領収書の再発行は可能?紛失したときの対処方法と再発行の注意点!
領収書は、経費を精算する際の証明となる重要な書類のひとつです。しかし、領収書を紛失してしまった・・という経験をしたことがある方も少なくないことでしょう。また立場が逆となり、領収書の再発行を依頼されることもあります。今回は、領収書の再発行を依頼する側と発行する側の両方の観点から、どのように対処できるかについて解説していきます。
目次
領収書を発行する理由とは?
領収書は何のために発行しているのでしょうか?そもそも領収書とは、商品やサービスにお金を支払ったなど金銭の受領の証明をする書類です。金銭を受けた側が領収書を発行することで、金銭の受渡の事実を明らかにすることができます。
また、領収書は、経費を精算するために欠かせない書類ほひとつです。印紙税法上において、領収書は金銭もしくは有価証券の受取書に該当しています。なお、領収書と記載されている「お買上伝票」や「納品書」なども領収書として扱われます。
領収書に印紙が必要となるのはなぜ?
領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書、領収書」に該当します。つまり、領収書は課税の対象となっています。しかし、すべての領収書が課税対象となっているのではありません。領収書に記載されている金額が5万円以上の場合は、定められている収入印紙を貼り付けて、消印する必要があります。
領収書が必要となる場面とは?
領収書は、経費精算や確定申告の際に必要となります。例えば、出張時の交通費や接待時の会食費や喫茶代などを経費として処理するときに、それを証明する領収書が必要となります。一方、商品やサービスを提供しお金を受け取った側は、お金を確実に受け取ったことを証明するために領収書を発行します。
このように領収書は、発行する側と受け取る側の双方にとって、取引を行った事実を証明する大事な書類となります。したがって、領収書は、一定期間大切に保管しておく必要があります。
領収書のルール
領収書は、お金の取引を証明する重要な書類である以上、様々な規則が設けられています。その中でも領収書の基礎とも言えるルールには、次のようなものが挙げられます。
・発行義務
民法上では、支払者から領収書の発行を求められたら、それに応じることが義務付けられています。お金を受領したタイミングで、領収書を渡すことが原則となっています。
・保存義務
税法上では、相手から受領した領収書は、原則7年間保存することが義務付けられています。なぜなら、領収書は支出を裏付ける「証憑書類」として扱われているからです。
・再発行の義務はない
領収書の発行は義務付けられていますが、再発行は義務付けられていません。したがって、再発行は発行元の判断に委ねられています。
では、領収書を紛失してしまった場合、どうすればよいのでしょうか?対処方法についてみていきましょう。
領収書を紛失した場合の対処法とは?
領収書を紛失してしまうと、支払いを証明することができません。そのため、経費として精算することができなくなります。たとえ社内では経費で処理することができたとしても、税務調査では経費と認められることはありません。しかし、実際に支払ったことが事実である場合、どのように対処できるでしょうか?4つの対処法をみていきましょう。
対処法その1:領収書の再発行を依頼してみる
領収書を紛失してしまった場合は、まず再発行を依頼してみましょう。例えば、新幹線代や飛行機代などの高額な交通費は、利用日の半年から1年以内であれば、インターネット上で領収書の再発行手続きをすることができます。しかし、すべての支払先が領収書の再発行に応じてくれるわけではありません。なぜなら、上記でみたように、発行側には再発行する義務はないからです。
もちろん、再発行に快く応じてくれる支払先もありますが、その一方で再発行にネガティブな対応をする支払先もあります。それは再発行を依頼する理由がはっきり分からないからです。つまり、再発行の依頼が紛失によるものなのか、それとも、経費の水増し計上を目的としているのか、区別することができないからです。もし後者の場合、税務署から脱税を加担したと誤解を受ける危険性もあるため、領収書の再発行に応じない支払先もあるのです。
対処法その2:出金伝票に記録する
領収書の再発行を断られてしまった場合は、出金伝票を発行しましょう。出金伝票には、支払先、日付、内容、支払金額の4項目を記録します。この4項目を記録しておけば、領収書の代用として認められる可能性があります。
・支払先
支払先の社名や屋号を記録します。
・日付
支払った日を記録します。
・内容
領収書の但し書きに相当する内容を記録します。具体的にはサービス内容や購入した商品やサービス名などを記載します。
・支払金額
税込金額を記録します。
これら4つの項目を記録した出金伝票を発行しても、必ずしも経費として認められるという保証はありません。なぜなら、税務署には支払先に対して、支払いの事実を確認する「反面調査」の権限があるからです。反面調査とは、領収書がない場合にその支払い先に対して書面などで支払いの事実を問い合わせて確認する調査のことです。支払いの事実が確認できれば経費として認められるので、支払いの事実が確認できるよう記録することが大切です。
対処法その3:レシートで代用する
レシートで領収書の代用とできることもあります。レシートに発行者、発行日時、取引内容、金額、受取人が明記されているなら、領収書の代用として有効力を発揮します。
対処法その4:領収書なしで支払いを証明してみる
領収書には保存義務がありますが、それは領収書を受領した場合に適用されます。つまり、領収書が発行されなければ、保存義務も生じないということです。したがって、領収書なしでも支払いを証明できるなら、その方法を採用することができるでしょう。
例えば、支払い方法を銀行振り込みにするなら、通帳に取引履歴が記録されるので支払いの事実の証拠となります。また、クレジットカードで支払いをするなら、支払履歴が記録され、銀行口座にもその内容が残ります。受領する領収書が増えないよう銀行口座やクレジットカードを上手に活用することで、領収書の紛失を防ぐことにつながるでしょう。
領収書の再発行を依頼された場合の対処法とは?
領収書は重要書類のひとつなので、再発行を依頼されることもあります。しかし、再発行を依頼する本当の目的を確かめることは不可能です。もし経費を水まわしするために再発行を依頼する場合は、脱税に加担してしまうことになります。では、領収書の再発行を依頼された場合は、どのように対処すればよいのでしょうか?
対処法その1:再発行を断る
領収書は、受領した側に保存義務があるため、発行した側は再発行を断ることができます。拒否する際には、領収書を渡すときに「再発行はしない」旨を事前に伝えておくようにしましょう。また、領収書の空欄に「領収書の再発行をしない」旨を記載しておくこともできます。このように事前に周知しておくなら、領収書の再発行を依頼されても断りやすくなります。
対処法その2:領収書以外の書式で支払証明書を発行する
領収書を発行している相手は、お金を支払っているわけですから、再発行を断れないというケースもあります。どうしても断れない場合は、経費の水増しに加担するつもりはないこと含め、領収書以外の書式で支払証明書を発行することができます。その場合は、支払先、日付、但し書き、支払金額(税込)の4項目を記載することで、領収書と同じような効力を持つことになります。
対処法その3:やむを得ない場合は「再発行」を記載する
領収書を発行した相手が紛失した理由や経緯などが、明確に理解できるケースもあります。そのようなやむを得ない場合は、領収書のタイトルの横に「再発行」もしくは「再」などと記載して、再発行することができるでしょう。また、万が一のトラブルに備えて、再発行したことは特別な対応であることを伝えることもできるでしょう。
領収書がないと各種申請はどうなる?
領収書なしで法人税や消費税などの申告をし、それが後に行われる税務調査で判明すると、経費の支出が認められなくなることがあります。その結果、法人税や消費税などが追加で課税されることがあります。領収書がないとすべて経費として認められないというわけではありませんが、支出を裏付ける証拠となるものがない場合は、支出を否認される可能性があります。特に金額が多額の場合はそう言えるでしょう。
もし経費として認められずに法人税や消費税が追加で発生した場合は、過少申告加算税などがペナルティとして課されることもあります。
まとめ
領収書は、経費の精算や税金などに係る重要な書類のひとつです。ですから、領収書を受領したら、紛失しないよう大切に保管することは基本です。しかし、どんなに注意していても紛失してしまうことは、誰にでも生じうることです。そのような場合は、再発行を依頼したり、出金伝票を発行したりなど支出の記録を残しておく必要があります。
また、領収書を発行する側は、領収書の再発行は、原則、断ることができます。生じるかもしれないトラブルに備えて、再発行をはっきり断ることも大切です。もちろん、相手の状況も加味しながら、再発行の有無を判断できるでしょう。
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