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m&aとは?その意味から手続き・メリットデメリットまで詳しく解説!

2020年5月7日
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M&A(エムアンドエー)とは、会社の合併と買収を意味する「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称のことです。日本語では、「合併と買収」と訳されています。つまり、複数の企業をひとつの企業へと統合することです。近年、M&Aは経営戦略として注目されています。今回はM&Aの意味やその手続き方法、メリットやデメリットなどM&Aについて詳しく解説していきます。

目次

M&Aの意味とは?

冒頭で述べたように、M&Aとは英語の「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の頭文字を略したもので、日本語では「合併と買収」と訳されています。合併には2つ以上の企業が1つの企業へと統合されること、そして、買収には企業が別の企業の経営を支配することを目的として、株式を取得するという意味があります。

なお、経営を支配するとは、株主総会での決議を支配することを指しています。したがって、発行済株式総数の過半数を取得しているケースが多い傾向にあります。このように一般的に狭義のM&Aには、「企業や事業の経営権を移転させる」という意味がありますが、その一方で、広義のM&Aには、企業の競争力の強化、新規事業の多角化など業務提携を含む企業戦略全般を意味することもあります。

M&Aにおいて買い手となる企業の場合、今ある事業を拡大したり、新規模事業へ参入したりすることを目的としてM&Aを行う企業も少なくありません。売り手となる企業の場合は、資金調達や自社の事業承継を目的としM&Aを行うことが多くあります。このようにM&Aを行うことによって売り手と書いての双方にとってメリットのある取引となるのです。M&Aについてしっかり理解するためには、「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」について知ることが大切です。

M&Aで用いられる手法

資本業務提携と業務提携

M&Aで用いられる手法は、細かく分類されています。まず大きく「資本業務提携」と「業務提携」に分類されています。

資本業務提携とは、業務提携に伴い、対象会社に対して増資したり、その会社の一部を株式譲渡するなど、提携先に議決権を与える手法のことです。この手法は、単なる業務提携という契約関係よりも、さらに強固な関係性を築くことが可能です。資本業務提携をする際には、協力内容を明確にするために、業務提携契約を締結することが一般的となっています。

一方、業務提携とは、資本の移動が伴わない手法のことです。企業が共同で事業を行い、双方が資金や技術、人材などの資源を提供しあうことで、事業をさらに強化させることを目指します。業務提携は、大きく4つに分類されています。

①技術提携
技術提携とは、ライセンス契約や共同開発契約などを結び、技術面での経営資源を提供しあうことです。

②生産提携
生産提携とは、製造委託契約などを結び、生産力の強化や補充など生産面での経営資源を提供しあうことです。

③販売提携
販売提携とは、販売店契約や代理店契約などを結び、販売力の強化や補充など販売面での経営資源を提供しあうことです。

④その他
その他にも仕入提携や調達提携などの分野でも経営資源を提供しあうことができます。

資本業務提携による「合併(Mergers)」

合併とは2つ以上の企業が統合することを意味しますが、大きく「吸収合併」と「新設合併」の2つに分類されています。まず吸収合併とは、1つの企業に他の企業が吸収される形で統合することです。新設合併とは、合併を行う企業とは別の企業を新設し、新設された企業に統合することです。

吸収合併に関しては、合併によりなくなる企業を消滅会社、合併後も存続する企業を存続会社と呼んでいます。また、新設合併に関しては、新設される会社以外の会社はすべて消滅会社と呼ばれます。

資本業務提携による「買収(Acquisitions)」

買収は、現金や株式によって、対象となる企業全体やその一部を買い取ることです。買収には、「株式取得」「事業譲渡」に大きく分類されています。

・株式取得
株式取得による買収とは、資本に参加することです。株式取得の場合は、「株式譲渡」「第三者割当増資」「株式交換」「株式移転」の4つの手法によって細かく分類されています。株式取得による買収の場合、買収する対象企業の株式の割合を自由に決定できたり、事業譲渡よりも手続きが容易になりやすいなどのメリットが得られます。

しかし、買収する対象企業すべてを引き継ぐ必要があります。つまり、対象企業が抱えている債務まで引き継がなければいけないのでリスクとなります。

①株式譲渡
株式譲渡とは、株式を売却して株主の地位を譲る手法です。株主が変わるだけで、会社の事業は今まで通り続きます。そのため、売却側企業の取引契約や許認可などもそのままの状態で、変更はありません。この手法は、中小企業のM&Aの8割以上が採用している手法と言われています。

②第三者割当増資
第三者割当増資とは、第三者に新株を引き受ける権利を与える会社の資金調達をするための手法です。つまり、売買ではなく増資です。この手法は、業務提携をしている相手との関係を良好にすることや、経営状況が悪いため通常の増資が難しいときなどに使われる手法です。

③株式交換
株式交換とは、完全子会社になる会社の発行済株式のすべてを、完全親会社になる会社へ渡す手法です。したがって、完全子会社になった会社は、完全親会社への支配関係が発生します。

④株式移転
株式移転とは、2社以上の会社は発行済株式のすべてを株式会社に取得させる手法です。

・事業譲渡
事業取得による買収とは、資産を買収することです。これには全部を譲渡する場合と、一部のみを譲渡する場合に分かれています。事業譲渡のメリットは、株式取得とは違い、事業のみの買収なので自社が必要なものだけを選んで買収できるというメリットがあります。自社に取ってメリットとなるものだけを選べるので、債務を買収することは避けることができます。

しかし、事業を買収する際には、消費税が発生したり、手続きが難しく時間がかかるなどのデメリットもあります。

M&Aで売却する目的で得られるメリットとデメリット

メリットその①後継者がいなくても事業継承ができる

独自の技術やノウハウに長けていても、後継者が存在しないことで事業を継続することが難しくなっている企業は年々増えています。しかし、M&Aを行うことで、後継者が見つからなくても事業承継することが可能となります。

仮に後継者が見つからず廃業することにした場合、多額の廃業費用が発生するだけでなく、取引先や従業員にも多大の迷惑を与えます。ですから、後継者がいない場合は、M&Aでの事業承継を検討してみることができるでしょう。

メリットその②現経営者が譲渡益が得られる

M&Aで売却すれば、その分譲渡益、つまりお金を得ることができます。譲渡利益のおおよその目安は、経常利益の3~5倍ほどです。もし廃業してしまえば譲渡益を得られないことはもちろん、廃業費用が発生します。譲渡益で新たな事業に挑戦したり、一部の事業だけを売却し、それで得た譲渡益で残した事業に注力することもひとつの方法です。また、経営者を引退した後の生活費に不安がある方は、会社を売却し生活費に充てることもできるでしょう。

メリットその③買収企業の経営資源により事業の発展を期待できる

M&Aをすれば、買収企業の人材や資金など経営資源により、事業の発展を期待することができます。M&Aで売却したとしても、自分が経営していた事業の発展を見れるのは嬉しいことです。資金や人材不足など何かしらの課題で悩んでいるなら、M&Aを検討してみることができるでしょう。

メリットその④廃業コストがかからない

会社を廃業する際には、さまざまコストが発生します。例えば、解雇する社員への手当やさまざまな書類の手続き、会社設備の処分費、在庫処分費、専門家に廃業手続きを依頼する場合は報酬など多額の費用が発生します。しかし、M&Aを行えば、このような廃業コストは一切かかりません。

デメリットその①想定していた価格で譲渡できないこともある

M&Aで売却することには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。そのひとつに想定していた価格で必ずしも譲渡できるという保証はない、ことが挙げられます。つまり、想定していた価格よりも安い価格で売却しなければならないこともあるということです。

M&Aを成功させるためには、最も高く売れるタイミングで最良の相手に譲渡することがカギとなっています。ですから、専門家のアドバイスを受けることは、M&Aの成功へとつながるでしょう。

デメリットその②取引先に悪影響を及ぼす可能性がある

買収されることで契約条件が変更したり、担当者が変わるなど、今までの取引先に影響を及ぼすことは確かです。契約条件が悪くなるなら、取引先にとっては悪影響となります。

M&Aで買収する目的で得られるメリットとデメリット

メリットその①事業を効率よく強化でき、低リスクでスタートできる

M&Aを行うことは、買収する側にとっても自社の事業を効率よく強化することにつながります。例えば、同じエリアで同じ事業をしていた他社を買収すれば、そのエリアの事業が強化されます。通常、事業を強化することには時間や費用がかかるため容易なことではありません。しかし、M&Aは買収のための費用だけで済みますし、すでに収益性が分かっているので失敗するというリスクはほぼないこともメリットと言えるでしょう。

メリットその②短時間で新規事業を始めることができる

新規事業を立ち上げることにはコストがかかります。コストをかけて事業を新たに始めたとしても、必ずしも成功するという保証はありません。しかし、M&Aを行えば、短時間で新規事業を立ち上げることが可能です。

メリットその③優秀な人材やノウハウを獲得できる

M&Aを行えば、優秀な人材を獲得やノウハウを獲得できることもメリットのひとつです。自社で優秀な人材を育てたり、ノウハウを蓄積したりすることは、時間や費用を必要とします。しかし、M&Aですでに存在している会社や事業を買収するなら、優秀な人材やノウハウなどの経営資源を手にすることができます。

デメリットその①取引先へ悪影響を及ぼす可能性がある

M&Aをすることで経営方針が変更し、仕入先や販売先などの取引先に何かしらの影響が及ぶことが考えられます。

デメリットその②簿外債務や偶発債務が発覚する可能性がある

譲渡を実行した後、貸借対照表上に記載されていない簿外債務が発覚するというケースもあります。このようなリスクを回避するために、買収前に買収先企業の財務リストを確認し、買収監査(デューデリジェンス)を実施することが必要です。

M&Aの相手の探し方とは?

M&Aは株式や事業が売買されることですから、買い手と売り手の両方が必要になります。では、売るにしても買うにしても、どのように相手を見つければよいのでしょうか?大企業や上場企業の場合は、自社の中でM&Aを担当する部分を持っている会社もあることでしょう。

しかし、中小企業の場合は、自力でM&Aの相手を探すことは容易ではありません。そこで多くの会社は、M&Aを仲介する企業に依頼し、候補企業を探してもらっています。また、顧問税理士や取引金融機関に相談したり、M&Aのマッチングサイトを利用して探すことも可能です。

M&Aを行うまでの流れ

M&Aを行うための手続きのおおまかな流れは、次のようになっています。

ステップ1:M&Aを仲介する企業を探し依頼する

まずM&Aの仲介企業を探します。M&Aを自力で成功させることは難しいので、頼りになり信頼できるM&A仲介企業を選びましょう。M&A仲介企業には、自社の希望するM&Aや経営状況、抱えている問題などを話します。その際、実際に話をしてみて、相談しやすい仲介企業に依頼するようにしましょう。

M&A仲介企業を選定した後は、報酬に関して具体的な見積りをしてもらうなら、その先安心して進むことができるでしょう。

ステップ2:買い手もしくは売り手を探す

次にM&Aの相手を探します。相手選びの条件を前もって決めておくことは大切です。

ステップ3:条件交渉を行い、秘密保持契約や基本合意契約を結ぶ

相手を見つけることができたら、M&Aの条件交渉をします。その際、情報漏れをしないよう秘密保持契約を結びます。お互いが納得できるまで条件を話し合います。M&A仲介企業とも積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

そして、条件がまとまったら、この段階で合意した条件を書面で確認する基本合意契約を結びます。なお、この先条件が変わる可能性もあるので、この契約は法的拘束力を持たせないことが一般的となっています。

ステップ4:買い手の買収審査(デューデリジェンス)を行う

条件交渉後、買い手は売り手の企業の調査を行います。デューデリジェンスと言われる買収審査では、財務面、事業面、人事面、法律面、税務面など幅広い分野にわたっての調査が実施されることになります。

ステップ5:再度条件を話し合い、最終契約を結び、成約

デューデリジェンスの結果に基づき、再度条件の話し合いをします。なぜなら、デューデリジェンスでは何かしらのリスクが発覚することが多いからです。基本合意契約の条件が変更することも珍しくありません。条件を再度話し合い、双方が納得できたら最終契約となり、M&A成約となります。

まとめ

M&Aは政府が推奨しているため、法整備も年々充実しています。そのため、今後、ますますM&Aの件数は増えていくことが予想されています。M&Aを成功させるためには、まずM&Aの手法や形態について理解し、まずは信頼できるM&A仲介企業に相談してみましょう。


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