税理士コンシェルジュが始まるまでの物語 - ストーリー

記帳代行会社で新規営業と月次訪問の仕事を兼任していたころ、経営者と税理士の間に入りコミュニケーションのお手伝いをする機会が多々ありました。当時の私は簿記のことも分からず、領収書の貼り付けや入力など細かい作業が大嫌いでした。

しかし、日々たくさんの社長とお会いし、会社の数字を見ながら聞かせてもらえる経営の話は、が経験したことがないことばかりで、とても有意義な時間だったことを覚えています。

入社して数年が経ち、私も部下を持ちチームを指揮する立場になっていました。会社全体の従業数も 300人を超え売上も右肩上がりで業績はどんどん伸びていました。そんなある日、全体朝礼で常務から全スタッフに対して衝撃的な事実が明かされます。

――　常務
「今、我が社は倒産の危機に瀕しています。しかし社員一丸となって乗り越えましょう!!」

――　私の心の声
「マスコミでも取り上げられるほどの勢いで業績が伸びている会社が倒産…？」

いったい何が起こっているのか、私には理解できませんでした。社会経験がまだ数年の私には、もちろん初めての経験でしたし、これから先どうしたらいいのか正直不満でいっぱいになりました。不安になる部下を励ましながら、チームは売上に貢献し続けました。

しかし、数ヵ月後…、会社は倒産しました。給与未払いや返金などの処理に裁判も加わり、社長は自己破産に追い込まれました。チームリーダーとして会社もチームも守ることができなかった私は、 会計コンサルタントとして自信を失っていました。

そんな時、複数の会社の経営に成功されている会長が私に再起のチャンスをくれました。会社の人事業務を遂行しつつ財務・会計面の強化を条件に雇用してもらえることになったのです。

その会長から、毎日朝まで続く打合せを通して商売・事業の本質から兵法・帝王学まで学ぶことができました。こんな私を信頼してくださった会長には、今でも感謝しています。

倒産に直面し、私は大きな教訓を得ました。それは販促や営業という【攻め】の強化と共に、財務体質【守り】の強化なくして企業の継続的な発展は有り得ないということです。頭では分かっていたことですが、倒産を実際に経験することで守りの重要性を痛感しました。

チャンスをくれたクライアント先で3年間、人事と財務の立て直しに携わることができました。成長速度の早いベンチャー企業ほど、守り（会計・財務面や組織）の強化が追いつかなくなります。具体的には、役務提供と売上計上のタイミング、キャッシュフローや収益性の分析・予実管理マネジメントなどが上げられます。

私にチャンスをくれたその会社の会長は、攻めだけに偏っても仕方のない状況下でも、守りを強化しリスクヘッジしているその経営手腕が凄いと感じました。 攻めと同時に守りも強化したことで、その会社はオリコンで５年連続顧客満足NO.1という快挙を成し遂げたのです。

コンサルタントとして社外からだけでなく、 社内からも会計・財務の経験を身につけることができたことは、私にとって大きな自信になると共に起業への想いがさらに強まっていきました。

2008年6月、会計の知識と経験・そして中立な立場を活かし、税理士コンシェルジュの前進となる「会計コンシェルジュサービス」 を起業家支援サービスの一環としてスタートさせました。