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年商とは?売上高との違いや一般的な使い方など年商の基礎知識

2020年8月7日
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ニュースなどでよく見聞きする「年商○○億円」の「年商」という言葉は、事業に直接関わっていない方でも馴染みのある言葉です。では、年商には、どのような意味があるのでしょうか?この記事では、社会人であれば知らないと恥ずかしい「年商」の基本的な知識や、売上高との違いなどについて詳しく解説していきます。

年商とは?

年商とは、会社や個人事業主などが1年の間に売り上げた「年間の売上の合計金額」のことです。モノやサービスなどを提供し、その対価として得た1年分の売上の合計したものを年商といいます。純粋な売上額とも言えるでしょう。年商は、社員への給与や経費、税金などが差し引かれる前の金額なので、実際に手元に残る利益とは異なります。

例えば、個人事業主に「年商10億円あります」と言われると、「儲かっている会社」というイメージがありますが、経費にどのくらいかかり、手元にどのくらいのお金が残っているかは分かりません。もしかすると経費に8億円くらいかかり、手元には2億円くらいしか残っていないこともあるのです。

売上高とは?

では、売上高とは何でしょうか?売上高とは、売上高とは、会社や個人事業主などが、一定期間でモノやサービスなどを販売して得た売上の合計額のことです。年商や月商のように期間を区切っていないため、売上高という表現だけでは、どこからどこまでの期間の売上高なのかが分かりません。

年商と売上高の違いとは?

ここまでで、年商と売上高がどのようなものかをみてきました。では、双方にはどのような違いがあるのでしょうか?それは、「期間の違い」です。年商はその企業の「年度」すべての売上を意味するのに対し、売上高はその企業が「一定期間」で得た売上を意味しています。

つまり、年商も売上高も「売上」を表すものですが、売上の対象期間が異なっています。このように、年商は文字通り企業の「年度」単位ですが、売上高は「一定」単位、という違いがあります。

なお、企業はある一定期間を自由に設定することができます。具体的には、「日」単位で区切る「日商」や、「月」単位で区切る「月商」を採用している企業もあります。多くのケースでは1ヶ月ごとの売上高、また、上場企業の場合は四半期決算を公表する必要があるため、3ヶ月ごとに売上高を設定しているところもあります。

年商の一般的な使い方とは?

では、通常、年商と売上高はどのように使われているのでしょうか?年商は、特に外部の企業の規模を判断するときや、ビジネス上の取引や融資などを判断するときなどに使われています。

例えば、「年商○○億円」と企業について説明されるなら、その企業の営業活動の大きさを把握できます。実際、年商の額が大きければ大きいほど、その企業に対しての信用度が高まるのではないでしょうか?

一例として、ニュースなどでよく見聞きする表現のひとつに「年商100億円のヒット商品」「年商100億円のレストラン」などが挙げられます。このように具体的な数字で年商を表現するなら、素人だとしてもその商品や企業が行っている営業活動の規模の大きさをイメージしやすくなるでしょう。

年商という表示には注意も必要!

前述したように、年商という言葉は、大きな具体的な金額を見せることで安心感や信頼感などを与えます。そのため、企業の中には、インパクトを与え、興味を引かせるために年商という言葉を使うこともあります。

また、テレビや雑誌などのメディアは、年商という言葉を使って広告戦略をしています。ですから、ビジネス取引を検討している場合は、年商の額だけで取引を始めることは危険です。なぜなら、年商が高くても、実際の経営状況を把握することはできないからです。

年商は高くでも、利益が手元に残らず、赤字状態の企業も中にはあります。事実、年商1億円で余裕のある経営をしている企業もあれば、年商10億円をこえているのに赤字状態の経営をしている企業もあります。

ですから、ビジネス取引をする際には、相手企業の年商だけにとらわれずに、実際の経営状況を確認することはとても大切です。

売上高の一般的な使い方とは?

では、売上高はどのように使われているのでしょうか?売上高は、外部の企業に対してだけでなく、自社でも使われている具体的な指標です。自社の本業で得た収益が売上となり、それが日々積み重なることで売上高となります。

自社で設定した月間、四半期、年間という期間の売上高を表すことは、従業員たちの営業活動の取り組み方にも影響を与えます。具体的には、自社内で月間、四半期、年間の売上高を予測し、達成したい目標を掲げることが事業の拡大につながります。

また、外部の金融機関や投資家たちは、売上高を参考にしつつ、融資や投資などを判断していきます。このように企業の売上高は、売上高の実績から予測を立てたり、営業活動を判断する基準として使われています。

例えば、企業内では「今月の目標の売上高は○○億円」「本年度の売上高は○○〇億円」などと、具体的な営業活動の計画や実績などを示す指標として用いています。

会計上の年商と売上高とは?

企業の会計上では、日々の営業活動に関する記録を簿記の勘定科目と使い計上していきます。通常、ビジネス上の売買が生じたとき、つまり、収益が発生するたびに「売上」を計上します。

それには、実際に現金が入金されていない場合でも、後日支払われるのであれば、「売上」が発生したものと考えます。そして、年度末には、すべての売上を合算した「売上高」を計上した決算書を作成します。

なお、売上高には、「総売上高」と「純売上高」の2種類あります。

・総売上高
総売上高とは、売上高控除項目の「売上戻り(返品)」「売上値引き」「売上割戻り(リベート)」を除いたものを指します。

・純売上高
純売上高とは、総売上高を差し引いたものを指します。

決算書のひとつである損益計算書では、売上高は純売上高を使った収益に属しており、費用と利益の対になるものとして処理されます。つまり、費用+利益=純売上高、という関係、つまり、純売上高=年商、となります。

創業したばかりの年商と売上高とは?

創業や起業したばかりの企業の場合、売上の予測や、創業計画書を作成するときなどに売上高が使われています。創業するにためには、事業の見込みや資金調達をするために、売上高はとても重要な指標として、外部の企業が判断基準の参考とします。

しかし、創業の前後は、売上高の変動も多く、予測することは難しいのが事実です。そのため、その企業の業種や経験などを活かして売上高を判断することが必要となります。

なお、創業1年後は、売上高から年商が決まります。つまり、決まった年商で、営業活動の規模が判断されます。健全な経営状態であれば、1年間の事業の成功や信頼を表すために活用することで、今後の事業拡大へとつながるでしょう。

まとめ

経営者はもちろんのこと、社会人であれば年商や売上などのビジネス用語の意味をしっかり理解しておくことは大切です。特に年商という言葉は、ビジネスとは無関係の素人にも関係のある言葉です。ビジネス上の取引をする際には、年商の額の大きさだけで企業を判断するのではなく、実際の経営状況を見て判断するようにしましょう。

そして、自社内で年商と売上高を使い分け、実際的な目標を掲げるなら、従業員の営業活動の取り組み方にも影響を与え、健全な経営状態へとつなげることができるでしょう。


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