経費削減の必要性と経費10項目のコスト削減アイデア
経費削減をすることは、会社の利益につながります。つまり、経費削減は事業を運営していく上で、重要な課題のひとつです。この記事では、経費削減と経費節減の違い、経費削減の必要性、実際的なコスト削減アイデアについてご紹介します。
目次
経費削減とは?
経費削減とは、その名前の通り、費用を削ることです。「コストダウン」や「コストカット」と言われることもあります。なお、経費「削減」と経費「節減」は、意味が違うため、主旨も異なります。
経費削減:かかる経費を削って、減らすこと。
経費節減:かかる経費を減らすために、切り詰めること。
つまり、経費削減は、すでに予定されている予算を減らすために、代替案策などを打ち、工夫することと言えるでしょう。一方、経費節減は、当たり前のようにかか経費を減らすために、使用料を減らしたり、安い価格で購入することをいいます。
では、経費削減の意味を踏まえたうえで、企業が経費削減を見直す必要性についてみていきましょう。
経費削減を見直す必要性
経費削減を見直すことは大切です。なぜなら、経費削減することが、利益の増加につながる可能性があるからです。多くの企業は、売上を上げるための対策を打っています。しかし、それに比例して、経費も増えます。そのため、、売上は増加しても、利益は期待していたよりも低かった、つまり利益率が低い、というケースは珍しくありません。
【例:売上100万円の場合】
売上:100万円
経費:80万円
100万円(売上)-80万円(経費)=20万円(利益)
一方、経費を10%削減するなら、経費は72万円になります。
100万円(売上)-72万円(経費)=28万円(利益)
このように経費削減をすることが、営業利益の向上につながるのです。利益を稼ぐことは容易ではありません。しかし、売上増加対策と同時に、経費削減を同時に行うなら、利益率の向上を期待できます。
では、経費削減をするため、どのようなことを行うことができるでしょうか?実際的なコスト削減のアイデアをみていきましょう。
経費削減のアイデア
経費の削減は、アイデア次第です。今回は、以下の10項目のコスト削減アイデアの一部ご紹介します。以下のアイデアを参考に、社内でアイデアを出し合ってみましょう。
1、人件費
2、採用費
3、事務用品・消耗品費
4、水道光熱費
5、交通費
6、通信費
7、交際費
8、家賃
9、振込手数料
10、残業代
では、10項目の具体的なコスト削減アイデアをみていきましょう。
1、人件費
従業員の数が多ければ多いほど、人件費もかかります。給与だけでなく、ボーナスや退職金なども人件費に含まれます。
・アウトソーシングを活用する。
・社内で研修をする。
・人員削減を検討する。
2、採用費
従業員を雇用したい場合、募集をかける方法によって費用は大きく変わってきます。
・無料のサービスを利用する。
・自社の公式サイトで募集する。
3、事務用品・消耗品費
事務用品費にはコピー用紙やインクなど、消耗品費にはトイレットペーパーやコーヒーなど、日々の業務に関係する経費も削減することが可能です。なお、消耗品費は、10万円未満のモノが対象となり、経費として計上できます。
・社内で使う資料は、白黒印刷にする。可能であれば、両面印刷や裏紙を再利用する。
・社内の資料を紙ではなく、オンラインで共有する。
・社内と社外で使う紙の質を変える。
・新聞や雑誌などの定期購読は解約し、電子化する。
・リサイクルトナーを利用する。
・ボールペンやふせんなどの消耗品は、低価格で購入する。(まとめ買いやインターネットの活用)
・消耗品を過剰にストックしない。
・可能なモノは、中古品などをリサイクルする。
・名刺の作成はネット印刷を利用する。
4、水道光熱費
水道光熱費は、日々の生活で欠かせませんが、経費削減することが可能です。
・ガスや電気の契約プランを見直す。
・節水型トイレにする。
・エアコンのフィルターをこまめに手入れする。
・エアコンの温度を適温に設定したり、使用時間を制限する。
・LED電球に変える。
・使用していない場所の電気はこまめに消す。
5、交通費
交通費とは、飛行機代やタクシー代などの業務を行う上でかかった移動費のことです。以下のように経費を見直すことができます。
・定期券は1か月単位ではなく、3ヶ月や6ヶ月など長期で支給する。
・通勤経路が最短経路になっているか、支給時に確認する。
・タクシーの利用は、事前申請方式にしたり、上限金額を設定する。
・出張の回数を減らして、オンラインのWeb会議を導入する。
・出張が前もって分かっているのであれば、1日乗車券や早割運賃を利用する。
6、通信費
事業を営む上でコミュニケーション、つまり通信は欠かせません。しかし、経費を削減するために見直すべきことはあります。
・社用電話の契約を見直してみる。
・不必要な電話回線がないか確認し、解約する。
・プロバイダを見直してみる。
・切手や印紙は、金券ショップなどで安く購入する。
・郵送費を抑えるために、可能であればオンラインを利用する。
・バイク便の利用を控える。
・大量に発送する場合は、宅配業者を価格交渉をし、割り引いてもらう。
7、交際費
交際費には、会議や打ち合わせなどで使ったお茶代や、冠婚葬祭の香典や祝金などが含まれます。
・交際費の予算設定が、適正額かどうか見直す。
・事前申請制を導入する。
8、家賃
オフィスなどの家賃は、毎月かかる固定費です。削減できるなら利益に大きくつながるでしょう。
・立地条件を問わない業種であれば、家賃の安い場所への移転を検討してみる。
・レンタルオフィスやコワーキングスペースなどの利用を検討してみる。
・清掃業者を定期的に利用しているなら、社内で取り組んでみる。
9、振込手数料
1回の振込手数料の額は大きくありませんが、それを何度も行うなら、大きな金額となります。振込手数料を支払う機会が多いなら、以下の点を検討してみることができるかもしれません。
・ネットバンクを利用してみる。
・従業員の給与振り込みは、複数の銀行ではなく、銀行を同一する。
・法人クレジットカードをの利用を検討する。
10、残業代
売上を上げるためには、残業が必要になるかもしれません。でも、効率が悪いなら利益低下になります。残業代はどのように経費削減できるでしょうか?
・残業をしなくてもよい環境を整える。
・シフト制を導入する。
・残業時間に制限を設ける。
経費削減を成功させるには?
経費削減は、経営者が単独で行うものではありません。従業員一人ひとりの協力がどうしても必要です。しかし、経営者と従業員では、経費削減に対する意欲やモチベーションは違います。
従業員にとっては、直接給与と結びつかないため、経営者の考える経費削減の方法によっては、やる気をなくしてしまう可能性もあります。では、経費削減を会社の組織全体で行うために、どのような工夫をすることができるでしょうか?
削減しやすい経費から取り組む
経費削減には、ひとりひとりの努力が必要です。まずは従業員の意識やモチベーションを上げるために、大きなコスト削減が見込める項目から始めることができるかもしれません。インパクトのある経費削減が実現すれば、少額のコスト削減にも気合が入るでしょう。
また、削減しやすい経費から始めるなら、短時間で効果を目にすることができます。経費削減には努力が必要ですが、早い段階で効果を実感できるなら、今後の経費削減を維持するモチベーションにつながります。
インセンティブ制度の導入
多くの企業では、従業員の経費削減の意識やモチベーションを向上させるために、インセンティブ制度を導入しています。インセンティブ制度とは、ある目標を達成したとき、何かしらの報酬を受け取けとることができるメリットが生じる制度のことです。それには精神的な報酬と経済的な報酬が含まれます。
例えば、精神的な報酬として、経費削減のアイデアを出した従業員を表彰することができるかもしれません。また、ボーナスや昇給につながる経済的な報酬も効果的です。経済的な報酬となると、会社の経済状況も関係してきますので、自社の現状にあったインセンティブを検討することができるでしょう。
削減数値の見える化
社内で取り組む削減項目を設定したら、その目標がどのように達成されているか、削減数値を見える化させることは、従業員の意識やモチベーションの向上につながります。もしも削減数値を見える化しなければ、現在の進捗状況が分からないため、努力する意欲を失ってしまうことでしょう。
従業員すべてで経費削減を行っている、という意識を高めるためには、いつでも進捗状況が分かるような状態を維持することが大切です。例えば、ひとつの方法として、経費管理システムを導入することができるかもしれません。
各従業員が現場で支出をリアルタイムに確認することができれば、削減数値の見える化と改善点を把握することができます。それに加え、経費管理システムは、経費精算や請求書作成などの機能も搭載されているので、幅広い分野で活用できるでしょう。
マニュアルやポスターの作成
すべての従業員がいつでも確認できるよう、経費削減のためのマニュアルを作成することもおすすめです。マニュアルがあることで気が引き締まるでしょう。また、実際的な具体例も載せておくなら、実行しやすいでしょう。
さらに企業の中には、ポスターやスローガンを貼っているところもあります。いつでも目に付くところにポスターやスローガンが掲げてあるなら、従業員一人ひとりの意識も高まることでしょう。
従業員の意欲や生産効率を低下させる経費削減はしない
経営者が経費削減だけにとらわれ、従業員を強制してしまうなら、従業員にとっては大きな負担となり不満の原因となるでしょう。例えば、経費削減のひとつとしてエアコンの温度設定をする場合、暑さのために業務の効率が低下する温度を設定するなら、かえって逆効果となります。ですから、経費削減をする場合は、限度を超えないようにすることが大切です。
経費削減と同時に節税も!
経費削減は、上記でご紹介したアイデアをはじめとし、自社でアイデアを出し合って取り組むことができるでしょう。しかし、「節税」となると話は別です。節税するには、税率や法律などにも通用していなければいけません。
そのため、専門的な知識がなければ容易なことではありません。そこで制の専門家である税理士から節税のアドバイスを受けてみるのはどうでしょうか?
税理士に依頼することで、今まで支払っていた税金を節税できる可能性があります。税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス『全国税理士紹介相談所』では、無料で税理士をご紹介しています。
経費削減と節税を同時に行うなら、さらなる利益の増加を期待できるでしょう。
まとめ
経営者と従業員が一丸となって経費削減に取り組むなら、会社の利益につながります。ただし、その利益が従業員の給与に直接関係するとは限りません。
ですから、経営者は、経費削減に対する従業員の意欲やモチベーションを向上するためにインセンティブ制度を導入するなど、工夫していきましょう。そして、売上向上対策はもちろん、経費削減と同時に「節税」も行い、利益の増加を目指しましょう。
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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