知っておきたい節税の基礎知識!手元のお金が「減る」節税についてわかりやすく解説!
ビジネスで利益が出ると、税金を支払わなければなりません。税金をできるだけ抑えるために、節税に興味がある方も多いのではないでしょうか。
節税をおこなえば、納税額を抑えることが可能ですが、節税について正しく理解をしていないと、手元のお金が減ることもあります。
この記事では、「節税の基礎知識」や「お金が減る節税」についてわかりやすく解説していますので、節税を検討する際にぜひ参考にしてください。
目次
節税の基礎知識
はじめに、節税の基礎知識について解説していきます。
そもそも節税とは、合法的に納める税金の額を減らすことです。節税によっては、手元にお金が残る節税と残らない節税があるので、その違いについてもわかりやすく解説します。
節税とは?
節税とは、法律や制度の範囲内で納税負担を軽減する手法です。具体的には、経費を適切に計上したり、控除を利用したりすることで税負担を軽減できます。
節税のからくり
納める税金は、基本的には利益をもとに計算されます。
具体的には、下図のとおり、売上などの収入から経費を差し引いたものに、税率をかけることで納税額を算出します。
この図からもわかるとおり、納税額を減らすには利益を抑える必要があるため、節税をおこなうためには、以下の方法などが考えられます。
経費とは、事業のために使用したお金のことです。
たとえば、電気代や交際費、オフィスの家賃などがあげられます。経費が増えると利益が減るので、納税額は減少します。
また、控除とは、課税所得や算出税額から一定の金額を差し引くことです。そのため、控除をうまく使うことで、納税額を抑えることが可能となります。
手元にお金が残る節税と残らない節税がある
節税は、手元に「お金が残る節税」と「残らない節税」の大きく2つにわけられます。
簡単に説明をすると、お金が残る節税とは、支出を伴わずに納税額を減少させる節税手法です。
具体的には、使わない資産を処分する方法や所得拡大税制や経営力向上計画などの控除を受ける方法があります。
一方、お金の残らない節税とは、必要以上に経費を使って課税所得を減少させることです。
たしかに、経費を使えば利益が少なくなるため、税負担も抑えられます。
しかし、たとえ納税額が減少しても、経費を使うことで支出が増えるため、それだけ手元のお金が減ることになるのです。
具体的には、次のセクションでわかりやすく解説します。
手元のお金が「減る」節税とは?
前述のとおり、手元にお金が減る節税とは、主に経費を計上して利益を減らす手法です。このような節税方法については、その仕組みを理解してうまく活用することが大切です。
事業者とサラリーマンは「経費の捉え方」が違う
そもそも、事業者とサラリーマンでは経費の捉え方が異なります。
サラリーマンは、基本的に経費は会社が全額負担するため、経費について深く考えることは少ないでしょう。
一方、事業者は、ビジネスで得られた利益に対して税金を納める義務があることから、経費が増えれば、その分納める税金を減らすことができます。
そのため、サラリーマンと事業者とでは、そもそも経費に対する考え方が異なるといえるでしょう。
経費で落ちるとはどういうこと?
経費で落ちるとは、税務上の経費として認められることを意味します。
基本的には、法人も個人も、事業をおこなう際に必要な出費が経費として認められます。
しかし、法人の場合は、交際費に上限やルールがあるため、事業に関連した支出がすべて経費とはならないことにも注意が必要です。
なお、交際費の上限は、下図のとおりです。
交際費の上限(損金算入限度額)
会社規模 | 損金算入限度額 |
---|---|
大企業 | 飲食代等(社内飲食費を除く)の50%まで |
中小企業 | 1 飲食代等(社内飲食費を除く)の50%まで 2 800万円まで ※1と2の有利な方を選択できる |
出典:「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」国税庁
また、交際費のルールの詳細については、「「会議費」と「交際費」の境界線とは?経費にできる範囲や注意点を分かりやすく解説!」でくわしく説明していますので、あわせてご覧ください。
経費を使うと節税になるのはなぜ?
経費を使うと節税になるのは、利益が減少することで納税額を抑えられるからです。
前述のとおり、税額の計算は利益(収入-経費)をもとに計算されます。
ここでは、一例として、法人(税率は15%)のケースをもとに、具体例を用いて説明をします。なお、ここでは計算を簡略化し、わかりやすく解説をおこないます。
単純に、利益が100万円であった場合、100万円×15%=税額15万円となります。
一方、8万円の消耗品を購入した場合、(100万円-8万円)×15%=税額13万8千円となり1万2千円の節税ができます。
このように、経費を増やすと利益が減少するので、納税額が減少します。
経費の「全部」が節税になるわけではない
税額を計算するうえで、経費の全部が節税になるわけではありません。
前述のとおり、利益(収入ー経費) ✕ 税率 = 納める税金となるため、実際に節税できるのは、経費 ✕ 税率の分だけとなります。
また、会社を経営する際には、仕入や人件費、水道光熱費など必ず出費が発生しますが、税務上の経費として認められるためには、一定の要件を満たす必要があり、これを満たしていない部分については損金に算入できません。
また、建物などの資産は、取得価額のすべてを「購入した年度」に「一括」で経費にすることはできず、複数年に分けて経費にしていくので注意が必要です。
なぜ、手元のお金が減るの?
経費は出費をともなうため、この方法で節税をおこなうと「手元のお金が減る」というのは前述したとおりです。
以下の2つの具体例で比較してみましょう。
①単純に利益が100万円の場合
②利益が100万円あり、8万円の消耗品を購入して節税をおこなった場合
このように、出費をともなう節税は、節税しない場合と比較して手元のお金が減ることがわかります。
手元のお金が「減る」節税の具体例
手元のお金が減る節税には、具体的に以下のような方法があります。
それぞれ、手元のお金が減る理由について、わかりやすく解説します。
パソコンなどを購入する
パソコンなどのモノを購入する場合、購入費用で手元のお金が減ったり、1台あたり30万円以上の高価なパソコンだと、購入年度に全額を経費にすることができない場合もあるので注意が必要です。
ただし、30万円未満のパソコンなどを購入した場合は、一定の要件のもとに全額を経費にすることが可能です。
中小企業倒産防止共済などに加入する
中小企業倒産防止共済とは、取引先が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐための制度です。
掛け金は、月額5,000円~20万円までで自由に選択ができ、法人の場合は損金に、個人事業主の場合は経費に算入できます。
正しく使うことで節税と資金繰りの対策ができ、もしものためのリスクヘッジに使える制度であるため、よく使われる節税手法といえるでしょう。
その他の具体例
取引先など、仕事上で付き合いのある人をおもてなしするための「交際費」も、お金が減る節税のひとつです。
具体的には、お中元・結婚祝い・香典などが交際費に含まれます。
しかし、前述のとおり、交際費には上限やルールがあるため、むやみに使っても経費にできない可能性があります。
交際費そのものを否定する必要はありませんが、交際費によってどれぐらい売上があがっているのかなどを勘案し、うまく活用していくことが大切でしょう。
節税のQ&A
最後に、節税についてよくある質問について解説します。
節税は合法ですか?
節税は合法です。
節税とは、法律や制度の範囲内で税負担を軽減する手法なので、違法ではありません。
ただし、利益を実際よりも少なく申告するなどの「脱税行為」は違法になります。
脱税をするとペナルティが課せられるほか、社会的な信用を失うことになりますので注意が必要です。
節税のデメリットはなんですか?
節税のデメリットは、主に次の2つが挙げられます。
・場合によってはお金が残らない
・純資産が増えない
経費を使えば利益が減少し、納税額は少なくなりますが、経費に使う際にも出費をともなうため、結果として手元に残るお金は少なくなります。
また、利益が少なくなれば、会社の体力を表す純資産を増やせません。特に、純資産が少ない会社は、赤字が出ると債務超過になるリスクがあるので注意が必要です。
まとめ
この記事では、「節税の基礎知識」や「お金が減る節税」について解説しました。
特に重要な点は、以下の3つです。
・節税には「お金が残る節税」と「お金が残らない節税」がある
・場合によっては経費として認められない
・節税そのものは合法
むやみに経費を増やそうとするのではなく、節税についての理解を深め、手元の現金や純資産のバランスも加味しながら、うまく利用していくことが重要でしょう。
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