販売促進費とは?広告宣伝費や交際費と何が違う? | 税理士コンシェルジュ

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販売促進費とは?広告宣伝費や交際費と何が違う?

2020年9月26日
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勘定科目のひとつである「販売促進費」は、広告宣伝費や交際費などと混同されやすく、多くの経理担当者を悩ませています。明確に線引きすることは難しいのが事実ですが、課税の方法か異なるため、それぞれの違いをしっかり理解しておくことはとても大切です。

今回は、販売促進費とは何か、広告宣伝費や交際費などの勘定科目とどのような違いがあるのかなどについて解説していきます。

販売促進費とは?

販売促進費とは、その名前の通り、商品やサービスの販売を促進するために使った費用の総称のことです。会計上では「販売費及び一般管理費(配管費)」に含まれるものです。

販売促進費には、広告宣伝費や交際費と区分するための明確な基準やルールなどの線引きがありません。そのため、販売を促す費用をどこに区分すべきなのか、迷う方は少なくありません。

では、具体的にはどのようなものが販売促進費に該当するのでしょうか?販売促進費として会計処理できるものには、次のようなものが挙げられます。

・販売代理店への販売奨励金(リベート)の支払いにかかった費用
・試供品や無料サンプル品の配布にかかった費用
・割引券やクーポン券の配布にかかった費用
・販売促進のキャンペーンにかかった費用
・ノベルティグッズにかかった費用
・販売手数料

一般的には上記のものを販売促進費として処理できます。ただし、法律上で決められた規定や定義がないので、仕訳の際に混乱しないように、自社内でルールを決めておくなら経理業務がスムーズに進むでしょう。

広告宣伝費や交際費との違いとは?

先述したように、販売促進費と広告宣伝費、交際費は、定まった明確な基準がないため、区分が曖昧になっています。そのため、どの経費に区分するかは、事業主の判断によって変わってきます。では、これらの点を踏まえた上で、一般的にどのように区分されているのかをみていきましょう。

広告宣伝費との違いとは?

販売促進費も広告宣伝費も、商品やサービスの売上を伸ばすことを目的とし、不特定多数に対して広く宣伝するためにかかる費用という共通点があります。しかし、広告宣伝費は、主にテレビや新聞広告料、雑誌などもメディア掲載料や、カタログ制作、宣伝用のホームページ制作、看板など、商品やサービスの間接的な宣伝にかかった費用が該当します。

つまり、一般的には、商品やサービスを「直接的」に宣伝する場合は販売促進費、「間接的」に宣伝する場合は広告宣伝費、と区分しています。会計上、勘定科目では販売促進費と広告宣伝費で区別されていますが、広義には販売促進費が広告宣伝費を内包する形となっています。そのため、事業所によってはどちらかひとつに統一してしまうこともあります。

交際費との違いとは?

交際費とは、取引先など事業を営むうえでの関係者の接待や供応、慰安、贈答などにかかった費用が該当します。販売促進費や広告宣伝費は「不特定多数」を対象としていますが、交際費は取引先など「特定の者」を対象としている、という対象者の違いがあります。

特定の者には、得意先や仕入先などの取引先をはじめとし、役員、従業員、株主などが対象者に含まれます。また、費用の内訳も違います。交際費の具体例には、次のようなものが挙げられます。

【交際費に含まれる具体例】
・社外の関係者にかかった接待費用
・自社の特定の従業員や役員との飲食費
・特定の取引先を対象に贈ったお中元やお歳暮などにかかった贈答費用
・社外関係者への手土産代、見舞金など

一方、次のものは交際費には該当しません。

【交際費に含まれない具体例】
・社外の関係者への接待費用のうち、1人あたりの参加費が5,000円以下の費用
・自社の従業員や役員が一律に参加する機会となっている飲食代の費用
・自社の従業員や役員の慰安のために行われるイベントや旅行にかかった費用
・会議の際にかかったお茶菓子代やお弁当代などの費用

このように改めて考えてみると、販売促進費と交際費は、違いが明確だと思われる方もいることでしょう。しかし、いざとなると、販売促進費と交際費の区分が難しく感じることもあります。

具体的な例として、何かモノを贈答する場合を考えてみましょう。商品購入の特典として購入者にモノを贈った場合、その贈答品にかかった費用は「販売促進費」に該当します。一方、取引先に対してお中元やお歳暮を贈った場合は、「交際費」に該当します。

また、交際費と広告宣伝費の区分も複雑です。例えば、社名が記載されているカレンダーや手帳などを「不特定多数」を対象に、商品やサービスの宣伝のために配った場合は「広告宣伝費」となります。

では、取引先にそれらのものを贈答した場合はどうでしょうか?社名が記載されているカレンダーや手帳などを「取引先」に贈答した場合も、その費用は交際費ではなく、「広告宣伝費」になります。

税法上では、交際費の損金算入には制限があります。ですから、販売促進費、広告宣伝費、交際費の区分を適切に行うことはとても大切です。

なお、不特定多数の対象とならない例外ケースもあります。国税庁のホームページによると、次のケースに該当する場合は不特定多数の対象とは認められていません。

・医薬品の製造業者や販売業者が、医師や病院を対象とするケース
・化粧品の製造業者や販売業者が、美容業者は利用業者を対象とするケース
・建築材料の製造業者や販売業者が、大工や左官などの建築業者を対象とするケース
・機械や工具の製造業者が、鉄工業社を対象とするケース
・飼料や肥料など農業資材の製造業者や販売業者が、農家を対象とするケース

これらのケースは、不特定多数の対象外となりますので注意しましょう。

小規模事業者持続化補助金とは?

「小規模事業者持続化補助金」とは、販売促進費に関して、小規模事業者が販路開拓に取り組むための費用を補助する制度です。

制度の概要

小規模事業者持続化補助金は、正式名称「小規模事業者持続的発展支援事業」といいます。小規模事業者の事業の持続的発展を後押しするために費用を補助することを目的としています。

そのために、まず小規模事業者が、商工会や商工会議所などのの支援を受けて経営計画を作成します。そして、その計画に沿って取り組む販路開拓等の経費の一部、つまり補助するために補助金でサポートしてくれます。

補助率は対象となる経費の3分の2以内で、金額の上限が50万円と補助金の上限が定められています。なお、複数の事業者が連携して共同事業に取り組む場合は、例外として上限が500万円まで引き上げられています。

対象となる小規模事業者とは?

この制度の対象となる小規模事業者とは、従業員の少ない事業所、つまり常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業の場合は従業員が5人以下)や、営利法人、すでに創業している個人事業主が対象となっています。なお、営利法人とは、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・特例有限会社・企業組合・協業組合のことです。

対象となる事業内容は?

この制度には、対象となる事業内容も定められています。それは主に2つの分野が対象となっています。

①商工会や商工会議所などの支援を受けながら実施する販路開拓への取り組み
販路開拓への取り組みには、販売促進費や広告宣伝費に該当する費用があります。それには商品やサービスなどを新たに販売促進するためにかかるものが含まれます。具体的には新たな販売促進用の広告制作費、ネット販売のシステム構築費などが挙げられます。

②販路開拓と同時に行う業務の効率化の取り組み
販路開拓と同時に行う、業務効率化に向けた取り組みには、販売促進費と広告宣伝費に該当しないものが該当します。そのため、特にスタートアップ企業に有効な制度と言えます。具体的には、専門家からの指導を受けるためにかかる謝礼金や、労務管理システムのソフトウェア購入費用などが、業務の効率化にかかった費用の対象となります。

申請から受領までの流れ

では、申請から補助金を受け取るまでの主な流れをみていきましょう。

ステップ1:経営計画書・補助事業計画書などの必要書類の作成をする。
ステップ2:地域の商工会や商工会議所の条件を満たしているかチェックを受け、事業支援計画書などの作成と交付の依頼する。
ステップ3:締切日までに日本商工会議所(補助金事務局)へ申請書類一式を送付する。
ステップ4:日本商工会議所による審査が行われる。
ステップ5:交付決定の採択、もくは不採択の通知が届く。
ステップ6:交付採択の決定後、特定事業の取り組み実施する。
ステップ7:締切日までに実績報告書などを提出する。
ステップ8:日本商工会議所による提出資料のチェックが行われる。
ステップ9:補助金を請求する。
ステップ10:補助金を受領する。

通常、上記のような流れで手続きが行われます。ただし、手続きに変更が加えられる可能性もあるので、最新の情報は「小規模事業者持続化補助金」の公式ホームページでご確認されることをおすすめします。

参照:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金」

まとめ

勘定科目の中でも、販売促進費、広告宣伝費、交際費には法律上の規定や定義がないので区別が曖昧です。明確な線引きがないため、それらの違いをしっかり理解しないまま帳簿を付けると、同じ費用でも異なる項目に計上してしまう可能性があります。

ですから、社内で一定の基準を設け、経理担当者が同一の勘定科目に仕訳けることができるようルールを設定することはとても重要です。そして、一度決めたルールを頻繁に変えることはやめましょう。

そうすることで、適切な仕訳が可能となり、正確な経費の流れを把握することができます。結果として健全な事業運営へとつながりますので、これまで販売促進費の内容を曖昧にしてきたのであれば、適切なルールをこの機会に設けましょう。


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