追徴課税とは?加算税の種類から計算方法・納税手続きまで徹底解説 | 税理士コンシェルジュ

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追徴課税とは?加算税の種類から計算方法・納税手続きまで徹底解説

2020年9月6日
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「追徴課税」とは何でしょうか?それは確定申告を期限内に行わなかったり、正しい税額を納付しなかった・・などのときに発生する徴収です。その際、追徴課税に加えて、加算税などのペナルティが加算されることもあります。

この記事では、追徴課税がどのようなときに課税されるのか、加算税にはどのような種類があるのか、計算方法など追徴課税について徹底解説していきます。

追徴課税とは?

追徴課税とは、申告した税額が少なかったときや、申告書の提出が遅れたとき、無申告が発覚したときなどに、新たに納める税金のことです。納税者が自ら行う「修正申告」や「期限後申告」、税務署から受ける「更正処分」とも呼ばれています。

この場合、過少もしくは不納となっている本税に加えて、本税に課せられる罰金として「加算税」や「延滞税」などの附帯税も合わせて納付する必要があります。その総称が「追徴課税」といいます。

追徴課税には、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4種類の「加算税」と「延滞税」で区分されています。では、ひとつづつ確認していきましょう。

加算税とは?4種類の加算税

加算税とは、過少申告、不納付、無申告など税務処理に何らかの不備があったときに、ペナルティとして発生する税金です。本税の申告状況によって、「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」のいずれかの加算税が課せられます。

過少申告加算税

過少申告加算税とは、申告期限内に提出した申告書に記載された金額が少なかった場合に課せられる加算税です。つまり、税金を少なく申告したために発生するペナルティです。

税率は、その納付すべき税金に対して原則10%、もしくは期限内に申告した税額または50万円のどちらか多い金額を超える部分に対して15%の税率が課税されます。ただし、正当な理由がある場合や、調査通知がされる前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税は課されません。

また、調査通知がされた後だとしても、調査により更正などが行われる告知を受ける前に修正申告をした場合は、税率が原則5%に軽減されます。

まとめると次のようになります。

【過少申告加算税が課税されるタイミングと税率】
・調査通知前の場合:課税対象外
・調査通知後~調査により更正が行われる告知される前:税率5%(10%)
・調査により更正などが行われると告知された後:税率10%(15%)

なお、()内の税率は、期限内に申告した税額または50万円のどちらか多い金額を超える部分に対して適用される税率のことです。

無申告加算税

無申告加算税とは、正当な理由なく、申告期限内に申告しなかった場合に課せられる加算税です。原則として税率は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分に対しては20%の税率が課せられます。

ただし、過去5年以内に無申告加算税を課されたことがある場合は税率が25%、期限内に申告した税額または50万円のうちいずれか多い方を超える部分は30%の税率が適用されます。一方、税務調査があったことで更正、もしくは期限後申告、修正申告の場合は、税率が5%に軽減されます。

まとめると次のようになります。

【無申告加算税が課税されるタイミングと税率】
・調査通知前の場合:税率5%
・調査通知後~調査により更正が行われる告知される前:税率10%(15%)
・調査により更正などが行われると告知された後:通常税率15%(20%)
・調査により更正などが行われると告知された後:5年以内に無申告加算税が課されことがある場合の税率25%(30%)

なお、()内の税率は、期限内に申告した税額または50万円のどちらか多い金額を超える部分に対して適用される税率のことです。

不納付加算税

事業者は、従業員に給料や報酬を支払う際に、源泉所得税を徴収することが義務付けられています。本来であれば、納税者自らが税務署へ赴き、申告・納付する義務がありますが、事業主が従業員の毎月の給料から税金を天引き、つまり源泉徴収を行うことで納税者の代わりに税金を納付する、という仕組みです。

源泉所得税の納付期限は、原則、給与等を支払った月の翌月10日までです。この期限内に納付されなかった場合に課されるのが「不納付加算税」です。源泉徴収を行い、納付すべき税額を、正当な理由なく法定納期期限までに納付しなかった場合は、本税に対して10%の税率で課されます。

ただし、税務署からの通知を受ける前に申告・納付を行うなら、税率が5%に軽減されます。また、不納付加算税が5,000円未満の場合は、納付が免除となります。

重加算税

重加算税とは、二重帳簿や書類の改ざん、売上計上漏れなど、不正事実がある場合に課せられるペナルティです。過少申告や不納付、無申告が伴っている場合は、それらの加算税に代わって税率の高い「重加算税」が課されることになります。

過少申告加算税もしくは不納付加算税に代わる場合の税率は35%、無申告加算税に代わる場合の税率は40%が課税されます。それに加えて、過去5年以内に同じ税目に対して重加算税を課されたことがある場合には、さらに10%の税率が加算されます。

まとめると次のようになります。

【重加算税の対象となる税目と税率】
・過少申告加算税、不納付加算税:税率35%(45%)
・無申告加算税:税率40%(50%)

なお、()内の税率は、過去5年以内に同じ税目に対して課税が課されたことがある場合に適用される税率です。

延滞税とは?

加算税が課税される場合は、加算税とは別に、納期限後に納付をするペナルティとして「延滞税」が別途に課されます。税率は、法定納期限の翌日から完納する日までの期間によって異なります。
延滞税は、利息のような意味合いがあると考えることができるでしょう。

そのため、延滞税の金額は基本、本来納付すべき本税の税額に対し、延滞税の割合と完納するまでの日数を掛けたものを365で割って算出します。つまり、「延滞税=(本来の税額×延滞税の割合×完納までの日数)÷365(日)」という計算式を当てはめて求めます。

延滞税の税率

延滞税の税率は、納付するまでの日数に応じて次のように変わります。

【納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの税率】
年「7.3%」、もしくは「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合が適用される。

【納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降の税率】
年「14.6%」、もしくは「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合が適用される。

加算税と延滞税の納付手続き方法

追徴課税される税金は、本来、すでに支払っているべき税金です。そのため、すぐに納付する必要があります。本税の場合は、クレジットカードや口座振替などのいくつかの納付方法から自由に選択することができます。

しかし、加算税と延滞税の納付に関しては、「現金振込」もしくは「e-Tax」での納付と限定されています。税務署から通知された期日に基づき、期限日まで納める必要があります。

原則一括払い!分割は不可!

追徴課税は、現金で一括納付することが原則として定められています。つまり、分割で納付することも認められていません。しかし、一度で納付することが難しいという方もいることでしょう。

一括で納付することができない場合は、税務署に相談するなら、特例として納税の猶予が認められる場合があります。つまり、分割による納付が認められることもあります。ただし、原則1年以内という期間が定められている上、次の条件をすべて満たす必要があります。条件とは次のものです。

・本来の期限から1年以上経過した後に、納付すべき税額が確定した。
・納税者本人が、納付すべき国税を一時納付することができない、と認められている。
・納期限までに申請書を提出しhている。
・担保の提供がある。

これらの条件をすべて満たしているなら、納税の猶予が認められる可能性があります。まずが延滞税がどのくらいになるかも考慮した上で、分割納付を利用するかどうかを検討することができるでしょう。

加算税の会計処理の方法

修正申告や更正処分などで加算税を支払った場合には、会計上は費用として処理することができます。経理上は過少申告加算税、無申告加算税、重加算税不納付加算税などをそのまま勘定科目として計上することもできますし、「租税公課」として処理することもできます。

次のように会計処理することができます。
(借方)租税公課 ○○円  (貸方)現預金 ○○円

損金として扱うことはNG!

加算税や延滞税などは、税務上の損金として処理することはできません。損金とは、費用の一部であり、費用を多く計上することで税金の軽減へとつながります。しかし、加算税や延滞税の場合は、損金不算入なので、納税額はマイナスとなります。

税務署の指摘内容に納得できないときの対処方法

税務調査が行われ、税務署から修正申告をするよう告知された場合、納税者にはその指摘内容に対して、不服を申し立てる権利をもっています。しかし、納税者本人が自ら修正申告をしてしまうと、税務署の指摘内容を受け入れたとみなされてしまいます。そのため、不服を申し立てても通ることはできません。

ですから、税務署からの通知に納得いかず、不服を申し立てたい場合は、修正申告をしてはいけません。通知された時点で税理士に相談するのがベストと言えるでしょう。また、税務署から通知を受けて3ヶ月以内の場合は、税務署長に対して「再調査の請求」をすることができます。

再調査の請求で受けた決定にも納得できない場合は、その後1ヵ月以内に、国税不服審判所長に対して「審査請求」が行えます。審査請求の決定内容にも納得できない場合が、最終手段として裁判所に対して「訴訟」が行えます。

納め過ぎた場合は「更正の請求」を!

ここまでは税務署から納税者への税務調査が行われ、追徴課税されることについてみてきました。それとは反対に、納税者側が税務署に対して更正を行うよう求める「更正の請求」もあります。

更正の請求とは、税金を納め過ぎたことに気づいた際に、その税額を訂正するよう求める手続きのことです。更正の請求を行い、その内容が認められると「更正通知書」が送付されます。それには、納め過ぎた分や、それに対する還付金などが記載されており、後日、還付されます。

なお、税金を納め過ぎた場合、税務署から通知が届くということは基本ありません。つまり、納税者が請求しない限り、払い過ぎた税金が還付されることはありません。

まとめ

申告した税額が少なかったときや、申告書の提出が遅れたとき、無申告が発覚したときなどは、追徴課税がペナルティとして課されます。脱税目的など故意にしたのではなく、単純なミスなどであれば、追徴課税が軽減されます。

しかし、本来払うべき税額よりも多い額を納める必要があります。ですから、正確な申告をし、決められた期限内に納税するようにしましょう。また、修正申告や更正処分が必要な場合や、税務署から通知に不服がある場合は、まずは税理士に相談されることをおすすめします。


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