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給与計算とは?計算の手順や計算時に注意すべきポイント!

2020年10月12日
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経理にとって重要な仕事のひとつである「給与計算」。従業員の給与を確定し、支払う業務には、ミスや遅れは絶対に許されません。労働の対価として給与を支払うことは、雇用主に課せられている義務です。

給与計算には、税金の計算や法律に基づいて残業代や保険料の計算もしなければいけません。今回は、給与計算の仕事内容や計算手順、注意すべきことなどについて解説していきます。

給与計算とは?

給与計算とは、社員や契約社員など従業員の毎月の給料を計算することです。給料の総支給額、控除額、手取り額を計算します。従業員に給与を支払うことに加え、源泉徴収した税金や保険料などを各関係機関へ支払うことも業務に含まれます。

雇用主と労働者は、労働の対価として給与を支払うという労働契約で結ばれています。つまり、給与は、従業員に対する報酬なので、計算ミスや支払いが遅れるなどのミスは絶対に許されません。従業員に給与を支払うことは、とても重要な業務のひとつなのです。

給与を構成する項目

給与は主に、「支給額」と「控除額」で区分されています。支給額とは、従業員へ支払う給与のことです。

【支給額】
・基本給
基本給とは、基本となる給与のことです。基本的に、月ごとの変動はありません。一般的には、年齢、勤続年数、職種によって決まりますが、基準は各企業によって異なります。

・法律上必ず支給すべき手当
残業手当、深夜残業手当、休日出勤手当は、法律上必ず支給すべき手当として定められています。

・企業独自のルールで支給する手当
役職手当や家族手当、住宅手当など、上記以外の各種手当は、各企業が自由に決めることができます。

【控除額】
また、控除額とは主に4つ、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税のことです。これらは雇用主と従業員が折半して負担するものと、従業員のみが負担するものがあります。給与計算担当者は控除額を計算し、給与から源泉徴収します。その後、税務署や年金事務所などに支払います。

このように給与計算では、従業員の給与額を計算すると同時に、国に納める税額や保険料額も計算し、それらを支払う義務があるため、とても重要な業務のひとつとされています。

給与計算のミスは許されない!

先述したように、雇用主と労働者は労働契約を結んでいるため、契約を履行するために計算ミスは許されません。また、給与は労働者の生活の糧となる重要なものです。ですから、支給額のミスや支払いが遅れるなどのミスは許されない行為です。

万が一、支給額にミスがあった場合は、会社の信頼を失ってしまうことでしょう。また、支給額のミスだけでなく、国に納める税金や社会保険料の計算のミスも許されません。これらは公的手続きで、特に税金の場合は、税額を間違えると追徴課税などのペナルティが発生し、本来の額よりも多くの額を支払うことになる可能性があります。

このようなミスを回避するためにも、給与計算担当者は、労働基準法や税法などの専門的な知識を身につけておくことができるでしょう。

給与計算に必要なもの

給与計算をする際、次のものを事前に準備しておくなら、業務の効率化につながります。

【就業規則・給与規定】
従業員を常時10人以上使用している企業には、従業が働く上でのルールや条件を定めた「就業規則」を労基署に提出することが義務付けられています。従業員が10人未満の場合は、修業規則の作成と提出義務はありませんが、作成することで生じるかもしれないトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

給与に関しての条件は、主に就業規則に定めているケースと、それとは別途に「給与規定」として定めているケースもあります。給与計算をする際には、その規定に従って給与計算を行います。

給与規定には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、定められていれば記載する必要のある「相対的必要記載事項」、その他の「任意的事項」の3つで構成されています。必ず記載しなければならない項目とは、次のものです。

・始業と就業時刻、休憩時間、休日などの労働時間に関する項目
・給与の決定、計算方法、支払方法、締日、支払日などに関する項目
・退職に関する項目

これらの項目は、規則に必ず定めなければならない規定ですが、昇給に関する事項も定めておくなら、生じうるかもしれないトラブルを回避することができます。具体的には、昇給の有無、昇給がある場合の条件、どの時期に昇給するかなど、どのような理由で給与が上がるのかを明確にしておくことができるでしょう。

【従業員の情報】
給与計算をする際には、従業員の情報も欠かせません。なぜなら、勤続年数や役職、職種などによって、基本給や手当が異なるからです。また、住んでいる場所や家族構成なども各種手当が変わってきます。ですから、常に最新の情報を入手しておくことはとても大切です。

【保険】
各種保険は、法律で定められている条件に該当するなら、加入義務が生じます。正社員だけでなく、パートやアルバイトなど雇用形態問わず、条件を満たしているなら加入しなければいけません。加入すべき保険とは、次のものです。

・健康保険、厚生年金保険(社会保険)
健康保険と厚生年金保険は、いわゆる社会保険のことです。加入対象者は、1週間の労働時間が30時間以上、もしくは、従業員501人以上の企業の場合は1週間の労働時間が20時間以上のいずれかに該当する従業員となっています。

・介護保険(社会保険)
介護保険は、原則、40~64歳までのすべての従業員、役員に加入義務があります。

・雇用保険(労災保険)
雇用保険は、①31日以上継続して雇用される、②1週間の労働時間が20時間以上の予定、の2つの条件を満たした従業員が加入対象となります。

・労働保険(労災保険)
労働保険はすべての従業員が加入対象となっています。保険料は全額雇用主が負担します。

【勤怠データ】
給与計算には、各従業員の労働時間を知るために勤怠データが必要となります。

給与計算の手順

給与計算の準備が整ったら、給与計算です。給与計算は、「総支給額-控除額=差引支給額」で求めます。では、どのような手順で進めればよいのでしょうか?流れをひとつづつみていきましょう。

ステップ1:総支給額の算出
就業規則・給与規定で定められている基本給と、各種手当、勤怠データを基に給与の総支給額を計算します。残業代や深夜手当、休日出勤手当に関しては、「休日出勤手当=時間外労働労働の時間数×1時間当たりの賃金×割増率」という計算式で求めます。

1時間当たりの賃金は、「1時間当たりの賃金=月給÷1ヵ月当たりの平均所定労働時間」で求めることができます。割増率に関しては、労働時間に基づいて次のように算出します。

・時間外:1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える場合:割増率25%以上
・深夜:22時から翌朝5時までの労働時間:割増率25%以上
・休日(法定):法定休日(週1日)の労働時間:割増率35%以上
・休日(法定外):定めている休日の労働時間:0%

ステップ2:保険料・税金・その他の控除額の算出
続いて、保険料や税金などの控除額の計算です。なお、所得税は、前年度の所得を参考にしながら、おおよその金額を算出し源泉徴収します。その後、年末調整で正確な所得税額を精算し、還付もしくは追徴で調整されます。

【保険料】
・社会保険料(健康保険・厚生年金保険)
健康保険料と厚生年金保険料などの社会保険料は、雇用主と従業員の双方で負担します。従業員の負担額は、「標準報酬月額×保険料率÷2」という計算式で算出します。

標準報酬月額とは、賃金額のことです。健康保険の場合は50の等級、厚生年金保険の場合は31の等級で区分されています。等級に区分する前の賃金額には、基本給をはじめとした各種手当も含めます。

・介護保険
介護保険料も社会保険料同様、雇用主と従業員の双方で負担します。従業員(40歳以上~65歳未満)の保険料負担額は、「標準報酬月額×保険料率÷2」という計算式で求めます。なお、保険料率は、加入している医療保険によって異なります。

・雇用保険
雇用保険料は、雇用主が6割、従業員4割負担します。一般事業における従業員の雇用保険料の負担額は、「雇用保険料=1ヵ月の総支給額×3/1,000」という計算式で求めます。

【税金】
・所得税
所得税は所得に課せられる税金です。給与計算担当者は、従業員の給与から所得税を源泉徴収します。所得税は、「所得税=課税所得×税率」という計算式で求めます。

課税所得は、「課税給与所得=支給額(基本給・残業代・課税対象の手当)-(社会保険料など)」という計算式で求めます。各種手当は、課税対象と非課税対象のものがあります。支給額を計算する際には、手当から非課税の手当額を含めずに求めます。

なお、所得税は1年間の所得税額に応じて、正確が額が決定します。したがって、月々の給与から源泉徴収する所得税額はあくまでも見込みの額であり、年末調整において精算します。

・住民税
住民税は、従業員が各市区町村に納付する税金です。住民税は、前年の給与をもとに計算され、所得税同様、雇用主は毎月の給与から源泉徴収されます。住民税額に関しては、毎年5月に市区町村から送付される納付書(6月~翌年5月までに12ヶ月分)に記載されている住民税額を給与から差し引きます。そして、各市区町村へ納付する「特別徴収」での納税が法律で定められています。

ステップ3:総支給額から控除額を差し引き、手取り額を決定
ステップ1で算出した総支給額から、ステップ2で算出した控除額を差し引き、従業員に支払う手取り額を決定します。このときに、計算ミスがないかをしっかりチェックしましょう。

ステップ4:事務処理
続いて、給与明細の作成や賃金台帳の記入などの事務処理を行います。賃金台帳とは、労働基準法で作成と保管が義務付けられている書類のひとつで、従業員の支払い状況を記載するものです。

ステップ5:給与の支給と各機関へ納付
確定した給与が、給与支給日に支払えるように手続きをします。所得税や住民税などの税金類は、給与を支払った翌月10日までに管轄地区の税務署へ納付することが義務付けられています。社会保険料に関しては、各機関から納入通知書が届きますので、それに基づいて月末までに支払いを済ませます。

給与計算に求められるものとは?

先述したように、給与計算は単純な事務作業ではなく、税金や社会保険料を徴収し、納税する作業まで含まれている大事な業務です。税金や社会保険料は公的な手続きなので、国の事務を代行していると言っても過言ではありません。そのため、給与計算担当者には、専門的な知識やミスのない正確性が求められています。

正しい法律の知識と仕組みの理解

給与から所得税や住民税を源泉徴収、従業員に代わって税務署や自治体に納付することまでが給与計算担当者の仕事です。税金類に加え、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料に関しても、社会保険料事務所や健康保険組合に納付しなければいけません。

これらは法令によって定められている規定なので、それに基づいて処理する必要があります。そのためには、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、税法などの法律の専門的な知識を得て、その仕組みを理解することが欠かせません。また、労働法令は、毎年のように法改正があるため、それに順応に対応していく能力も求められています。

正確性も必須!

給与計算担当者には、雇用主と従業員が結んだ労働契約を守る一端を担っています。従業員に正確な給与を支払うことがもちろん、徴収する税金や保険料の額にも影響を与えます。したがって、ミスの許されない正確性が必要とされています。

まとめ

給与計算は、従業員に正しい給与額を計算し支給するのと同時に、正しい税金額や保険料を算出して納める公的手続きまでが業務です。さまざまな業務の中でも、重要度の高い業務のひとつです。したがって、担当者には法的な知識と正確性、慎重性が求められています。

特に労働法に関しては、毎年のように法改正が行われ、その計算は複雑で容易なものではありませんが、毎月業務をこなすことで慣れてくるはずです。給与計算の手順を覚え、ミスがないよう、正しい給与計算を行っていきましょう。


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