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現金出納帳とは?現金出納帳の必要性と小口現金出納帳との違いについて

2020年12月21日
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事業の大きさに関係なく、現金の入出金を管理して残高を確認するための帳簿「現金出納帳」。多くの事業所では、現金出納帳が日常的に使われていることでしょう。では、「小口現金出納帳」はどうでしょうか?

小口現金出納帳も現金の入出金を管理することが可能です。では、ふたつの帳簿にはどのような違いがあるのでしょうか?今回は、現金出納帳と小口現金出納帳の基礎知識や違いなどについて解説していきます。

現金出納帳とは?

現金出納帳とは、現金の入出金があった取引だけを管理し、残高確認をする帳簿のことです。つまり、現金に関わる取引があった場合は、必ず現金出納帳に記帳します。現金出納帳は「補助簿」のひとつとして扱われていますが、基本的には現金の入出金を毎日記入します。

そのため、お金がどのように流れたかを順番に把握することが可能です。また、現金の残高と帳簿の残高を照合した場合、常に一致していなければいけません。もしも不一致だった場合は、ぞの原因を突き止め、正確な額に訂正する必要があります。なお、現金出納帳は、会社法では10年、税法上では7年と保存期間が定められています。

現金出納帳が必要な理由とは?

現金出納帳は、現金の入出金を毎日記帳する重要な帳簿です。では、なぜ現金出納帳は日常的な会計業務において必要なのでしょうか?それには2つの理由が関係しています。

必要な理由①お金の流れを正確に可視化するため

現金出納帳が必要な理由のひとつとして、現金の入出金を毎日記帳することでお金の流れを把握することができる、という点が挙げられます。日々の業務では、現金売上があった、現金で売掛金を回収した、現金で備品を購入した・・など、現金の入出金による取引が行われています。

これら入出金の取引を記帳することで、会社のお金の流れを正確に知ることができます。特に個人事業主の場合は、事業費と生活費が混合しがちな傾向があり、「使途不明金」が発生することは珍しくありません。このようなことを回避するためにも、現金出納帳でお金の流れを正確に可視化する必要があります。

必要な理由②不正防止のため

現金出納帳に記載した残高と、手元にある現金は常に一致していなければいけません。そのため、帳簿の記載ミスの発見はもちろん、従業員の不正防止にもつながります。現金出納帳には、日付をはじめとし、使用した金額、勘定項目、摘要(入出金の具体的な内容)、差引残高など細かく記帳されているため、お金の流れをすぐに可視化できます。

そのため、従業員が会社のお金を私的に使用することを回避できます。万が一、不正があった場合は、現金出納帳を証拠とし、不正を暴くことができるでしょう。

現金出納帳に記載すべきこととは?

現金出納帳には、具体的にどのようなことを記載すればよいのでしょうか?基本的な項目は、以下の通りです。

・繰越
前月から繰越があった場合は、繰越金額を記載

・日付
現金の入金や支払いがあった日付を記載します。注意したい点として、領収書の日付ではなく、実際に出金した日付を記載してください。領収書と実際に出金した清算日の日付が違う場合は、摘要欄に領収書の日付を記入しておきましょう。
なお、毎日記載していれば、日付は順番になっているはずです。日付順に記載してください。

・勘定科目
該当する勘定科目を記載します。同じ勘定科目が続く場合でも、省略せずに勘定科目を記載してください。勘定科目は集計項目になるので、あらかじめ勘定科目を決めて統一しておくなら業務の効率化につながります。

・摘要
取引内容(相手先など)を記載します。誰が見ても分かるように入金・支払の相手先名と内容を記載しましょう。

・収入金額
入金した金額を記載します。

・支払金額
出金した金額を記載します。

・差引残高を記載
毎日、〆後の残高を記載します。差引残高は、「差引残高=前日の差引残高+当日の収入金額-当日支払金額」という計算式で求めます。差引残高を記載⑤、実際の現金残高と一致しているか確認してください。

・次月への繰越
次月への繰越金額を記載します。

現金出納帳を作成するときのルール

現金出納帳を作成する際には、以下の点を守りましょう。

・現金出納帳は毎日記載すること。
・手書きで作成する場合は、ペン、もしくはボールペンを使用すること。鉛筆や消せるペンなどの使用はNG。
・訂正するときは、二重線で消し、余白に新たに記載すること。修正テープや修正液の使用はNG。
・〆後、差引残高と現金有高が一致しているか確認すること。万が一不一致の場合、現金を入れたり出したりすることはNG。
・不一致の場合は、原因を追究し、正確に訂正すること。原因不明の場合は、「現金過不足」で処理すること。

現金出納帳を作成するときの注意点

現金出納帳を作成する際、よく生じるのが伝票からの転記ミスです。経理担当者であれば、入金伝票や出金伝票を作成することでしょう。作成した伝票をもとに、現金出納帳へ転記する必要がありますが、その際に転記ミスが生じることがあります。具体的には金額や相手勘定科目などが挙げられます。

金額の転記ミスは、その日の〆後に一致しないため、比較的早い段階で転記ミスに気づくものです。しかし、勘定科目や日付などの転記ミスは、その日のうちに気づくのは難しいので十分に注意しながら転記することはとても重要です。転記ミスを防ぐために、転記後、帳簿と伝票を照合することを忘れないようにしましょう。

また、別のよく生じる転記ミスとして、入金欄と出金欄を間違えるというミスがあります。特に複数の伝票をまとめて転記していると、転記ミスが生じやすくなるかもしれません。転記ミスをすると、残高と現金が合わなくなるため、その日のうちに転記ミスを発見することが可能ですが、転記した後には、必ず照合して確認してください。

小口現金出納帳とは?

小口現金出納帳とは、会社に置いてある必要最低限の現金(小口現金)の補給や支払いをしたときに記帳する帳簿のことです。小口現金出納帳は、現金出納帳とは別に記帳する必要があります。

小口現金とは?

小口現金とは、会社に置いておく必要最低限の少額な現金のことです。そもそも会社には大金を置いておくことはできません。そのため、多くの会社では、現金と金融機関に現金を預けておきます。

しかし、すべての現金を金融機関に預けてしまうと、手形などで支払うことが不可能な交通費や出張費などの少額のお金を支払うことができません。消耗品を購入するときや、香典が必要となるときなども小口現金で支払われています。

このように現金が必要となる機会が日常的に生じるため、会社には少額の現金が置いておきますす。これを「小口現金」といいます。

小口現金出納帳が必要な理由とは?

小口現金は、日常的に生じる現金の取引をする上で必要なものです。特に多くの部署で分かれている場合、個々の従業員が経理に交通費や出張費などを請求するなら、経理業務は複雑になり、多くの手間と時間がかかってしまいます。そこで小口現金として部署ごとに小口現金出納帳を用意しておくなら、経理業務の負担の軽減につながります。

現金出納帳と小口現金出納帳の違いとは?

では、現金出納帳と小口現金出納帳のふたつの帳簿には、どのような違いがあるのでしょうか?

違いその①記載する内容

法人の場合、銀行預金での入出金などある程度まとまった現金の取引があると「現金」、日常的な少額な現金支払いがあったときは「小口現金」と使い分けるのが一般的です。

つまり、現金出納帳は、会社が現金で支払う、もしくは現金を受け取る取引きを記帳する帳簿です。一方、小口現金出納帳は、日常的な雑費などの支払いをしたときに記帳する帳簿です。具体的には交通費、出張費、駐車料金、郵送料、コピー代、立替払い精算などの少額な現金が該当します。

これらは小口現金から出金し、その内容を記載します。そして、小口現金が少なくなったときや決まった期日に、小口現金を一定額まで補充、つまり補給し、それを記載します。なお、会社内にいくつかの部署が存在している場合、部署ごとに小口現金を用意している会社もあります。

違いその②記載する部署(担当者)

現金出納帳は、会社の経理で作成・管理されるものです。つまり、経理業務の一環として経理担当者が記載します。一方、小口現金出納帳は、部署ごとに小口現金が用意されている会社もあるため、部署ごとに作成・管理することがあります。

違いその③記載するタイミング

現金出納帳は、現金の入出金を毎日記帳し、帳簿の金額と実際の現金が一致していなければならない帳簿です。つまり、現金出納帳は、毎日記載することが求められています。一方、小口現金出納帳は、小口現金の補給と支払い内容を記載する帳簿です。そのため、特に部署ごとに作成・管理が任されている会社では、各部署に記載するタイミングを委ねています。

経理業務を効率よくするには?

現金出納帳や小口現金出納帳は、項目が細かく区分されています。そのため、人為的な作業である限り、どんなに注意していても転記ミスが発生する可能性があります。そこで手作業で経理業務をしているなら、経理作業のミスを少なくするだけでなく、経理業務を効率よくこなすために経費精算システムの導入を検討してみるのはどうでしょうか?

経費精算システムは、自動で転記や計算などをしてくれます。そのため、業務の効率化はもちろん、ミスも少なくなる便利なツールです。まだ経理業務を手作業でしているなら、この機会にシステムの導入を検討されることをおすすめします。

まとめ

現金出納帳と小口現金出納帳は、業務上欠かすことができない重要な帳簿のひとつです。特に現金出納帳は、現金の入出金を毎日記帳し、その日の〆後に残高を確認し、帳簿の残高と実際にある現金残高が一致している必要があります。

現金出納帳を作成することで、会社のお金の動きを一目で把握できるだけでなく、従業員の不正防止にも役立ちます。是非、ミスがないよう、帳簿の残高と現金残高が一致するよう、日々正確に経理業務を行っていきましょう。


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