安い税理士を探したい!選び方・探し方のポイント
税理士に対する費用対効果の考え方は、とても難しいものです。特に、顧問契約の場合、一般的には毎月費用が発生しますから「本当にその価値があるのか?」と頭を悩ませている経営者の方は非常に多いでしょう。
そして、「より安い料金でサービスを提供している税理士はいないのか」と検索をかけていくと、「格安」「激安」等と料金の安さを売りにしている税理士のホームページにたどり着くでしょう。しかし、低価格を売りにする税理士を見つけても「格安・激安ということは、質も悪いのだろうか」と不安に感じ、依頼をためらう方も少なくありません。しかし、圧倒的なコストダウンはたしかに魅力でもあり、依頼者側としては悩ましいところです。
実際、「安かろう悪かろう」という税理士がゼロではないことも事実ですが、最近では安くても良質なサービスを提供する税理士も増えています。
低価格を売りにする税理士の特徴を理解し、リスクと利点をよく把握して許容できるなら、活用することも検討の価値があります。この記事では、この点について解説していきます。
目次
「格安」「激安」というより、そもそもの税理士価格が高すぎる?
低価格で業務を請け負う税理士は「たしかに自分たちのサービスは安いが、それ以上に既存の税理士サービスが高すぎる」と主張することが多いです。
「顧問契約には実質の効力が発揮されていないものが多く、依頼者にとって無駄金になっている」「顧客が求めていないサービスを無理やり提供している」と、その主張について説明しています。
また、「何に、いくらかかったのか」が顧客側からはつかみにくいため、漠然と「高い」という印象を与えているという背景もあります。結果、「格安」「激安」を掲げる税理士へのニーズが高まっているといえるでしょう。
これに対して「包括的なサービスなのだから、無駄ではない」「潜在的なニーズに応えることは経営に大いに貢献することとなる」という反論もあります。
事実、顧問契約を交わしておけば、経理税務に関する大抵のことは「丸投げできる」ともいえ、依頼者としては本業に集中できますし、税務のプロならではの気付きや提案が、経営に大きくプラスを与えることは少なくありません。
こうした応酬に、正解はありません。税理士の仕事は顧客の需要に応えるサービス業であり、それをいかに上手く活用するかどうかは、顧客側の力量にもよるためです。
高級レストランに行けば、美味しいものを食べられることに加え、丁重な接客や落ち着いた雰囲気等、総合的な満足を得られるでしょう。しかし、そのような満足をファストフード店で求めるのは適切といえるでしょうか? 自分が何を求めているかを把握することが大切です。
高い料金で提供されているサービスには質の高い内容を求め、低価格で提供されているサービスには価格相応のものを求めればよいのです。そのためには、低価格でサービスを提供している税理士のメリット・デメリットを理解する必要があります。
税理士による「格安」「激安」のサービスを選ぶ、2つのメリット
まずは、低価格でサービスを提供している税理士のメリットを挙げてみます。
1、税理士費用が「格安」「激安」である
経営において「少しでも費用を削減したい」という需要は常にあるものです。また、経営は常に安定しているわけではありません。大抵の会社には、経営が軌道に乗らないときや、資金繰りが厳しいときが訪れるものです。
例えば、起業して間もなかったり、業績低迷で経費節減が必要なときもあるでしょう。そんなとき、税理士費用が激安であることは大変魅力的です。
2、サービスの省略により、税理士費用を「格安」「激安」にできる
経営者の方が数字に強かったり、業態が比較的単純だったり、月間の仕訳数が少ない等の理由で、既存の顧問契約で提供されるサービスまでは必要としない会社もあるでしょう。
その場合、「最低限の税務代行でよい」という考えに至ります。例えば、「決算だけ」「申告だけ」「税務調査対応だけ」といった具合に、自社が求めるサービスだけを提供してほしいというものです。
提供するサービスを限定して安価としている税理士の存在は、余計なサービスを省き、コストが下げられるのですからニーズにぴったりです。
税理士による「格安」「激安」サービスの、2つのデメリット
これらのメリットを知ってもなお、「激安」という言葉から、どうしても不安感が拭えないのではないでしょうか。たしかに、リスクが伴うことも事実です。
1、「格安」「激安」ゆえに、税理士から最低限のサービスしか受けられない
価格が「格安」「激安」である以上、サービスは最低限です。そのため、「これもやってもらえないのか・・・」「この程度の資料がもらえないとは思わなかった・・・」という経営者の方と税理士との間ですれ違いが生じる可能性は否定できません。
また、初期設定以外のサービスを依頼したい場合、追加契約が必要になることもあります。結果、一般的な税理士費用よりも高くつく場合もあります。
2、税理士費用を「格安」「激安」にすると、正確性が損なわれる可能性がある
あまりに低い料金である場合、税理士本人が会計資料の処理をしているとは限りません。結果、正確性への不安が拭えないという場合もあります。
例えば、経理スタッフ等をアルバイトとして低賃金で利用している可能性が高くなります。このスタッフのレベルが、どの程度かはわかりません。
通常の顧問契約をする税理士事務所でも、全ての会計処理を税理士本人がしている訳ではありません。スタッフを活用しながらサービスを提供している事務所は、少なくありません。また、スタッフのレベルや管理体制もそれなりのものであると考えておいたほうがよいでしょう。
「格安」「激安」でサービスを提供している税理士を探す2つのポイント
メリットとデメリットを比較した結果、やはり激安を掲げる税理士に仕事を依頼することにした場合、「安かろう悪かろう」では困ります。質を確保しつつ、低価格でサービスを提供している税理士を選ぶには、以下のような方法が有効です。
1、「格安」「激安」を謳う税理士による情報発信を参考にする
税理士のなかにも、根拠が薄いにも関わらず高い料金で顧問契約が結ばれていることに疑問を持つ人が少なくありません。そうした税理士は、自ら格安の料金設定を実践し、業界の慣習に一石を投じています。
そして、そのことをホームページやブログ等を通じてアピールしています。こうした情報発信を積極的に入手するとよいでしょう。税理士の考え方や人となりが伝わってきて、検討材料になります。
考え方に共感できたり、仕事ぶりに期待できそうな税理士には、一度連絡を取ってみてもよいかもしれません。
2、若手税理士による「激安」「格安」で提供されるサービスを活用する
開業したばかりの若手税理士は、顧客獲得のために価格を安く設定する傾向にあります。つまり、「若手であるために格安・激安でサービスを提供している」という場合があるということです。
若手ですから、確かに経験が少なく、頼りないと感じる可能性も否定できませんが、誠実でプロ意識がある税理士であれば、熱意や行動力で経験不足をカバーすることは、十分に可能です。
経験豊富でも、熱意や行動力に欠け、顧客に対して親身になってくれない税理士も少なくありません。若手税理士に注目し、探してみるのも一考です。
「格安」「激安」でサービスを提供している税理士を探す3つの方法
低価格でサービスを提供している税理士の探し方には、主に3つの方法があります。
1、知人に「格安」「激安」でサービスを提供している税理士について尋ねる
安い税理士は、報酬をできるだけ安く提供するために、広告費等に費用をかけられません。つまり情報が表に出づらいのです。
そこで、知人に「低価格で、よい税理士がいないか」と聞いてみると情報が得られるかもしれません。これこそリアルな口コミですから、信用度は高いといえるでしょう。
ただし、ここで注意したいのは「知人にとっての『よい税理士』が、自分にも当てはまるとは限らない」ということです。
会社の事業内容や経営状況は多種多様ですし、求める人物像も異なっていることが少なくありません。
上記のように、激安で提供されているサービスは「最低限のもの・契約以上のことはしない」というものが多いです。その点への理解が不足したまま「知人に薦められたから」と仕事を依頼すると、自身が予想していたイメージと異なっていたということになりかねません。
「信用していたのに」と知人を恨むことになったり、「こんなことしか提供してくれないのか」と税理士と揉めることになったりしないように、料金とサービスについて納得したうえで依頼することが大切です。
また、もしも「低価格で仕事を依頼した結果、とても満足したら継続的に仕事を依頼したり、顧問契約を結ぶかもしれない」と考えているのであれば、人物像についてもチェックしておくことをお薦めします。
継続的に仕事を依頼したり、顧問契約を結び定期的に顔を合わせる場合、「自分とウマが合う」と感じる税理士を選ぶことが大切です。
スポットでの依頼であれば「人としては好きになれないが、仕事をきっちりしてもらえれば、それでよいか」と考えられます。しかし、毎月のように顔を合わせ、会社の経営状態も明かすことになるような相手と相性が悪いのは、小さな不満の種を育てるようなものです。
税理士に求める人物像は、実に様々です。「どっしり構えていてほしい」「金融機関にも一緒に行くかもしれないし、威厳があるくらいのほうがよい」という人もいれば、「気さくなひとがよい」「気軽に相談したいから、フランクなほうがよい」という人もいます。
「仕事はしっかりしてくれるんだけどね…」「有能なのはわかるんだけどね…」と言葉を濁しながら顧問税理士について、曖昧とした不満を漏らす経営者の方は少なくありません。
もしも長く付き合う可能性も視野に入れているのであれば、最初の段階で人物像や自分との相性についてもチェックしておくようにしましょう。
2、「税理士」に「格安」「激安」の条件を加えてウェブ検索する
広告費に費用はかけられなくても、情報発信している税理士は多いので、検索してみましょう。例えば、自社のある地域や依頼したい分野で検索を絞っていけば、ニーズを叶える税理士の発信にたどりつくかもしれません。
ただし、「激安」「格安」「最低○○円から」といった謳い文句を用いてアピールをする税理士は増えているので、地域によっては情報が溢れていて、結局は面談してみるしかない、ということになるかもしれません。
一度の面談で「ここに依頼しよう!」と決められればよいですが、そうスムーズに決まるとは限りません。ウェブから得られる情報には限界がありますし、税理士自ら発信していることについて、どの程度信用するのかという問題もあります。
3、税理士紹介会社に「格安」「激安」を売りにしている税理士をマッチングしてもらう
税理士紹介会社は、あらゆるタイプの税理士を紹介しています。そのなかには、当然、料金の安さを強みとする税理士もいます。
また、税理士紹介会社は、「税理士が、どのような考え方で低価格を実現しているか」をよく把握しています。税理士紹介会社の信用にも関わることですから、そもそも質の悪い税理士を紹介することはありません。
カウンセリングを綿密に行った結果、依頼者の望むような安い税理士を紹介します。あるいは、「激安」とまではいかなくても業務範囲の絞り込み等で、比較的税理士費用を抑えた顧問契約を結ぶという方向性もあります。
税理士紹介会社は「税理士費用を抑えたい」「費用対効果に見合った顧問料としたい」といった依頼を受け、適切な提案をします。自力でやみくもに情報にあたるよりは、相談してみるほうが納得のいく結果を早く得られるかもしれません。
参考記事:税理士紹介会社に依頼する3つのメリット・2つのデメリット
税理士による「格安」「激安」のサービスを活用するためには
通常の顧問契約を交わす場合、依頼者側としては税理士に頼る気持ちが大きくなりがちです。それは決して悪いことではありません。
税理士は依頼者の需要を満たすべく経験やノウハウを存分に活かし、相応の対価でサービスを提供しています。
一方で、「最低限のサービスの提供で十分だ」という考え方もあります。費用対効果で吟味し、かけられる費用の額から逆算してサービスを取捨選択したり、単純に業務の一部の外注先としたり、様々な方法があります。
「格安」「激安」といった言葉には、良い印象ばかりがあるわけではありません。しかし、税理士である以上、職業倫理に基づいた責任感の上に立ってサービスを提供しているはずです。
また、そもそも「格安」「激安」とは、「従来のサービスに比べて、非常に低価格である」ということです。必要以上に臆することなく、割り切った考え方で低価格のサービスを活用し、会社としてコストダウンを図ることも、一考の価値があるでしょう。
大切なことは、「料金の低さだけに惑わされないこと」です。代行してもらう部分については任せるのですから、仕事に間違いがなく、人としても信頼できることが、税理士選びにおける最低条件になります。
そのためには、能力の高さはもちろんですが、相性の良さや仕事への姿勢等の人物像の観察が必要です。そして、低価格でサービスを提供している税理士を選ぶ際には、「その税理士は、どうして安くサービスを提供できるかを自ら明確に説明できるか」をチェックしましょう。
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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