税理士の忙しい時期はいつ?しっかり相談に乗ってもらうために繁忙期を把握しよう
「しっかり話を聞いてもらいたいが、いつも忙しそうで遠慮してしまう」
「時間をかけて相談に乗って欲しいが、いつ話をすればよいかわからない」
「忙しい時に相談をすると、適当にされてしまうのではないか」
このように悩んでいる経営者の方は少なくありません。
理屈からすると、税理士が忙しい時期であろうと、時間に余裕がある時期であろうと、依頼者である経営者の方の都合に合わせて面談の機会を設ければよいのかもしれません。
しかし実際には「日頃お世話になっているから」と、経営者の方の税理士への気遣いが生まれるでしょう。また、「お互いに余裕のある時にじっくり相談したほうが、よい結果を導き出せるのでは」という実利が頭をよぎる経営者の方も多いかもしれません。
税理士のなかには「年末調整に確定申告、それから決算で忙しいに決まっているだろう」と思い込んでいて、税理士以外の人から、このように思われていることをわかっていない人もいます。しかし、税理士が具体的にいつ忙しいのかは、なかなか外からはわかりづらいものです。
一般的には、年末調整や確定申告のポスターなどを目にする12月から3月半ば頃までが、税理士の繁忙期というイメージなのではないでしょうか。しかし、税理士が忙しい時期は、その税理士が抱えている顧客の決算月などにも左右されます。税理士の業務内容や、顧客としている会社の特徴によって、忙しい時期には違いがあるのです。
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税理士が忙しいのは何月?
では、税理士が忙しいのは何月なのでしょうか?ここからは、具体的にみていきましょう。
1、個人事業の決算(12月から3月半ば)
個人事業主においては、事業期間が1月から12月と定められています。したがって、自ずと決算月は12月になります。その後、確定申告を3月半ばまでに終わらせなければならないので、この間が税理士の忙しい時期になります。
顧客として個人事業主が多い税理士は、確定申告の準備のために1月から3月半ばにかけては忙しくなります。
2、法人の決算月(5月、11月)
法人においては、自由に決算月を選ぶことができます。決算月は、年度区切りに合わせて3月決算の会社が多いといわれています。また、最近は9月を決算月としている会社も増えています。
そして、決算月の末日の翌日から2か月後までに申告を終わらせなければならないと定められています。したがって、3月決算の会社は5月末まで、9月決算の会社は11月末までには申告書を作成しなくてはなりません。顧客の決算月次第ですが、5月や11月は忙しくなります。
3、企業の年末調整(12月から1月)
税理士は、顧問契約を結んでいる会社の従業員の年末調整代行をしていることも少なくありません。その場合、社員から書類を受け取るのは総務や経理の従業員でも、それら提出された書類の内容確認や法定調書の作成などは税理士が行うことになります。
従業員一人ひとりの所得の把握と税額の算出、納税額の過不足などをはじき出すのは、かなりの負担です。また、マイナンバー制度も導入されたことで税理士の手間はこれまで以上に増えることになりました。年末調整の件数にもよりますが、12月から1月にかけては忙しくなります。
税理士が落ち着く時期は?
つまり、決算が多い5月と11月、年末調整と確定申告のため12月から3月半ばまでが税理士の繁忙期といえます。そして、税理士が落ち着く時期は6月から10月頃です。顧問先にもよるので一概にはいえませんが、ここがいわゆる「閑散期」となります。じっくり相談するのに適したタイミングだといえるでしょう。
しかし、業界の慣習などにより3月や9月を決算としていない会社を多く顧客に持っている税理士もいます。例えば、小売業は2月決算の会社が多いです。また、海外との取引が多い会社は欧米の企業にあわせて12月決算としている会社が多いようです。
また、法人はほとんど顧客としていない税理士や、年末調整の業務を引き受けていない税理士もいます。こうした税理士であれば、繁忙期も異なってくるでしょう。こうしたことは税理士側の事情であり、一顧客として把握しきれることではありません。
税理士としては自分のことですから、いつが忙しいかを把握しているのは当然です。しかし「それを顧客はわかっていない」ということには、意外と気付いていないものです。したがって、顧問税理士(あるいは顧問に迎えることを検討している税理士)には、忙しい時期を具体的に聞いてしまってもよいかもしれません。
税理士も、顧客に寄り添った仕事をしたいと考えています。じっくりと経営者の方の話を聞いて、問題の解決や事業の発展のために手腕を振るいたいでしょう。切羽詰ったものならともかく、時期を選ばない内容なのであれば、忙しい時期を避けて相談することは、お互いのためにも良い選択となるのではないでしょうか。
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株式会社タックスコム:代表取締役
会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談を行い、相談実績は1万件を超える。2017年に執筆した書籍「税理士に顧問料を払う本当の理由」は、出版から半年にわたりAmazonカテゴリ「税理士」で1位を獲得。2021年に実施した日本コンシューマーリサーチの調査では、税理士紹介サービスで顧客満足No.1を獲得。
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