マイナンバーと預貯金口座が紐付けされるとどうなる?
平成27年10月のマイナンバー通知以降、マイナンバー制度の運用が少しずつ拡大してきました。そして、現在注目されているのは、国民が開設する全ての預貯金口座情報との紐付けです。これにより何が変わるのでしょうか?
目次
マイナンバーで何か分かる?紐付けされる情報
マイナンバーは、日本に住民票をおく全ての人に付与される番号です。これには日本人はもちろん、外国人も該当します。マイナンバーで紐つけされている情報は、以下の通りです。
・個人番号」
・氏名(住民票上)
・住所(住民票上)
・生年月日
・性別
・収入・所得(年末調整や確定申告の内容)
・雇用保険
・健康保険・年金
これらの情報に加え、政府は「預貯金口座」の紐付けを義務化することを予定していましたが、2020年11月に行われたマイナンバー制度に関する会合で義務化を見送りました。
ただ希望者には、2022年には任意の形で銀行口座との紐付けを開始することを予定しています。それにより、給付金や児童手当の受け取りの効率化につながることが期待されています。
また、2024年には、マイナンバーを複数の銀行口座と紐付けさせることを予定しています。それにより、相続時や災害時に速やかな対応につながることが期待されています。
マイナンバーで何がバレる?
では、マイナンバーの情報により、何がバレてしまうのでしょうか?今回は、多くの方が気にしている以下の5つの点についてみてみましょう。
1.扶養親族の給料
2.副業の収入
3.貯金額
4.借金
5.ブログ・クラウドソーシングの収入
では、これらの情報とマイナンバーの関係についてみてみましょう。
1.扶養親族の給料
マイナンバーの導入により、納税者本人は年末調整の際、勤務先に扶養親族のマイナンバーを提出します。それにより、扶養親族が提出したマイナンバーとの照合が容易にできています。
よって、配偶者や子どもなど扶養親族に該当する人が内緒で働いている場合は、勤務先(パート・アルバイト先)で収入を把握しているためマイナンバーによりしっかり把握されています。
2.副業の収入
副業先が税務署などに書類を提出している場合は、マイナンバーを照合することでバレます。書類とは、給料の場合は税務署に「源泉徴収票」や市区町村の役所に「給与支払報告書」、報酬の場合は一定の金額を超えていると税務署に「支払調書」を提出することが義務付けられています。
副業の収入がばれる仕組みについては、以下の記事をご覧ください。
参考記事:会社に副業がばれない方法とは?副業がばれる仕組みとその理由
3.貯金額
預貯金口座とマイナンバーが紐付けられると、ネット上で自分の情報を確認できるようになります。また、役所や税務署は預金額を把握できます。しかし、会社や家族に貯金額を知られることはありません。ただし、もしも配偶者にパスワードを知られているなら、バレる可能性があります。よって、配偶者に内緒で貯金やへそくりを貯めている場合は、注意が必要です。
4.借金
銀行でマイナンバーを導入されるのは預金のみなので、銀行で融資を受けるなど借入金のことは把握されません。銀行以外の金融会社はマイナンバーを利用することはできないので、借金はバレることはありません。
5.ブログ・クラウドソーシングの収入
ブログ収入の支払い先やアフェリエイト会社などが源泉徴収をしている場合は、支払調書が提出されているので、税務署が収入を把握しています。しかし、支払調書を提出していないなら、マイナンバー導入の有無に関わらず、バレることはないでしょう。ですが、これらもきちんとした収入ですので、確定申告をしましょう。
マイナンバーを預金口座と紐付けするメリット
マイナンバーと銀行の預貯金口座の情報を紐付けすると、給付申請と給付金の支払いを迅速に行うことが可能となります。
その一例として、昨年(2020年)、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」のひとつとして、国民全員に「特別定額給付金」として10万円が支給されました。各自治体から申請書類が各家庭に送付するまでに時間がかかった自治体や、オンライン申請で時間がかかってしまった自治体がありました。
つまり、マイナンバーと銀行口座が紐付けられていなかったため、給付金の支給に多くの時間がかかってしまいました。このような問題を解決するためにも、マイナンバーと預金口座を紐付けることが必要とされています。
マイナンバーを預金口座と紐付けするデメリット
マイナンバーと預金口座を紐付けすると、国や自治体に知られてしまうことが大きなデメリットです。もちろん悪用することはないと思いますが、信用できるという保証もありません。
なぜなら、国が責任を持って管理をしていても、サイバー犯罪を完全に防ぐことは難しいからです。万が一、口座番号などの情報が漏洩した場合は、リスクが大きいでしょう。
タンス預金は安全?
タンス預金の意味
タンス預金とは、自宅でお金を保管することです。多くの人は、銀行に口座を開設し、お金を預けています。しかし、金融機関にお金を預けても低金利です。また、マイナンバーにより預貯金口座と紐付けられたら、自分の預金保有額を把握されてしまうという不安からタンス預金をしている方もいることでしょう。
どのような目的にせよ、正確な金額は把握できませんが、およそ30〜80兆のタンス預金があると考えられています。そこで政府は、タンス預金を国民が使うよう「結婚・子育ての一括贈与」や「教育資金の一括贈与」などの対策を打っています。
参照:国税庁 | 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
参照:国税庁 | 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国はタンス預金をどのように把握するか?
マイナンバーが個人の預貯金口座と紐付けする目的のひとつは、預貯金額を把握することです。しかし、タンス預金は把握することができません。タンス預金は「相続税」の課税対象のひとつです。
そこで、税務署に相続税の申告書を提出すると、税務署は①被相続人の口座、②家族の口座、を確認します。銀行や証券会社などに照会をかけ、出入金を確認します。もしも口座から100万円以上の出金があり、そのお金が使途不明の場合は、タンス預金が疑われ、家宅捜査が行われる可能性があります。
では、海外へ送金すればバレないでしょうか?いいえ、そのようなことはありません。100万円を超える大金を海外へ送金する場合、銀行は税務署に送金の調書を提出することが義務付けられています。よって、多額のお金を相続する場合は、正式な方法で手続きを行いましょう。
タンス預金のメリット・デメリット
タンス預金のメリットのひとつは、銀行破綻のときに自分の資産を守れることが挙げられます。また、マイナンバーと預貯金口座が紐付けされていなければ、タンス預金の金額は国にバレることはありません。また、家族にバレずにお金を貯める、つまり隠すことができます。
しかし、前述したように、マイナンバーと預貯金口座が紐付けされると、遺産相続の際にタンス預金が発覚する可能性があります。また、自宅での保管となるので、空き巣や強盗などの災難、自然災害、紛失などのリスクもあります。
まとめ
そもそもマイナンバー導入の目的の一つは、公平かつ公正に課税することです。マイナンバーと預貯金口座の紐付けの義務化は先送りとなりましたが、今後、義務化されることが予想されます。
多くの方が、メリットよりもデメリットを感じているかもしれませんが、これにより資産状況の透明化が可能となり、資産を誤魔化すことができなくなります。今後どのような動きがあるか注目していきましょう。
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