場にいて数字を管理できる形は、三つの中でもっとも厚くなります。

その代わりに増えるのが固定費です。給与のほかに社会保険料の会社負担が加わり、募集や引き継ぎにかかる時間も費用として数えられます。

役員として迎える場合には、報酬の決め方に法人税法の縛りがかかります。期の途中で自由に増減できないため、業績が下振れしても報酬だけが残ります。

社外CFOへの委託と比べると、この硬直性が最大の違いになります。委託であれば契約の更新時期に条件を組み替えられます。

採用そのものが難しいという事情もあります。財務体制をひととおり組み立てられる人材は数が限られ、募集を出しても応募が集まらない期間が続きます。

迎えた後の受け皿も要ります。決裁の範囲が決まっていない企業では、せっかく招いた財務責任者が資料づくりに時間を取られ、経営戦略の議論まで届きません。

外への委託が中間の選択として語られるのは、この受け皿づくりを段階的に進められるためです。頼む回数を増やしながら社内の備えを整えられます。

社外CFOが向くのは、判断の回数がそこまで多くない時期です。常勤が向くのは、資金調達や設備投資の判断が毎月のように発生する場合に限られます。

常勤採用を選ぶなら、迎える前に決裁の範囲と報告先を書面にまとめておきます。入社してから決めようとすると、初年度が社内調整だけで終わってしまいます。

人件費の総額だけで判断すると、この受け皿の有無という条件が抜け落ちます。抜け落ちたまま採用へ進むと、早期の退職につながることがあります。

迎えた後にどの会議へ入ってもらうかも、先に決めておく項目です。出る会議が決まると、報酬に見合う働きかどうかを後から測れます。

社外CFOへの業務委託は必要な時間だけ財務の判断を借りる形になる

外部へ委託する形は、関わる頻度や時間を決める契約として組み立てられます。月に一度の会議へ加わる形から、週の半分を割いてもらう形まで幅があります。

幅がある分だけ、契約書の書き方が結果を左右します。何時間ではなく、どの会議に出て何を決めるのかを書くと、双方の期待がそろいます。

外から迎える利点は、立ち上がりの速さにあります。採用の期間を待たずに、翌月から財務体制の議論を始められます。

社外CFOへの支払いを時間単位の契約にしたために、相談を控えるようになった企業もあります。聞くたびに料金が増えると感じると、判断が要る場面ほど声をかけにくくなります。

定額の関与へ切り替えると、こうした気兼ねはなくなります。月次の資料を見る回と、資金調達の準備に充てる回を先に決めておく組み方が扱いやすい形です。

外の人が加わることの効き目は、社内の力関係から離れた位置で意見を言える点にもあります。経営戦略の見直しは、内側だけでは先送りされがちです。

外へ出す形の弱みは、現場の実情が伝わりにくいところにあります。数字の背景にある事情を拾うには、担当者との接点を契約に含める必要があります。

社外CFOへ資料だけを渡して接点を持たないままにすると、助言が一般論の水準にとどまります。同じ費用を払っても、得られる助言が浅くなってしまいます。

委託先の選び方では、過去に見てきた企業の規模と業種を尋ねます。似た規模での経験があると、最初の数か月で出てくる論点が具体的になります。

契約の終わり方も先に決めます。引き継ぐ資料の形式と保管場所を決めておくと、関わりが終わっても社内に記録が残ります。

委託の幅を広げるときは、経営戦略の見直しを行う会議を別の日程で設定します。日々の資金繰りを見る回と混ぜると、どちらも中途半端に終わります。

顧問税理士に経営戦略の相談まで広げる場合は関与の頻度が要になる

三つ目は、いま結んでいる顧問契約の中身を組み替える道です。新しい先を探さずに済むため、着手までの時間がもっとも短くなります。

相談できる範囲は、顧問税理士側の体制と姿勢で決まります。申告の期日に合わせた年数回の面談だけでは、判断が要る場面に間に合いません。

月次で数字を見る関与へ切り替えると、入金と支払いの山と谷が事前に見えるようになります。外へ委託しなくても届く範囲は、この切り替えで広がります。

広げる相談を持ちかける前に、いまの契約で何を頼んでいるのかを確かめます。社外CFOを検討する前に確かめておくと、増える費用の幅も見積もりやすくなります。

書籍では、税理士の関与の深さを段階に分けて説明しています。事業計画書と現場の行動を連動させ、達成できた部門と届かなかった部門を見比べるところまで踏み込む段階が示されています。

そこまでの関わりになると、財務体制の設計そのものが相談の対象になります。経営戦略の議論に数字を持ち込む役目を、顧問が担う形です。

ただし、そこまで踏み込む顧問税理士の数は多くありません。外に担い手を立てるかどうかは、いまの顧問がどの段階にいるかで分かれます。

見当をつける材料は、月次の面談で何を話しているかにあります。数字の説明で終わっているなら、社外CFOに来期の資金調達の準備を任せる選択肢が現実的になります。

申告の期日前だけ相談する使い方を続けると、広げた意味が出ません。準備の相談を決算後に持ちかけて、借入の申込みに間に合わなかった企業もあります。

頻度を変える相談は、契約の更新月に合わせて切り出すと進めやすくなります。年の途中でも、月次で見てもらう形へ移す提案は受け付けられます。

顧問の側にも体制の都合があります。断られた場合に備えて、経営戦略の相談だけを外へ出す道を並行して調べておくと止まりません。

手段の違いは財務体制に残る知見と反応の速さに表れる

三つの方法を同じ基準で並べます。比べる項目は、関わる量と反応の速さ、社内に残る知見、費用の性質、そして解消のしやすさです。

関わる量では常勤が最も多くなります。毎日その場にいるため、細かい変化に気づく回数が増えます。

反応の速さでは、外への委託と常勤の差が縮まります。決裁の範囲が決まっていれば、会議の外でも判断を返してもらえます。

社内に残る知見という項目では、評価が入れ替わります。社外CFOへ出した仕事は、記録の形を決めておかないと自社の中に知見として蓄積されません。

費用の性質は、固定費か変動費かで分かれます。常勤は固定費、委託は契約の期間で組み替えられる費用、顧問料の増額はその中間に置かれます。

解消のしやすさでは順序が逆になります。委託の契約は期間の満了で終えられますが、常勤の雇用はそう簡単ではありません。

五つの項目を並べると、どれか一つが全面的に優れているという結論にはなりません。自社がどの項目を重く見るかで答えが変わります。

どの項目を重視するかを決めるのは経営者の役目です。財務体制の弱点がどこにあるかを言葉にできれば、項目の順位は自然に決まります。

資金調達の予定が近いなら反応の速さが上がり、社外CFOの出番も前倒しになります。後継者への引き継ぎが近いなら、社内に残る知見の順位が上がります。

順位が動くという前提を持つと、いま選んだ手段を来期も続けるという決めつけが外れます。事業の変わり目は、手段を組み替える節目でもあります。

項目を五つに絞ったのは、増やすほど比較が止まるからです。細かい条件は、最後に残った二つの選択肢を比較する段階で考慮すれば十分です。

次の表は、五つの項目を三つの手段で並べたものです。財務体制の現状を思い浮かべながら、重い項目から読んでください。

比べる項目 常勤で迎える 外へ業務委託する 顧問契約を広げる
関わる量 毎日・上限なし 月数回から週数日まで契約で決める 月次の面談を軸に決める
反応の速さ 即日 決裁の範囲を決めれば会議外でも可 面談の間隔に左右される
社内に残る知見 在籍中は蓄積し退職で失われる 記録の形を決めないと残らない 申告資料として連続して残る
費用の性質 固定費(給与と社会保険料) 契約期間で組み替えられる委託料 顧問料の増額分
資金調達での動き 社内で資料を作り切れる 期限に合わせて厚く入ってもらえる 申告の繁忙期と重なると薄くなる
解消のしやすさ 雇用の解消は容易でない 期間の満了で終えられる 契約の更新月に戻せる

費用の比べ方は月額の金額より総コストの内訳に置き換える

費用の話に入ります。三つの道は支払いの形が違うため、月額の数字をそのまま並べても比べたことになりません。

常勤で迎える場合の総コストは、給与だけでは足りません。社会保険料の会社負担、賞与、募集にかけた費用、机や端末の準備までを含めて計算する必要があります。

外へ委託する場合は、月額の委託料が中心になります。会議の回数を増やす月には追加が生じるため、上限の決め方を契約に書きます。

顧問契約を広げる場合は、いまの顧問料からの増額分が費用になります。社外CFOへの委託料と違い、基準になる金額があるぶん増える幅を見積もりやすい形です。

三つとも、金銭的な支払いのほかに社内の工数も発生します。資料をそろえ、質問に答え、決めた内容を現場へ浸透させる時間は、どの方法を選んでも発生します。

この社内の時間を数えないまま比べると、外部へ委託する選択肢が実際よりも割安に見えます。財務体制の整備は、外注すれば社内の負担が完全になくなるような仕事ではありません。

外へ出したからといって、経営者が数字を見る時間が消えるわけでもありません。最終の決めは社内に残り、説明を受けて判断する時間は要ります。

社外CFOの費用を比べるときに見落とされやすいのは、機会損失のほうです。資金調達の準備が間に合わず条件の悪い借入で埋めた場合、その差額は請求書のどこにも出てきません。

金額の水準は業種と規模で開きが大きく、相場として言い切れる数字はありません。見積りを取るときは、頼む回数と成果物の種類をそろえてから比べます。

財務体制の見積りは、条件をそろえずに集めるほど迷いが増えます。同じ条件にそろえて比較する手間を先にかけるほうが、結局は早く決まります。

次に挙げるのは、総コストを数えるときに抜けやすい項目です。三つの道のどれを選ぶ場合でも、同じ観点で確認します。

  • 社会保険料の会社負担と賞与の引当(常勤で迎える場合)
  • 募集にかけた費用と、引き継ぎに要した既存社員の時間
  • 会議の回数が増えた月に生じる追加料金の上限(業務委託の場合)
  • 資料の作成と確認に社内で費やす時間
  • 決めた内容を現場へ下ろし、運用に乗せるまでの工数
  • 関わりが終わった後に社内へ残す記録の整備

役員報酬は法人税法の定めにより期中の増減が縛られる

常勤の道を選ぶ場合に、費用の性質を決める条文があります。役員として迎えるなら、報酬の払い方が損金に算入できるかどうかを左右します。

国税庁は、役員に対する給与のうち損金へ算入できるものの範囲を示しています。定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与という三つの区分です。

このうち中小企業で使われるのは定期同額給与です。支給時期が一か月以下の一定の期間ごとで、その事業年度の各支給時期の支給額が同額であることが要件になります。

同額であることが求められる以上、業績に合わせて期の途中で下げるという運用は取れません。社外CFOへの業務委託であれば、委託料は役務の対価として扱われ、この縛りはかかりません。

財務体制を強くするために迎えた役員の報酬が、業績が落ちたときもそのまま残ると、資金繰りの負担になります。契約の期間や回数を組み替える余地があるかどうかが、費用の性質を分けます。

この違いは、資金調達を控えている企業ほど大きく影響してきます。固定費が増えた状態の試算表を金融機関へ出すことになるためです。

部長級の社員として迎える場合は、この縛りはかかりません。ただし雇用として扱われるため、契約解消のしやすさという項目では別の難しさが伴います。

社外CFOへの委託と役員としての採用のどちらを選ぶかは、経営戦略の時間軸で決めます。先々まで同じ体制で走ると決めているなら役員、様子を見ながら広げるなら委託が扱いやすくなります。

条文の内容は公開されており、顧問へ確認すれば当てはめまで教えてもらえます。迎える前に確認しておくと、初年度の資金繰りの見通しが変わります。

次の引用は、損金に算入できる給与の範囲を示した国税庁の説明です。役員として迎える選択の前に、この一文を読んでおきます。

法人が役員に対して支給する給与(注)の額のうち次に掲げる定期同額給与、事前確定届出給与または一定の業績連動給与のいずれにも該当しないものの額は損金の額に算入されません。

出典:国税庁/No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)/2026年9月取得

年商と成長段階の二つの物差しで社外CFOが要る時期を見分ける

机に向かって座り、真っ白な無地の紙を1枚だけ手で持ち上げ、もう1枚の紙を机の上に押さえている経営者

ここからは自社へ当てはめます。物差しは、年商の水準と、いまの成長段階の二つを使います。

年商が1億円に届かない帯では、数字を読む仕事の量そのものが多くありません。顧問に月次で見てもらう道から始めると、費用と効果が釣り合います。

売上が年商5,000万円の水準へ届くころには、その先を広げるのか、いまの規模を保つのかという分かれ道が現れます。広げると決めた企業では、資金調達の場面が増え、お金の出入りも大きくなります。

書籍は、年商が1億円から3億円の時期をバックオフィスがもっとも混乱する時期だと書いています。社内に経理の担当者を入れても手が余り、必要になってから採用しても間に合わないという指摘です。

社外CFOという中間の選択がもっとも噛み合うのは、この段階です。常勤を抱えるには早く、顧問へ月次で見てもらうだけでは対応しきれない領域がここにあります。

年商だけで決めないのは、同じ規模でも段階が違うためです。店舗を増やしている途中の企業と、一つの事業で利益を厚くしている企業では、要る機能が変わります。

成長段階は、お金の使い道で見分けられます。設備や人へ先に払う時期にあるなら、社外CFOに見通しを立ててもらう価値が上がります。

投資の山を越えて回収の時期に入っているなら、財務体制の役目は管理会計の整備へ移ります。急いで外から人を借りるより、記録の型を整えるほうが効きます。

二つの物差しを掛け合わせると、財務体制へ手を入れるのがいまか来期かが見えます。待つと決めた場合でも、何が起きたら動くのかという条件を先に決めておきます。

条件を決めずに様子を見ると、混乱が始まってから探し始めることになります。探している間も数字は動き続け、経営戦略の見直しは先送りになります。

年商が1億円から3億円の時期は、バックオフィスが最も混乱する時期でもあります。社内に経理スタッフを入れても時間を持て余してしまいますし、必要になった時に採用しても機能しないリスクも伴います。

出典:山下健一『税理士に顧問料を払う本当の理由』(ファストブック、2017年)第二章p.35

借入や出資の予定があるかどうかで社外CFOに求める役割は変わる

机に向かって座り、机の上に平らに置いた真っ白な紙に右手でペンを持って書き込んでいる経営者

三つ目の物差しは、外部からお金を入れる予定があるかどうかです。予定の有無で、求める機能の重心が動きます。

予定がある場合に要るのは、資料を組み立てる力と、金融機関との対話を続ける力です。事業計画と試算表の整合が取れていないと、話が前へ進みません。

外へ委託する形では、この場面が入口になることもあります。資金調達の準備は期限が切られており、社内の手だけでは間に合わない時期があります。

予定がない場合は、社外CFOに求める重心が管理会計の整備へ移ります。部門ごとの数字を分けて見る仕組みがあると、経営戦略の議論に材料が乗ります。

資金調達を控えているのに、資料の作成を申込みの直前に始める会社があります。準備の期間が足りず、条件の詰めができないまま契約することになります。

前もって動いた企業では、複数の先へ同じ資料を出して条件を比べる余裕が生まれます。外へ任せる価値が出るのは、この余裕の差にあります。

出資を受ける場合は、求められる説明の水準がさらに上がります。財務体制の設計そのものが評価の対象になり、誰が数字を見ているのかを問われます。

問われたときに答えられる備えがあるかどうかは、外から見えます。社外CFOを置いて説明の役目を分けている企業は、外部からのリスク評価が大きく変わります。

資金調達の予定がない時期は、体制を整え直す好機でもあります。急ぎの案件がないうちに記録の型を決めておくと、次の申込みの準備が短くなります。

財務体制の整備は、必要になってから始めると間に合いません。資金調達の予定の有無を毎年見直す習慣を持つと、着手の時期を逃しにくくなります。

見直しの結果は、経営戦略の資料に一行で残します。予定なしと書いた年でも、翌年に読み返せば判断の変わり目が分かります。

点検の手順を社内に置くと社外CFOの要否は毎年見直せる

机に向かって座りペンで真っ白な紙に書き込む経営者と、そのすぐ横に立って前かがみに同じ紙をのぞき込む白髪に眼鏡の税理士

最後に、判断の手順を社内でルール化します。一度決めて終わりにせず、年に一度は同じ順序で見直せる形にしておきます。

手順の最初は棚卸しです。数字を作る仕事、読む仕事、決める仕事を書き出し、それぞれ誰が担っているのかを名前で埋めます。

埋まらなかった欄が、外から借りる候補になります。外部へ頼むか顧問に頼む範囲を広げるかは、その業務の内容によって決まります。

顧問税理士とCFOの違いを一言でいえば、前者は税務の専門家として申告と税務の判断を担い、後者は資金と投資の意思決定を担う役目です。社外CFOを置く場合も、二つは置き換えではなく、重なる部分を確かめて分担する関係になります。

分担を決めるときは、いまの顧問へどこまで頼めるかを先に聞きます。頼める範囲が広ければ、外へ出す範囲はその分だけ狭くなります。

選び直す段階に入ったなら、探し方そのものを整理した記事も用意しています。財務を任せる相手から広げる税理士の探し方を読んでから面談の場を組むと、比べる観点がそろいます。

入れると決めた場合も、点検の手順は残します。頼んだ範囲と実際の働きが合っているかを確かめる場が、始まった後にこそ要ります。

社外CFOとの契約でも、確かめる時期は更新月の一つ前に置きます。更新の直前では、条件を組み替える時間が足りません。

見直しの記録は、経営戦略の資料と同じ場所に保管します。判断の理由が残っていると、次に迷ったときも判断しやすくなります。

財務体制は一度作れば終わるものではなく、規模と段階に合わせて組み替え続ける対象です。手順を持っている企業ほど、組み替えが早く終わります。

資金調達の予定と経営戦略の変わり目を同じ表に並べておくと、点検の時期を決めやすくなります。決算の月に合わせると、忘れずに回せます。

  1. 数字を作る仕事と読む仕事と決める仕事を書き出し、担当者の名前で埋める
  2. 埋まらなかった欄を並べ、そこに必要な関わりの頻度と決裁の範囲を決める
  3. いまの顧問へどこまで頼めるかを聞き、外へ出す範囲を確定する
  4. 三つの手段の総コストを、社内で費やす時間まで含めて同じ表へ並べる
  5. 契約の更新月の一つ前に、頼んだ範囲と実際の働きの差を確かめる

税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
社外CFOを入れるかどうかのご相談では、金額の高い低いよりも、任せる範囲が言葉になっているかどうかで進み方が変わります。面談で伺うときも、自社の数字を誰が読み、誰が決めているのかを一緒に整理するところから始めています。社外CFOという形が噛み合わない時期であれば、いまの顧問に頼む幅を広げて財務体制を厚くする道を先にお伝えしています。社外CFOを入れた後で頼む範囲がぶれた例もあり、更新月の一つ前に見直す習慣をおすすめしています。

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