キャッシュフロー計算書とは?種類・重要性などキャッシュフロー計算書の基礎知識 | 税理士コンシェルジュ

税理士事務所 口コミ 紹介実績

キャッシュフロー計算書とは?種類・重要性などキャッシュフロー計算書の基礎知識

2021年2月24日
-

キャッシュフロー

会社を経営していく上で、「キャッシュフロー計算書」は、経営の状況を客観的に判断するために欠かすことができないとても重要な書類のひとつです。

では、キャッシュフロー計算書は、実際にはどのような役割を果たしているのでしょうか?この記事では、キャッシュフロー計算書の重要性や種類、「直接法」と「間接法」の違いなどキャッシュフロー計算書の基礎知識について解説していきます。

キャッシュフロー計算書とは?

キャッシュフローとは、「キャッシュ(お金)」の「フロー(流れ)」という意味を持つ、資金繰りをする上でよく使われる用語です。そして、このお金の流れを視覚的に数値化して表したものが「キャッシュフロー計算書」と呼ばれています。

キャッシュフロー計算書は、「貸借対照表」「損益計算書」に並ぶ、決算に必要な財務諸表のうち最も重要な役割を果たす「財務3表」のひとつです。決算書類は会社の経営状況が分かる重要な書類です。

よって、経営者であるなら、経理担当者や税理士などに会計を任せているとしても、会社の経営状況を客観的に判断できるキャッシュフロー計算書について理解しておくことはとても大切です。

では、キャッシュフロー計算書について詳しく知る前に、まずは決算書についてみてみましょう。

決算書について

キャッシュフロー計算書は、すでにみたように「財務3表」とも言われる「決算書」を構成する書類のひとつです。そもそも決算書の正式名称は、上場企業などが作成する「財務諸表」、もしくは、それ以外の会社が作成する「計算書類」と呼ばれています。

すべての会社は、決算書を作成することが義務付けられています。決算書は、会社の状態を数値で表した書類です。経営状況を判断するために使用されます。

「財務3表」と言われている「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」、「キャッシュフロー計算書(C/F)」は、主にどのような書類なのでしょうか?

・「貸借対照表(B/S)」:資産・準資産・負債の状態などお金の調達方法と運用の仕方を示した書類

・「損益計算書(P/L)」:収益・費用の状態など利益の生み出し方を表している書類

・「キャッシュフロー計算書(C/F)」:現金の流れを示した書類

企業は、会計年度に合わせて決算書を作成した後、税務署や株主、債権者などの開示する必要があります。企業によっては、これらの書類に加えて、「製造原価報告書」や「株主資本等変動計算書」、「有価証券報告書」などの書類の提出も義務付けられることがあります。

財務3表は、会計帳簿を見ながら作成していきます。もし帳簿が間違っているなら、財務3表にも間違いの影響が出てしまうので、日頃から帳簿の記録を正確な状態かどうかを確認しておくことはとても大切です。

キャッシュフロー計算書の種類

キャッシュフロー計算書は、決算書を構成する大事にな書類のひとつであり、それを見れば、会計期間中の現金の流れを数値で知ることができます。つまり、会社にどのくらいの現金があるか、が分かる、まるで家計簿のような書類なのです。

キャッシュフロー計算書は、すべての会社が作成するよう義務付けられているのではなく、上場企業だけが法令によって作成が義務付けられています。しかし、キャッシュフロー計算書を作成するなら、自社の経営状況を客観的に把握することができるため、多くの企業が作成しています。

キャッシュフロー計算書は、3つの区分で大きく分類されています。それは、

①営業によるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー

では、それぞれ詳しくみていきましょう。

3つの区分で構成されるキャッシュフロー計算書

株主や取引先などの利害関係者は、「財務3表」、つまり、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で何を判断しているのでしょうか?
それは、

1、貸借対照表から、その企業の資産と負債の状況を把握する
2、損益計算書から、その企業の利益の額を確認する
3、キャッシュフロー計算書から、資金の運用状況や流れを把握する

という目的で、財務3標を確認します。この3つの決算書類の中でも、特に重要なのが「キャッシュフロー計算書」と言われています。

なぜなら、損益計算書上では、例えば1億円の当期利益が計上されていても、その金額が入金されるのが1年以上先の予定であれば、その会社は資金繰り次第では、黒字倒産してしまうリスクがあるからです。しかし、キャッシュフロー計算書を確認するなら、その会社がどのような活動をして現金の増減があったのかを詳しく知ることができます。

その活動の状況は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの活動に区分されています。では、それぞれの活動について詳しくみてみましょう。

①営業活動によるキャッシュフロー

営業によるキャッシュフローとは、その企業の中心となる事業が、どのくらい資金を生み出しているか、もしくは減ったかを示す項目です。つまり、どのくらい儲かっているかが分かります。この項目がプラスであれば事業は順調である証拠です。

一方、マイナスの場合は、現金が不足しているということになりますので、事業によって資金が減っていると判断することができます。もし営業キャッシュフローがマイナスの状態が続いているようであれば、損益計算上でたとえ黒字だとしても危険な状態であることが予想されます。在庫圧縮や売掛金回収サイト短縮、買掛金支払延期などを検討する必要があるかもしれません。

「直接法」と「間接法」について

営業活動によるキャッシュフローには、「直接法」と「間接法」という2種類の記載方法があります。「直接法」とは、営業活動に関してキャッシュフローを総額で記載する方法です。仕入の費用や経費の支払い、給与の支払いなど主要な取引を総額ごとに記載するので、お金の詳細な流れを把握できます。

一方、「間接法」とは、お金の動きに関する部分だけを計算する方法です。損益計算書をベースとして作成することが可能です。(両者についてさらに詳しく後述します)会社の経営実態を詳細に数字化できるのは直接法ですが、手間と時間がかかるため、「間接法」を利用している企業の法が多い傾向にあります。

②投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローとは、設備投資や事業への投資など、投資活動による現金の流れを示す項目です。それには固定資産や株、債券などの取得や売却したときの流れも含まれます。つまり、企業が使ったお金の流れ、特に将来のためにどのくらいのお金を使用したのかが分かります。

営業活動をするためには、どうしても固定資産への投資が欠かせません。そのため、設備投資が行える優良企業や成長企業などは、固定資産などを購入しているためマイナスになっていることがよくあります。一方、プラスになっている場合は、保有する土地や建物、株式などの固定資産を売却して、資金を得ていることが分かります。

③財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローとは、会社が資金不足に陥ったときの資金調達方法や借りたお金の返済方法などを示している項目です。つまり、借りたお金や返したお金を表しています。

これには銀行からの借り入れや返済、株式の発行などが含まれています。営業キャッシュフローがプラスで、株主への配当金支払いや借入金の返済などしていると財務活動によるキャッシュフローはマイナスになります。

一方、借入金や社債で資金調達をしている場合は、融資や出資を受けていることになるのでプラスになります。

「フリーキャッシュフロー」とは?

フリーキャッシュフローとは、営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計額で、会社が自由に使える現金のことです。自由に使える資金があればあるほど、経営状態が好調であるといえます。

それとは反対に、フリーキャッシュフローがゼロやマイナスの状態であれば、資金が不足しており、資金調達が必要であることの証拠です。経営状態を改善させるために、営業活動によるキャッシュフローを増やしたり、投資活動によるキャッシュフローのマイナスを小さくするなどの処置が必要です。

キャッシュフロー計算書と貸借対照表の関係

貸借対照表は、事業年度の期首にどのくらい現金の蓄えがあるかを把握したり、年度末にどのくらい現金が残ったかを把握することができます。しかし、事業年度期間中の現金の流れを把握することはできません。そこで、期首の現金と年度末の現金の流れを把握するために「キャッシュフロー計算書」が必要となります。

損益計算書では、売上や仕入、一般経費などを使って、会社の利益を計算する書類ですが、数字は表記されません。実際にお金を受け渡した時点ではなく、商品やサービスなどを引き渡した時点で収益や費用を計上する「発生主義」という考えに基づいて利益を計算していきます。

それとは反対に、キャッシュフロー計算書は、「お金だけ」を対象として作成される「現金主義」という考えに基づいて作成される書類です。つまり、両者は関連する部分のない全く異なる書類となっています。しかし、キャッシュフロー計算書のおかげで、「黒字倒産」を予測することができます。(黒字倒産については後述します)

「発生主義」と「現金主義」について

損益の計算には、「発生主義」という原則があります。発生主義とは、すべての費用や利益など取引が発生したら仕分けをする、という決まりです。これに反する考えが、すでにみたように「現金主義」です。では、具体的な例で考えてみましょう。

例:4月1日に商品を1万円で販売し、5月1日に普通預金に1万円が振り込まれた場合

発生主義に基づく処理の場合

日付 借方 貸方
4/1 売掛金 10,000円 売上高 10,000円
5/1 普通預金 10,000円 売掛金 10,000円

損益計算上では、4月に10,000円の収益があったと計上されます。

現金主義に基づく処理の場合

日付 借方 貸方
4/1 仕訳なし
5/1 普通預金 10,000円 売上高 10,000円

損益計算上では、5月に10,000円の収益があったと計上されます。

このように損益計算書は、一定期間(事業年度)の経営成績を報告する「期間損益」という考え方で作成されます。発生主義に基づく処理と現金主義に基づく処理を比較するなら、10,000円のズレが生じていることが分かります。

このような期間損益のズレをなくすために、損益計算は、発生主義で処理することが原則とされています。

損益と収支がズレてしまう代表的なケースについて

キャッシュフロー計算書を作成していると、発生主義と現金主義の考え方の据え違い以外にも、損益と収支を補正する必要が生じることがあります。例えば、代表的なケースとして次のようなものがあります。

ケース1:現金を支出していないのに費用として計上することができる場合
現金を支出していないのに、「減価償却費」や「引当金」などの項目を使用すれば、費用として計上することができます。

このようなケースの場合、購入した固定資産を費用化するために減価償却という方法をとり、減価償却費として処理します。この減価償却費は、現実に費用を支出していないので、期間損益と収支の補正をしなければいけません。賞与や退職金などの引当金も同様です。

ケース2:現金を支出しても費用にならない場合
現金を支出しているのに費用とならないケースには、建物や車両などの固定資産を購入したときに発生します。このようなケースの場合、現金や預金などで実際にお金は支出されますが、損益計算上では、固定資産の購入は費用として計上することができないので、補正が必要となります。

ケース3:現金の増減があっても損益に影響がない場合
現金の増減があっても損益にならないケースには、運転資金や金融機関などの借入金で賄うときなどが当てはまります。この場合、現金が増加していますが、借入金は収益ではないので損益計算には計上されません。このようなケースの場合も、キャッシュフロー計算書では、補正することができます。

「キャッシュフロー」が重要と言われている理由

キャッシュフロー、つまり、「お金の流れ」を知ることは、なぜ重要と言われているのでしょうか?特に起業したばかりの会社は、キャッシュフローが何よりも重要なものとされています。

それは、キャッシュフローをみることで、企業の資金状態を判断することができるからです。つまり、キャッシュフローに注目することで、「黒字倒産」の危険性を予測することができるのです。

黒字倒産とは?

では、「黒字倒産」とは、どのようなものでしょうか?会計上の利益と、手元にある現金は、同じではありません。商品やサービスを売り上げても、取引先や顧客から資金を回収するまでには時間がかかるため、タイムラグが発生します。

また、商品やサービスで利益を生み出す前に、仕入れなど支払いが先になることもあります。そのため、損益計算上では利益が生み出されているように見えても、資金回収や支払いのタイミングによっては赤字になっていることがあります。

結局、手元の現金を増やすことができなければ、借入金の返済や仕入れ代金などの支払いなどを行うことができずに、資金繰りの悪化につながります。そして、最悪の場合は、「黒字倒産」へと追い込まれてしまうのです。

このようなケースに陥る危険性がないかどうか、企業の経営状態を判断するためには、「キャッシュフロー計算書」を作成し、現金の流れを把握することが重要です。

キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違い

「資金繰り表」も会社の現金の流れを把握できる書類のひとつです。では、キャッシュフロー計算書と資金繰り表には、どのような違いがあるのでしょうか?キャッシュフロー計算書は、現金の流れを可視化した書類で、過去の現金の流れを表しています。決算書を構成している書類のひとつなので、外部に開示する必要があります。

一方、資金繰り表は、将来の資金繰りを予測することを目的として作成する書類です。会計年度に関わりなく、自由な期間を設定して作成することが可能です。作成は義務付けられているものではなく、あくまでも任意となっています。外部に開示する必要のない、企業内部の資料となっています。

このようにキャッシュフロー計算書は「過去の実績の報告が記されている書類」で、資金繰り表は「会社の未来に向けた書類」という大きな違いがあります。両者の役割は異なりますが、どちらの書類も会社の健全な運営に欠かすことができません。

この2つの異なる書類を組み合わせると、次のような相乗効果が得られます。

効果1:キャッシュフロー計算書が、単に財務状態を分析する書類ではなく、資金繰り表の予測とキャッシュフロー計算書の過去の実績を比較することで、将来のキャッシュフローを理想的なものへと設計することができるようになる。

効果2:資金繰り表は、単に将来を予測する書類ではなく、キャッシュフロー計算書の過去の実績と資金繰り表の予測を比較と分析をすることで、より精度の高い予測をすることにつながる。

つまり、キャッシュフロー計算書と資金繰り表を比較して、分析するなら、修正点や今後の経営戦略などが見えてきます。会社を運営していく上で、絶対に必要なものは「資金」、つまり、「現金」です。是非、両方の書類を上手に活用していくようにしましょう。

キャッシュフロー計算書の読み方について

すでに上記でみたように、キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに区分されています。

キャッシュフロー計算書のすべての項目がプラスになっていれば、経営状態が順調というわけではありません。3つのキャッシュフロー計算書の理想的な状態は、営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスの状態が最も理想的です。

なぜなら、事業が好調なので手持ちの現金が増え、将来に向けて投資をし、借入金などの返済をすることができているからです。ですから、キャッシュフロー計算書を読む際には、次の3つの点に注目して、経営状況を見極めましょう。

1、営業活動によるキャッシュフローがプラスになっているか?
本業の状態を把握しましょう。当期純利益がプラスだとしても、この項目にマイナスが続いていると「黒字倒産」になる危険性があるので、リスクの有無を見極めましょう。

2、将来に向け事業を成長させるための投資活動によるキャッシュフローがあるか?
将来の利益、つまり儲けにつながる設備投資などに積極的かどうかを判断しましょう。成長する見込みがあるかどうかを見極めましょう。

3、営業活動によるキャッシュフローの額が、投資キャッシュフローの額よりも大きいか?
事業で得た利益よりも投資額が大きいなら、財務に余裕があると判断できるでしょう。

キャッシュフロー計算書の作成方法について

では、キャッシュフロー計算書は、どのように作成することができるのでしょうか?営業活動によるキャッシュフローは、多くの企業が採用している「間接法」での作成方法を解説していきます。

ステップ1:キャッシュフロー計算書の作成に必要なものを準備する。

キャッシュフロー計算書は、他の決算書類を使って作成していきます。そのため、「貸借対照表(前期・当期)」と「損益計算書(当期)」は、必要最低限となります。また、もし該当する取引があるなら、固定資産の取得や譲渡に関する資料、有価証券の取得など取引に関する資料、新株の発行に関する資料なども用意する必要があります。

ステップ2:項目別に分類する。

キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書から該当する項目を抜き出し、加減をして作成していきます。税引前当期純利益は、損益計算書から金額を転記していきます。あとは項目ごとに、貸借対照表と損益計算書から必要な金額を記載します。それぞれのキャッシュフロー計算書で、プラスマイナスをする項目は、次のようになっています。

・営業活動によるキャッシュフローの場合
間接法では、損益計算書で算出した「税引前当期純利益」から項目をマイナスして、キャッシュフローを計算していきます。

プラス項目には、「減価償却費」「貸倒引当金の増加額」「棚卸資産の減少額」「売上債権の減少額」「仕入債務の増加額」「利子利息の支払額」が挙げられます。マイナス項目には、「貸倒引当の減少額」「棚卸資産の増加額」「仕入債務(買掛金・支払手形)の減少額」「利子利息の受取額」「法人税等の支払額」が挙げられます。

・投資活動によるキャッシュフローの場合
投資活動によるキャッシュフローのプラス項目には、「固定資産の減少額」「有価証券の減少額」「固定資産の売却損」「有価証券の売却損」などが挙げられます。マイナス項目には、「固定資産の増加額」「有価証券の増加額」「固定資産の売却益」「有価証券の売却益」などが挙げられます。

・財務活動によるキャッシュフローの場合
財務活動によるキャッシュフローのプラス項目には、「短期借入の増加額」「長期借入の増加額」「株式発行の収入」「利子利息の受取額」があります。マイナス項目には、「短期借入金の返済支出」「長期借入金の返済支出」「自社株式の購入」「配当金の支払額」「利子利息の支払額」が挙げられます。

ステップ3:キャッシュフロー計算書のフォーマットに記載していく。

各構成要素の計算をし、フォーマットに金額を入力し、完成です。

営業活動によるキャッシュフローの「直接法」と「間接法」の違いとそのメリットとデメリット

上記でも少し触れましたが、営業活動によるキャッシュフロー計算書には、「直接法」と「間接法」の2種類が存在しています。間接法は、現金の動きだけを計算する方法です。

そのため、損益計算書の情報をベースに、簡単に作成することが可能です。税引前当期純利益の金額から、各費用や収益を増減して記載するだけです。

それに対して直接法の場合は、主要な取引ごとの総額を記載する必要があります。そのため、現金の流れの詳細を細かく把握することができます

。間接法と比較するととても分かりやすいですが、資料集めにかなりの時間がかかるため、多くの手間や時間を必要とします。売上金額から仕入、給与支払いなどにかかった経費などを増減するという流れで作成していきます。

いずれにしても、直接法でも間接法でも、どちらを採用しても、営業活動によるキャッシュフローの金額は同じになります。ただし、直接法は必要とされる資料が多いので、取引が多ければ多いほど労力と時間が必要となります。そのため、多くの企業では、間接法を採用したキャッシュフロー計算書を作成するところがほとんどです。

しかし、直接法の方が、会社の現金の流れをしっかり把握することができます。そのため、社内資料として、直接法を採用している会社も中にはあります。社内資料としての作成であれば、決算書類のひとつとして提出する資料とは別のものになるので、数円の誤差があっても特に問題はありません。

そのため、決算書類の提出用としては間接法でキャッシュフロー計算書を作成し、それとは別に、社内資料として直接法でキャッシュフロー計算書を作成している会社もあります。

キャッシュフロー計算書の活用方法

キャッシュフロー計算書は、会社の経営者はもちろん、投資が投資をするかどうか、銀行が融資をするかどうか、など公に開示できる書類なので、多くの場面で活用されます。

【経営者の場合】
キャッシュフロー計算書は、現金にスポットを充てた事実のみを知ることができる書類です。そのため、企業が営業活動でどのように資金を獲得し、どれくらいの額を投資活動に振り分けたか、が分かります。また、株主への配当や運用したお金の流れも知ることができます。

事実のみが記載されているので、自社業績を把握することはもちろん、同業他社などと業績を比較することも可能です。さらに買収や提携を検討しているときには、設備投資などの経理戦略をアピールする際にも役立ちます。

【融資を受ける場合】
キャッシュフロー計算書をみると、会社に返済能力があるかどうかを判断することができます。そのため、銀行などで融資を受ける際、キャッシュフロー計算書を提出するよう求められることがあります。

キャッシュフローを把握するメリット

先述したように、上場企業には「キャッシュフロー計算書」の作成が義務付けられています。その目的のひとつは、投資家が情報を得られるようにするためです。

しかし、上場企業以外の企業もも「キャッシュフロー計算書」を作成するなら、メリットが得られます。企業の規模や法人、個人など会社形態を問わず、キャッシュフローを把握するなら、経営に生かせるのです。

そして、キャッシュフロー計算書をもとに、将来の資金計画を立てることができます。つまり、「キャッシュフロー経営」が可能となります。

キャッシュフロー経営とは?

キャッシュフロー経営とは、現金を重視した経営のことで、手元の現金を増やすことを目的としています。つまり、現金の回収が会計の基準となります。よって、資金の動きが把握できます。キャッシュフロー経営では、主に以下の2つのメリットが得られます。

メリット①手元の現金を増やせる
キャッシュフローを把握することで、現金化する対策を早い段階でとることができます。そのため、手許現金を増やし、資金繰りを効率よく行うことができます。

メリット②資金ショートを予防できる
キャッシュフローを把握していれば、手許の現金が不足する資金ショートの防止につながります。資金繰りを予測することで、防止が可能となります。

このようにキャッシュフロー経営は、現金を増やすことを目的とした経営方法となっています。会社の現金をしっかり増やすことができれば、経営も安定していると言えるでしょう。

まとめ

キャッシュフロー計算書は、上場企業の場合は財務3表のひとつとして作成することが義務付けられています。キャッシュフロー計算書に初めて触れる方にとっては、必要とされる知識が多いため、難しく感じるかもしれません。

しかし、マスターしてしまえば、自社はもちろん、他社の経営状況を把握することもできるようになります。もし経理担当者でキャッシュフロー計算書の作成が負担になっているようなら、税理士や会計士などのプロに作成を依頼することもひとつの方法です。

ただし、経理担当者はもちろん、経営者も企業の経営状態を見極めるためにキャッシュフロー計算書について理解しておくことはとても大切です。営業、投資、財務のそれぞれの書類が示す数値や意味を理解し、健全な会社運営や戦略として活用していきましょう。


税理士コンシェルジュコラム

  • 税理士とは

    税理士にこれから相談をお考えの方のために、税理士という士業を知るための基本的な知識を解説しています。相談する時の注意点や相談料が分かります。

    続きを見る
  • 税理士を探す

    税理士をつけようと思った方のために、税理士を探す時に税理士選びで失敗しないためのポイントや、上手な付き合い方を解説しています。

    続きを見る
  • 税理士の報酬

    税理士の報酬について詳しく知りたい方のために、税理士の料金が決まる仕組みや相場を解説しています。費用の仕組みを把握することで、値下げの交渉や依頼業務の整理ができるようになります。

    続きを見る
  • 税理士の変更

    税理士の紹介や変更をお考えの方のために、税理士への不満や苦情の解決方法を解説しています。スムーズに紹介を受ける方法や変更をすることで無駄な時間とストレスを最小限に抑えることができます。

    続きを見る
コラム記事一覧を読む

新着・税理士無料相談

税理士相談の一覧を見る

新着・口コミ

    税理士口コミ検索

    税理士無料相談室

    親身になってくれる税理士に
    無料で相談できます。

    新規登録(無料)する 過去の相談一覧

    口コミを投稿する

    税理士を探している方の参考になる
    口コミをお寄せください。

    口コミを投稿する

    税理士の方へ

    サイトへの掲載・案件のご紹介に関しては、
    お気軽に問い合わせください。

    税理士の方へ

    厳選税理士紹介

    面談済み税理士1000名の中から、
    あなたにピッタリの厳選税理士を
    無料でご紹介するサービス

    税理士紹介サービスはこちら