契約書印紙とは?印紙を貼る判断基準は何?【課税文書と税額まとめ】 | 税理士コンシェルジュ

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契約書印紙とは?印紙を貼る判断基準は何?【課税文書と税額まとめ】

2020年8月14日
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経営者であれば、契約書に印紙を貼ることをご存知でしょう。では、なぜ契約書に印紙を貼る必要があるのでしょうか?すべての契約書に印紙を貼らなければならないのでしょうか?この記事では、契約書に印紙を貼る目的や判断基準など、契約書と印紙の関係について解説していきます。

契約書とは?

そもそも契約書とは何でしょうか?国税庁のホームページでは、契約の意義について次のように説明されています。契約とは、「互いに対立する2個以上の意志表示の合致、すなわち一方の申し込みと、他方の承諾によって成立する法律行為」であり、契約書とは、「その2個以上の意志表示の合致の事実を証明する目的で作成する文書」と定義されています。

つまり、ビジネス上の契約書とは、文書の名称が契約書でなくても、契約の成立の旨が記載されている内容の文章であれば、契約書とみなされるということです。そして、各種契約書には、印紙税が課せられます。これには契約の成立の旨が記載されている文書も含まれます。

印紙税とは?

印紙税とは、国の税金の一種です。法律で定められている課税文書に対して課税、つまり収入印紙を購入・貼付が課せられています。課税文書には、領収書や手形、各種契約書などが該当します。これらの文書を作成し、発行することで課税されます。なお、納税義務は、課税文書を作成した人に課せられます。

課税文書の判断基準とは?

各種契約書を作成した場合、「この契約書には収入印紙が必要なのか、それとも不要なのか」と迷ってしまうことも珍しくありません。課税文文書なのかどうかを、どのように判断することができるのでしょうか?

国税庁のホームページの印紙税欄には、課税文章かどうかを判断する基準は、次の3つの条件すべてに当てはまるかどうかで判断できます。3つの条件とは次のものです。

条件①印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。

条件②当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。

条件③印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

参照:国税庁「課税文書に該当するかどうかの判断」

この3つの条件からも、作成した契約書が課税文書に該当するかどうかは、契約書の名称ではなく、記載されている内容に基づいて判断されることが分かります。

課税対象の契約書の種類の納税金額

では、具体的にどのような種類の契約書が課税対象となるのでしょうか?また納税金額はいくらになるのでしょうか?課税対象の契約書の種類と納税金額は、国税庁のホームページに記載されています。ここではビジネス上の取引でよく交わされる代表的な課税文書の種類と課税金額をみていきましょう。

【第1号文書:不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書】
第1号文書には、次の4種類の文書が該当します。
1、不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
2、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
3 消費貸借に関する契約書
4、運送に関する契約書

これらの課税文書は、記載された契約金額に対して、課税額が次のように設定されています。
・1万円未満:非課税
・1万円以上~10万円以下:200円
・10万円超え~50万円以下:400円
・50万円超え~100万円以下:1,000円
・100万円超え~500万円以下:2,000円
・500万円超え~1,000万円以下:1万円
・1,000万円超え~5,000万円以下:2万円
・5,000万円超え~1億円以下:6万円
・1億円超え~5億円以下:10万円
・5億円超え~10億円以下:20万円
・10億円超え~50億円以下:40万円
・50億円超え~:60万円
・契約金額の記載なし:200円

【第2号文書:請負に関する契約書】
請負に関する契約書には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などの請負契約書が該当します。また、プロ野球選手や映画俳優などの専属契約書も請負に関する契約書とみなされています。

これらの課税文書は、記載された契約金額に対して、課税額が次のように設定されています。
・1万円未満:非課税
・1万円以上~10万円以下:200円
・10万円超え~50万円以下:400円
・50万円超え~100万円以下:1,000円
・100万円超え~500万円以下:2,000円
・500万円超え~1,000万円以下:1万円
・1,000万円超え~5,000万円以下:2万円
・5,000万円超え~1億円以下:6万円
・1億円超え~5億円以下:10万円
・5億円超え~10億円以下:20万円
・10億円超え~50億円以下:40万円
・50億円超え~:60万円
・契約金額の記載なし:200円

【第5号文書:合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書】
第5号の文書には、会社法もしくは保険業法に規定する契約書のみが該当します。印紙税額は、1通につき4万円となっています。

【第6号文書:定款】
第6号の文書には、会社設立時(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・総合会社)に作成される定款の原本のみ該当します。印紙税額は、1通につき4万円となっています。

【第7号文書:継続的取引の基本となる契約書】
継続的取引の基本となる契約書には、特定の相手方との間で継続的に生じる取引の契約書のことです。印紙税額は、1通につき4千円となっています。

これらは各種契約書の一部ですが、その他にも領収書、約束手形、為替手形などにも印紙税が課せられます。印紙税が発生する各種文書と印紙税額についてさらに詳しい情報を知りたい方は、下記の国税庁のホームページをご覧ください。

参照:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
国税庁「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」

非課税文書と不課税文書

印紙税法では、前述した課税文書以外の文書を「非課税文書」と「不課税文書」に分類しています。では、非課税文書と不課税文書には、どのような違いがあるのでしょうか?

【非課税文書】
非課税文書とは、印紙税法で定められている課税文書のいずれかの号に該当するものですが、除外規定で課税対象外となる文書のことを指します。したがって、収入印紙の貼付は不要です。

【不課税文書】
不課税文書とは、印紙税法では定められている課税文書に該当せず、課税対象にならない文書のことを指します。つまり、課税文書でも非課税文書でもない文書なので、収入印紙の貼付は不要です。

なお、不課税文書に該当する契約書には、次のようなものが挙げられます。

委任契約書(無償である場合)、使用貸借契約書(無償である場合)、建物賃貸借契約書(ただし不動産契約書の土地貸借契約書は課税文書に該当する)、動産売買契約書、動産賃貸契約書、リース契約書、雇用契約書、出向契約書、パートタイマー契約書、労働者派遣契約書、秘密保持契約書、技術提携契約書、ソフトウェア保守契約書、特許権専用実施権設定契約書、特許権通常実施権設定契約書、実用新案権専用実施権設定契約書、実用新案権通常実施権設定契約書など

収入印紙の購入場所は?

収入印紙は、郵便局、法務局、もしくは一部のコンビニエンスストアなどで購入することができます。ただし、高額な収入印紙につきましては、コンビニエンスストアでは販売されていないことがあるため、郵便局や法務局で直接購入したほうがよいでしょう。

また、金券ショップでも収入印紙が販売されていることがありますが、その場合は消費税の課税や仕訳時の勘定科目などに注意してください。

契約書に貼付する収入印紙は誰が負担する?

連帯納税義務のため双方で負担

では、契約書に貼付する収入印紙は、どちらが負担するのでしょうか?結論から述べるなら、基本的に収入印紙代は、双方の会社が負担するのが一般的となっているようです。なぜなら、印紙税法に「当事者が連帯して印紙代を負担すること」と定められているからです。つまり、契約書の当事者は、連帯納税義務があるため双方で印紙代を負担する必要があります。

印紙代の負担割合

印紙税法では、「連帯納税義務」として印紙代を双方で負担するよう定めていますが、負担割合については定めていません。したがって、必ずしも5対5の割合で負担する必要はありません。つまり、契約する当事者同士で合意すれば、6対4でも、7対3でも問題ない、ということです。

ただし、官公庁と契約をした場合は、収入印紙の取り扱いが変わるため注意が必要です。なぜなら、国や地方公共団体などの官公庁は、印紙税が非課税対象となっているからです。そのため、官公庁が作成した契約書は非課税になりますが、非課税対象でない民間が作成した契約書は課税となります。

自社分の契約書は自社負担

双方で印紙代を負担するのが一般的ですが、自社分の契約書を作成した場合の印紙税は、自社で負担するケースが多く見られます。その理由は、契約書は当事者それぞれが保管するため、当事者は人数分の契約書を用意します。契約書の数が増えれば増えるだけ、収入印紙の数も比例して増えるため、自社分の契約書に関しては、それぞれが負担することが一般的となっています。

課税対象の契約書に収入印紙を貼り忘れると?

課税対象の契約書に収入印紙を貼付することは、印紙税を納付するということです。つまり、課税対象の契約書に収入印紙を貼り忘れた場合は、印紙税の滞納とみなされます。税務署調査で印紙税の納税が発覚した場合は、本来の印紙税の3倍に値する額の過怠税がペナルティとして発生します。

もし自主的に申出をした場合は、過怠税が1.1倍に減額されますが、いずれにせよペナルティが発生します。ですから、課税対象の文書を作成したときには、収入印紙の貼付を忘れないようにしましょう。

収入印紙を貼り間違えてしまったら?

本来の税額よりも高い収入印紙を貼付したり、非課税文書に収入印紙を貼付したりなど、収入印紙を間違えて貼付してしまったときは、「印紙税過誤納確認申請書」を納税地の税務署長に提出することで還付を受けられます。

還付請求は、「課税文書作成日から5年以内」と返還請求期限が決まっています。なお、申請時には、印紙税過誤納確認申請書に他に、還付請求の対象となる文書と印鑑(法人の場合は代表者印)が必要となります。

電子契約書は収入印紙が不要

近年、インターネットを利用した電子的な方法で契約を交わすことが一般的になりつつあります。電子契約書を作成した場合、収入印紙の貼付は不要となっています。法律でも「課税文書は書面文書のことで、電子文書は含まれない」と記されています。

したがって、電子書面である電子契約書は、印紙税が課せられません。ですから、たくさん契約書を作成する会社は、電子契約書を作成することで収入印紙代の負担を大きく削減することにつながります。

まとめ

法律上で課税文書と定められている契約書の定義は幅広く設定されています。そのため、ビジネス上の取引をするためには、印紙税が課せられる課税文書かどうかを判断するための詳細な知識が必要です。

課税文書であるにもかかわらず、収入印紙を貼らないなら、印紙税の滞納とみなされてしまいます。ですから、どのような契約書に印紙が必要となるのかをしっかり理解しておくようにしましょう。


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