予防接種費用は経費で落ちる?落ちない?
コロナウイルス感染症の影響でテレワークが増えたとはいえ、インフルエンザにかかるリスクは変わりません。従業員がインフルエンザにかかれば、業務に大きな影響を及ぼします。そのため、従業員には予防接種を受けてもらいたい、と考える雇用主は少なくありません。
では、会社が従業員の予防接種の負担を減らすために、経費として計上することはできるのでしょうか?
予防接種は経費になる?
インフルエンザなどの予防接種は、経費として落とせるのでしょうか?結論から述べるなら、一定要件を満たすなら経費として計上できます。では、そもそも経費とは何でしょうか?
経費とは、会社が利益を算出するために使用する費用のことです。会社が利益を出すためにかかるもので、合理性が認められるものであれば、経費として計上することが認められています。
予防接種を経費とする3つの条件
予防接種を経費として計上するためには、次の3つの条件を満たす必要があります。
条件①業務上必要である
経費として計上するためには、業務上必要である理由が必要です。例えば、従業員がインフルエンザにかかることで、業務に大きな影響を及ぼすなら、業務上必要と言えるでしょう。
条件②すべての従業員を対象とする
予防接種を一部の従業員だけでなく、全員を対象とするなら経費として落とせます。全員を対象とすれば、予防接種を希望した従業員全員分の費用を経費として計上できます。
条件③不相当に高額でない
不相当に高額な予防接種は経費として計上できません。世間一般で受診する予防接種費用と比較し、適切な相場の金額で経費として計上する必要があります。なお、費用の相場は、2,000~5,000円程度と言われています。
これら3つの条件を満たしていれば、経費として認められます。なお、正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員など雇用形態問わずに、予防接種の対象とすることが可能です。すべての雇用形態の従業員が分かりやすいように、社内規定などに明確に記載することができるかもしれません。
予防接種費用の会計処理
予防接種費用を会社で負担する場合、販売費及び一般管理費(販管費)の「福利厚生費」で計上します。福利厚生費とは、会社が従業員のために提供する給与以外のサービスの対価を処理する際に使う勘定科目です。予防接種が全従業員を対象とし、不相当に高額でなく、支給内容が現金でないのであれば、福利厚生費として会計処理しましょう。
なお、個人事業主の場合は、事業主本人の予防接種費用は経費として計上することはできないので注意してください。また、確定申告での医療費控除の対象にもなりません。
まとめ
インフルエンザなどの予防接種にかかる費用は、条件を満たしていれば経費として認められています。従業員がインフルエンザにかかることで業務に支障をきたす恐れがあるなら、従業員全員に予防接種を受けてもらうことで安心できるでしょう。
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