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llc(合同会社)はどんな会社?設立前に知っておくべきメリットとデメリット

2020年5月10日
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会社法人にはいくつかの種類がありますが、その中でも最近注目されているのが「LLC(合同会社)」です。LLCは、日本ではまだ新しい会社形態ですが、会社設立を検討しているのであれば、選択することは可能です。では、LLC(合同会社)は株式会社とどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、LLC(合同会社)と株式会社の違いや、設立前に知っておくべきメリットやデメリットなどLLCについて詳しく解説していきます。

LLC(合同会社)はどのような会社?

LLC(合同会社)とは、「Limited Liability Company」の略で、日本では2006年5月に施行された会社法により新しく生まれた会社形態です。この会社法により、有限会社の設立が廃止され、合同会社が新設されました。それ以降、LLC(合同会社)は増え続けており、株式会社に次ぐ人気の会社形態となっています。知名度の高い大手企業では、Googleや「Amazon.co.jp」を運営するアマゾンジャパン、西友などが合同会社として知られています。

では、LLC(合同会社)は、どのような会社なのでしょうか?会社を設立する場合、「株式会社」「LLC(合同会社)」「合名会社」「合資会社」の4つの会社形態から選ぶ必要があります。この4つの会社形態は、出資者の責任範囲が異なっています。株式会社とLLCは出資者の責任に限りがある「有限責任」となっています。したがって、会社が負債を抱えた場合は、出資額以上の返済は不要です。

一方、合名会社と合資会社は、責任に限りがない「無限責任」となっています。つまり、会社が負債を抱えた場合は、個人の財産を使ってでも返済をすることが求められています。このようにLLCと株式会社は責任範囲が限られているため、設立する方が多いのです。では、LLCと株式会社の違いについてもみていきましょう。

LLC(合同会社)はアメリカのLLCがモデル

日本ではLLCは合同会社として認識されていますが、LLCは英語の「Limited Liability Company」の頭文字をとったものです。Limitedは日本語で「有限」、Liabilityは「責任」、Companyは「会社」という意味があるので、直訳すると「有限責任会社」になります。しかし、LLCは日本の株式会社のように、出資者の責任を出資額の範囲に限定してたり、出資者と社員が同一などの特徴があります。

したがって、日本のLLCとアメリカのLLCでは、似ている部分もありますが、異なる制度となっています。そのため、日本では「LCC」とか「日本版LLC」などと呼ばれています。

LLC(合同会社)が近年増えてきている理由

近年、LLCが増えてきているのは、株式会社よりも設立にかかる費用が少なく、設立の手続きが簡単なことが理由となっています。専門家に依頼しなくても、個人でLLCを設立することも可能なため、近年LLCが注目されています。また、Googleなどの大手企業がLLCに登場してきたことで社会的認知度も高まりつつあるため、LLCを選ぶ方が増えています。

LLC(合同会社)と株式会社の違いとは?

LCCの設立が増えてきているとは言え、新規法人の設立の中でもっとも多いのは株式会社です。では、LLCと株式会社には、どのような違いがあるのでしょうか?

出資者と経営者など組織の違い

株式会社は、会社の所有者である出資者(株主)と会社を運営する経営者が別々であることを前提とした会社形態をしています。出資者や社外の利害関係者に不利益にならないよう様々なルールが規定されていたり、新たに株を発行して多額の資金を調達したりなど、上場会社にも適応できる大企業向き組織で構成されています。

株式会社の場合、経営者(取締役)は、株式を持つ株主が株主総会を開き、取締役を選任します。取締役には任期がありますが、株主の意向によっては経営者をクビにすることも可能です。一方、合同会社は、出資者と経営者は同一であることを前提とした会社形態をしています。第三者から出資を集めるのではなく、自分ひとりだけの出資や家族など身内で出資する場合に適しています。

株式会社とは違い、運営ルールを自分たちだけで自由に消えたり、出資比率に関係なく議決権も設定することが可能です。また、会社の所有と経営は一体なので、第三者から経営について口出しされることはありませんし、会社を乗っ取られたり、クビにされたりする心配もありません。

利益の配当の仕方

株式会社は、発行した株式に応じて配当金額を出資者に配分します。したがって、出資した金額が多ければ多いほど、それに比例して利益の配当も増えます。
一方、LLCは、株式会社のように株式を発行していません。そのため、出資比率に関係なく、利益などの配分の仕方を定礎で自由に決めることができます。

設立にかかる費用

設立にかかる費用に関しても、株式会社とLLCでは大きな違いがあります。株式会社は登録免許税にかかる費用が約15万円ほど必要になりますが、それに対してLLCは約6万円となっています。また、株式会社は公証役場での定礎の認証に5万円ほどの費用が必要となります。LLCも株式会社同様、定礎を作成する必要がありますが、認証は不要なので費用はかかりません。このように設立にかかる費用を計算してみると、株式会社の設立は約24万円、LLCの設立は約6万円と大きな差があります。

LLC(合同会社)のメリットとは?

メリット1:取締役機関の設置が不要

LLCでは、取締役などの機関を設置は不要となっています。しかし、定礎で定めることはできます。意思決定が迅速にできることはLLCならではのメリットと言えるでしょう。なお、株式会社では、株主総会と取締役の2つの機関は必ず設置することが義務となっています。

メリット2:決算公告の義務はない

LLCは、株主総会後に決算を公表する決算公告の義務がありません。決算公告には、官報・日刊紙・電子公告の3種類から選ぶことができますが、官報に関しては掲載費用に約7万4千円かかります。毎年、この費用を節約できるのはおおきメリットと言えるでしょう。なお、株式会社の場合は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表を公告することが義務付けられています。

メリット3:株主総会や議事録作成義務がない

すでに見たようにLLCには取締役会などの機関の設置をしなくてもよいので、株主総会の開催も不要です。しかし、株式会社は毎事業年度ごと、決算申告前に株主総会を開催することが義務となっています。この株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会があり、決算申告前に開催するのは定時株主総会になります。なお、そのときに決算の報告と承認を得る必要があります。

また、株主総会では、議事録を作成する必要があり、それを10年間保管しておかなければいけません。議事録の保存をしない場合は、代表取締役に100万円の過料が課せられることもあるので注意が必要です。さらに株主総会には、会場費や懇親会費など多額の費用が発生しますが、LLCではこれらの費用もかからないのでメリットと言えます。

メリット4:設立時にかかる費用が安い

上記でも触れましたが、LLCは会社設立の手続きをする際、定礎の認証を受ける必要がありません。株式会社設立のように、定礎の認証や定礎の謄本代、登録免許税などの費用を節約できるので、安く設立できるのもメリットのひとつと言えます。

LLC(合同会社)のデメリットとは?

デメリット1:社会的な認知度が低い

近年LLCの設立が増えているとはいえ、株式会社と比べると認知度が低いことが挙げられます。取引の相手がLLCを知らない場合は、会社形態を説明する必要もあります。また認知度が低いことで、人材が集まりにくくなるというデメリットにもつながります。

デメリット2:信用度が低い

LLCは株主総会や決算公告の義務がないため、企業としての信頼度は、株式会社よりも低くなってしまう傾向にあります。LLCの多くは小規模な会社形態のため、LLCとの取引に制限をかけている企業もいます。また、取引をする際、代表者は「代表取締役」という肩書ではなく、「代表社員」という肩書になるため、信用度を得ることに難しさがあります。

デメリット3:出資者同士のトラブルが発生しやすい

LLCは出資額にかかわらず利益配分を自由に決められることがメリットですが、その反面、この配分に関して出資者同士でトラブルが生じることもあります。重要事項の決議については社員全員の同意、経営に関する事項については社員の過半数の同意が必要となります。したがって、社員数が多いほどスムーズに意思決定をすることが難しくなるのもデメリットになります。

デメリット4:株式上場することができない

LLCは株式を発行することはできないので、多額の資金を集めるために株式上場することはできません。

LLC(合同会社)に適している人とは?

LLCは1人や少人数で会社を設立したい方や、設立にかかる費用を少しでも抑えたい方、すぐに会社を設立したい方などに適しています。そのため、現在個人事業主で法人設立を検討している方の多くは、LLCを設立する方が増えています。

それとは反対に、出資を受けて、事業を拡大して将来的には大きな会社にしたい方は、LLCよりも株式を発行できる株式会社の設立が適しています。ですから、小規模な会社で少人数で事業を維持していきたいという方は、LLCに適していると言えるでしょう。

LLC(合同会社)の設立手続きの手順とは?

では最後に、LLCの設立する際の流れをみていきましょう。

ステップ1:定礎の作成をする
LLCを設立する際には、定礎を作成する必要があります。定礎に設ける項目には、商号、事業目的、本店所在地、公告の方法、社員および出資、責任範囲、業務執行社員、代表社員、事業年度などが挙げられます。

ステップ2:出資金の振込をする
社員による出資金額が決定したら、それを銀行に振込みます。

ステップ3:登記申請の手続きをする
登記申請をするために必要書類を準備します。必要書類は次のものです。

・設立登記申請書
・定款2部(法務局提出用と社内控え用)
・代表社員及び資本金決定書
・代表社員の印鑑証明書
・代表社員の就任承諾書
・資本金の払込証明書
・登記事項を記載した用紙、もしくは登記事項を記載した電磁的記録媒体を収納したCD-R(メディア)
・印鑑届出書

ステップ4:開業届の提出
登記が完了した時点で、LLCを設立したことになりますが、事業をするためには、税務署や日本年金機構、市町村役場などに開業届などの必要書類を提出する必要があります。

税務署には「法人設立届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」「青色申告の承認申請書」、日本年金機構には「新規適用届」「被扶養者届」「被保険者資格取得書」、市町村役場には「法人設立届出書」を提出します。また、従業員を雇う場合は、雇用保険や労働保険の手続きも必要になります。

以上の4つのステップでLLC設立に必要な手続きは終了です。順調に進めば1日、長くても3日あればすべての手続きを済ませることができるでしょう。

まとめ

LLC(合同会社)は、柔軟な経営ができたり、設立費用を抑えることができたりなど多くのメリットを得られるため、近年人気のある会社形態となっています。LLCの設立が増えているとはいえ、まだまだ認知度が低いため、信用度も株式会社よりも低いという現状もあります。ですから、会社設立を検討している方は、メリットとデメリットをよく理解した上で、事業に合った会社形態を選ぶようにしましょう。


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