「有給休暇の義務化」がスタート!起業が取り組むべき新ルールとは? | 税理士コンシェルジュ

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「有給休暇の義務化」がスタート!起業が取り組むべき新ルールとは?

2020年3月14日
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有給休暇

2019年4月1日から「働き革命」が本格的に始まり、「有給休暇の義務化」がスタートしました。この新しくなった法案では、年5日の有給休暇を取得させることが義務となりました。では、企業は新しくなったルールにどのように対応していけばよいのでしょうか?この記事では、人事担当が知っておくべき有給休暇の管理方法や計算方法など有給休暇について分かりやすく解説していきます。

有給休暇とは?

有給休暇とは、法律で定められている労働者に与えられている賃金を得られる休暇のことです。2019年4月からは、従業員から有休休暇取得の希望がなくても、10日以上の有休休暇が付与される労働者に対して、年に5日間、有休休暇を強制的に取得させることが義務となりました。この有休休暇義務化の制度は、中小企業や大企業など会社の規模を問わず、すべての企業に導入されています。

10日間の有給休暇が付与される条件

有給休暇は、すべての労働者に付与されるものではありません。次の2つの条件のいずれかを満たしている必要があります。

1、仕事を開始してから6ヶ月間以上継続して雇われていること
2、全労働日の8割以上勤務していること

出勤していなくても、その会社に在籍しているなら、継続して勤務していると認められます。また、派遣社員など短期の契約で雇用されている場合、更新を繰り返し、継続して6ヶ月以上勤務しているのであれば条件を満たしていることになります。なお、有給休暇の日数は、勤続年数が長くなればなるほど次のように増えてきます。

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 10日
1年半 11日
2年半 12日
3年半 14日
4年半 16日
5年半 18日
6年半 20日

ただし、有効期限は2年間と定められています。つまり、ひとつの企業に長く勤めているいるとしても、一度の保有できる最大の有給休暇が40日間までが上限になります。

一方、派遣やアルバイトなど週所定労働日数が4日以下で、週所定労働時間が30時間未満の場合は、次のような条件となっています。

・週間労働日が4日(年間労働日が169~216日)の場合

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 7日
1年半 8日
2年半 9日
3年半 10日
4年半 12日
5年半 13日
6年半 15日

・週間労働日が3日(年間労働日が121~168日)の場合

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 5日
1年半 6日
2年半 6日
3年半 8日
4年半 9日
5年半 10日
6年半 11日

・週間労働日が2日(年間労働日が73~120日)の場合

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 3日
1年半 4日
2年半 4日
3年半 5日
4年半 6日
5年半 6日
6年半 7日

・週間労働日が1日(年間労働日が48~72日)の場合

勤続年数 有給休暇日数
6ヵ月 1日
1年半 2日
2年半 2日
3年半 2日
4年半 3日
5年半 3日
6年半 3日

このように所定労働日数が少なくても、条件を満たすなら有給休暇が付与されます。消化することが出来なかった有給休暇は、翌年繰り越すことができますが、有効期限は最大2年までと定められています。

出勤率の計算方法

全労働日の8割以上勤務しているかどうかを確認する際には、出勤率を計算する必要があります。出勤率を計算するうえでの出勤日とは、所定の休日を除く、労働をした日のことです。所定休日に休日出勤した場合は、全労働日の対象外となりますので、出勤日に含めることはできません。

なお、業務内での負傷や疫病などで休んだ期間、育児・介護休業法による育児休業や介護休業、産前産後休業、有給休暇取得日などは、出勤日としてカウントすることができます。

有給休暇の義務化と新ルール

では、有給休暇を義務化することの目的は何なのでしょうか?人事労務担当者であれば、有効期限が義務化になった目的やその対策を知っておくことは大切です。

有給休暇が義務化された理由とは?

働き方革命により、年次有給休暇が義務化された背景には、日本人の有給休暇の取得率が低いことを改善することを目的としています。おそらく多くの一般的な会社員の方は、「仕事が忙しくて有給休暇はとれない」「有給休暇を取得しづらい」などと感じていたのではないでしょうか?

実際、日本人が有給休暇を取得出来なかった理由として、人材不足や職場の同僚が休んでいない、などが挙げられています。それに加えて、緊急時のために取っている、という理由もありました。これは逆を言えば、緊急時以外は休みがとりにくい職場環境である、とも言えます。このような日本独特の環境ゆえに、日本は海外と比較すると有給休暇を十分取得することができていない労働者が多かったため、有給休暇が義務化されました。

有給休暇の義務化の概要

厚生労働省によると、有給休暇の義務化とは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者は、年次有給休暇のうち年5日は、雇用主が時季をしていして取得させる、と定義されています。なお、この定義はすべての企業が対象となっています。つまり、有給休暇の義務化とは、まとめるとこのようになります。

・有給休暇の義務の対象者とは、年次有給休暇が10日以上付与されている労働者であること。

・各労働者は、初めて年次有給休暇を付与された日を基準日とし、その日から1年以内に5日間の有給休暇を取得する義務がある。その時季は雇用主と労働省で相談して決めることが可能。

・年次有給休暇を5日以上取得した労働者に対しては、雇用主が時季指定をする必要はない。

企業の担当者が気を付けたいのは、10日以上の年次有給休暇がある従業員がすでに5日以上有給休暇を取得している場合は、有給休暇の取得日を指定することができない、という点です。すべての従業員が1年間の間に必ず5日間の有給休暇を取得することが義務となっていますので、各従業員の有給休暇の取得状況を把握しておくことはとても大切です。

有給休暇の新ルール

有給休暇が義務化されることで、どのような変化があるのでしょうか?義務化される前の基本的なルールは、労働省が雇い主に対して「〇月〇日に有給休暇をとります」と申し出ることが一般的でした。

しかし、有給休暇が義務化されることで、雇い主が労働者に対して有給休暇の時季を指定する、という新ルールが設けらました。これを「年次有給休暇の時期指定義務」といいます。雇い主は労働者に、「いつ休みが欲しいか?」と、まずヒアリングをします。その要望を聞いた雇い主は、それを考慮しつつ、「〇月〇日に休みをとってください」と有給休暇の取得時季を指定する、という流れが新ルールとなります。

新ルールで気を付けたいこと

有給休暇の義務化の新ルールを適用する際に、雇い主側は、次の点に気を付ける必要があります。

・雇い主側は、時期指定をする際には労働者から要望を聞き、その意見をとりいれるよう前向きに考慮すること。

・雇い主側は、各労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成すること。そして、3年間保存すること。

有給時季を指定する際には、従業員の意志や希望を考慮して決めるようにしましょう。また、「年次有給管理簿」とは、各従業員ごとに年次有給休暇を取得した時季、日数、基準日などを記載した書類のことです。担当者の方は、各従業員の有給休暇をしっかり管理するようにしましょう。

年次有給休暇の管理

では、具体的にどのように年次有給休暇を管理できるでしょうか?年次有給休暇の管理には、「個別」で管理する方法と、「統一」して管理する方法の2種類あります。個別で管理する方法の場合、中途入社の社員が多い場合は、年次有給休暇の発生日がそれぞれ異なるため、複雑になりやすい傾向があります。

一方、統一して管理する方法の場合は、年次有給休暇の発生する統一日を決めて一斉に有給休暇を付与します。しかし、勤務期間を切り捨てすることはできません。例えば、4月1日を基準日とした場合、1月1日に入社した人は6ヶ月経過していませんが、統一して管理する方法を採用した場合は、10日の年次有給休暇が付与されます。ただし、入社した日によって不公平が生じるため、基準日を年に数回儲けている企業もありますが、基準日が多くなればその分、事務処理も複雑になってきます。

有給休暇取得のメリットとデメリット

では、有休休暇の所得は、企業と各従業員にどのようなメリットやデメリットを与えるのでしょうか?

メリット

有休休暇を取得することには、従業員だけでなく、企業側にとっても大きなメリットを得ることができます。例えば、年次有給休暇を計画的に取得ことで仕事の生産性や企業のイメージが向上します。企業のイメージがアップすれば、離職率の低下や優秀な人材の確保などにもつながります。また、各従業員はモチベーションをアップさせることにもできます。

デメリット

有給休暇を取得しない場合は、従業員にストレスが溜まり、職場環境の悪化へとつながります。また、仕事の能率や生産性が低下するため、残業や休日出勤が増え、その結果、コストが増加します。つまり、有給休暇を取得しないことは、各従業員だけでなく、企業側にも悪影響が及びます。

まとめ

年次有給休暇を取得することは、労働者の権利のひとつです。また、労働基準法では、雇い主は労働者に年次有給休暇を取得させることが義務付けられています。労働者の希望する有給休暇の時季をあてはめよう積極的に努め、労働者が働きやすい環境作りを目指しましょう。


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