所得金額と収入金額の違いとは?確定申告で必要な基礎知識と計算方法 | 税理士コンシェルジュ

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所得金額と収入金額の違いとは?確定申告で必要な基礎知識と計算方法

2021年7月5日
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「所得金額(給与所得)」「収入金額(収入所得)」。これらはよく見聞きするものの、その意味や違いを理解していないという方もいることでしょう。本記事では、所得金額と収入金額の意味や違い、確定申告で必要な所得金額の計算方法などについて解説します。

所得金額と収入金額の違い

所得金額と収入金額は、「必要経費を差し引く前」か、それとも「必要経費を差し引いた後」かという相違点があります。では、それぞれの意味を詳しくみてみましょう。

収入金額とは?

「収入金額」とは、稼いだ金額の合計のことです。個人事業主やフリーランスなどの場合は、儲けた利益の合計が収入金額になります。

一方、会社勤めをしている給与所得者の場合は、給与の手取額ではなく、源泉徴収される前(天引きされる前)の金額が収入金額にあたります。つまり、収入金額とは、「必要経費を差し引く前」の金額のことです。

所得金額とは?

所得金額とは、収入金額から「必要経費を差し引いた後」の金額のことです。つまり、「所得金額=収入金額−必要経費」という計算式が成り立ちます。

なお、後述しますが、所得には種類があります。また、必要経費には、実際にかかった経費はもちろん、各種控除や特別控除なども該当します。

10種類の所得と計算方法

所得金額を知るためには、所得の種類と計算方法について理解しておく必要があります。所得の種類とは、以下の10のことです。

1、利子所得
2、配当所得
3、不動産所得
4、事業所得
5、給与所得
6、退職所得
7、山林所得
8、譲渡所得
9、一時所得
10、雑所得

では、それぞれの所得と計算方法について詳しくみていきましょう。

参照:国税庁「所得の区分のあらまし」

1、利子所得

利子所得とは、預貯金や公社債の利子、合同運用信託や公社債投資信託などの収益による所得のことです。利子所得は原則、その支払いを受ける際に一律15.315%と地方税5%の税率を乗じて算出した所得税と復興特別所得税が源泉徴収されます。

2、配当所得

配当所得とは、株主や出資者が受け取る株式の配当や、投資信託や特定受益証券発行信託の収益分配などによる所得のことです。

配当所得の金額は、「収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額)-株式などを取得するための借入金の利子=配当所得の金額」の計算式で求めます。

なお、上場株式の配当(個人の大口株主を除く)等の場合は、15.315%(他に地方税5%)の税率を乗じて計算した所得税と復興所得税率が源泉徴収されます。一方、上場株式等以外の配当金の場合は、20.42%の税率に乗じて計算した所得税と復興所得税率が源泉徴収されます(地方税は課せられません。)。

3、不動産所得

不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸付け、船舶や航空機の貸付け、地上権などの不動産の上に在する権利の貸付けなどによる所得のことです。いわゆるアパート経営や駐車場貸しなどが該当します。

不動産所得で必要経費として差し引くことができるのは、不動産収入を得るために直接かかった費用のうち、家事上の必要経費と区別できるものだけが該当します。具体的には、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが挙げられます。

不動産所得の金額は、「賃貸料収入金額−必要経費=不動産所得の金額」の計算式で求めます。

4、事業所得

事業所得とは、事業で得た所得のことです。農業や漁業、製造業、小売業などの事業を営んでいる人が得た所得は、事業所得に区分されます。ただし、前述した不動産の貸付けで得た所得は「不動産所得」、後述する山林の譲渡で得た所得は「山林所得」に該当します。

事業所得は、「事業収入金額−必要経費=事業所得の金額」の計算式で求めます。

5、給与所得

給与所得とは、勤務先から支払われる給料や賞与(ボーナス)などです。給与所得は、「給与収入金額−給与所得控除=給与所得の金額」の計算式で求めます。なお、「給与所得控除」とは、給与などの収入金額の合計額によって異なります。

令和2年分以降の給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)と給与所得控除額は、以下の通りです。

給与等の収入金額が1,625,000円までの場合
給与所得控除額:550,000円

給与等の収入金額が1,625,001円〜1,800,000円までの場合
給与所得控除額:収入金額×40%-100,000円

給与等の収入金額が1,800,001円〜3,600,000円までの場合
給与所得控除額:収入金額×30%+80,000円

給与等の収入金額が3,600,001円〜6,600,000円までの場合
給与所得控除額:収入金額×20%+440,000円

給与等の収入金額が6,600,001円〜8,500,000円までの場合
給与所得控除額:収入金額×10%+1,100,000円

給与等の収入金額が8,500,001円以上の場合
給与所得控除額:1,950,000円(上限)

6、退職所得

退職所得とは、退職金にかかる所得のことです。これには勤務先から受け取る退職金(退職手当)だけでなく、厚生年金などから支払われる一時金や、解雇予告手当や賃金の支払の確保などによる就業規則に基づいて退職した人に支払われる未払賃金なども該当します。

退職所得の金額は、「(収入金額(源泉徴収される前の金額)−退職所得控除額)×1 /2=退職所得の金額」の計算式で求めます。なお、退職所得控除額は、勤続年数によって異なります。退職所得控除額は、以下の計算式で求めます。

・勤続年数が20年以下の場合
40万円×勤続年数=退職所得控除額
(80万円に満たない場合は、80万円)

・勤続年数が20年以上の場合
800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤務中に障害者になったことが原因で退職した場合は、上記で求めた額に100万円をプラスした金額が退職所得控除額になります。

7、山林所得

山林所得とは、山林を伐採して譲渡して得た所得や、立木のままで譲渡して得た所得のことです。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採もしくは譲渡した場合は「事業所得」か「雑所得」、山林を山ごと譲渡した場合は「譲渡所得」に区分されます。

山林所得の金額は、「総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額」という計算式で求めます。総収入金額とは譲渡の対価、必要経費には植林費などの取得費をはじめとし、育成費、管理費、伐採費、仲介手数料など対価を得るためにかかった費用が該当します。

また、特別控除額には、伐採や譲渡した年の15年前から引き続き所有していた山林を伐採や譲渡したときに特例として最高50%の相当する金額を必要経費として差し引くことが認められています。

8、譲渡所得

譲渡所得とは、土地や建物、株式などの資産を売却して得た所得のことです。土地や建物を譲渡したときの譲渡所得の金額は、「収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除額=課税譲渡所得金額」という計算式で求めます。

一方、土地や建物、株式以外の資産を譲渡したときの譲渡所得の金額は、「短期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)+長期譲渡所得の総収入金額-(取得費+譲渡費用)=譲渡益」「譲渡益-特別控除額(最高50万円)=譲渡所得の金額」で求めます。

参照:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
参照:国税庁「譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)」

9、一時所得

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から得た所得以外の所得のことです。つまり、労働の対価や資産売却の対価の性質を持ちません。具体的には、懸賞などの賞金品、競馬や競輪などの払戻金、生命保険の一時金、損害保険の満期返金などが該当します。

一次所得金の金額は、「収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額」という計算式で求めます。

10、雑所得

雑所得とは、ここまでご紹介した1〜9に該当しない所得のことです。これには副業にかかる所得(原稿料・講演料・放送出演料・印税など)、公的年金(年金・恩給など)、生命保険の年金(個人年金保険)非営業用賃金の利子などが該当します。

公的年金以外にかかる雑所得の金額は、「総収入金額−必要経費=業務にかかる雑所得の金額」で求めます。
一方、公的年金にかかる雑所得の金額は、「収入金額−公的年金等控除額=公的年金等の雑所得の金額」で計算します。

給与所得・給与収入・手取りの意味

「所得金額」と「収入金額」に関連した言葉として、「給与所得」と「給与収入」があります。これらにはどのような意味があるのでしょうか?

【給与収入】
給与収入とは、給与所得控除が引かれる前の金額のことです。つまり、勤務先から支払われた全ての金額のことです。基本給をはじめとし、各種手当や賞与など全てを合算した数字をさします。一般的には「年収」と言われるものです。

【給与所得】
一方、給与所得とは、前述した点と重なりますが、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額のことです。

【手取り】
手取りとは、給与所得から各種税金や保険料を差し引いた金額のことです。具体的には、住民税、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが天引きされた後の金額が手取りといいます。

所得税を軽減する方法

ここまで解説してきたように、所得税が課税される所得は全部で10種類あります。どの所得も「収入金額−必要経費=所得金額」という算式で所得金額を求めます。

どの所得も、所得が多ければ多いほど、それに比例して所得税も高くなる仕組みになっています。では、どのように所得税の負担を軽減できるでしょうか?具体的な方法をみてみましょう。

個人事業主の場合

①青色申告にする
確定申告は、青色申告と白色申告の2種類あります。青色申告をするためには、承認を受ける必要がありますが、さまざまな特典があり節税効果へとつながります。

②かかった必要経費を忘れずに計上する
収入を得るためにかかった費用など経費は、忘れずに計上しましょう。特に自宅を事務所や作業場としている場合は、家賃や光熱費などを「家事按分」として計上することが認められています。少しでも多く必要経費を計上すれば、節税効果になります。

③所得控除と税額控除を活用する
個人事業主の場合、自分で確定申告をしなければいけません。その際、該当する所得控除と税額控除をすべて活用してください。適用できるものを活用しないなら、税金を多く収めているといえるでしょう。

ですから、所得控除や税額控除についての基礎知識を身につけましょう。もし不明な点がある場合は、専門家である信頼できる税理士に相談されることをおすすめします。

会社員など給与所得者の場合

①所得控除や税額控除を適用できるか確認する
勤務先で年末調整の対象とならない控除があります。例えば、医療費控除や寄附金控除、雑損控除、住宅ローン控除(初年度)などは自分で確定申告をする必要があります。適用できるものがあれば確定申告をすることで、税金を抑えることができます。

②ふるさと納税を活用する
近年、注目されているふるさと納税は、寄附金控除のひとつです。寄付金額が一定額の範囲内であれば、節税はもちろん、自治体から特産品を受け取ることができます。

会社員など給与所得者の場合は、「ワンストップ特例制度」を利用すれば、確定申告不要で節税効果を得ることが可能です。

③税金の支払い方法を見直してみる
確定申告後の税金の支払いは、クレジットカードでの支払い方法があります。利用しているクレジットカードでポイントを得ることができるのであれば、税金をクレジットカードで支払うことができるでしょう。

2017年から所得税のクレジットカード払いが認められています。また地方税に関しては、多くの地方自治体で可能となっていますが、認めていない自治体もありますので、確認されることをおすすめします。

まとめ

所得金額と収入金額の意味や違い、所得金額の計算方法など知っておくべき基礎知識をご紹介しました。所得金額と収入金額を理解していないと、所得税を多く納めてしまう可能性もあります。これらの意味をよく理解し、適用できる控除を活用して節税対策を打ちましょう。

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