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【初心者向け】青色申告の提出書類とは?押さえておきたい青色申告の基礎知識

2020年8月20日
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毎年2月中旬から3月半ばにかけて、大イベント「確定申告」シーズンがやってきます。みなさんは確定申告書類には「青色申告」と「白色申告」の2種類が存在していたことをご存知でしたか?「名前は知っていても、その違いや特徴はよく分からない・・」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では、個人事業主やフリーランスの方はもちろん、初めて青色申告をする方でも理解できるよう知っておくべき青色申告の基礎知識について深く掘り下げていきます。

青色申告とは?

そもそも確定申告とは、納税する義務が課せられている人が、税法に従って所得金額と税額を計算して納税することです。つまり、日本では「申告納税制度」が採用されています。

納税者にとっては手間と時間のかかる作業ですが、税務署がすべての納税者の個人所得を算定して課税することは大変難しいことです。そのため、納税者本人が正しい計算を行い、申告・納税することで公平な課税が行われています。

では、確定申告の「青色申告」とは何でしょうか?青色申告とは、所得税額の計算などで有利な特典が受けられる制度のことです。個人事業主やフリーランスの方は、確定申告をする際、青色申告と白色申告を自由に選べます。

ただし、青色申告をするには、事前に届出を提出するなどいくつかの条件があります。では、青色申告と白色申告の特徴や違いについてみていきましょう。

青色申告の特徴

青色申告をしたい場合は、青色申告を行う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を管轄地区の税務署へ提出する必要があります。提出後、青色申告の承認を得ることができれば、青色申告が行えます。

青色申告にはいくつかの特典がありますが、それを受けるためには複式簿記にによる帳簿付けが条件となっています。そのため、簿記に関する基礎的な知識が求められています。しかし、数々の特典が受けられます。

その中でも最大のメリットと言えば、青色申告で貸借対照表と損益計算書を添付する場合は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる、ことが挙げられます。その他にも赤字が繰り越しできるなどさまざま特典が適用されます。

白色申告の特徴

青色申告の届出書を提出していない場合は、新規に開業した場合でも自動的に白色申告になります。白色申告の場合、簡易の帳簿付けが認められていますが、青色申告同様、記帳と記録の保存は義務付けられています。

ただし、青色申告とは違い、簡易の記帳なので簿記の知識がなくても記帳することが可能です。記載する具体的な内容は、売上先や菌ん額などの収入、必要経費などが記載してあれば問題ありません。このように簡易記帳なため、青色申告のように特別控除などの特典は用意されていません。

青色申告と白色申告の違い

前述した青色申告と白色申告の特徴を比較すると、双方には大きな違いが3つあります。まとめると次のようになります。

・「青色申告承認申請書」提出の有無
・簿記の形式
・特典の有無

青色申告で必要な提出書類一覧

青色申告をする際に提出すべき書類は、「確定申告書」と「青色申告決算書」に加え、受けたい控除の添付書類が必要となります。また、損益計算書、貸借対照表、月別売上金額、減価償却費などの計算書も添付することで青色申告特別控除が適用されますが、添付しなければ65万円の控除が10万円となってしまいます。

ただし、10万円の控除の場合は、単式簿記が認められています。では、必要書類について、詳しくみていきましょう。

確定申告書B

確定申告書には種類がありますが、青色申告の場合は「確定申告書B」を使用します。確定申告書Bは、白色申告でも使用する共通の書類です。主に不動産所得、事業所得、山林所得などの所得がある個人事業主の方が使用します。

なお、確定申告書Bは「第一表」「第二表」「添付書類台紙」で構成されています。

【第一表】
第一表には、住所や氏名、収入金額等、所得金額、所得から差し引かれる金額、税額などの基本情報を記載します。

・住所や氏名
住所や氏名に加え、マイナンバーも記載します。提出の際には本人確認のため、マイナンバーカードを窓口で提示する、もしくはコピーの添付が求められています。職業欄には、事業内容を記載してください。

・収入金額等
収入金額を記載します。個人事業主の方が事業所得で収入を得た場合は「営業等(ア)」、給与所得者の場合は「給与(カ)」に記載します。

・所得金額
青色申告の場合は、青色申告の決算書に記載した所得金額を記載します。なお、青色申告特別控除を受ける場合は、控除額を差引いた後の所得金額を記載してください。

・所得から差し引かれる金額
適用する控除がある場合は、すべての控除を記載します。

・税金の計算
実際に納める所得税を計算し、その金額を記載します。

・その他、延納の届出
右下の「その他」と記載されている欄には、配偶者の所得がある場合はその金額、青色申告特別控除や繰越損失額がある場合はその金額を記載します。また、期限までに納税することが難しく、延期を申し出る場合は、「延納の届出」にその旨を記載してください。

・還付される税金の受取場所
還付金が発生した場合に備えて、還付金を振り込んで欲しい口座情報を記載します。

【第二表】
第二表には、収入に関する具体的な金額など第一表の詳細を記載します。

・住所、屋号、氏名
第一表で記載した住所と氏名を記載します。個人事業主やフリーランスの方で屋号を設定していない場合は、無記入で問題ありません。

・所得の内訳
第一表の「収入金額等」に記載した収入の内訳を「所得の内訳」へ記載します。

・雑所得、総合課税の配当所得、譲渡所得、一時所得に関する事項
雑所得や一時金などの所得があった場合は、記載してください。

・所得から差し引かれる金額に関する事項
第二表では、支払った金額を記載します。

・事業専従者に関する事項
家族を事業専従者として雇用し、給与を支払っている場合は、氏名、生年月日、続柄、仕事内容、給与額などを記載します。

・住民税や事業税に関する事項
16歳未満の扶養親族がいる場合や、事業税が発生する場合に記載します。

【添付書類台紙】
確定申告書と一緒に必要な添付書類も提出します。具体的には、源泉徴収票、社会保険料・小規模企業共済等掛金控除関連書類、生命保険料控除関連書類、地震保険料控除関連書類、寄附金関連書類、医療費の明細関連書類などが挙げられます。これらを台紙に貼り付けて提出します。

青色申告決算書

青色申告決算書は、青色申告の申請をし承認されている方を対象に、12月中旬から1月にかけて送付されます。ただし、前年に電子申告をしている場合は、送付されませんのでご注意ください。

なお、青色申告決算書には、「一般用様式」「不動産所得用様式」「農業所得用様式」「現金主義用様式」の全部で4種類の様式があります。事業所得の場合は通常、一般様式を使用します。

青色申告決算書は4枚で構成されており、最初の1~3枚が損益計算書、4枚目が貸借対照表となっています。損益計算書には、1年間の事業の損益を計算したものを記載します。まず1ページ目に概要を記載し、残りの2と3ページに明細を記載します。最後の4ページ目の貸借対照表には、決算をする時点での事業の状況を把握できる内容とします。

青色申告決算書の対象期間に関しては、法人の場合は事業年度、個人事業主やフリーランスの場合は1月1日から12月31日までの1年間となっています。

添付書類

所得控除や税額控除を受ける場合は、それに必要な添付書類を提出する必要があります。主な添付書類には、次のようなものが挙げられます。

・生命保険料控除証明書(生命保険料控除)
・地震保険料控除証明書(地震保険料控除)
・小規模企業共済等掛金振込証明書(小規模企業共済等掛金控除)
・社会保険料の控除証明書(社会保険料控除)
・医療費控除の明細書(医療費控除)
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書(住宅借入金等特別控除)

各種証明書は、年金事務所や各保険会社、銀行などの金融機関から送付されます。原本を添付する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。

青色申告の期間

青色申告、つまり確定申告は、毎年2月16日から3月15日までと定めてられています。ただし、最終日が土日祝日の場合は、その翌日までとなります。また、令和2年度の確定申告期間は、新型コロナウイルス感染症の影響により確定申告期間が延長されました。

青色申告の提出方法

青色申告での確定申告書類は、税務署へ直接持参、郵送、e-Taxによる電子申告の3つの提出方法から選択できます。

①税務署へ直接持参する方法

税務署の窓口や確定申告特設会場などへ赴き、直接持参する提出方法は、最も一般的な方法と言えるでしょう。窓口には係員の方がいるので、記入漏れや添付書類などをチェックしてもらうことが可能です。ただし、帳簿の付け方や確定申告書類の作成方法などの相談は受け付けていません。

しかし、税務署内には確定申告作成コーナーが設置されているので、分からないことや不安なことを相談することができるでしょう。ですから、確定申告シーズンの税務署は大変混雑していますが、初心者の方は税務署へ直接持参する方法がおすすめです。

②郵送提出する方法

確定申告書類は、郵送提出をすることも可能です。確定申告に慣れている方であれば、混雑を回避できる郵送提出が便利です。ただし、必要書類をすべて揃えることに加え、記入ミスもない完璧な確定申告書類を作成する必要があります。

万が一、不備があった場合は再提出となります。その際、申告期限日ギリギリに提出すると、再提出をするときには期限後になってしまう可能性があるので注意が必要です。また、確定申告書の控えが欲しい場合は、切手を貼付した返信用封筒に宛名を書き同封すれば、返送してもらえます。

③e-Taxによる電子申告をする方法

確定申告書類は、e-Taxによる電子申告の利用も便利でおすすめです。電子申告を利用する場合は、事前に申請する必要があります。具体的には電子証明書を取得したり、電子申告等開始届出書を提出したり、認証のためのICカードリーダーを購入したりなどの事前準備が必要です。面倒と感じる方もいるかもしれまぜんが、事前準備を1度すれば、それ以降は特に準備する必要はありません。

65万円の青色申告特別控除額を受けるにはe-Taxで申告が必須!

法改正により、令和2年分の所得税確定申告から、青色申告の青色申告特別控除額が65万円から55万円に減額されることになりました。ただし、これまで同様、複式簿記による帳簿作成はもちろん、確定申告書の提出をe-Taxで行うなら65万円の控除が適用されます。

つまり、65万円の控除を受けるためには、e-Taxによる電子申告が新たな条件として加わえられたということです。

青色申告のメリット(特典)

青色申告には、青色申告特別控除が受けられる以外にも、次のような特典を受けられます。

・青色申告特別控除
基礎控除に加えて、10万円もしくは65万円の特別控除が受けられます。

・青色事業専従者給与
家族を従業員として雇用している場合、給料を経費として計上することができます。

・貸倒引当金の計上
年末時点で売掛金や貸し倒れなどによる損失の見込み額を、必要経費として計上することができます。

・純損失の繰超し
赤字を翌年以降、3年間にわたって所得金額から差し引くことが認められています。所得金額が少なくなるなら、各年の税負担の軽減にもなり節税対策につながります。

まとめ

青色申告は白色申告と比較すると、確定申告の際の提出書類は多いですし、複式簿記を付けることが条件となっているため簿記の知識がない方にとっては抵抗があるかもしれません。

しかし、近年は会計ソフトの機能が向上しているため、簿記初心者の方でも複式簿記での記帳が容易に行えようになっています。青色申告用の会計ソフトを利用するなら、さらに容易に確定申告書を作成することができるでしょう。

白色申告よりも手間や時間がかかることは事実ですが、さまざま特典を受けることができるので、青色申告を検討する価値はあります。これから起業しようとしている方はもちろん、現在白色申告をしている方は青色申告への切り替えを検討してみるのはどうでしょうか?


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