財務会計とは?その役割や管理会計との違いなど財務会計の基礎知識
みなさんは、「○○企業が決算報告を発表しました」というニュースをテレビなどで見聞きしたことはありませんか?この決算報告の際に行われているのが、企業会計のひとつである「財務会計」です。そして、企業会計は、「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されています。この記事では、財務会計の役割や管理会計との違いなど、財務会計の基礎知識について分かりやすく解説していきます。
目次
企業会計とは?
会計業務は、企業を経営していく上で、必要不可欠な業務のひとつです。会計業務つまり企業会計には、遵守することが義務付けられているルールや規則があります。それを「企業会計原則」といいます。企業会計は、「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されているため、これらを理解するためには、まずその前提となる企業会計原則を理解することが必要です。
企業会計原則とは?
「企業会計原則」とは、1949年に企業会計制度対策調査会が公表した会計基準です。企業ごとに行われる会計に、同じ基準を用いることで比較できるようにすることを目的としています。現在、企業会計原則の3部のうちのひとつである一般原則には、7つの原則が定められています。7つの原則とは、次のようなものです。
①真実性の原則
企業の財政状態と経営成績に関して、常に真実は報告をしなければならない
②正規の簿記の原則
正規の簿記の原則に従って、すべての取引きを正確な会計帳簿に作成しなければならない
③資本利益区別の原則
資本取引と損益取引を区別し、資本剰余金と利益剰余金を混同してはいけない
④明瞭性
財務諸表で必要な会計事実を利害関係者に表示し、企業の経営状況に関して誤った判断をさせてはいけない
⑤継続性の原則
処理の原則及び手続きを毎期継続、適用しなければならない
⑥保守主義の原則
企業の財政に不利な影響を及ぼす場合は、それに備えて適正な会計処理をしなければならない
⑦単一性の原則
株式総会提出や信用目的などのために財務諸表を作成する必要がある場合、信頼できる会計記録に基づいて作成し、事実を曲げてはいけない
企業会計の概要
一般的に言われている「会計」とは、お金のやり取りなどの経済活動を記録することです。そのひとつとして、企業の財務状況を把握した記録が「企業会計」です。そして、企業会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されています。
財務会計とは、主に外部の公表することを目的として作成されます。一方、管理会計とは、自社(企業)の財務状況を把握することを目的とし、会計を通して自社の経営状況を分析するために作成されます。では、財務会計と管理会計について、さらに詳しくみていきましょう。
財務会計とは?
財務会計とは、株主や金融機関をはじめとする外部の利害関係者に、経営状態をを把握してもらうために作成する会計のことです。つまり、外部報告のために開示する会計といえます。作成する際には、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書など決算時に統一基準による作成される財務諸表をもとにして行われます。
また財務会計は、金融商品取引法や会社法などの各種法律や、会計基準に基づいて算出することが基本とされています。
財務会計の2つの役割
財務会計には、「情報提供機能」と「利害調整機能」という2つの役割があります。それぞれの役割について詳しくみていきましょう。
役割その①情報提供機能
情報提供機能とは、財務諸表等による企業の経営に関する現状を、利害関係者に報告することを目的とした機能です。株主や金融機関などの利害関係者は、企業がどのような財務状況であるか把握する必要、つまり権利があります。資産や負債をはじめとし、借入金、利益の配当など、特に企業の財政状態や経営成績に関する情報が最も重要な項目となります。
役割その②利害調整機能
利害調整機能とは、企業の利害関係者などに明確な配当計画などを公開し、利害を調整をするための機能です。主に経営者と株主の間での利害、また株主と債権者の利益などを調整します。経営者は、株主から会社の経営を任され、任された企業の利益を最大化する責任があります。
しかし、自分の利益を優先してしまうことも生じえます。その際、経営者と株主との間で利害の対立を未然に防ぐために、財務会計を用いて利害調整を図ります。また、株主と債権者は、双方とも企業の収益から恩恵を受ける権利があります。しかし、利益の配分方法などが原因で利害関係が生じることもあります。
さらに株主は利益が出れば配当を受け取れますが、債権者は経営に直接参加していないため、利息の徴収等での利害関係にあたります。このように双方で対立が起こるケースがあるため、この対立関係を調整するために財務会計が活用され、利害調整の働きの役割を果たします。
3つの財務会計
財務会計には、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3種類あります。そして、これら3つを合わせて「財務諸表」と呼んでいます。上場企業の場合、財務諸表を3ヶ月に1回(四半期ごと)に公表し、1年に1回の決算日には、1年分の財務諸表を作成することが義務となっています。
・貸借対照表
貸借対照表とは、企業の資産・負債・資本を表したものです。会計期間末時点における企業の資産・負債・純資産の財務状態を表すことを目的として作成されます。例えば、貸借対照表の借入金を見れば、会社の財政状況を把握することができますし、売掛金や棚卸資産などからは、会社の活動状況を読み取ることが可能です。
・損益計算書
損益計算書とは、企業の利益や損益を把握できる書類です。会計期間内における企業の経営成績を表すことを目的として作成します。
・キャッシュフロー計算書
キャッシュフローとは資金の流れのことで、キャッシュフロー計算書とは現金の流入と流出を表示した書類です。キャッシュフロー計算書を確認することで、会社の経営の性質を読み取ることができます。
管理会計とは?
管理会計とは、自社の財務状況を把握するために作成する、社内向けの会計のことです。英語名「Management Accounting(管理会計)」の通り、管理会計は、マネジメントするための会計を意味しており、経営に役立つために使われます。
実際、経営者は、管理会計を参考とし、自社の経営について分析したり、製品や人事に関しての決定や施策を打ったりするために活用します。管理会計は基本、社内でしか使用しないため、データの収集方法やフォーマット、記載などに関しての規則やルールなどはありません。期間も規定されていないので、各企業が自社にあった期間で作成することができます。
具体的には、週単位、月単位、年単位などの運用しやすい期間で作成します。また、管理会計の作成は義務付けられているものではなく、任意で行うものです。したがって、管理会計を導入していない企業もあります。
会計管理の「予算管理」と「原価管理」
会計管理は、「予算管理」「原価管理」などで成り立っています。どのような内容なのかみていきましょう。
予算管理とは?
予算管理とは、来年度もしくは中長期的な期間で、会社の予算を管理しながら経営していくことです。経営に必要不可欠な人材、物資、資金などの資源をどのくらい調達すればよいのかを把握することができます。予算と同時に実績を把握し、管理することで、実際的なプランを立てることが可能です。
このように会計管理を導入することで、次の目標と立てたり、自社を分析しやすくなったり、課題に向けて調整したりなど、経営感覚を磨くことができます。
原価管理とは?
原価管理は、主に製造業に導入されている仕組みです。材料費、人権費、設備費などの原価を把握することが必要です。そして、1つの製品を作るためにどのくらいの原価をかけるのか、と具体的な目標となる標準数値を設定し、一番最適な原価を探ることを目的としています。つまり、無駄なコストを把握することで、コスト削減につながります。
まとめ
財務会計を中心に、企業会計についてみてきました。「企業会計」は、「財務会計」と「管理会計」の2つに大きく分類されています。財務会計は外部報告のために開示する会計であるのに対し、管理会計は社内向けの会計として作成されます。
また、財務会計は「情報提供機能」と「利害調整機能」という2つの役割のため、管理会計は自社の経営について分析したりするために作成されます。双方とも利用用途はもちろん、作成される目的も異なります。ですから、経営者は、是非、双方の目的や違いをしっかり理解しておくようにしましょう。
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