フリーランスとは?フリーランスになる手続きや個人事業主との違いなどを解説 | 税理士コンシェルジュ

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フリーランスとは?フリーランスになる手続きや個人事業主との違いなどを解説

2020年10月19日
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近年よく耳にする「フリーランス」。フリーランスとして働いている方は、年々増加していると言われています。しかし、フリーランスとはどのようなもののか、個人事業主とどんな違いがあるのか、はっきり説明できる方は少ないようです。

この記事では、フリーランスの実態や個人事業主との違い、フリーランスになるための必要な手続きなどについて解説していきます。

フリーランスとは?

正社員は企業と雇用契約を結んでいます。また、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業では働きます。一方、フリーランスは、企業や団体などに属さないで、独立して仕事を請け負います。

単発の仕事ごとに契約を結ぶ形態になっていますが、その多くは長期間の契約が結ばれています。このようにフリーランスとは、働き方や契約の仕方を意味する言葉であり、具体的にどの職業が当てはまるという明確な定義はありません。

そのため、フリーランスの代表的な職種には、IT系のプログラマーやWebデザイナー、カメラマン、ライター、翻訳家など多種多様な職種が挙げられます。つまり、自分の才能やスキルを活かして活動している人と言えるでしょう。

なお、フリーランスは企業に雇用されていないため、最低賃金や労働時間、休日、有給休暇などの労働法規、つまり「労働基準法」は適用されません。独立した事業主として、自己責任のもと活動する必要があります。

フリーランスは仕事を断ることもできるため、働きすぎて体調を崩すことは自己責任となり、働きすぎたことを誰かの責任にすることはできません。

フリーランスの意味

では、フリーランスという名前の由来は何でしょうか?フリーランスを英語で記述すると「freelance」、直訳すると、「Free」は無料、「Lance」は槍という意味があります。この語源は、中世ヨーロッパ時代まで遡ると言われています。

当時の中世ヨーロッパでは、王や貴族は、戦争の度に、傭兵団と契約していたようです。しかし、兵士たちの中には傭兵団に属していない騎士が、個人契約をして戦争に参加するようになりました。

当時の武器は槍、つまり「Lance」だったので、彼らは「フリーランサー(free lancer)」と呼ばれていました。この名残が、現在のフリーランスの名前の由来となっているのではないか、と言われています。

個人事業主とは?

会社員でない自由業の人に対し、「フリーランス」だけでなく、「個人事業主」という言葉もよく使われます。では、フリーランスと個人事業主は、どのような違いがあるのでしょうか?個人事業主とは、その名前の通り、個人で何かの事業をする人のことです。

税務上の所得区分では、株式会社や合同法人などの法人を設立していないため、個人の事業所得として申告します。つまり、法人ではなく、個人で事業を行う者として税務署に開業届を提出している人のことを個人事業主といいます。

フリーランスも個人事業主も、特定の法人や団体に属さずに業務を行っている、また給与ではなく報酬として収入を得ているという点では共通しています。実際、フリーランスと言われる人たちの中には個人事業主である人も多くいますが、フリーランスが必ずしも個人事業主というわけではありません。

フリーランスが活躍している代表的な職種

現在、フリーランスとして活躍している人は年々増えています。アメリカでは、全労働人口の約3人に1人はフリーランスとして働いていていると言われています。日本のフリーランスはアメリカほどではありませんが、それでも約50人に1人はフリーランスで働いています。

フリーランスとして働く人は、今後ますます増えることが予想されています。これほど多くの方がフリーランスとして活躍できるのは、フリーランスの職種や業界が幅広いからです。では、数多く存在する職種の中でも独立しやすいとされる代表的な職種をみていきましょう。

【デザイナー系】
Webデザイナーは、クライアントが希望するWebサイトをデザインしたり、企画設計、コーディングなどを行う仕事です。見やすくて分かりやすいサイト構成や、アクセス数を伸ばすための企画提案なども行い、クライアントの成果につなげます。

デザイン会社に所属した後、フリーランスのWebデザイナーとして独立するという方が多くいます。今後も求められる代表的な職種のひとつと言えるでしょう。

【ITエンジニア系】
エンジニアには、幅広い職種があります。Webアプリケーションを作成するアプリケーションエンジニアや、サーバーやネットワークの設計・構築を行うプログラマー、インターネット環境の基盤を支えるインフラエンジニアなどがあります。

【ライター系】
ライターは、出版社や新聞社などのメディアから依頼され、記事を執筆することが主な仕事です。ライターといっても、Webサイトに掲載する記事やコラム・メールマガジンなどを執筆するWebライター、商品やサービスの購入を誘導する宣伝文を執筆するコピーライターや、著者の代理として書籍の原稿を執筆するブラックライターなどがいます。

また、編集者としてフリーランスで活躍している人もいます。編集者は、主に書籍や雑誌、Webサイトなどを企画します。ひとつのコンテンツを作成するためのすべての管理を任されています。

【クリエイティブ系】
近年、ユーチューバーを目指す方が増えています。YouTubeに登録すれば、すぐに始められるので個人で活動しやすいというメリットがあります。動画を撮影し、編集してアップするというスキルや、多くの人に注目されやすいアイデアが求められています。

また、イラストレーターも挙げられます。イラストレーターはクライアントの要望に沿って、書籍や雑誌、Webなどに挿絵や図解などを作成する仕事です。その際、自分のスキルやアイディアを含めることも求められています。また、独自で展示会を開催したり、作品集を発表したりなどで活躍している人もいます。

【接客系】
接客系の仕事も充実しています。具体的には、ヨガインストラクター、スポーツトレーナー、メイクアップアーティストなどが挙げられます。また、経営コンサルタント、ITコンサルタント、投資コンサルタント、建設コンサルタントなど特定分野のコンサルタントの仕事も多くあります。

【注目の職業】
・インスタグラマー
ソーシャルメディア「Instagram」で生計を立てるインスタグラマーが、近年注目されています。主な収入源は、スポンサー契約による広告収入です。

・ティックトッカー
ソーシャルメディア「Tik Tok」を使って多くのフォロワーを獲得し、YouTubeなど広告収入のあるメディアにフォロワーを誘導させるティックトッカーも近年注目されています。Tik Tokには収入を得る手段はありませんが、収入につなげることができるので稼ぐことが可能です。

・ウーバーイーツの配達パートナー
スマホで注文した食事などをデリバリーする「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員は、全員がフリーランスです。近年、ウーバーイーツの利用者が増えているため、注目されています。

フリーランスのメリット

メリットその①働く時間が自由
フリーランスの最大のメリットは、働く時間を選べることです。サラリーマンやOLなどは、毎朝決まった時間に起き、通勤をし、就業時間まで働きます。ある意味、会社に時間を縛られていると言えるでしょう。しかし、フリーランスは、決められた期日までに仕事を終わらせることができれば、どの時間に仕事をしても問題ありません。

メリットその②働く場所が自由
フリーランスの仕事のほとんどは、インターネット環境が欠かせません。しかし、現在はどこにいてもWi-Fiが使えます。通信の品質には差がありますが、日本国内だけでなく、海外にいても仕事をすることが可能です。自宅をはじめとし、カフェ、コワーキングスペース、旅行先などでも場所を選ばず仕事ができるのはフリーランスのメリットと言えるでしょう。

メリットその③人脈を広げる機会が多い
フリーランスの場合、フリーランス同士が知り合う交流会の場があります。近年はコワーキングスペースも充実しており、そこで名刺や情報交換をすることができます。その場で仕事を獲得することもあります。人脈を広げて仲間を見つけやすいのもフリーランスの魅力となっています。

メリットその④自分の努力次第で年収をアップできる
給与所得者の場合、どんなに成果を上げても給与が劇的に上がることはありません。でもフリーランスの場合は、クライアントと直接やり取りをするので、自分の努力次第では年収を上げることが可能です。つまり、仕事をすればするほど、成果を上げれば上げるほど給与を上げることができます。

フリーランスのデメリット

デメリットその①体調管理が難しい
サラリーマンやOLであれば、体調不良で休んだとしても有給消化扱いとなり、誰かが代わりに仕事をしてくれます。でも、フリーランスの場合は、自分が行った仕事のみで報酬が決まります。したがって、仕事の代わりをしてくれる人はいません。

そのため、無理して仕事をしてしまえば体調を崩しますし、体調を崩して休んでしまえば収入が減ってしまいます。ですから、フリーランスは、日々の体調管理がとても大切です。

デメリットその②スケジュール調整が難しい
単発の仕事を数多く請け負っている場合、スケジュールを管理するのが大変です。スケジュール管理もすべて自分で行う必要があるため、仕事の量と業務のスペースを把握する必要があります。

デメリットその③事務作業も必要
フリーランスとして独立しているなら、日々の事務作業をはじめとし、確定申告まで自分で処理しなければいけません。本業と事務作業を同時に行う必要があるので、慣れるまでは大変かもしれません。

デメリットその④収入が不安定
サラリーマンやOLであれば、職場に行けば自分の仕事があり、毎月安定した収入があります。しかし、フリーランスの場合は、収入が不安定です。自分の努力次第で収入をアップできることはメリットですが、仕事がなければ収入は減少してしまいます。

フリーランスになる前に済ませておきたいこととは?

近年、フリーランスに仕事を発注する企業も増えているため、フリーランスとして活動しやすい環境となっています。そのため、フリーランスという働き方を選ぶ人は年々増えています。

今現在、フリーランスになることを検討しているなら、フリーランスになる前に済ませておきたい手続きを是非済ませておかれることをおすすめします。では、フリーランスになる前に済ませておきたい手続きについて確認してみましょう。

クレジットカードの作成やローンを組む

フリーランスという働き方が増えているとはいえ、残念ながら社会的な信用度が低いのが現状です。そのため、フリーランスとして独立した後に、クレジットカードを作ったり、住宅や車のローンを組んだりすることが難しくなります。

審査が通らなかったり、ローンを受けられる金額が少なくなってしまうことがあります。ですから、クレジットカードの作成やローンを組む予定がある場合は、安定的な収入が保証されている給与所得者として企業の所属している間に済ませておきましょう。

人脈を広げておく

フリーランスとして独立したてのときは、仕事の受注が不安定になりやすい傾向にあります。ですから、今のうちから人脈を作り、広げておくことは今後の仕事依頼へとつながります。フリーランスの仕事の多くは、知り合いからもらう傾向にあります。

ですから、すでにフリーランスとして活躍している知り合いにコンタクトをとったり、人材交流会などに積極的に参加し、人脈を構築することができるでしょう。

環境を整えておく

フリーランスの仕事は、インターネット環境が不可欠です。クライアントが指定したツールを使ってやり取りができるように、各種サービスが一通り使えるように環境を整えておくことは大切です。

具体的にはGoogleの各種サービスやチャットワーク、各種SNSなどが挙げられます。また、仕事用のメールアドレスも準備しておきましょう。さらに必要であれば名詞、印鑑、封筒、切手などの事務用品も揃えておきましょう。

フリーランスになるための必要手続きとは?

会社を退職し、フリーランスとして活動していくための仕事環境が整っているなら、フリーランスになるための必要手続きをする必要があります。

【健康保険の切り替え】
会社を退職してフリーランスへ転身した場合、健康保険を切り替える必要があります。国民健康保険に加入するか、勤め先で加入していた健康保険組合の健康保険を任意継続するか(最大2年間)を選択します。

どちらの方が支払金額が安くなるかは市区町村によって異なりますが、一般的には任意継続のほうが保険料は安くなる傾向にあります。勤め先で加入していた健康保険を継続する場合は、退職後20日以内に申請することが義務付けられていますので、早めに手続きを済ませましょう。

なお、健康保険の切り替え手続きが遅れると、病院に行ったときに(一時的に)全額自己負担になります。

【年金の切り替え】
健康保険の切り替えに加え、年金の切り替えも必要です。給与所得者がフリーランスに転身する場合は、厚生年金から国民年金への変更となります。年金は自動的に切り替わるものではありませんので、切り替え手続きを忘れないようにしましょう。

【開業届の提出】
フリーランスとして活動をする際には、税務署に開業したことを知らせる「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する必要があります。開業届は最寄りの税務署の窓口、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。

提出期限は、事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内、となっていますので遅れないように提出しましょう。なお、法人の場合は法務局に開業を登記する必要がありますが、フリーランスの場合は法務局への開業の登記は不要です。

【青色申告承認申請の提出】
開業初年度から青色申告を選択する予定の場合は、開業後2ヵ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。もし期限を過ぎてしまうと、青色申告特別控除や赤字の繰り越しなどの特典を受けられなくなります。

税務署への開業届と一緒にまとめて手続きをすることができるでしょう。青色申告承認申請書は開業届同様、最寄りの税務署の窓口、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることで入手できます。

このようにフリーランスになるには、いくつかの手続きをする必要があります。開業した後は、今まで培ってきた人脈を活かすために、以前取引があった相手、友人、知人などにフリーランスになったことを報告しておきましょう。

最初に挨拶をしておくことが、フリーランスの営業ともなり、今後の仕事依頼にも直接関係してきます。忘れずに開業報告をしましょう。

フリーランスが収入を得るために行うべきこととは?

フリーランスへ転身しても、ただ待っているだけでは、仕事は入ってきません。つまり、収入を得るためには、自分で仕事を見つける必要があります。特に転身したばかりのときは、収入を得るために努力する必要があるでしょう。では、具体的にどのようなことを行うべきなのでしょうか?

【営業力を身に着ける】
フリーランスは、営業活動も自分自身で行う必要があります。ですから、収入を得るためには営業力が欠かせません。特に契約の際には、利益を確保するための交渉力が求められています。そこで、取引先との交渉をスムーズに進めることができるよう、チェックリストや確認事項のフォーマットなどを作成しておくことができるかもしれません。

【最新の情報収集に努める】
どんな職種も、流行やスタイルなど日々変化します。そのため、最先端の情報収集についていくよう努力することは大切です。交流会や勉強会などに参加し、知識や技術の情報交換をする機会にも目ざとくあるようにしましょう。

【人脈の構築を怠らない】
フリーランスになる前から努力していた人脈の構築は、フリーランスになった後でも怠らずに努力していきましょう。人脈により仕事の依頼が増えるだけでなく、困ったときにサポートしてくれるなどよき支えとなってくれることでしょう。

【エージェントサービスの利用】
近年は、仕事の案件に関する情報の提供や、クライアントとの仲介役を担うエージェントサービスが増えています。それらを利用し、仕事依頼を増やして収入へとつなげることもひとつの方法です。数多くのエージェントサービスが存在していますので、自分の業種に合った案件に強化しているエージェントサービスを利用することができるでしょう。

まとめ

フリーランスになりたくても、現在の安定した収入を手放すことができずに躊躇している方もいるかもしれません。フリーランスには多くのメリットがありますが、デメリットもあるのでしっかり理解しておくことはとても大切です。

でも、専門的な知識を思いっきり活かしたい方、自分らしさを活かしたい方などは、働き方のひとつとしてフリーランスを選択することもひとつの方法です。今後、フリーランスという働き方をする人は、さらに増えることが予想されています。フリーランスになるための準備を今から始めてみるのはどうでしょうか?


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