伝票の役割とは?伝票の種類や請求書・帳票との違い | 税理士コンシェルジュ

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伝票の役割とは?伝票の種類や請求書・帳票との違い

2021年3月15日
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会社には必ず経理部門が存在しています。経理部門では、会計処理を中心とした業務が行われており、その際「伝票」が欠かせません。今回は経理における伝票の役割や種類、請求書との違いについて解説します。

伝票の概要と種類

伝票とは、金銭や物品の取引内容が記載されている書類のことです。経理部門の業務のひとつに、日々発行される伝票の処理をすることが含まれます。なお、伝票といっても、それには複数の種類があります。伝票の種類は、以下の通りです。

・入金伝票
製品やサービスに対する対価を現金で取引したときに発行する伝票。総勘定元帳に転記するときは、常に「借方」は「現金」なので、「貸方」の勘定科目だけ記入する。

・出金伝票
製品やサービスに対する対価を現金で支払ったときに起票する伝票。総勘定元帳に転記するときは、常に「貸方」に「現金」なので、「借方」の勘定科目だけ記入する。

・振替伝票
口座振替や手形など、現金以外で取引をしたときに起票する伝票。取引内容によって勘定科目が変わるため、「借方」と「貸方」を記入する。

・仕入伝票
仕入取引をしたときに起票する伝票。総勘定元帳に転記するときは、通常、「借方」の勘定科目は「仕入」、「貸方」の勘定科目は「買掛金」になる。

・売上伝票
売上が発生したときに起票する伝票。総勘定元帳に転記するときは、通常、「貸方」の勘定科目は「売上」、「借方」の勘定科目は「売掛金」になる。

なお、「起票」とは会計用語のひとつで、作成や発行と同じ意味です。

伝票の役割

伝票に記載する項目

伝票の種類を問わず、記載する項目は決まっています。伝票には、取引内容を明確にするために、以下の項目内容を記載します。

・日付(実際に取引があった日)
・勘定科目(取引に適した勘定科目)
・摘要(取引内容)
・金額(取引金額を借方・貸方の双方に記載)
・起票者(起票者の印、もしくはサイン)

伝票処理とは?

では、経理部門の業務のひとつである「伝票処理」とは何でしょうか?発行された各種伝票は、実際に取引が行われたことを示す証拠です。会社の規模にもよりますが、社内のさまざまな部署で伝票が起票されています。

その後、起票された伝票は、経理部門に提出され、取引を時系列で記帳する「仕訳帳」と、勘定科目ごとに記帳する「総勘定元帳」に転記されます。この作業が「伝票処理」といいます。そして、仕訳帳と総勘定元帳で集計が行われ、試算表、決算書の作成へとつながります。

つまり、起票された伝票は、各種帳簿で集計され、決算書になります。なお、前述した5種類の伝票は、「1伝票制」「3伝票制」「5伝票制」の方式(伝票制)に基づき、総勘定元帳へ転記されます。「1伝票制」「3伝票制」「5伝票制」の仕組みについては、以下の記事をご覧ください。

参考記事:振替伝票とは?伝票制の仕組みと書き方・記入例まで分かりやすく解説!

伝票と請求書の違い

伝票と請求書の違いを理解するために、請求書がどのような書類かを確認しておきましょう。請求書とは、料金や代金などの支払いを請求する書類のことです。請求書には、支払期日、支払の内訳、支払金額、支払先、などが記載されています。取引相手が忘れずに入金するためにも、請求書の発行は欠かせません。

では、請求書と伝票の違いとは何でしょうか?先述したように伝票には5種類ありますが、その中でも「入金伝票」と「請求書」がよく混同されがちです。入金伝票には、取引相手から自社にお金や預金が入ったときに起票する伝票です。

日付、金額、入金先、勘定科目など入金に関する情報が記載されています。一方、請求書は、取引相手がまだお金を支払っていない段階で作成し、送付する書類です。つまり、作成する目的はもちろん、作成する段階(時期)も異なる書類なのです。

伝票と帳票の違い

伝票と帳票の違いとは何でしょうか?伝票は、帳票の中でも主に入出金の取引が発生したときに起票する書類です。その後、伝票は「仕訳帳」と「総勘定元帳」に取引記録が転記されます。

一方、帳票とは、「伝票」と「帳簿」など取引があったことを記録するものを指して使う会計用語です。両者は言葉が類似していますが、伝票の方が、狭い範囲の書類を意味します。つまり、帳票は幅広い範囲の書類が該当します。帳票に該当する書類には、以下のものが挙げられます。

【帳簿】
仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、買掛帳、売掛帳、経費帳、固定資産台帳など。

【伝票】
入金伝票、出金伝票、見積書、請求書、納品書、領収書など。

「証憑(しょうひょう)」について

「帳票」と似ている会計用語に、「証憑(しょうひょう)」と呼ばれる書類があります。これは、取引の証拠となる書類のことです。つまり、取引中に発生する書類を指して使われています。具体的な例として、以下の書類は「証憑」に該当します。

・領収書
・納品書
・履歴書
・見積書  など。

伝票の起票方法

伝票は、主に4つの方法で作成できます。それは、

1、手書き
2、Excel
3、電子化
4、アウトソーシング

では、それぞれの作成方法をみていきましょう。

1、手書きで起票

伝票起票の基本は、手書きでの作成です。手書きで作成する場合は、以下の点に注意してください。

・改ざん防止のため、消えないボールペンを使うこと。
・修正が必要な場合は、修正テープを使うのではなく、訂正箇所を二重線で消し、訂正印を押すこと。
・作成に失敗した場合は、破棄せずに保存すること。(伝票には「伝票番号」が割り振られているため保存する。もしも破棄するなら監査時に粉飾決算を疑われる可能性がある。))

2、Excelで起票

Excelを使って伝票を起票する場合は、テンプレートの利用が便利です。Excelで起票する伝票も、改ざん防止のため、印刷する必要があります。印刷用だけでなく、データ管理シートも作成するなら、効率よく作業を進めることができるでしょう。

3、電子化で起票

Excelや伝票作成ソフトでは、電子化した伝票を起票することができます。伝票が電子化、つまりペーパーレスになることでコストの削減にもつながります。ただし、すべての伝票が電子化できるわけではないので注意が必要です。また、伝票の電子化にはいくつかの条件がありますので、事前に確認しておきましょう。

参照:国税庁「電子帳簿保存法関係」

4、アウトソーシングで起票

取引の数が多ければ多いほど、伝票起票も比例し、複雑になります。伝票起票が業務を圧迫するようであれば、外部に委託するのもひとつの選択肢です。業務の負担の軽減はもちろん、正確な会計処理を期待できます。

伝票の保管期間は「10年」

起票した伝票は、法人税法では「7年」間の保存が義務付けられていますが、会社法では「10年」保管するよう定められています。よって、伝票の保管期間は「10年」です。

伝票の保存方法

伝票を保管する際には、後々、探すのが便利なように保存するのがポイントです。いくつかの保存方法をご紹介しましょう。

・伝票番号を連番にそろえた状態で保存する。
・パンチで穴をあけて、紐で綴って保存する。
・伝票の角を揃えて、ホチキスで留めて保存する。
・ファイルバインダーを使って保存する。

まとめ

今回は、「伝票」についてご紹介しました。日々の取引で起票される伝票は、最終的には決算書作成につながる重要な書類です。取引があったらすぐに起票することが、業務の効率化となります。

発生した取引に応じた伝票を起票することはもちろん、誰が見ても理解できる伝票を起票しましょう。また、伝票の種類や類似した用語もありますので、この機会に会計用語もしっかり覚えておきましょう。


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