税理士を選ぶ段階では、条件をどの順に当てはめるかで手元に残る材料が変わります。本稿は前編「税理士の探し方5つの経路のまとめ、失敗しない見極めのポイント」からの続きで、税理士を探したあとにどう選ぶかの判断基準を扱います。
年齢と専門性と記帳の体制と費用という四つの条件別の見方に加えて、税理士紹介の窓口を挟む場合の手順と、面談で確かめる項目までを一通り並べます。初めて税理士を雇う方にも、この一本で判断の順序がつかめる構成にしました。

- 税理士の依頼時期|いつ動き出せば条件をそろえる持ち時間が残るのか
- 税理士の繁忙期|暦のどこへ声をかければ会う枠が取りやすいのか
- 税理士に断られる|可否の返しはどこの読みから出てくるのか
- 税理士紹介サービス|窓口を挟むと返る顔ぶれは何で決まるのか
- 若手税理士|一つ目の条件にあたる年齢を何へ置き換えて数えるのか
- 仮想通貨に強い税理士|二つ目の条件にあたる専門性をどこまで下ろすのか
- 会計ソフト|三つ目の条件にあたる記帳の体制を誰が動かすのか
- 安い税理士|四つ目の条件にあたる費用を何と並べて読むのか
税理士の依頼時期を先に置くと条件をそろえる持ち時間が手元に残る

動き出す日を決めていない会社では、条件を当てる前に持ち時間が尽きます。年齢や費用といった軸を並べる手数そのものは短く、日数がかかるのは比べる前の準備のほうです。ここを取り違えると、薄い材料のままで返事を出す形になります。
税理士を選ぶ段で要るのは、二つ以上の候補を比べる時間です。動き出す日を締切に近づけるほど、その時間は気づかないうちに減っていきます。減ったことに気づくのは、返信の来ない数日が過ぎたあとです。
締切の日付は、こちら側の事情では前へも後ろへも動きません。動かせない日付を紙へ並べ、そこから逆算して着手の日を決めると、残りの日数が量として読めます。読めた量が、税理士を選ぶ順番を組み立てる手がかりになります。
返信が戻るまでの日数も、頼む側が短くできる部分はごく限られます。事務所は、抱えている件数と締めの重なり方を見たうえで可否を返すためです。急いでいると伝えても、この日数はほとんど縮みません。
比べられる候補の数は、残りの日数でほぼ決めます。税理士を選ぶ物差しがこちらに残るかどうかも、この数で変わります。並ぶ候補が一つだけになれば、示された条件をそのまま受け入れやすくなります。
顧問を替える会社では、資料の受け渡しという読みにくい日数が加わります。帳簿の控えや過去の書類を期の途中で動かすため、渡す側の手が空くのを待つ期間が残ります。整えてから渡すか、そのまま渡すかでも所要は動きます。
社内のどこで決めるかが定まっていないと、可否を返す段で合意を取る手数が新しく生まれます。生まれた手数は日数として後ろへ伸び、面談の日程を二度取るゆとりから削られます。会っていない担当へ毎月の仕事を預ける形は、この削られ方から生まれます。
税理士を選ぶ前に手元に置きたいのは、動かせない期日と支度の日数と決裁する人という三つです。どれか一つが欠けるだけで、着手の日は遅れていきます。経営者の資質とは関わりなく、この三つがそろえば同じ結果になります。
税理士を探す段取りを自社の予定表へ落とすと、期日は自社で管理するものに変わります。変わった時点で、誰がいつまでに何を進めるかの割り振りへ入れます。初めて税理士を雇う会社では、この割り振りが最初の関門になります。
税理士を探す期間を先に確保できた会社は、同じ労力でも読み合う候補の数を増やせます。先送りに至った会社に共通する条件は、続きの一本で扱っています。
- 動かせない期日を書き出して数え戻す
- 返信までの日数を長めに見込んでおく
- 社内で決裁する位置を先に決めておく
- 面談の日程を二度取れるゆとりを残す
- 面談でひとつだけ確かめるなら、毎月の窓口になる担当に会えるかどうか
さらに詳しく読む→【税理士の依頼時期を見誤ると起きること、先送りした会社の共通点】
税理士の繁忙期の山と谷を知ると面談に置ける問いの数が変わる

同じ問いを投げても、返ってくる答えの丁寧さは時期によって変わります。仕事が集中する時期と落ち着く時期があり、引き受ける側の予定の埋まり方がそこで入れ替わるためです。返信の遅れを姿勢の粗さと読むと、見どころのある事務所を早々に外します。
予定が詰まるのは、年に二回です。年末の精算から個人の申告へ続く冬と、春の締めが残る時期で、事務所の予定はもっとも詰まります。落ち着くのは、夏から秋にかけての時期です。
税理士を選ぶ作業を落ち着いた時期へ寄せられると、同じ週のうちに複数の候補と会えます。日を離さずに会えば、前に会った候補の感触が残ったまま次の候補を読めます。
落ち着いた時期には、初回の面談も申し入れから近い日程に入ります。ゆとりのある側は、こちらの事情を聞く時間も長めに取ってくれます。見積りの前提を一つずつ確かめる往復も、この時期ならこなせます。
忙しい時期に声をかけるなら、期待する返答の水準を下げておきます。税理士を選ぶ前の連絡では、込み入った提案までは求めず、日程を押さえるだけにとどめます。急ぎでないと一行添えるだけで、枠を用意してもらえることもあります。
忙しい時期に当たっても、声をかけてはいけないという決まりはありません。締切が動かないなら、進め方を組み替えるだけで足ります。
税理士を選ぶ月を決める手数は、自社の締めと引き受ける側の込み具合を重ねて空きを探す手数です。自社の動かせない日を先に置き、そこから支度の期間を戻して着手の月を出します。
忙しい時期に入る手前で動ければ、契約の始まりを秋の終わりに置けます。引き継ぎの期間を見込んでも支度のゆとりは残り、年末の実務に間に合います。手を動かす担当と一度会っておく余地も、ここで確保できます。
税理士を選ぶ機会を落ち着いた時期に使わずに季節を越すと、次の落ち着いた時期は翌年へ回ります。忙しい時期をそのまま挟むため、動ける月は半年より先へ押し出されます。動ける月は暦の半分に届かず、思うより短いものです。
忙しい時期の遅れだけを理由に外すと、見落としが残ります。手がかりは遅れの長さより遅れ方にあり、いつ返せるかを先に伝える事務所と、そのまま日が過ぎる事務所では置かれた事情が違います。
税理士を探す月をここで固めておくと、後の工程が軽くなります。繁忙期の込み具合を月ごとに追った並びは、別の一本に置いてあります。自社の締めの月と重ねて読めば、動く月の候補は二つか三つへ絞れます。
- 自社の締めと引き受ける側の予定を重ねて空きを探す
- 薄い区間へ候補との面談を寄せる
- 厚い区間では日程だけを押さえる連絡にする
- 急ぎかどうかを最初の連絡に書き添える
- 面談でひとつだけ確かめるなら、示された枠が何週先に置かれているか
さらに詳しく読む→【税理士の繁忙期はいつか、月別の混雑状況と依頼に適した時期】
税理士に断られる返答は依頼の中身より工程の読みから出てくる

受けられないという返しが届くと、自社の何かが足りなかったのかと考えてしまいます。事務所では、締切までに工程を差し込めるかという計算がすでに終わっています。短く穏やかな言い方になるのは、断る側の気づかいでもあります。
期を終える月が同じ会社の締切は、そろって同じ月へ並びます。三月に期を終える会社は数が多いため、その先はしばらく予定が濃く重なります。年の後半に期を終える会社より、同じ時期に動く数が多くなるからです。
税理士を選ぶ動きがこの重なりに当たると、返事は保留のままになりがちです。断りが示すのは工程の可否であり、事業の中身や人柄への見立てとは別の軸で動いています。
事務所が最初に知りたいのは、帳簿がどこまで入っているかという時点です。帳簿がどこまで入力されているかによって、遡って作り直す量も、かかる日数も変わります。数字の正しさより、いつの時点まで固まっているかを言えるほうが役立ちます。
二つ目は、任せる幅がどこで切れているかです。記帳から預けるのか、集計まで済んだ数字を渡すのかで、要る工数はまるで変わります。税理士を選ぶときは、この幅を一行で言えるかどうかが重要です。
三つ目は、社内の数字が固まる日付です。その日付が渡っていれば、引き受ける側は逆算して作業する週を決められます。早めにという言い方だけでは、もっとも遅い前提で見積もられます。
税理士を選ぶ前に三つを完成させる必要はありません。固まっている部分と固まっていない部分を分けて渡すだけで、見積りの幅は出せます。埋まらない欄があること自体が、事務所が判断する材料になります。
問いを一度にそろえて渡す工夫も役立ちます。一度に届けば一度で返せますが、小分けに届くたびに手元の仕事を中断する理由が生まれます。込み合う季節なら、この中断の重さはいっそう増します。
断りを受けたあとは、何が分かれば返しが変わったのかを聞いてみるとよいでしょう。返ってきた答えが、あらためて税理士を選ぶときに渡す材料の目録になります。断りを終点として扱わずに済み、同じ問いで二度は止まりません。
季節を外して当たり直すと、同じ材料で違う返しが戻ることがあります。税理士を探す時期を夏から秋へずらせるなら、双方が落ち着いて条件を詰められます。期を終える月が重なる会社の共通点と、込み合う季節でも契約まで届く手順は、下のリンク先で扱いました。
- 入力の済んだ月がどこまで届いているか
- 任せたい仕事と社内で担う仕事の線引き
- 社内の数字が固まる日付と資料を渡せる日付
- 可否の返しがほしい期限
- 面談でひとつだけ確かめるなら、この依頼を単年で見るか続ける前提で見るか
さらに詳しく読む→【税理士に断られる3月決算の会社の共通点と、繁忙期でも契約する方法】
税理士紹介サービスを挟むときは渡す材料の粒度が返る顔ぶれを決める

引き合わせの窓口を通す形では、動いている立場が三つあります。顧問を任せる事務所を探している会社と、候補を組み立てる運営と、引き合わせを受ける事務所です。三つは一つの流れでつながっています。
会社の側が手を入れられるのは、申し込みの記入と聞き取りの二つだけです。候補の組み立てと日程の調整は、渡した情報をもとに進みます。判断に役立つはずの事情も、文字にならなければ初めから無いものとして扱われます。
税理士を選ぶ手がかりを増やしたいなら、申し込みの段階に力を入れるのが効果的です。面談の場で取り返そうとするより、入口で書き切るほうが手数は軽く済みます。
書き分けたい欄は四つです。年商と期を終える月、記帳の担い手、連絡の頻度、直近の期で判断に迷った場面の四つになります。年商の一行だけが渡っていれば、規模の近い事務所を横に並べる以外の打ち手がありません。
行数を増やす作業と、粒度を上げる作業は別ものです。長く書いても要点の拾えない紙では、絞り込みの役に立ちません。税理士を選ぶ前に紙一枚へ収めるつもりで書くと、残すべき行のほうが先に立ちます。
税理士紹介の仕組みへ対価がどう置かれ、そこからどんな力が生じるのかという構造は、前編で扱いました。ここで見るのは、税理士を選ぶ側が渡した中身が、返る顔ぶれをどう分けるかというところだけです。
運営を疑う話ではありません。渡した材料の少なさが、そのまま提案の質に表れるという仕組みの性質の話です。粗いまま出した紙は、粗いままの顔ぶれとして戻ってきます。
税理士を選ぶ物差しをこちらへ残す問いは、一つで足ります。なぜこの事務所が候補に挙がったのかを聞き、返ってきた答えに自社が渡した言葉が入っているかを見ます。期を終える月の重なりや記帳を担う人の名といった語が戻れば、材料は読まれています。
当たる候補が手元に無いとき、正直にそう返してくるかどうかも同じ一往復で測れます。無理に埋めてこない構えは、候補を無理に押しつけない運営であることの手がかりになります。
引き合わせが速く進むという利点は、比べる準備が間に合わないまま当日を迎える負担と表裏一体です。初めて税理士を雇う会社が税理士を選ぶときは、初回の日程を決める前に確かめる欄を書き終えておくと安心です。
自力で税理士を探す経路を一本だけ併走させておくと、選べる幅が手元の一覧の外へ広がります。選べる範囲が窓口の抱える事務所に限られるという弱みも、そのぶん薄くなります。
税理士紹介の窓口は、紙のある会社にとっては候補を集める速さを買う道具になります。無料と書かれた表示の内側と、申し込む前に確かめる三つの欄は、下のリンク先に並べてあります。
- 年商と期を終える月を並べて書く
- 記帳の担い手とどこから先を渡したいか
- 連絡の頻度を月ごとの形まで書き分ける
- 候補に挙がった手がかりを言葉で説明してもらう
- 税理士紹介の窓口を使う前に紙を一枚作る
- 面談でひとつだけ確かめるなら、引き合わせの回数に上限が置かれているか
さらに詳しく読む→【税理士紹介サービスの仕組みと選び方、無料の理由と良し悪しの見分け方】
若手税理士を年齢で測らず関与できる年数の見通しで測り直す

ここからは条件を四つに分けて当てていきます。一つ目の条件は年齢で、手元に残る手がかりになるのは力量の目盛りより残りの年数のほうです。
年齢の話に出てくる数字は三つあります。生まれてからの年数、自分の事務所を構えてからの年数、名簿へ載ってからの年数です。三つとも数字で書かれるため、同じ種類の情報に見えてしまいます。
年齢で税理士を選ぶ話に収まりきらない並びもあります。勤めを長く重ねてから独立した人は、登録からの期間が長く出て、事務所を構えてからの期間は短く出ます。三つを一つに畳むと、どの期間が長いのかというもっとも知りたい部分が隠れます。
年齢の若い側を候補へ置く利点は、同じ事務所へ長く関与してもらえる見通しが立つところです。顧問の引き継ぎは会社の側へ負担を残し、決算の癖も資金の事情もいちから語り直すことになります。
数えてよいのは、その語り直しを何年ぶん省けるかという計算です。感触の話から時間の話へ、数える対象が移ります。
税理士を選ぶときの弱点として数えられるのは、知識の量より自分の手で通した回数の少なさです。調査の立会いや金融機関との折衝は、読んだだけでは身につかない部分を含みます。熱意だけでは埋まらない、経験の年数がものをいう部分です。
聞きたいのは、その薄い部分をどう補っているかです。所内で案件を持ち回る形があるか、手強い場へ誰と組んで出るのかまで下りてくるなら、手がかりとしては足ります。
長く続けてきた事務所へも、同じ形で問いを向けます。前例が厚い先では、目の前の案件を見慣れた枠へ当てて読む危うさが残るため、扱いを直近で変えた論点があるかを聞きます。聞く欄が入れ替わるだけです。
税理士を選ぶ場面では、仕事の水準が近い事務所が年齢の両端に同じように現れます。株の持ち分や役員の並びを整える段階へ入ると、決算を越えて積み上げる手数が続き、途中で担当が替われば組み直しになります。
年齢で税理士を探すという置き方が外れるのは、月額の低さと若さを重ねて読む場面と、話が合うという感触を利点として数える場面です。どちらも、一つずつ確かめるべき点を一言で済ませています。
税理士を選ぶ基準そのものを並べ直したい場合は、条件別の判断軸をそろえる税理士の選び方の基準に骨組みが置いてあります。年齢の欄は確かめる欄より後ろへ回しても遅くならず、承継の時期まで含めた年数の読み方は続きの一本にあります。
- 名簿へ載ってからの年数と事務所を構えてからの年数を分ける
- 先々まで同じ体制を保てるかを聞く
- 薄い分野をどう補っているかを聞く
- 担当が替わるときの引き継ぎの段取りを聞く
- 面談でひとつだけ確かめるなら、代替わりの時期まで同じ体制で走れるのか
さらに詳しく読む→【若手税理士のメリットとデメリット、年齢で選んでよいのかの判断軸】
仮想通貨に強い税理士のように専門の看板は扱った動きまで下ろして測る

二つ目の条件は専門性で、外からもっとも見えにくい欄です。ホームページなどに書かれた専門分野は外から確かめにくく、専門を名乗っていることと、取引を最後まで正しく帳簿に記録できる力とは、別のものです。
下ろし方は単純です。自社の動きを一覧にして見せ、この中で手を動かした覚えがあるのはどれかを聞きます。返ってきた範囲そのものが、その事務所が持つ専門の中身にあたります。
一覧は自社でしか作れません。どこに口座があり、どの取引所やサービスを使い、資産がどのように増えたり減ったりしたのかを知っているのは、経営者と経理担当者だからです。外から埋められない欄が残ります。
税理士を選ぶ前にこの棚卸しを終えておくと、初回から中身へ入れます。渡す材料があとから足されると、見積りの前提も日程も組み替えになります。締切が近いほど、その影響は大きくなります。
扱いの新しい分野では、事務所ごとに手を動かした幅が大きく分かれます。看板に書かれていても、そこで納得せず、具体的な内容まで聞きます。
記録が薄くなるのは、窓口を通さない動きです。番号と数量と時刻は自動で残っても、何のための操作だったのかという中身は、動かした側にしか残りません。
税理士を選ぶときに見たいのは、その場で答えの出ない論点の扱い方です。調べたうえで返す期日が言葉になって出てくるなら、仕事の進め方は読み取れます。返信の速さだけで測ると、測りやすいものを大きく見ます。
読み方が固まりきっていない論点は、どの分野にも残ります。分からない部分を分からないと言える構えのほうが、長い付き合いでは信頼につながります。
名乗りの語を使わずに話してもらうのも一つの手です。扱った動きの種類と、そのとき用いた書類の名前だけで語ってもらうと、実際の経験が見えてきます。
名乗りの新しさだけで税理士を選ぶと、契約のあとで幅の話へ戻ります。集計までは受けるが、散った記録を拾い直す手は自社で、という線引きが後から現れる形です。
扱う道具や銘柄が入れ替われば、確かめる欄も入れ替わります。年に一度は手元の一覧を開き直し、増えた動きと減った動きを書き足しておきます。
専門から税理士を探すときは、確かめた中身を任せる幅の文言へ落としておきます。文言が残れば担当が替わっても同じ線引きが続き、締めの時期に食い違いが起きにくくなります。面談で出す問いの並びは、別のリンク先に置きました。
- 手元の動きを一覧にしてから声をかける
- 扱った動きの種類まで下ろして聞く
- その場で答えの出ない論点の返し方を見る
- 渡す記録の形を先にそろえておく
- 面談でひとつだけ確かめるなら、手元の一覧のどこから手を付けるのか
さらに詳しく読む→【仮想通貨に強い税理士の探し方、暗号資産とNFTの申告に対応できるか】
会計ソフトをどちらが動かすかで記帳の体制の線引きが決まる

三つ目の条件は記帳の体制です。最初に決めるのは日々の記帳を社内で回すか外へ預けるかという分かれ目で、ここが動けば求める水準もそろって入れ替わります。
社内で回すなら、入力する人が毎日向き合う画面の読みやすさが効きます。外へ預けるなら、資料の受け渡しと閲覧の道筋が先に来ます。同じ道具でも、前提が違えば評価は逆になります。
経理を担う人数も分かれ目を動かします。単独で回す体制では入力の速さが、分けて回す体制では、同じ帳簿へ複数の手が同時に入れるかどうかが重要になります。人数は年商より先に押さえたい数字です。
税理士を選ぶ話と道具の話は地続きです。どちらが入力を担うかが決まらなければ、任せる幅も、毎月の受け渡しの形も決まりません。
道具の機能の一覧を開くなら、この分かれ目を決めてからにします。半分ほどが自社に関わらない欄だと分かり、読む欄が減った分だけ、残りの差を落ち着いて見比べられます。
拠点の数や在宅で作業する人がいるるかどうかでも、会計ソフトに求める機能は変わります。手を動かす場所が散らばるなら、置かれた端末を問わず一つの帳簿へ入れることが要件へ上がります。
広く使われている道具を選ぶ理由は、値段より引き継ぎの軽さにあります。顧問を替えて税理士を選ぶ場面でも、読み替えの手数は起きにくくなります。書籍も、事務所を替える場面での通りやすさを理由に挙げています。
記帳の体制から税理士を探す場合は、道具を替える月と重ねないほうが軽く済みます。変更が二つ重なると、詰まりの原因がどちらにあるのか読めなくなります。
税理士を選ぶ時期と同じく、切り替えは期の初めに置くと軽く、期の途中に置くと残高を固める工程が一つ増えます。込み合う季節と重なる月は、初めから候補から外します。
過去の数字をどこまで移すかも先に決めます。あとから読み返せる控えが手元に残っていれば、それで済む部分もあります。移す幅を絞るほど、切り替えは短い日数で終わります。
税理士を選ぶ前に受け渡しの形を決め直しておくと、切り替えの前後がスムーズに済みます。入力をどちらが担うかを先に固めるだけで、手戻りはかなり減ります。
入れ替えの重さは、操作を覚える手間より最初の設定に寄ります。勘定科目の並びと補助科目の細かさを決める手数が、後の使い勝手をそのまま決めます。費用と運用の面から二つの置き方を並べた基準は、下に続きます。
- 日々の記帳を社内で回すか外へ預けるか
- 経理を担う人数と同時に触る必要の有無
- 帳簿を読む側が変わる場面での引き継ぎの軽さ
- 切り替えの月を込み合う季節から外す
- 面談でひとつだけ確かめるなら、外へ預ける工程がどこまで及ぶのか
さらに詳しく読む→【会計ソフトの選び方、クラウド型とインストール型の比較と判断基準】
安い税理士の月額は戻ってくる中身と並べて初めて意味を持つ

四つ目の条件は費用です。月々に出ていく顧問料が伝えるのは負担の重さだけで、戻ってくる中身はその数字に書かれていません。
表示された額だけでは、そこに何の仕事が入っているのかまで読み取れません。記帳を自社で回すのか預けるのか、決算だけの単発なのか毎月の関与つきなのかで、同じ額の中身は入れ替わります。
書籍は関与の深さで区分を分けており、払う額の上下と区分の上下がねじれる場所があると示しています。同じ額を払いながら、戻ってくる中身だけが入れ替わる価格帯が生まれます。
税理士を選ぶ物差しを額だけに置くと、このねじれは見つかりません。横に同じ数字が置かれていても、区分の差までは数字から出てきません。読めない部分は、聞き取りで埋めることになります。
見落とされやすいのは、確かめる時間の短い水準では数字の突き合わせが後ろへ回るという点です。残高の照合や仮に置いた勘定の整理が期末へ寄り、社内の時間がそこで削られます。
下げた額がどこへ行ったのかを追うと、社内の時間のほうへ置き換わっています。費用を測るなら、この置き換わった分まで含めて数えたいところです。扱っているのは値付けと工数の関係で、人の善し悪しとは別の話です。
税理士を選ぶ測り方そのものは単純です。顧問料を年額へそろえ、その額で届いた試算表の日付と面談の機会を数え、返ってきてほしい中身を三つ書き留めます。
測り方がこの形になると、引き受ける側も答えやすくなります。できるかできないかが明確に返る問いへ変わり、額と中身を照らし合わせられます。
渡せる材料の量も、額を動かします。記帳を自社で回し、月末までに仕訳を締める形が回っているなら、任せる幅はそのぶん狭くなり、同じ深さの関与でも額は下へ動きます。
安さという括りが働くのは、税理士を選ぶ基準が自社の言葉になるまでの入口としてです。基準が言葉になったあとは、その括りを使う場面がなくなります。価格の帯ごとに何が起きているのかは、続くリンク先で追いました。
顧問料の水準から税理士を探すなら、これから税理士を雇う会社も、いま任せている先を見直す会社も、同じ順で進められます。長い付き合いになるからこそ二人から三人を横に並べて決めるのがよく、条件をそろえたあとに戻る税理士の探し方に入口ごとの違いが並んでいます。
- 顧問料を年額へそろえる
- 試算表の届く日付と面談の機会を数える
- 返ってきてほしい中身を三つ書き留める
- 渡せる材料と分担の線引きを先に決める
- 面談でひとつだけ確かめるなら、年額に決算の報酬が入っているのか
さらに詳しく読む→【安い税理士の探し方と、格安顧問料のリスクとコスパの見極め方】
ベースとなるのは人間性で、その土台があった上で次に大事なのは知識や経験、専門性などになります。これについては、その経営者の会社の年商の規模やそこから目指す方向性に合致した税理士を選ぶことが大切になるでしょう。


税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
四つの条件を紙へ並べたところで手が止まったまま、数か月が過ぎてしまったというご相談が、事務局には毎月届いております。数字で読める年齢と費用が先に目に入り、記帳の体制と専門の中身はどうしても後ろへ回ります。ここで順番の正解を探し当てる必要はございません。四つのうち自社でいま欠けている手がかりはどれか、と問いを立て直していただければ、面談で伺う項目のほうが先に決まってまいります。条件はどれも、人となりという土台の上に乗る二番目の軸でございます。土台を見ないまま条件だけを積み上げると、欄は埋まっているのに毎月の話が噛み合わないという形で、後から表に出てまいります。税理士を選ぶ段階で効くのは、候補の優劣を当てにいく手数より、自社の事情を書き出した一枚を厚くしておく手数のほうです。その一枚があれば、税理士紹介の窓口を通る場合でも同じ物差しが使えます。前編と本編を続けてお読みになって、なお埋まらない欄が残るときは、その欄を一つだけお持ちになってお声がけください。年商の規模とこれから控えるご予定を伺いながら、税理士を選ぶ順序をこちらで並べ替えてまいります。