KSK2とは何か、国税庁のAIチェックに中小企業が備えるべきこと
KSKシステムは、全国の国税局と税務署の事務を支えてきた基幹システムです。これを新しい設計へ入れ替える計画がKSK2で、移行は令和8年9月に予定されています。紙を前提にした事務をデータ中心の事務へ改められ、その土台の上でAIの活用も進められます。
変わるのは行政側の仕組みですが、影響は提出する側にも及びます。税務署へ出す書面の様式がデータ化に合わせて改められ、財務諸表をはじめとする添付書類の扱いも、電子での提出を前提にした形へシフトしていく見込みです。
先に一つ申し添えると、KSK2によって新しいペナルティや罰金が設けられるわけではありません。自社の財務算定の根拠を説明できる状態にしておくこと、AI活用がどこまで進んでいるかを公表資料で確かめること。9月までに手をつけられるのは、この二つです。
伊東大介(税理士法人 イデアコンサルティング代表)税理士登録番号:97281
本記事の税務に関する記述について、内容の正確性を確認しています。

KSK2とは何かを一言で言えば、国の基幹システムを入れ替える計画の呼び名である
KSK2は、国が税務の事務に使っている基幹システムを、新しい設計のものへ入れ替える計画を指しています。現在動いているのは国税総合管理システムと呼ばれるもので、KSK2などのシステムは、国税局と税務署の事務を一つにつなぐ土台として置かれてきました。
もとの仕組みは、全国の国税局と税務署を回線でつなぎ、地域や税目をまたいで情報を一つにまとめて管理するために入れられました。稼働してから長い年月が経ち、設計の前提が今の環境と合わなくなってきています。
入れ替えの時期は令和8年9月と公表されています。日付まで示されており、9月24日を境に新しい仕組みへ切り替わる予定です。準備に使える期間は、もうそれほど長くありません。
ここで注意したいのが呼び名です。納税者に向けた案内では「国税システムの更改」という見出しが使われ、開発業者に向けた資料の側で「KSK2対応版」という名称が登場します。
同じ出来事が二通りの言い方で流通しているため、検索しても情報が噛み合わないことが起きます。どちらも同じ計画を指していると分かっていれば、必要な資料にたどり着く速さが変わります。
中身は行政の内部の刷新です。
- 紙を前提にした事務をデータ中心の事務へ改めること
- 税目ごとに分かれた基盤を統合すること
- 独自の環境から市販の汎用的な環境へ移すこと
この三つが開発の柱として示されています。
事業者にとって意味があるのは、この刷新が提出物の形にまで及ぶ点です。国税局と税務署の内部だけで完結する更新であれば、こちらの手順を変える理由はありません。
ところが受け取り方と様式の設計が変われば、税務署へ出す書類も社内の段取りも影響を受けます。行政の内部の話だから関係ない、とは言い切れないのはそのためです。
とはいえ、帳簿の付け方や決算書、財務諸表の作り方そのものがすぐに変わるわけではありません。まして、KSK2に対応しなかったことを理由にしたペナルティが用意されているわけでもありません。変わるのは、出したあとにその中身がどう扱われるかのほうです。
KSKシステムは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入した基幹システムです。
出典:国税庁の年次報告「国税庁レポート2026」Ⅲ 納税者サービスの充実と行政効率化(取得:2026年8月)/国税組織の業務のデジタル化推進(PDF)
KSK2で変わることは、外から見える部分と内部で完結する部分に分かれている

変更点を並べる前に、二つに分けて考えると混乱しません。提出する側から見える変化と、国税局や税務署の内部で完結する変化です。前者だけ押さえれば、社内で必要な対応は事足ります。
見える側の変化として公表されているのは、書面の様式が新しくなること、控えとして使う様式が無くなること、色が原則として白黒になること、納付書と所得税徴収高計算書の様式も改まることです。
対象は幅広く、申告に使う書類だけでなく、税務署へ出す申請や届出の書類、法定調書の類まで含まれると公表されています。年に一度しか触らない書類ほど、気づくのが遅れがちです。
そして、接続の方法も変わります。国のシステムへ番号で直接つないでいる場合、その番号は接続のたびに変わる方式へ移る予定とされており、住所を示す文字列での接続へ切り替える準備が欠かせません。
切り替えの前後には、電子で送れない時間帯が設けられます。締切と重なっていれば送信そのものができませんから、9月の予定表に先に書き込んでおくのが確実です。
内部で完結する側は、税目ごとに分かれていた基盤の統合や、計算機の環境の刷新です。ここは事業者が手を動かす対象ではありません。読み物として知っておけば足ります。
KSK2という記号でひとまとめに語られると、全部が自社の宿題に見えてきます。実際に社内で決める必要があるのは、見える側の四つか五つだけです。
迷ったときの見分け方は単純です。社内の誰かの手が動くかどうか。動かないのであれば、国税局と税務署の内部で完結する側の話だと判断して構いません。
KSK2の話題で消耗している会社ほど、この二つを混ぜたまま追いかけています。分けるだけで、読むべき分量はかなり減ります。
なお、申告書の控用はなくなり、申告書の配色は原則として白黒になる予定です。
出典:国税庁の案内ページ「国税システムの更改について」(取得:2026年8月)/申告書等の様式が変わります
- 書面の様式が新しくなる……申告に使う書類のほか、税務署へ出す申請・届出の書類や法定調書も対象と案内されている
- 控えの様式が無くなる……提出した証跡をどう残すかを社内で決め直す必要がある
- 色づかいが変わる……原則として白黒になる予定で、社内の見本や記入例も差し替えになる
- 納付の書類も改まる……納付書と所得税徴収高計算書の様式が新しくなる予定である
- 接続の方法が変わる……番号で直接つないでいる場合は、住所を示す文字列での接続へ移す
KSK2の様式変更は、税務署へ出す書面をデータ化するための設計の見直しである
なぜ様式まで変えるのか。理由はデジタル化の方式にあります。税務署の窓口や郵送で書面として出された書類を機械で処理し、データとして扱うために、文字認識に適した枠や配置へ改めるという説明が公表されています。
現在も一部の書面は機械で処理されています。今回はその範囲が広がり、決められた枠の中に文字を収める形ではなく、枠の幅にとらわれずに文字を認識する方式が導入されます。
精度を上げるための設計変更ですから、色を白黒にすることにも意味があります。装飾を減らし、文字と枠の境目をはっきりさせるほうが、機械にとっては扱いやすくなります。
対象になるのは税務署へ提出する書面であって、社内で持っている帳簿そのものではありません。ここを混同すると、要らない作業を抱え込むことになります。
この変更が直接ひびくのは、書面で出している会社です。手元にある古い様式は使えなくなり、社内の記入例や外注先へ渡す見本も、同じ日に刷新が必要になります。
電子で送っている会社への影響は小さめです。画面の項目や送信の仕様は変わりますが、そこは会計ソフトの更新で吸収される部分が多く、自社で様式を差し替える作業は生じません。
ただし、電子で送っている会社にも例外があります。源泉所得税を紙の納付書で納めている、届出だけは書面で税務署へ持ち込んでいる、といった混在は珍しくありません。
だからKSK2の準備では、提出物を一覧表に整理する作業が非常に有効です。何を、どの方法で、いつ出しているか。この三列が埋まれば、影響を受ける行はすぐに見つかります。
KSK2を機に紙をやめる、と決めてしまう会社もあります。それも一つの判断ですが、切り替えの時期を9月に重ねると負荷が集中します。前後にずらすほうが安全です。
現在、申告書等の一部の書面について、OCRで読み取っているところ、AI-OCRの導入により、書面提出された申告書、申請書等をフリーピッチ枠の文字認識によって読み取ります。これによりデータ化及びイメージ化といったデジタル化を効率的に進めるとしています。
出典:国税庁 e-Taxのお知らせ「国税システムの更改に伴うe-Tax仕様書等の情報提供について」(取得:2026年8月)/お知らせ本文
AI活用の中身は、予測と生成の二つに分けて公表されている
AI活用という言葉は幅が広く、そのままでは怖い話にも便利な話にも読めます。公表資料では、予測に強みを持たせたものと、文章や画像を作り出すものに分けて説明されています。
予測側は、過去のデータを分析して未知の事象を見込むものと定義されています。挙げられている用途は、申告の内容に漏れがある可能性の判定と、滞納の催告で電話がつながりやすい時間帯の見込みです。
生成側は、国税局や税務署の職員が使う事務用パソコンに載せた道具として説明されています。訴訟の判例を効率よく探す、ネット上の業界情報を集める、といった内部の作業を速くするための使い方です。
あわせて、事実と異なる内容をもっともらしく答えてしまう性質にも注意すると書かれています。作り手側もそこを織り込んでいる、という前提で読むのが公平です。
ここまでが公表されている範囲で、判定の基準そのものは示されていません。KSK2に関する資料をどれだけ読み込んでも、詳細は公開されていないのが現状です。
つまり、AI活用が進むと調査が急に厳しくなるとか、ペナルティが自動で科されるようになる、という言い方には根拠がありません。効率を上げる方向の取り組みだと読むのが、資料に忠実な理解です。
AI活用について、この点を押さえておくと、罰金やペナルティへの不安を材料にした売り込みにも落ち着いて向き合えます。公表されている範囲を自分で確かめていれば、話の真偽を自分で判断できるからです。
それでも備えは要ります。データで見られる比重が上がるということは、数字のつじつまが合っているかどうかが、以前より早く目に留まるということだからです。
KSK2はその土台を作る計画にあたります。紙のままでは分析にかけにくかった情報が、扱える形で揃っていく。AI活用の話は、この流れの延長線上にあります。
予測AIについては、課税・徴収事務の効率化・高度化に向けて必要な開発や活用を進めており、申告漏れの可能性が高い納税者の判定や、滞納者への催告の電話がつながりやすい曜日や時間帯の予測等に活用しています。
出典:国税庁「国税庁レポート2026」コラム1 国税庁におけるAIの活用(取得:2026年8月)/税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(PDF)
財務諸表のデータは、すでに電子で提出され、機関の間で受け渡されている
財務諸表は、KSK2をめぐる話の中で位置づけが分かりにくい書類です。申告書に添付する書類でありながら、電子で送る場合はデータとして送られ、税務署に紙の束としては存在しないからです。
国は、法人税の申告のうち、主要な別表に加えて添付すべき書類まで電子で送られた割合を、独立した指標として公表しています。財務諸表がその中に数えられていることは、指標の説明から読み取れます。
指標として公表されているということは、そこを増やす方向で施策が今後組まれるということです。財務諸表を電子で送る流れは、KSK2の前からすでに始まっていた、と見るのが正確です。
受け渡しの範囲も広がっています。国へ電子で出した財務諸表について、地方への提出を重ねて求めない扱いが、令和2年4月以後に終了する事業年度分から始まっています。
一度出した情報を二度出させない、という考え方に沿った運用です。事業者にとっては手間が減る話であり、同時に、同じ数字が税務署と地方の窓口の双方で参照される状態になったということでもあります。
帳簿から決算書を作り、決算書をもとに財務諸表を整える。社内の順序はこれまでと変わりませんが、最後の一段だけが、データとして外へ出ていきます。
だから帳簿と同じく財務諸表も、提出したら終わりの書類ではありません。あとから照らし合わせに使われる基礎の資料として、数年単位で保管し続ける性質のものです。
この前提に立つと、決算の作り方に対する見方が少し変わります。締切に間に合わせることと、あとから説明できる形に整えることは、別の仕事だと分かるからです。
中小企業の現場では、財務諸表を仕上げる作業と、説明できる形に整える作業が、同じものとして扱われがちです。悪いのは担当者ではなく、締切だけが目に見える形で迫ってくる構造のほうです。
法人税申告のALL e-Tax率とは、法人税申告のうち、主要な別表に加え、財務諸表等の申告書に添付すべきものとされている書類がe-Taxで送信されたものの割合です。
出典:国税庁が公表する年次報告「国税庁レポート2026」Ⅲ オンライン利用率の注記(取得:2026年8月)/税務手続のデジタル化の推進(PDF)
財務算定の根拠を社内で説明できるかどうかが、これからの分かれ目になる

財務算定という言い方をここでは、決算の数値から比率や指標を導く一連の作業という意味で使います。売上に対する原価の割合、在庫の回転、借入の返済に充てられる利益の大きさ。どれも決算書と財務諸表に並ぶ数値から出てきます。
KSK2の準備という文脈でこの話を持ち出すのは、データで見られる比重が上がるからです。財務算定の結果は、同業や過去の自社と並べて眺められる状態になります。
並べられること自体は、以前から起きていたことです。変わるのは速さのほうです。紙を人が読んでいた工程が減れば、税務署の側で財務算定の突き合わせにかかる時間は短くなります。
ここで効いてくるのが、数字の出どころを一行で言えるかどうかです。前期と比べて粗利率が落ちた理由を、仕入単価の上昇と説明できるか。裏づけとなる資料がすぐ出るか。
財務算定の結果として説明できない数字が出ること自体は、悪いことではありません。数字が動いただけでペナルティが科されるわけでもありません。事業には毎年いろいろなことが起きます。問題になるのは、理由が社内にも残っていない状態のほうです。
財務算定の根拠を残す作業は、月次の中に混ぜてしまうのが現実的です。決算書ができてからまとめて思い出そうとすると、担当者の記憶に頼ることになります。
年商5,000万円を超えるあたりから、取引先も費目も増え、記憶で補える範囲を越えます。異動や退職が一度あるだけで、理由は社内から消えてしまいます。
やり方は難しくありません。月次の資料に、前月と比べて動いた項目とその理由を三行だけ書き添える。それだけで、財務算定の裏づけは自然に積み上がっていきます。
KSK2の年に効いてくるのは、この種の積み重ねのほうです。制度の名前を覚えるより、自社の数字を自社の言葉で語れることのほうが、はるかに役に立ちます。
KSK2の準備として、中小企業が9月までに決めておくとよいこと

やることの多さで手が止まる会社が多いので、順序を決めてしまいます。最初に日程、次に提出物の棚卸し、最後に社内の分担です。この順で進めると、後戻りがほとんど起きません。
日程は、動かせない日を先に置きます。切り替えの日、電子で送れない期間、自社の申告と納付の期限、月次の締め日。四つを同じ表に並べれば、衝突している箇所は見ただけで分かります。
提出物の棚卸しは、何を、どの方法で、いつ出しているかの三列で足ります。帳簿そのものに手を入れる作業ではありません。書面で税務署へ出している行が一つでもあれば、そこが様式の差し替えの対象になります。
この表は完璧である必要がありません。抜けがあっても、書き出した時点で社内の議論の土台になります。完璧を目指して着手が遅れるほうが、はるかに損です。
社内の分担は、経理だけで抱えないための工程です。接続の方法の変更は、経理ではなく機器を管理している側の仕事になります。ここを渡しそびれると、9月に入ってから慌てます。
外へ依頼する部分は、8月のうちに投げておきます。相手にも都合があり、こちらが決めた翌日に返ってくるものではないからです。
KSK2の準備で完了日を締切ぎりぎりに置くと、相手先の都合が一つ入っただけで崩れます。二週間の余白を先に取るのは、こちらの都合だけでは進まないからです。
年商1億円を超えると、購買の窓口が部門ごとに分かれます。一覧を作る段階で複数の部署に声をかける必要が出るため、着手はさらに前倒しになります。
KSK2の話が社内で他人事になっている場合、たいていは持ち場が決まっていないだけです。名前を書き込めば、進み方は驚くほど変わります。
- 日程……切り替えの日と送信できない時間帯、決算や納付の締切、月末の締め処理を一枚に並べる
- 棚卸し……提出物を「何を・どの方法で・いつ」の三列で書き出し、書面で税務署へ出している行に印をつける
- 分担……様式の差し替えは経理、接続の変更は機器を管理する側、と持ち場を先に決める
- 外部への依頼……8月のうちに論点を渡し、9月上旬に受け取る形へ持ち込む
- 余白……社内の完了日は、締切の二週間手前に置く
税務調査の選ばれ方と、ペナルティの仕組みについて公表資料から言えること
税務調査やペナルティの話題は、不安を売る文章になりやすい領域です。だから、確かめられることと確かめられないことを最初に分けておきます。
確かめられるのは方針の部分です。データの分析によって申告に漏れのある可能性が高い先を見極める取り組みが進められていると、公表資料に書かれています。
確かめられないのは基準の部分です。どの数値がどう組み合わさったときに税務調査の対象となるのか、その中身は公表されていません。公表されていないものを外から言い当てることはできません。
したがって「この比率を超えると選ばれる」「この水準を割ると罰金が来る」といった説明は、根拠を示せない話です。数字で示された基準が出回っているときは、出どころを確かめる価値があります。
KSK2の解説を名乗る情報の中にも、この種の断定は混じります。一次の資料に当たれば書いていないことは分かりますから、確かめる手間は数分で済みます。
ペナルティという言葉の使われ方にも注意が要ります。申告の誤りや遅れに対して課される加算税や延滞税は、税を追加で納める行政上の措置です。刑事の手続を経て科される罰金とは、性質も手順も別のものです。
この二つを混ぜて「税務署に目をつけられると罰金」と語る解説は、実際の仕組みとずれています。中小企業の現場で現実に問題になるのは、罰金ではなく、加算税や延滞税といった負担が積み上がる場面のほうです。
調査の担い手も、規模によって分かれるのが通例です。規模の大きな法人は国税局の調査部門が、中小企業の多くは所轄の税務署が担当します。相手がどちらであっても、聞かれることの中身は変わりません。
では備えようがないのかというと、そうでもありません。方針がAI活用を伴う分析であるなら、有効なのは説明できる数字を出しておくことだと言えます。
税務署から連絡が来てから資料を探し始めると、それだけで日数が延びます。逆に、根拠がすぐ出る状態であれば、やり取りも短期間で済むでしょう。加算税といったペナルティの多くは、誤りを早く直せるかどうかで重さが変わる仕組みになっています。
中小企業の場合、担当者が一人ということも珍しくありません。その一人が休んだ日に説明できる人が誰もいない状態は、それ自体が弱点になります。
説明できる人を二人にしておく。資料の置き場所を地図にしておく。KSK2の年に税務調査への備えとして効くのは、この種の地味な整理のほうです。
KSK2の情報は、納税者向けの案内と開発業者向けの仕様で置き場所が分かれている
情報の出方にも、この計画の特徴が表れています。一度にまとめて発表されるのではなく、固まった項目から順に案内が足されていく形です。
見る場所を決めておくと、この更新に追いつけます。経営者と経理の担当者であれば、国税庁の納税者向けの案内ページを確認するだけで十分です。様式の変更も、送信できない期間も、そこに集約されています。
もう一つの入口は、ソフトウェアを作る側に向けた仕様の公開です。こちらには「KSK2対応版」という名称の資料が並びますが、読む必要があるのは自社で仕組みを作っている場合に限られます。
仕様側の資料には、確定前の版が含まれています。提供を早めるための暫定版であり、変更の可能性があると明記されていますから、そのまま社内の手順に落とすのは早すぎます。
会計ソフトを使っている会社であれば、対応は提供元が進めます。こちらが確かめるのは、更新の予定と、自社の使い方に影響が出る項目があるかどうかの二点です。
提供元からの案内は、更新の直前にまとめて届くことがあります。届いてから読むのではなく、いつ頃どんな案内が来るのかを先に聞いておくと、社内の段取りを組みやすくなります。
出どころの分からない解説から入ると、いつ時点の内容なのかが判別できません。ペナルティや罰金を強調する記事ほど、この点が曖昧になりがちです。日付のある案内で骨格をつかんでから、解説で補うほうが安全です。
確かめる日を月に一度だけ決めておけば、この作業は習慣になります。月次の締めの前後に置いておくと、忘れて取り残されることはまず起きません。
KSK2をめぐる情報は9月で終わりません。切り替えのあとも国税庁からの案内は続きますから、見る場所を一つに固めておくほうが、社内は落ち着いていられます。
ドラフト版は、ソフトウェア開発業者の方へ帳票レイアウト等の提供時期を早めることを目的として提供している暫定版です。確定までに変更となる可能性がありますので、あらかじめご留意ください。
出典:国税庁 e-Taxのお知らせ「国税システムの更改に伴うe-Tax仕様書等の情報提供について」令和8年5月18日追記(取得:2026年8月)/帳票レイアウトの提供について
KSK2での影響の出方は、書面で出しているか電子で出しているかで変わる

同じ制度の話でも、提出の仕方が違えば備えるべきポイントが変わります。自社がどの型に近いかを先に決めると、要りもしない作業に時間を取られずに済みます。
書面が中心の会社は、様式の差し替えが主な仕事になります。手元の在庫をいつまでに使い切るか、記入例をいつ作り直すか。この二つを決めれば、あとは順番に進めるだけです。
自社で電子申告をしている会社は、送信できない期間との衝突が主な論点です。様式の差し替えは起きませんが、送る日をずらす判断が要ります。
顧問の税理士へ代理送信を任せている会社は、確認の相手が一人増えます。先方の準備の状況と、こちらが資料を渡す期日を、8月のうちに擦り合わせておくと安全です。
源泉所得税を紙の納付書で納めている会社は、納付書の様式が改まる時期と手元の在庫が噛み合うかを見ます。毎月の作業なので、気づくのが遅れると影響が続きます。
KSK2の準備で無駄が出るのは、自社に当てはまらない型の作業まで抱え込んだときです。下の表で、自社に近い行から手をつけてください。
複数の行に当てはまる会社もあります。その場合は、月次で回している作業を含む行から片づけると、残りの見通しが立ちやすくなります。
法人税の申告のように年に一度しかない手続は、反対に忘れやすいという弱点があります。年間の予定表に、様式を確かめる日を一日だけ足しておくと安全です。期限に遅れれば加算税というペナルティの対象になり得ますから、忘れやすい手続ほど先に日付を押さえておく値打ちがあります。
どの型であってもKSK2の日程を押さえる作業だけは共通です。ここだけは、提出の方法にかかわらず先にやっておく価値があります。
| 提出の仕方 | 主に効いてくること | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 書面が中心 | 様式の差し替えと、控えの扱いの見直し | 手元の在庫を使い切る時期と、記入例の作り直しの担当 |
| 自社で電子申告 | 送信できない期間と締切の衝突 | 前倒しで送信を終える日と、接続の方法の変更の担当 |
| 税理士へ代理送信を委託 | 資料を渡す期日と、先方の準備の進み具合 | 8月中の擦り合わせの日と、渡す資料の一覧 |
| 紙の納付書で毎月納付 | 納付書の様式が改まる時期と在庫の噛み合わせ | 切り替えの月と、電子での納付へ移す可否の判断 |
KSK2の備えは、社内の手順書に落とし込むところまでを一区切りにする

準備の終わりをどこに置くかで、残るものが変わります。9月を無事に通過した時点で終わりにすると、翌年また同じ調べ物からやり直すことになります。
そうならないために、決めたことを手順書へ書き移すところまでを一区切りにします。誰が、何を、いつ、どの方法で税務署へ出すのか。この四つが書いてあれば、人が代わっても回ります。
書き移す作業は、担当者が一人でやると抜けが出ます。決めた場に居なかった人が読んで分かるかどうかが基準ですから、別の人に一度読ませるのが確実です。
手順書には、決めた理由も一行だけ添えておきます。理由が残っていれば、前提が変わったときに、どこを直せばよいかが自分たちで判断できます。
同じ発想は、財務算定の根拠を残す話ともつながっています。財務算定の結論だけを残すと、あとから見た人には確かめようがありません。理由まで残すから引き継げます。
制度もAI活用の範囲も、今後さらに動きます。今回の切り替えが終わっても、様式や送信の仕様は少しずつ変わっていきますから、更新できる形にしておくことに意味があります。
KSK2の準備を、押しつけられた宿題として処理するか、社内の整理が進む機会として使うか。同じ作業量でも、残るものはかなり違ってきます。
中小企業ほど、この差が大きく出ます。人数が少ないぶん、一度整えた手順は長く効き、逆に整えないままだと、毎年同じ場所でつまずくことになるからです。
KSK2の当日に慌てずに済んでいる会社は、前もって決めて、書き残して、あとは予定どおりに動くだけの状態に持ち込めています。派手さはありませんが、それが答えです。
税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
制度が動く年のご相談で多いのは、何が自社の宿題で、何がそうでないのかを切り分けられない、という悩みです。ペナルティや罰金を前面に出した情報に触れて不安になった、というご相談も届きます。公表されている資料を読むかぎり、KSK2で事業者が手を動かす範囲は限られており、KSK2そのものに罰則が伴うわけでもありません。記号に振り回されるより、9月の日程と提出物の一覧という二枚の紙を先に作るほうが、結局は早く片づきます。KSK2の年に数字の根拠を残す習慣をつけておけば、税務署からの問い合わせにも短く答えられますし、KSK2が動いたあとも長く効きます。