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【関連会社の定義】関連会社・関係会社・親会社・子会社の違いは何?

2020年9月22日
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ビジネスマンであれば、普段の会話の中で「関連会社」「関係会社」「親会社」「子会社」という言葉をよく見聞きするのではないでしょうか?関連会社・関係会社・親会社・子会社という用語をなんとなく使っていても、正しい意味やそれぞれの違いをきちんと説明できる方は少ないようです。

この記事では、これらの用語の定義をはじめとし、それぞれの違いや意味、正しい使い方などビジネスマンとして知っておくべき常識について解説していきます。

関連会社・関係会社・子会社の定義

関連会社の定義

関連会社とは、株式の20%以上50%以下を親会社に所有されている会社のことです。会社法と財務諸表規則(内閣府令)では、関連会社に関して、「会社などもしくは当該会社などの子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社などの財務、営業、事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社などのこと」と定義されています。

ここでポイントとなるのは、「重要な影響を与えることができる場合」という点です。重要な影響を与えることができる場合とは、次のようなことが関係します。

①当社が他社の議決権の20%以上を所有している。
②当社が他社の議決権の15%以上を所有しており、一定の要件に該当している。
③当社及び特定の者が他社の議決権の20%以上を所有しており、一定の要件に該当している。

なお、「一定の要件」とは、
①他の会社の代表取締役、取締役もしくはこれらに準ずる役職に当社の役員などが就任している。
②他の会社などに対して、重要な融資・技術の提供・販売・仕入・営業・事業場の取引などがある。

の2つの要件を満たしている必要があります。また、親会社が上場企業の場合は、関連会社と親会社は連結決算をする必要があります。

関係会社の定義

関係会社とは、親会社・子会社・関連会社などの、会計上規定された関係にある会社の総称のことです。会社法と財務諸表規則(内閣府令)では、関係会社に関して、「財務諸表提出会社の親会社、子会社、関連会社、並びに財務諸表提出会社が、他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社などのこと」と定義されています。

つまり、関係会社には「親会社」「子会社」「財務諸表提出会社が他の会社などの関連会社である場合における他の会社など」が含まれる包括的な意味をもちます。したがって、上場企業の場合は、連結決算をしている会社同士のことを関係会社といい、これには関連会社も含まれています。

子会社の定義

子会社とは、株式の50%超を親会社に所有されている会社のことです。親会社が上場企業の場合は、子会社と連結決算することが義務付けられています。なお、子会社に関連した用語で、株式を100%親会社に所有されている子会社のことを「完全子会社」、同じ親会社を持つ子会社の関係を「兄弟会社」といいます。

それぞれの関係の定義

ここまでで会社法と財務諸表規則で定められている、関連会社・関係会社・子会社の定義についてみてきました。ここからは、それぞれの関係の定義について確認していきましょう。

「親会社と子会社」の関係に求められている要件

親会社と子会社は、次の3つの要件を満たしている場合に親会社と子会社の関係としてみなされます。(A社:親会社/B社:子会社)

①A社がB社の議決権の50%以上を所有している。
②A社がB社の議決権の40%以上を所有しており、特定の者の議決権と合わせると50%以上になる、もしくは一定の要件を満たしている。
③A社が所有するB社の議決権は40%未満でも、特定の者の議決権を合わせると50%以上になるうえ、一定の要件を満たしている。

なお、「特定の者」とは、株主総会でA社と同じ意思決定をする人のことです。また「一定の要件」とは、

①B社の取締役会の50%以上がA社の意志で行動する社員などで占めている。
②B社の営業方針はA社が決定するという契約がある。
③B社の資金調達の総額の50%以上をA社が融資している。

ことが含まれます。

「親会社と関連会社」の関係に求められている要件

親会社と関連会社は、次の3つの要件を満たしている場合に親会社と関連会社の関係としてみなされます。(A社:親会社/B社:関連会社)

①A社がB社の議決権の20%以上を所有している。
②A社がB社の議決権の15%以上を所有しており、一定の要件を満たしている。
③A社と特定の者がB社の議決権の20%以上を所有しているうえ、一定の要件を満たしている。

なお、「特定の者」とは、株主総会でA社と同じ意志決定をする人のことです。また「一定の要件」とは、①A社の役員がB社の代表取締役などの重要な役職に就いている、②B社に対して、重要な融資や技術の提供、重要なビジネス取引がある、ことが含まれます。

ちなみに、関連会社に関係した用語で、通称ホールディングスとも呼ばれる傘下に多くの子会社や関連会社を抱える親会社のことを「持株会社」といいます。また、特例の障害者用雇用制度で、子会社が障害者雇用で一定の要件を満たしている場合が、親会社に雇用されたものとみなされるため雇用率を算定できる「特例子会社」として認められます。

関連会社・関係会社・子会社の定義が法的に定められている理由とは?

関連会社・関係会社・子会社の定義や関係性の定義などは、なぜ法的に明確に定められているのでしょうか?それには主に2つの理由が関係しています。

理由その①連結決算すべき会社を決定する必要があるから

法人には、決算書を作成し、税務署をはじめとした、金融機関、株主、債権者などの利害関係者へ決算報告書を開示する義務があります。税金を申告する際には税務署へ決算報告書を提出し、銀行などの金融機関から融資を受ける際には決算報告書を提示する必要があります。

そして、株主は、企業の経営状態を判断するために、決算報告書の開示をいつでも求めることができます。株主の場合、株を持っている企業に、親会社や子会社、関連会社がある場合は、関係会社全体を把握できる決算がないと、企業全体の経営状態を正しく判断することができません。

そのため「連結決算」が必要となります。企業が連結決算を行うためには、関係会社を明確に定義させる必要があります。特に大企業の場合、何十社から何百社に及ぶまで子会社や関連会社を持っていることもあります。

そのため、親会社単独の決算報告書だけでは、本当の経営状態を把握することができないため、関係会社すべてを合算した連結決算が必要となるのです。そして、連結決算をするため会社の範囲を決定する基準として、関連会社・関係会社・親会社・子会社の定義や関係性の定義を定めています。

理由その②子会社と関連会社では連結決算の方法が違うから

同じ連結決算でも、子会社と関連会社では連結決算の方法は異なっています。そのため、関連会社・親会社・子会社を定義づけています。では、連結決算の方法はどのように異なっているのでしょうか?

まず子会社の場合、「全部連結」という方法が採用されています。全部連結とは、親会社と貸借対照表と損益計算書を合算した後、一定の調整を行う方法です。例えば、親会社が現金5億円、子会社が現金1億円を持っている場合は、連結貸借対照表の勘定科目「現金」は、単純にそれらを合算した6億円となります。

一方、関連会社の場合は、「持分法」という方法が採用されています。持分法とは、親会社は保有している関連会社の株の持分に応じて損益を取り入れることです。例えば、親会社が関連会社の株を20%保有している場合、関連会社が5億円の利益を生み出したときは、親会社の損益計算書には「営業外損益」勘定科目で1億円が計上処理されることになります。

親会社が子会社や関連会社を持つことで得られるメリットとは?

ひとつの企業が単独で事業を運営するのではなく、子会社や関連会社などを持って大きなひとつのグループとして事業を営むことには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

まずひとつひとつの関係会社の規模が大きくないので、経営判断や意思決定をスムーズに行える、という点が挙げられます。会社の規模が大きくなればなるほど、さまざまな決定事項を決めるために多大の時間が必要となります。

しかし、親会社に属する子会社や関連会社であれば、それほど大きな規模ではないので融通性もききやすいと言えるでしょう。また、経営不振や不祥事などのリスクも分散しやすいことも挙げられます。さらに人事制度や給与体系などは、企業グループ全体で同じにする必要はないので経費を軽減することができます。

そのため、人事の管理がしやすく、結果として人件費の節約へとつながります。その他にも関連会社に仕事を発注することで、持ち株率に応じて支払い額の一部が戻ってくることや、交際費を損金算入できる枠がトータルでみると大きくなることなどもメリットとして挙げられます。

親会社が子会社や関連会社を持つことで得られるデメリットとは?

では、メリットに続き、デメリットについても知っておくことは大切です。まず挙げられるデメリットのひとつに、親会社からの情報が伝わりにくくなることがある、という点があります。情報伝達が上手に行えていないと、相互の隠ぺいが生じる可能性もあるでしょう。

また、親会社だけでなく、子会社同士間の横の情報が行いにくいことや、総務や経理などの間接部門の人件費が重複することなどもデメリットとして挙げられます。

子会社が抱えるデメリット

親会社が子会社を持つことで得られるメリットは、子会社の観点からみるとデメリットになることがあります。子会社の社員が抱える代表的な不満のほとんどは、ほぼ親会社に対するものです。

具体的には、親会社と子会社では待遇に格差がある、給与が少ない、子会社では出世にも限界がある、親会社はいつも口出しをしてくる・・などの不満を抱えています。

実際、親会社と子会社には給与面での格差もありますし、親会社の方が立場的に上で、子会社との間に一線置かれています。そのため、一般的に子会社の多くは、親会社に対して不満を抱えやすい傾向にあるようです。

まとめ

会社法と財務諸表規則(内閣府令)では、関連会社・関係会社・親会社・子会社がそれぞれ定義づけられており、関連会社と子会社の大きな違いは、親会社が保有している株式の割合です。そして、関係会社は、親会社・子会社・関連会社の3者を示す総称のことです。

上場企業は連結決算をすることが義務付けられているため、連結決算すべき会社を決定する基準として、関連会社・親会社・子会社を定義づけています。また、子会社と関連会社では連結決算の方法が異なることも関係しています。

これらは混乱しやすいうえ、それぞれの用語の法律上の定義も複雑なので、ビジネスマンであれば、是非、正しい意味をしっかり理解しておきましょう。そして、実際どの関係会社に該当するかを判定する際には、必ず法令を確認するようにしましょう。


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