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所得とは?収入との違い・所得税の計算方法を解説!

2021年9月29日
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所得

所得税法には「所得」と「収入」という用語があります。毎月発行される給与明細書には「所得」と「収入」の金額が書かれているはずです。一般的な会社員の場合、年収は税法上では収入となります。

では、所得と収入の違いとは何なのでしょうか?この記事では所得と収入の違いについて解説していきます。

所得と収入の違いとは?

税金を計算する際、「所得」と「収入」は区別されます。

所得とは?

所得とは、収入から必要経費を差し入た金額のことです。住民税の計算は、所得で行います。

収入とは?

収入とは、会社からもらった給与のことです。また、店舗などを経営している場合は、売上げが収入になります。収入からは、住民税を計算することはありません。

一般的な会社員にとっての所得と収入

一般的な会社員の場合、必要経費を個別で計算するのではなく、一定の式にあてはめて、収入から所得を算出します。給与の収入から差し引く必要経費に該当するものを「給与所得控除」といいます。

なお、年金を受けている方の場合も、一般的な会社員同様、一定の式にあてはめて、収入から所得を算出します。年金の収入から差し引く必要経費に該当するものを「公的年金等控除額」とよんでいます。

給与所得とは?

給与所得とは、勤務先から受け取る給与による所得のことです。つまり、源泉徴収前の給与や賞与などの収入金額から給与所得控除を差し引いた金額が給与所得となります。「給与の金額-給与所得控除=給与所得」という算式で給与所得を算出できます。所得税の金額は、この給与所得金額に基づいて算出されます。

収入金額に含まれるもの

収入金額には、金銭で受け取る給与や賞与に加えて、現物なども収入金額に含まれます。具体的には次のようなものが含まれることがあります。

・会社の商品や製品などを無償、もしくは低価格で受け取った場合
・会社の所有する土地や建物を無償、もしくは低価格で借りていた場合
・会社から金銭を無利息、もしくは低金利で借りていた場合

給与所得控除とは?

給与の金額から差し引く給与所得控除とは、法律で定められている必要経費にかかる金額のことです。個人事業主の場合は、売上から実際に支出した経費の金額を差し引く「事業所得」をもとに所得が計算されますが、給与所得の場合は、すでに経費の金額が定められているということになります。なお、給与所得控除の金額は、受け取る給与の金額によって次のようになっています。

給与金額 給与所得控除
~162.5万円 65万円
162.5~180万円 収入額×40%
180~360万円 収入額×30%+18万円
360~660万円 収入額×20%+54万円
660~1,000万円 収入額×10%+120万円
1,000~1,200万円 収入額×5%×170万円
1,200万円~ 230万円

給与所得に対する所得税の計算方法とは?

上記の算式から給与所得を算出した後、所得控除を差し引き、その金額に一定のパーセントをかけると所得税の金額を算出できます。つまり、「(給与所得-所得控除)×所得税率=所得税の金額」という計算式となります。

この計算式の所得控除には、年間で支払った社会保険料の金額や生活保険料の金額などの一定の金額が含まれます。具体的には、次のようなものが所得控除に該当します。

・社会保険料控除
健康保険料や厚生年金の保険料などの金額が、社会保険料控除の対象となります。

・生命保険料控除
年間で支払った生命保険料の合計金額から、最大12万円まで生命保険料控除と受けることができます。

・地震保険料控除
年間で支払った地震保険料の合計金額から、最大5万円までを地震保険料控除として受けることができます。

・配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除など
配偶者がいる人は38万円、扶養している親族がいる場合は1人あたり38万円まで控除を受けられます。なお、16歳未満の扶養家族の場合は児童手当をもらっているので、扶養控除は対象外となります。

・医療費控除
年間の医療費が10万円を超えるなど、すでに定められている要件に該当するなら、医療費控除を適用することができます。なお、医療費控除をする場合は、確定申告をする必要があります。

・雑損控除
雑損控除とは、住宅や家財、現金など生活に必要なものが災害や盗難、横領などに遭った場合、雑損控除の対象となります。なお、振り込め詐欺などの詐欺は対象外となっています。

給与所得者の特定支出控除とは?

給与所得控除額は、経費として使用したかどうかに関係なく控除されます。しかし、給与所得控除額の半分以上の経費が支払われた場合は、その超えた部分に関して確定申告で控除することが可能です。なお、収入が1,000万円を超える場合は、110万円までとなっています。

特定支出控除の対象となっているのは、次のようなものです。

・通勤費
通勤に必要な電車、地下鉄、新幹線、バスなどの定期代などの通勤費

・転居費
会社の辞令による転勤のための引っ越しにかかった費用

・研修費
会社の業務に直接必要な知識や技術を習得するために受けた講習や研修代

・資格取得費
会社の業務に直接必要な資格を取得するための資格取得費(公認会計士、弁護士、税理士などの資格も対象)

・単身赴任者の帰宅旅費費
単身赴任をしている社員が自宅に帰宅する際に発生する交通費

・勤務費用経費
会社が業務上必要と認めた交際費、衣服費、図書費(65万円が上限)

所得控除を受けるには?

所得控除を受けるためには、年末調整や確定申告をする必要があります。保険に加入している場合は、毎年保険会社から郵送される「控除証明」を勤務先に提出する必要があります。

配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除を受けたい場合は、「扶養控除申告書」を記入し、勤務先に提出する必要があります。医療費控除については、医療費を証明する領収書やレシートなどの提出が求められています。

それぞれの控除によって、必要となる提出書類は異なっていますので、事前に確認しておかれることをおすすめします。なお、扶養控除申告書の場合は、年中に家族に異動が生じたときは、新たに扶養控除申告書を提出しなければいけません。

年収103万円以下までは税金がかからない理由とは?

「年収103万円までは、税金がかからない」という話を聞いたことがある方は多いことでしょう。でも、その理由について知らない方は、少なくありません。なぜ年収103万円以下までは税金がかからないのでしょうか?

それは、収入から必要経費である給与所得控除を差し引いたものが所得であることを考慮するなら、その仕組みについて理解することができます。

この「103万円」は、「収入-必要経費=所得」の算式に当てはめるとすると、「収入」にあたります。必要経費となる給与所得控除は、収入が161万9,000円未満の場合は、65万円と定められています。これらをもとに計算式をあてはめてみると、「103万円(収入)-65万円(必要経費)=38万円」となります。

また、令和2年以降は38万円から48万円へと法改正されましたが、同じように算式をあてはめてみると「103万円(収入)-55万円(必要経費)=48万円」となります。

所得控除には様々な種類がありますが、すべての人に適用されるのは「基礎控除」です。この基礎控除額は、38万円(48万円)と決まっています。したがって、所得が38万円(48万円)以下であれば、基礎控除が38万円(48万円)差し引かれると、課税所得が0円になため、課税の対象とはなりません。

所得の種類について

ここまで給与所得について解説してきましたが、所得税法では所得が10種類に区分されています。
最後に10種類の所得の概要を簡潔にご紹介します。

1、利子所得
利子所得とは、金融機関の利子や公社債の利子、貸付信託や公社債投資信託の収益の分配などから得る所得のことです。

2、配当所得
配当所得とは、株主や出資者が株数に応じて法人から受ける余剰金の配当金や、投資信託の収益分配などから得る所得のことです。

3、不動産所得
不動産所得とは、土地や建物などの賃貸で得た所得のことです。

4、事業所得
事業所得とは、個人事業主やフリーランスなどが事業で得た所得のことです。これには商業、工業、農業、漁業、自由業など業種を問わず、事業から生じる所得が該当します。

5、山林所得
山林所得とは、5年を超えて山林を伐採して売却したり、もしくは立木のまま譲渡し得た所得のことです。

6、譲渡所得
譲渡所得とは、土地や建物などの不動産屋、ゴルフ会員権などの資産を売却して得た利益のことです。

7、一時所得
一時所得とは、生命保険の満期保険、投資信託の収益の分配などで得た所得のことです。

8、給与所得
前述した通り、給与所得とは勤務先から受ける給与、賞与などです。

9、退職所得
退職所得とは、退職金や一時金のことです。

10、雑所得
雑所得とは、上記の9つの所得に該当しない所得のことです。

参照:国税庁「所得区分のあらまし」

まとめ

所得と収入の違い、給与所得の計算方法などについてみてきました。給与所得と給与収入は間違えて理解しやすい用語ですが、給与所得の金額は、実際に受け取った給料の金額から給与所得控除や特定支出控除などを差し引いて算出します。

そして、給与所得の金額が所得税の金額を左右します。ですから、給与を受け取る側は、源泉徴収票を会社からもらう際には、これらのことを念頭に入れて確認することができるでしょう。

また、従業員の給与を計算する経理担当者は、所得と収入について、また計算方法についてしっかり理解しておくようにしましょう。給与の計算方法や税金などについて分からないことや疑問がある場合は、専門科とも言える税理士に相談することもひとつの方法です。

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