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押さえておきたい「印紙税」の基礎知識!収入印紙を貼らなくていい場合についてもわかりやすく解説!

2023年9月29日
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契約書や通帳などに貼り付けられている「収入印紙」は、ビジネスシーンから日常までよく用いられる証票(切手によく似た紙片)です。

収入印紙は「印紙税」を納める必要がある書類に貼り付けるものですが、なぜ収入印紙を貼る必要があるのか、そもそも印紙税とは何かについて、詳しく知りたいと思う方もいるでしょう。

この記事では、印紙税とは何か、またどのような書類に対して印紙税が課税されるのかなど、ビジネスシーンで役立つ印紙税の基礎知識についてわかりやすく解説します。

そもそも「印紙税」とは?

印紙税とは、契約書や領収書など、法令で定められた特定の文書に対して課税される税金のことです。

印紙税は、理解しにくい税金の一つです。一般的には、経済活動にかかわる書類を作成することで「経済的な利益を得る可能性がある」等の観点から、税金が課されると考えられています。

要するに、「契約書などに書かれたお金を払うだけの余裕があるため、さらに税金を負担する能力もあるだろう」という考え方です。

また、国が経済活動を法的に担保する代わりに、その対価として税金を課すという考え方もあります。

印紙税は課税文書に課せられる

上述のとおり、印紙税は印紙税法という法令によって定められた「文書」に対して課税されるもので、この文書を「課税文書」と呼びます。

以下の3つの要件すべてを満たすものが、課税文書に該当します。

出典:国税庁「課税文書に該当するかどうかの判断」

課税文書の具体例

課税文書は全部で20種類ありますが、ビジネスシーンで主に登場するのは以下のような文書です。

・継続的取引の基本となる契約書

・請負契約書

・領収書

・金銭消費貸借契約書

・不動産売買契約書

・土地賃貸借契約書

また、契約書などは書面に記載された契約金額により、印紙税額が変わります。

収入印紙と消印

収入印紙と消印印紙税は、原則として「収入印紙」によって納税します。

また、収入印紙には貼り方や消印についてのルールがありますので、以下の項で解説します。

収入印紙とは

収入印紙は、印紙税を納めるため、また所定の手数料や収納金を納付するため、書類に貼り付けする証票(紙片)です。

切手に似た形状で、200円券から100,000円券までの19種類あり、税額に合わせて購入し、自身で書類に貼り付けをします。

収入印紙はコンビニや郵便局、法務局などでも購入できます。

出典:「収入印紙の形式改正について」国税庁

消印とは

収入印紙を書類に貼り付けた後は、「消印」を押します。

消印は、収入印紙と書類にまたがって押される印鑑のことで、その収入印紙が使用されたことをあらわすものであり、収入印紙の再使用の防止のために押されます。

消印はどこに押す?

消印は上記のとおり再使用を防止するために押されるものであるため、収入印紙と書類に半分ずつ印章が写るように押印します。

押す場所について特段の指定はありませんが、一般的には収入印紙の右側もしくは左側に押印されることが多いようです。

収入印紙を貼る場所を考慮したり、他の文字にかからない場所にしたりするなど、全体のバランスを考えて押印するとよいでしょう。

消印はサインでも大丈夫?

収入印紙の消印は、印紙税法施行令第5条により「印章又は署名による」と規定されていますので、押印ではなくサインでも問題ありません。

ただし、署名ではなく単に「印」と記載したり、斜線を引くようなものは認められません。また、鉛筆など後から消せるものでの署名も認められませんので、ご注意ください。

なお、詳細については国税庁HPをご覧ください。

収入印紙を貼らなくていいケースの具体例


課税文書であっても、場合によっては収入印紙を貼らなくていいケースがあります。ここでは、収入印紙を貼らなくていい事例について、わかりやすく解説します。

コンビニのレシートなど

コンビニのレシートに代表されるように、領収書やレシートのうち、書面に記載された金額が「5万円未満」のものは、収入印紙の貼り付けが不要です。

具体的には、たとえば「本体価格49,000円、消費税込53,900円」や「53,900円、うち消費税額4,900円」など、消費税の金額が明記されている場合は課税文書の記載金額は49,000円となり、印紙税の課税対象とはならないため、収入印紙の貼り付けが不要になります。

しかし、「53,900円(税込)」や「53,900円、消費税額等10%を含む」といった消費税額が明記されていないケースでは、印紙税の課税文書に該当しますので注意が必要です。

クレジットカードの明細書

クレジットカードの明細書は、収入印紙の貼り付けは不要です。

これは、支払者とクレジットカード発行会社との間の「信用取引に関する明細」であるため、印紙税法上の課税文書とならないためです。

電子契約の場合

近年は、紙の書面ではなく、電子的な方法(メールやクラウドサービスなど)で契約などを取り交わすケースが増えています。

紙の節約や郵送・保管コストの削減などのメリットもありますが、このような電子契約の最大のメリットは、印紙税がかからないことでしょう。

契約の内容自体は書面と変わらないのに、なぜ印紙税がかからないのかと不思議に思う方もいるかもしれません。

電子契約において印紙税がかからない理由は、端的にいうと電子契約は「紙の書面」ではないためと考えられます。

本来は課税文書となる「注文請書」を、紙ではなく「PDFファイル」にて作成し、電子メールで送付した場合は「印紙税はかからない」旨を、国税庁は以下のように回答しています。


出典:国税庁 文書回答事例「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」

また、小泉元総理による当時の国会答弁においても、「電磁的記録」によって作成されたものは印紙税がかからない旨の回答がなされています。


出典:参議院HP「参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書」

したがって、現状の法律に基づけば、電子契約は「紙の書面」ではないため印紙税はかからず、収入印紙を貼る必要はありません。

印紙税Q&A


ここでは、収入印紙や印紙税に関するQ&Aをまとめました。

収入印紙はなんのために必要なのですか?

収入印紙は、印紙税を納税するために必要です。

その納付方法は印紙税法第八条により規定されており、課税文書に貼り付ける方法によることが原則とされています。

印紙を貼らないで印紙税を納付する方法はありますか?

印紙税は、基本的に、収入印紙を貼り付けることにより納税したものとみなされます。

しかし、特例として、事前に金銭にて国に印紙税額を納付の上、「税印押なつ機」を設置している税務署で課税文書に押なつをすることにより、印紙を貼らずに印紙税を納付することも可能です。

その他、印紙税納付計器の使用による納付や、書式表示による納付などの方法もあります。

貼らなくていいのに収入印紙を貼った場合はどうしたらよいですか?

印紙税がかからない書類に収入印紙を貼ってしまったり、収入印紙を貼った書類に誤りがあったりした場合は、税務署にて印紙税の還付請求が可能です。

ただし、還付請求できるのは「契約の成立前」や「相手方に領収書を交付する前」など、書類の効力が生じる前の段階に限られます。

収入印紙を貼らないとどうなりますか?

契約書などの課税文書を、収入印紙を貼らずに得意先や顧客に発行した場合、過怠税が課されます。

この場合、文書を受け取った側には罰則は課されず、発行側が責務を負うことになります。

また、収入印紙を貼り付けていない課税文書であっても、その文書自体の効力は失われません。

税務調査の際には、貼り付け義務のある収入印紙がきちんと貼られているかを必ず確認されますので、貼り付け忘れることがないように注意しましょう。

まとめ


何気なく書類に貼り付けている収入印紙について、実は印紙税法に基づいた細かな規定があることをご理解いただけたでしょうか。

ビジネスシーンにおいては、印紙税について正しく理解することが重要ですので、この記事を参考にして、印紙税や収入印紙の基本的な内容について押さえておくとよいでしょう。

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