「e-Gov(イーガヴ)」とは?電子政府の総合窓口で出来ること!
「e-Gov(イーガブ)」は、政府が運営する「電子政府の総合窓口」です。「e-Gov」を利用すれば、行政情報を共有できたり、オンライン上で行政手続きをすることができます。
この機会に「e-Gov」をビジネスや日々の生活に上手に活用してみるのはどうでしょうか?この記事では、e-Govの基本情報や活用方法などについて詳しく解説していきます。
目次
「e-Gov(イーガブ)」電子申請とは?
電子申請とは、現在紙面で行われている申請や届出などの行政手続きを、インターネットを利用して自宅や会社のパソコンを使ってオンライン上で行うことです。e-Gov電子申請は、総務省管轄の行政情報のポータルサイトとして、各府省が所轄する様々な行政手続きを行えます。
特に法人や個人事業主など人事労務担当者にとっては、労働保険や社会保険、算定や年度更新などの年次業務などの諸手続きを電子申請するなら、業務の効率化につながります。
参照:トップe-Govポータル
参照:厚生労働省「電子申請(申請・届出等の手続き案内)」
e-Govの基本的な考え方「電子政府構築の原則」とは?
政府は、e-Govを構築するにあたり、「電子政府構築の原則」を政府と国民の上に目標として掲げました。その原則とは、次のようなものです。
1、国民にとって使いやすくて分かりやすい、高度な行政サービスを提供する
2、政策に関して透明性を確保し、説明責務の履行と国民の意見提起の機会を確保する
3、誰もが使いやすいユニバーサル・デザインを確保する
4、業務効率の向上を徹底的に追求する
5、民間の専門家や委託を活用する
6、情報システムの安全性と信頼性を確保する
7、国の行政機関以外の機関との連携や国際連携を確保する
8、電子政府を推進することで、活力のある社会形成へと配慮する
政府は、この8つの原則に基づいて電子政府を構築することを目標として掲げました。つまり、電子政府を構築することで、効率的で透明性の高い行政サービスを提供し、行政手続きや業務の効率化を図ることを目指しています。
例えば、通常、公的な手続きをするためには、書類を作成し、それを提出するために役所などに出向く必要があります。しかし、電子政府があれば、24時間365日、自分の好きなタイミングで行政サービスを受けることができます。
また、各公共機関の業務も電子化することで、無駄な手続きや人材コストなどにもつながります。その結果、税金をより効果的に使用することも可能となります。では、e-Govを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
e-Govを導入するメリットとは?
e-Govは、政府と国民の接点として位置付けられている電子システムです。両者を効率的につなげるためのシステムが整っています。そのおかげで、次のようなメリットを得ることができます。
メリット①行政の情報をスピーディーに提供
書面で行政の情報を公表することには、タイムラグが発生していました。しかし、行政の情報をe-Govに掲載するなら、国民にスピーディーに情報を提供することができます。
メリット②行政手続きがネット上で完結
e-Govは、国税庁の国税電子申告・納税システム(e-tax)、法務局への登記・供託オンライン申請システムなどの各府省の電子申請システムと統合しています。そのため、ワンストップですべての行政手続きオンライン上で完結することができます。
また、インターネットバンキングやモバイルバンキングなど、保険料を電子納付することもできますし、支払い履歴もデータで残るので精算の手間を省くことも可能となります。
メリット③時間と場所を選ばず24時間いつでも申請が可能
e-Govを利用すれば、時間や場所を選ばず、自分の好きなタイミングで24時間いつでも申請することができます。在宅勤務の方でも作業ができますし、遠方の支社への手帳も申請することができます。また、役所などに足を運ぶことなく申請できるので、時間や手間を省けます。
メリット④業務の効率化
e-Govは利用者側のメリットだけでなく、行政側にとってもメリットがあります。その中のひとつが、業務の効率化です。各府省で共通の業務をひとつのシステムで管理することができれば、複数の府省で重複して業務をする必要がなくなります。その結果、処理の時間が短縮され、業務の効率化につながります。また、人材コストの削減にもなります。
e-Govでできることとは?
e-Gov電子申請システムでは、次のようなことを行うことができます
①申請や届出などの行政手続き
e-Govを利用して、各府省が所轄する様々な行政手続きについて、申請や届出などの行政手続きをまとめて行うことができます。紙で行う行政手続きと比べるなら、よりスピーディーに効率よく手続きを進めることができます。
また、紙の書類の場合は、郵送するなどの手間や郵送コストなどがかかりますが、e-Govを利用すれば削減することができます。人事労務担当者であれば、社会保険関連の手続きや雇用保険証などの送付もe-Govで済ませることができるので、業務の効率化につながります。
②調べる
e-Govを利用して、様々なことを調べることができます。例えば、憲法や法律、政令、規則など、現在日本で実効力をもってる法令についてオンライン上で調べられます。また、「行政手続き案内検索」を利用すると、それに関する行政手続きが表示されます。
例えば、各府省の予算情報、公文書の情報などもオンライン上で調べることができます。その他にも、行政の情報が公開されていますので、施設などにわざわざ足を運ばなくても簡単に情報を得られます。
③政府への意見や要望を提出できる
e-Govを通して、各府省の政策など政府に意見や要望を提出することができます。国民が政府に関心を持つ、よいきっかけとなります。また、公共機関が新しい規則や命令などを定める時に、国民に意見を求めるための「パブリックコメント」という制度がすで実施されています。
パブリックコメントでは、個人の意見を提出したり、結果を閲覧することもできます。意見の締め切りが終わった案件でも閲覧することが可能です。行政政策分野ごとにカテゴリで分類されていますので、興味や関心のある分野を簡単にチェックできるようになっています。
e-Govでできる手続きと申請方法について
e-Govでできることのひとつである申請手続きには、大きく4つに分類することができます。個人でも手続きすることが可能ですが、ここでは経営者や人事労務担当者にとって役立つ手続きについてご紹介します。
①被保険者に関する申請と手続き
従業員が入社したとき、「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の3つをまとめて申請することができます。健康保険と厚生年金は入社日から5日以内、雇用保険は入社日の翌月10間までに提出する必要があります。
また、従業員が退職したときは、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」の申請をまとめてすることができます。
②保険料算定に関する申請と手続き
賞与支給をするとき、「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表」の2つの申請をまとめてすることができます。それぞれ支給日から5日以内に提出する必要があります。
また、定時決定のときは「健康保険・厚生年金保険CSV形式届書総括票 」「健康保険・厚生年金保険被保険者算定基礎届総括表 」「健康保険・厚生年金保険被保険者算定基礎届 」の3つをまとめて申請できます。これらは7月1日から7月10日までに提出する必要があります。
③労働保険年度更新に関する申請と手続き
年度更新のときには、「労働保険年度更新申告」の申請が行えます。提出期限は6月1日から7月10日までとなっています。
④労働保険関係成立に関する申請と手続き
保険関係が成立したときには、「労働保険保険関係成立届」「労働保険概算保険料申告」の2つをまとめて申請できます。労働保険保険関係成立届は、保険関係成立日から10日以内、 労働保険概算保険料申告は、保険関係成立日から50日以内に提出しなければいけません。
e-Gov電子申請を始めるためには事前準備が必要!
e-Gov電子申請の目的やメリット、出来ることなどを理解したなら、e-Gov電子申請を始める前の事前準備に入りましょう。
①電子証明書を取得する
電子申請の申請書などに電子署名をする際、電子証明書が必要となります。電子証明書を取得するためには、まず行政機関から必要書類を取得しなければいけません。必要書類は、「申請者の住民票」「申請者の印鑑証明書」「所属企業の代表者の印鑑証明書」「商業登記簿謄本」の4点です。
その後、電子証明書の利用申込書に記入し、必要書類4点と一緒に認証局へ郵送します。審査に通過すると、認証局から「電子証明書格納済みのICカード」「暗証番号」「電子証明書受領書」「ICカードリーダー」「料金請求書」の5点が送られてきます。
受領書に記入をして返信し、送られてきた請求書の金額を支払い、手続き完了です。取得までは、通常1~2週間ほどかかります。
ちなみに、電子証明書の有効期間は、発行する認証機関ごとに異なっていますが、公的個人認証サービスの有効期間は3年間となっています。有効期間満了日の3ヶ月前から更新手続きをすることができます。
②パソコンの環境設定をする
e-Gov電子申請は、どのパソコンにも対応しているわけではありません。そのため、利用する事前準備として、パソコンの環境設定する必要があります。チェックしたい項目は、パソコンとブラウザソフトの確認、電子証明書の確認、Javaの確認、ブラウザの設定確認、信頼済みのサイトとしての登録確認、e-Gov電子申請用プログラムの確認が挙げられます。
具体的には、OSはWindows7・Windows8.1・Windows10のいずれかで日本語をインストールしている、ブラウザはInternetExplorer11・Firefox59~・Chrome66~、CPUは1GHz以上、搭載メモリは2GB以上の対応環境が必要です。ちなみに、MACには対応していません。
Internet Explorerを利用する場合は、「信頼済みサイト」の登録確認が必要となります。(chromeやFirefoxを利用されている方は不要)この登録をしないと、電子申請をする際に警告メッセージが表示され、動作に不具合が生じますので忘れずに確認しましょう。
すべてパソコンの環境設定が整ったら、e-Gov公式サイト「e-Gov電子申請アプリケーションインストーラのダウンロードページ」から、「e-Gov電子申請アプリケーション」をインストールし、完了です。
2020年から大企業はe-Gov電子申請が義務化に!
2020年4月1日(令和2年度)から、雇用保険や労働保険などの一部の手続きは、e-Gov電子申請による申請と届出が義務化することに政府は決定しました。ただし、e-Gov電子申請の義務化の対象となっているのは、資本金、もしくは出資金が1億円以上の大企業のみです。
よって、条件を満たした該当する企業は、対象の手続きである「被保険者資格取得・喪失届」「被保険者転勤届」「概算保険料申告書」「高年齢雇用継続給付支給申請」など一部の手続きを、すべて「e-Gov電子申請システム」を利用して行うことが義務化されました。すでにみたように、e-Govを利用するにため事前準備が必要です。電子申請が義務付けられていない企業でも、「e-Gov」の導入を検討している場合は、余裕をもって準備を始めるようにしましょう。
在宅ワーク・リモートワークの効率化につながる「e-Gov」
新型コロナ感染症の影響で、在宅勤務を実施している企業が増えました。それにより、以前にましてペーパーレス化や電子化の導入が加速しています。すでに2020年1月から条件を満たしている企業は、電子申請による手続きが義務化されていますが、中小企業など「e-Gov」を導入していな企業はまだまだあります。
しかし、在宅勤務やリモートワークが主流になっている今、「e-Gov」が注目されています。電子化にすることで、社内全体の業務の効率化を期待できます。まだ「e-Gov」を導入していないのであれば、この機会に検討してみる価値があるでしょう。
まとめ
e-Gov電子申請を利用すれば、利用者側である国民や運営者側である政府の双方にとってメリットのあるシステムです。個人としてはもちろん、法人や個人事業主の方も経営をしていく上で、効率的に役立つサービスとなっています。
2020年4月1日からは大企業はe-Gov電子申請の利用の義務付けの対象となりました。今後、義務化の対象となる範囲が広がることが予想されます。
e-Gov電子申請を利用するためには、事前準備には手間がかかるかもしれませんが、一度パソコン環境を整えてしまえば、その後、ずっとe-Gov電子申請の利用で業務を効率よく行うことができます。
e-Gov電子申請が義務付けられている大企業はもちろん、まだe-Gov電子申請を利用していない方は、この機会に経営や業務の効率化のために利用を検討してみられるのはどうでしょうか?
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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