税理士紹介会社の特徴と3つのメリット・2つのデメリット
最近、「しがらみのない中立な立場から、自社の条件にあった税理士を紹介してほしい」というニーズが高まっています。
ここでいう「しがらみ」という言葉から、「知人や取引先からの税理士紹介が、必ずしもうまくいくわけではない」ということが察せられます。
面談してみて「正直、あまりよいとは思えない」と感じた税理士でも、紹介者の顔を潰すことがあってはならないと気遣いをした結果、納得のいかない契約を結んでしまったという場合も少なくありません。
しかし、自力で税理士を探すことも困難です。「自社のある場所+税理士」で検索をかけると、膨大な量の情報が出てくるのではないでしょうか? そこから、条件を満たす税理士を探すのは至難の業です。
そんななか、よく耳にするようになってきたのが、「税理士紹介会社に税理士を紹介してもらった」という話です。
この記事では、税理士紹介会社の特徴と、紹介サービスは利用者(税理士を紹介してもらう人)と税理士(税理士紹介会社に登録をしている税理士)双方にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのか解説していきます。
これらについて予め把握したうえで税理士探しを始めれば、闇雲に探すよりもずっと納得のいく結果が得られるでしょう。
目次
税理士を探す人・顧客を探す税理士をマッチングするのが「紹介会社」
紹介会社による「税理士紹介サービス」は、それほど新しいサービスという訳ではありません。「知る人ぞ知る」といった存在で、以前から利用はされています。
お見合いや、婚活サービスにおけるマッチングと似ているかもしれません。税理士を探している人と、顧客を探している税理士とを、最適な組合せになるように調整して紹介するサービスです。
このサービスによって、税理士を探している人は余計な手間を省くことができます。そして、どんな税理士を選べばよいのか紹介会社からアドバイスを受けることもできます。
税理士にとっては、自力での顧客開拓以上の集客効果を見込めます。また、あらかじめ相談内容がわかっているので、税理士側としても顧客を選べるという利点もあります。
それでは、具体的にそれぞれの立場から見た、税理士紹介サービスのメリットとデメリットを挙げてみましょう。
税理士を探している人(依頼者)から見た紹介会社のメリット
税理士を探している人は、サービスによって様々な恩恵を受けることができます。特に以下に挙げるメリットは、大きいものであるといえます。
1、紹介会社の利用により、税理士を自分で探す手間が省ける
税理士を、自力で探すことは可能ではあります。ウェブ検索をしてもよいですし、日本税理士会連合会では、ホームページに税理士検索のフォームを設けているので、自社のエリアから税理士を絞りこむこともできます。
参照:日本税理士会連合会ホームページ 税理士情報検索サイト
しかし、特に都心では、税理士や税理士事務所は多いので、闇雲に探すと大変な労力がかかります。
例えば、仕事を依頼する以上、メール等でのやりとりや面談が必要になりますが、これらを進めていった結果「この税理士とは何だか合わないかも…」と思ったら、またはじめからやり直しです。
また、税理士には得意分野があるため、自分が依頼したい内容と税理士の得意分野が噛み合わないと、的外れな結果に終わるかもしれません。
「会社の税務会計に加え、自分の相続についても相談したい」と考えている場合と、「とにかく税務調査だけ対応してもらえれば、あとは自分で何でもやる」と考えている場合とでは、適切な税理士は異なります。
加えて、費用の問題もあります。税理士に仕事を依頼する際に、どれくらいの金額を負担できるのかは会社によって様々です。「費用は惜しまないから、丸投げさせてほしい」という場合もあれば、「最低限のサービスでよいから、できるだけ費用を下げたい」という場合もあるでしょう。
参考記事:税理士に丸投げできる業務範囲と費用感
税理士紹介サービスを利用すると、自社が税理士に求めるものをカウンセリングにより明確化していき、その結果をふまえて税理士をピックアップしてもらうことが可能です。
2、紹介会社の税理士選びは、より正確
税理士を探している人は、どんな税理士が自分に適しているのかよくわかっていない傾向があります。紹介会社は、税理士を選ぶことが本業ですから、依頼者が見落としがちなポイントを把握したうえで、長く付き合える税理士を選んでもらえます。
多くの依頼者と税理士をマッチングしてきた経験から「こういう税理士のほうが、向いています」「この税理士は、御社の悩みに向き合ってくれそうです」等と提言しながら、個々の税理士の能力や性格を考慮したうえでの紹介をするので、依頼者自身は気づいていなかったニーズに気づけたという場合も多いです。
また、税理士と契約した後でも、何かあった際にはフォローをする紹介会社もあります。依頼者側でも税理士側でもない、第三者の立場として存在しているので、上手に活用すると、税理士選びの際はもちろん、税理士との顧問契約後でも安心です。
3、紹介会社の利用は、税理士を探している側には費用がかからない
「登録料が必要なのでは?」「紹介料が高いのでは?」といった誤解をしている方も少なくないのですが、多くの紹介会社は税理士からの登録料で運営してるところが多いです。
したがって、依頼者(税理士を探している側の人)には、費用がかからない場合が少なくありません。利用を考えている紹介会社に確認してみましょう。
税理士を探している人(依頼者)から見た紹介会社のデメリット
このように、税理士紹介サービスは便利で有意義なものですが、使い方によってはデメリットとなる場合もあります。
1、税理士と同様、紹介会社も千差万別である
税理士に得意分野があるように、紹介会社にも得意な分野、不得意な分野があります。特に、本業を別に持っている会社が片手間でやっているようなサービスの場合は、少し注意したほうがよいかもしれません。
例えば、ずっと同じ税理士が登録されたきりで新陳代謝がないために、紹介される税理士のバリエーションが豊富でなかったり、サービスの内容やアフターフォローの程度がどのくらいのものなのか測りかねる場合があります。
税理士選びと同様に、紹介会社に求めるものを明確にしてから問合せをし、紹介会社それぞれの特色をつかんでから判断するとよいでしょう。
例えば「サービス利用には費用がかかるのか」「税理士とのマッチングは具体的にどのように行われるのか」「結果に納得がいかなかった場合、どのようなアフターフォローが期待できるのか」等、サービスについての疑問を解消したうえで、紹介会社を利用することをお薦めします。
2、紹介会社を利用しても、税理士とのマッチングが成功するとは限らない
紹介会社を利用しても、相談を受ける担当者の力量に結果が左右される部分があることは否定できません。
また、地域や業種・相談内容によっては、紹介会社に登録している税理士ではマッチングできない場合もあります。
税理士から見た紹介会社のメリット
1、税理士が紹介会社を利用することで、顧客候補が増える
税理士の仕事は、顧客がいなければ成り立ちません。そのため、集客は税理士業務を営むためには欠かせないことです。
もちろん税理士も自ら営業活動を行っていますが、紹介サービスに登録すると半ば自動的に顧客候補の紹介が受けられます。これは、大きなメリットといえるでしょう。
2、税理士が紹介会社を利用することで、新規顧客を獲得しやすくなる
「税理士も顧客を第一とするサービス業である」という考え方が現在では当たり前になっていますが、初めて会う人に自分の魅力・能力を正しく伝えることは難しいものです。
紹介会社のコンサルタントが面談に同席することで、この点のフォローを期待することができます。「この先生は、優しくて面倒見がよいですよ」「難しい会計用語は使わずに説明してくれますよ」等と案内してもらうことで、仕事への姿勢を顧客候補に伝えることができます。
また、税理士には得意分野がありますが、これを伝えるのも難しいことです。いくら税理士事務所のホームページで「○○が得意です」「○○の経験が豊富です」とアピールしても、なかなか未来の顧客候補には届きにくいでしょう。
この点についても、第三者的な立場の紹介会社が顧客との間に入ることで、自分が自信を持っている仕事内容や分野について、適切に伝えられる可能性が高まります。
3、税理士が紹介会社を利用することで、仕事の幅を広げることができる
紹介会社は、様々な新規案件を持っています。そのなかから、これまでの経験より少し規模の大きいものや、異なる業種の仕事を引き受けることで税理士自らの経験値を高めることに役立ちます。結果、新たな仕事に繋がることが期待できます。
また、税理士は身近な士業であるため、会社の様々な問題を相談されがちです。その際に「専門ではないので」「その分野は経験がないので」と無下に断ることは、今後の仕事にも響くかもしれません。
専門分野とはいえないまでも、「以前、似た仕事をしたことがあります」「参考になる事例があるのでご説明します」等と返せれば既存顧客からの信頼も増すでしょう。
税理士から見た紹介会社のデメリット
1、税理士が紹介会社を利用すると、コストがかかる
上記のように、税理士紹介会社は登録税理士から登録料を取っていることが多いです。案件獲得のために、広告費を費やしているためです。
加えて、依頼者との契約が成立した場合、紹介会社への費用を負担するのは税理士側です。紹介会社の利用が、税理士にとってはコスト負担になることは事実です。
2、税理士が紹介会社を利用しても、適切なマッチングに至らない可能性もある
紹介会社の選択を間違えると、適切なマッチングがされないケースや赤字同然の金額で契約に至る場合があります。
これは紹介会社の質の問題もありますが、税理士、依頼者、紹介会社それぞれの相性の問題でもあります。
税理士を探すときは紹介会社の”賢い利用”がお薦め
税理士紹介サービスは、税理士を探している人にも、顧客を探している税理士にも大変役に立つサービスです。
特に、税理士を探している経営者の方にとっては、コストをかけずして、税理士を探す労力と税理士のミスマッチによるリスクを減らせるのですから、かなりのメリットを有しているといってよいでしょう。
最大の特徴は、以下のとおりです。
・税理士探しの手間を省ける
→無駄撃ちがなくなる・時間を他の業務に使える
・複数の選択肢を得られる
→より良い選択ができる・納得がいく結果が得られる
・税理士との面談の前に相談ができる
→事前の相談により自社のニーズを明確化できる・マッチングの精度が上がる
ただし、忘れてはいけないことは「税理士紹介会社にも、いろいろある」ということです。この点を忘れずに、いわば”賢く”利用するのがお薦めです。
選択肢は数多くありますから、まずは各会社のホームページを参考にしたり、電話やメール等にて質問をしてみましょう。そして、自分の要望に合った税理士を紹介してもらえそうな会社に依頼しましょう。
株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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