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消費税中間納付とは?対象者・納付方法・コロナによる申告延長まで徹底解説

2020年7月3日
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一定要件を満たし、消費税の課税事業者なった場合は、消費税の中間申告と中間納付が義務付けられています。消費税中間申告・納付に対象となる企業の条件や目的とは何なのでしょうか?この記事では、消費税中間納付について徹底解説していきます。

消費税の仕組み

消費税は納付額が大きくなる可能性のある税金です。そのため、一度に1年分の消費税を支払うことが大変な事業者のために、消費税の「中間納付制度」が設けられています。この制度は事業者側にメリットがあるように見えますが、国の財政側にとっても、少しづつ入金があるためメリットとなっています。消費税の中間納付をするためには、まず消費税の仕組みについて理解することが大変です。

消費税は、私たちの身近な税金でありながら、その仕組みについてしっかり理解している方は少ないではないでしょうか?消費税とはひと言でまとめるなら、「消費者が行う消費活動」にかかる税金のことです。お店で買い物をすると、消費税がかかります。しかし、この消費税は消費者が税務署に納めるのではなく、お店、つまり、消費者の手元に商品がわたるまでに関わっている企業が納めています。

例えば、あるお店で120円の商品を購入した場合、消費税が10%の12円かかり、合計132円支払うことになります。では、この商品はどのような過程で消費者の手元に届くのでしょうか?

過程①
まずメーカーが80円の原価をかけて商品を製造。そこに消費税10%を課して、卸売で88円で販売。つまり、8円分の消費税を徴収し、税務署に納める。

過程②
続いて、卸売は88円(消費税込)で仕入れた商品を、小売に100円で販売し、それに消費税10%を課して、消費税込110円消費税込で販売。
卸売は、小売から徴収した10円と、メーカーに支払った8円の消費税の差額2円を税務署に納める。

過程③
そして、小売は卸売から110円で仕入れた商品を120円で販売し、そこに消費税10%を課して、消費税込132円で消費者に販売。

過程④
最後、消費者が、消費税込132円で商品を購入します。

商品が消費者の手元に届くまでの流れをみると、2つの注目点があります。それは、

1、消費税は商品の販売先から徴収し、商品の仕入先が税務署に納める必要があること
2、ビジネス取引では、利益を上げることが目的なので、仕入金額よりも高い金額で販売すること

の2点が、すべての取引の共通点となっています。

つまり、消費税は「その事業主が受け取った消費税から、支払った消費税を引いた額」を納付することで、儲けた分の金額の消費税を納めていることになるのです。これが消費税の基本的な仕組みとなります。

消費税中間申告・中間納付とは?

消費税の中間申告・中間納付とは、前述したように消費税の「中間納付制度」のことです。つまり、消費税の分割・前払い制度とも言えるでしょう。消費税は原則、課税期間は1年とされています。しかし、一定の消費税額を超えた場合、企業によっては、消費税を全額一括で納付することで、経営状況に大きな負担となる可能性があります。

そこで、何度かに分けて消費税を納付することで、一度に納付することの負担を軽減しすることを目的として設けられたのが中間納付制度です。しかし、中間納付制度は、すべての事業者が利用できるものではありません。中間納付制度の適用対象となる企業、申告・納付の回数、期限などには条件などがあります。では、詳しくみていきましょう。

対象企業

消費税の中間申告・納付は、前事業年度の消費税の年税額が48万円(国税のみ)を超えた事業者のみが対象となります。つまり、直前に確定した消費税が48万円以下の事業者は、中間納付は必要ありません。

また、消費税は国税と地方税を一括して納付しますが、中間納付はあくまでも「国税」のみが該当しており、地方税は含まれませんので注意してください。

申告・納付できる回数

消費税の中間申告・納付は、前事業年度の消費税の年税額によって回数が異なります。また、国税が48万円以下の事業所に関しては、中間申告・納付の対象外となるため、消費税額は一括納付する必要があります。

ただし、自主的に中間申告書を提出することが可能な「任意の中間申告制度」が設けられています。この制度は年に1回のみで、複数回適用することはできません。

前事業年度の消費税の年税額とそれに応じた申告回数は、次のようになっています。

・国税48万円以下(地方税を含む60.95万円以下)の場合
申告回数:0回

・国税48万円超~400万円以下(地方税を含む60.95万円超~507.93万円以下)の場合
申告回数:年1回

・国税400万円超~4,800万円以下(地方税を含む507.93円超~6,095.23万円以下)の場合
申告回数:年3回

・国税4,800万円超(地方税を含む6,095.23万円超)の場合
申告回数:年11回

納付期間

消費税の中間申告には、それぞれの買いに納付期限が設けられています。納付期限は原則、各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日~2ヵ月以内となっています。

では、3月31日が事業年度の締日(課税期間は4月1日~翌年3月31日)の場合の、課税期間と納付期間をみてみましょう。

・中間申告が年1回の場合
4月1日から始まる事業年度を6ヶ月で区切ると、前期の課税期間末日は9月30日になります。したがって、納付期間は10月1日~11月30日までになります。

・中間申告が年3回の場合
年に3回、中間申告をする場合は、事業年度を3ヶ月ごとに区分して、納付期間を計算します。
1回目の課税期間末日は6月30日:納付期間は7月1日~8月31日
2回目の課税期間末日は9月30日:納付期間は10月1日~11月30日
3回目の課税期間末日は12月31日:納付期間は1月1日~2月28日

・中間申告が年11回の場合
中間申告が年11回の場合は、毎月申告と納付をする必要があります。納付期間は、課税期間開始後の1ヶ月分を、課税期間末日の翌日~2ヶ月以内が納付期間となっています。しかし、4月と5月は確定申告の手続き期間と同時期になるため、4月分の納付は、5月分と同じ6月1日~7月31日までが納付期間になります。

消費税中間納付税額の算出方法

消費税中間納付税額の算出方法には、「予定申告式」と「仮決算方式」の2つの方式があります。納税者が自社に合った方法を自由に選択することができます。どちらの方法を選んだとしても、書類の提出はありません。また、中間納付税額は、消費税のみでなく、地方消費税も含まれます。

算出方法①予定申告方式

予定申告方式とは、前年納付した消費税額をベースとし、月割計算をして中間納付額を算定する方式です。納税時期になると、税務署から中間納付税額が記載された納付書が送付されます。納税者は、送付された納付書のみを利用して納付します。つまり、申告書などを作成する必要はありません。

算出方法②仮決算方式

仮決算方式とは、前年納付した消費税額は関係なく、中間申告の対象期間を対象を1事業年度とみなし、仮決算を行って中間納付税額を算定する方式です。仮決算方式は仮決算を行い、本決算と同じように「消費税及び地方諸費税の確定申告書」を作成し、納付する消費税額を計算する必要があるので、予定申告方式と比較すると、時間や手間がかかることがデメリットになります。

また、仮決算方式で計算した税額が、仮にマイナスとなったとしても、税金の還付は受けられないことも挙げられます。しかし、納税額に関しては、予定申告方式よりも納税額を抑えることができるので節税につながることや、仮決算で中間申告を行うことで資金繰りを調整できる可能性があるなどのメリットがあります。

「任意の中間申告制度」を利用する場合

消費税の中間申告義務のない国税48万円以下の事業所が、自主的に「任意の中間申告制度」を利用する場合は、仮決算を行って計算した消費税及び地方消費税額を中間申告・納付することができます。納付額は、直前の課税期間の確定消費税額の2分の1の額が、中間納付税額となります。なお、申告書の提出は、郵送に加えて、電子申告(e-tax)でも受け付けています。

消費税中間納付の納付期限と納付方法

消費税などの国税は、ご自身で申告した税額を、ご自身で納付期限までに納付する必要があります。消費税額の中間納付は、ダイレクト納付、インターネットバンキング等の納付、クレジットカード納付、コンビニ納付、振替納税、窓口納税などさまざまな方法が用意されています。

自社にあったものを選び、納付手続きをすることができます。なお、申告書を提出した後、税務署から納付書の送付や納税通知などが送付されることはありません。では、納付方法について詳しくみていきましょう。

【ダイレクト納付】
ダイレクト納付とは、電子申告「e-tax」を利用した納付方法です。預貯金口座から振替による納付をします。ダイレクト納付を利用する場合は、納付手続きに「e-taxの開始届出書」と「ダイレクト納付利用届出書」の提出が必要となります。

この納付方法は、すでにe-tax申告等をされている方、源泉徴収義務者として源泉徴収税を定期的に納めている方、日付と指定して納付したい方などに特におすすめです。

【インターネットバンキング】
インターネットバンキングとは、インターネットバンキング等を利用した納付方法です。インターネットバンキング等を利用する場合は、納付手続きとして「e-taxの開始届出書」を提出することに加え、インターネットバンキングもしくはモバイルバンキングを契約する必要があります。

この納付方法は、すでにe-tax申告等をされている方、インターネットバンキングやモバイルバンキングを利用されている方などに特におすすめです。

【クレジットカード納付】
クレジットカード納付とは、「国税クレジットカードお支払サイト」を運営している民間の納付受託者に納付を委託する納付方法です。クレジットカード納付を利用する場合は、クレジットカードが必要となることはもちろん、決済手数料が発生します。

この納付方法は、インターネットを接続できる電子機器を持っている方や、クレジットカードを利用している方などに特におすすめです。

【コンビニ納付(QRコード)】
QRコードを利用したコンビニ納付は、コンビニエンスストアの窓口で納付する方法です。コンビニ納付用QRコードが必要となります。この方法は、金融機関や税務署などが遠方にある方や、インターネットに接続できる電子機器を持っている方などに特におすすめです。

【コンビニ納付(バーコード)】
バーコードと利用したコンビニ納付は、コンビニエンスストアの窓口で納付する方法です。バーコード付納付書が必要となります。この方法は、金融機関や税務署などが遠方にある方や、インターネットに接続できる電子機器を持っている方などに特におすすめです。

【振替納税】
振替納税とは、指定した預貯金口座から振替で納付する方法です。振替納税を利用する場合は、「振替依頼書」を提出する必要があります。この方法は、申告所得税など毎年確定申告書を提出する必要のある方などに特におすすめです。

【窓口納付】
窓口納付とは、銀行などの金融機関もしくは管轄地区の税務署の窓口で直接納付する方法です。窓口納付を利用する場合は、納付書が必要となります。上記の手続きで納付ができない方は、窓口納付を利用することができるでしょう。

消費税中間納付税額の経営処理方法

中間納付税額の経理処理には、「税抜処理」と「税込処理」の2種類あり、導入している会計システムがどちらの処理方法を設定しているかによって変わってきます。つまり、中間納付税額を税抜で処理しているか、それとも税込で処理しているかによって勘定科目が異なるということです。

税抜処理を設定している場合は「仮払金」、もしくは「仮払消費税等」という勘定科目で経理処理します。一方、税込処理を設定している場合は「租税公課」という勘定科目で経理処理をします。

消費税の中間申告・納付をしなかった場合は?

消費税の中間申告書を提出しなかったり、決められている期限内に消費税額を納付しなかったりした場合は、ペナルティが課せられるので注意が必要です。

消費税の中間申告書を提出しなかった場合

「消費税及び地方諸費税の確定申告書」を提出しなかった場合は、予定申告方式での申告書の提出があったとして扱われます。したがって、全課税期間の消費税の年税額が基準とされ、納付すべき消費税額が決定します。消費税の申告書を提出しなくてもペナルティが課せられることはありませんが、提出期限を過ぎると提出することはできず、仮決算方式での申告は不可能となります。

消費税の納付を期限内にしなかった場合

消費税を期限内に納付しなかった場合、実際に納付した日までの延滞税がペナルティとして科せられます。延滞税は、国税・地方税の合算にかかるものです。納付期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは年7.3%、2ヶ月を超えると年14.6%の利率が加算されることが原則となっています。

新型コロナウイルス感染症の影響による消費税中間申告期限の延長

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、消費税の中間申告が難しい場合は、個別に中間申告期限の延長が認められています。中間申告期限を延長したい場合は、中間申告書を提出できる時点で、中間申告書を提出するときに、申告書の余白部分に「新型コロナウイルス感染症の影響により提出期限の延長申請」の旨を記載して提出します。それにより、提出期限の延長が認められます。

また、中間申告書を提出することが困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合は、その期間中の中間申告書の提出は不要とされています。

参照:国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」

まとめ

消費税中間申告は、前年度の消費税の年税額(地方消費税を含まない)が48万円を超えている事業所が対象となっています。消費税の中間納付は、全事業年度の確定消費税額から、中間納付の必要の有無や回数、期限などを把握することが可能です。

資金繰りにも大きな影響を与えますので、経営者は中間申告・納付の制度についてしっかり理解しておくようにしましょう。また、新型コロナウイルス感染症の影響で納税が難しい場合は、申告書の提出期限の延長申請を提出するようにしましょう。


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