税理士への苦情・クレームはどこに言えばいいのか? | 税理士コンシェルジュ

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税理士への苦情・クレームはどこに言えばいいのか?

2021年10月29日
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「顧問税理士のミスが原因で、損害を受けた!でも、どこにクレームを入れたらよいのかわからない…」

経営を続けていくうちに、こんな重大なトラブルが発生することがあるかもしれません。あるいは、ここまで重大なトラブルではなくても

「いくら連絡しても、いっこうに税理士とアポイントメントが取れない」
「税理士に会う度に、失礼な態度をとられる。この不満をどこに伝えればいいかわからない」

といった意見もよくあります。依頼主としてはクレームを入れたいという気持ちになるのも無理はありません。いずれの場合も特徴的なのは、「どこにクレームを入れたらよいかわからない」という点です。

原則的には当事者同士での話し合いによって解決に向かうのが一番ですが、「クレームを入れたい」という気持ちにさせられているほど状況が悪化しているのであれば、本人以外の選択肢も知りたいところです。しかるべき手段で適切にクレームを入れ、結果的に問題が解決すればいうことはありません。

ここでは、仕事を依頼している税理士にクレームを入れたいと考えた場合、どのようにすればよいのかについて解説していきます。

税理士に対するクレームをする前に確認したいこと

怒りや不満でイライラしていると、判断を誤ってしまうかもしれません。実際にクレームを入れる前に、以下の点について確認してみましょう。

まず、税理士の行為により会社に損害が生じたか否かです。

何を損害とするかは、内容・程度によって難しいところですが、例えば金銭的な損害や手続上の不備は、顧客として金銭を支払って税理士に依頼した仕事がきちんと完遂していないということになるので、損害が生じたと判断してもよいでしょう。

また、具体的な損害は生じていない場合(仕事に対する姿勢に疑問がある・真摯に向き合ってくれないと感じている等)、それが単発で生じたことなのか、ずっと続いていることなのかが参考になります。

例えば、税理士には繁忙期があります。通常時と異なり、繁忙期は仕事が立て込んで若干レスポンスが悪くなってしまうかもしれません。また、イレギュラーな仕事が発生し、一時的に対応が鈍くなってしまっている可能性もあります。

もちろん、望ましいことではありませんが、その税理士とこれまで良好な関係を築いていて、仕事ぶりにも満足しているのであれば、もう少し様子を見てもよいかもしれません。

しかし、長期間にわたり納得のいかない対応が続いているようであれば、クレームを入れることを検討してもよいでしょう。

クレームにより税理士の責任を問える3つの事例

次に、税理士のミスにより会社に損害が生じた場合は、損害の内容について整理して考えていきましょう。

まずは契約内容の確認をしてみてください。顧問契約は包括的な内容になっているので、契約書においてどのような文言で定められているかが、責任を問う判断のポイントになるためです。

以下のような内容の場合、明らかに税理士のミスであると判断でき、責任を問うことができます。

1、記帳代行の内容に関するミス

顧問税理士に記帳代行を依頼しており、その内容に誤りがあったとします。これは税理士のミスです。会社への損害につながれば税理士の責任となりますし、損害賠償の対象にもなります。

2、届け出に関するミス

税務に関する必要な届け出を忘れていたり、提出しても期限を過ぎていたり不備があったりして無効となったことにより会社が受けた損失は、明らかに顧問税理士のミスによるものです。

このミスにより会社が被ったペナルティや、受けられるはずだった節税効果の逸失について賠償責任を問えるでしょう。

3、節税対策等の提案内容に関するミス

顧問契約を結ぶため、或いは、悪気はなくても目の前の顧客に喜んでもらおうと、先々のことまで配慮しない節税提案をしてしまう税理士がゼロとはいえません。

しかし、顧問先の会計税務についての不適切なアドバイスや、顧問先の了解を得ずに行った行為による損害があった場合、内容によっては税理士の責任となります。

例えば、顧問先の了解を取らずに違法な節税を行っていたことが発覚すれば、その責任は税理士に求めることができるでしょう。

参考記事:税理士は節税提案があると同時に税務調査の対策が重要

なお、税理士が行って良い行為・行ってはいけない行為は法律により定められています。例えば、顧客の守秘義務の漏洩や、有資格者以外の税務書類の作成は、税理士法違反となります。

こうした例は、上記と同様に重大なものですので、もしも発覚した場合は速やかに税理士会等に相談しましょう。

参照:国税庁ホームページ 税理士法違反行為Q&A

税理士にクレームを入れるための4つの方法

自社に重大な損害が発生したらクレームを伝えたいと考えるのは当然のことでしょう。また、重大ではないものの、長期間我慢をしてきた不満について、クレームを入れることで善処されるかもしれません。

しかし、誰に・どこにクレームを伝えればよいのかわらからず、うやむやになってしまうことも少なくありません。

また、「税理士には専門的なことをお願いしているだけに、正面を切ってケンカをするのも気が引ける」「税理士の態度に苦情を言いたいが、本人に伝えるとややこしいことになるかもしれない」等と考え、臆してしまうというケースも見られます。

ここでは、クレームを入れ方について、代表的な4つの方法を挙げてみます。

1、税理士当人に伝える

まずは、当事者間で話し合いの場を持ってみましょう。

特に、重大なミスではなく、日頃の姿勢や仕事への取組み方についてのクレームの場合は、まず本人に伝えることからスタートしましょう。ちょっとした誤解や行き違いが原因だったことが判明し、その後は解決することもあります。

重大なミスだった場合も、よほどコミュニケーションが取れない相手でない限りは、まず本人に伝えましょう。

税理士はこうした事態に備えて、損害賠償保険に入っていることがあり、自分に否があると認められることであれば損害賠償に応じ、揉めることなく解決するケースも少なくありません。

2、税理士事務所に伝える

苦情の対象である税理士が、税理士事務所に所属している場合、その上司または事務所の所長に苦情を伝えるという方法もあります。

面識がなくても、ホームページに連絡先は載っているはずですし、事務所に電話をして直接伝えてもよいでしょう。

トラブルや依頼者の抱える不信感が事務所としても不本意であり、苦情の内容が正当な主張であれば、真っ当な上司や所長ならば部下の非礼を詫びるでしょう。

担当税理士への注意喚起や、担当税理士の変更等、具体的な対応も期待できます。

ただし、上司や所長が、事務所の従業員である税理士をかばうこともあります。そして、そういう事務所は真っ当ではない、というわけではありません(そういう事務所もゼロではないかもしれませんが・・・)。

これは、事務所のポリシーと苦情の解決のすり合わせが難しい、という場合です。

例えば「かなり低い価格設定のかわりに、最低限のことしかやりません」と標榜している事務所に「最低限のことしかやってくれない」という苦情が入った場合、事務所としてどのように対応すればよいか悩ましいところでしょう。

「事務所のポリシーとして、それはできない」という回答が「税理士をかばっている」と見えることがあるかもしれません。これは「苦情に対応してくれない」というよりは、「税理士やその事務所との相性の問題」になるかもしれません。

そして、残念ながら真摯に対応してくれない事務所もあるでしょう。苦情を言っても曖昧な回答をされたり、担当替えをしてもらっても改善しなかったという場合もあります。

根本的な解決に至らないという考えに至った場合、その事務所との付き合いを再考することをお薦めします。

3、税理士の所属する税理士会に伝える

税理士は、必ず税理士会に所属しています(なお、試験に合格していても税理士会に所属していない人は、いわゆる「無資格者」となります)。

税理士会には、紛議調停委員会という機関が設置されています。事業者と税理士との間で発生した苦情申し立てを、裁判に至る前に話し合いで解決しようという機関です。

税理士は、税理士会からの呼び出しに応えなければならないので、問題をうやむやにされず、具体的な問題解決に向けての行動が期待できます。

どうしても税理士との話し合いがまとまらなかったり、あくまでも税理士が否を認めないという事態に陥ることもあるでしょう。そのときは、第三者機関として顧問税理士が所属する税理士会に相談してみましょう。

方法としては、まず、その税理士の所属税理士会を調べましょう。もしも税理士の名刺に「○○税理士会所属」といった表記がなくても、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」から所属税理士会を検索することが可能です。

問題解決の仲介役になってくれる場合もありますし、改めてクレームの発生源を洗い直し、お互いの主張の落としどころを探してくれることが期待できます。

参照:日本税理士連合会ホームページ 税理士情報検索サイト

4、弁護士に伝える

苦情を申し立てたい内容が、顧問契約に明らかに反するような契約不履行や、税理士のミスによって自社に大きな損害が生じたというトラブルもあるでしょう。裁判も視野に入れて賠償責任を求める場合、弁護士に相談することになります。

クレームの内容が損害賠償の請求も辞さない場合は、調停や裁判になることを覚悟して、弁護士に相談してみましょう。聞く耳を持たなかった税理士も、弁護士に相談したと知れば態度を改めるかもしれません。

相談する場合、日頃から懇意にしている弁護士がいればよいのですが、もしも弁護士との付き合いがない場合は、「税理士損害賠償責任」を業務内容として取り扱っている弁護士事務所に連絡してみるとよいでしょう。

そのような弁護士事務所は、多くの事例に触れているため、適切なアドバイス・対応をしてくれることが期待できます。

なお、「顧客から訴えられた税理士」を顧客としている場合と、「税理士を訴えたい納税者」を顧客としている場合、その双方を対象としている場合があるので、いくつかの弁護士事務所を比べてみることをお薦めします(大抵の場合、ホームページに記載があります)。

また、弁護士に相談したからといって、必ず裁判をする必要はありません。弁護士の立会いのもと双方で話し合い、こじれた関係を整理するだけでも問題解決には有効です。法の知識を持った第三者の存在により、問題の責任がどこにあるのか決着をつけることもできます。

クレーム後の、税理士の変更も視野に入れる

クレームを入れないで済むなら、それに越したことはありません。できることなら穏便に解決したいところですが、それでは済ませられない場合もあるかもしれません。

そして、しかるべきクレームを入れても解決しない場合もあります。また、解決までに時間がかかる場合もあるでしょう。

どうやったとしても禍根を残すことになりそうな場合、その相手である現在の顧問税理士と契約を継続する気持ちにはならないでしょう。このような場合には、顧問税理士の変更も視野に入れてみることをお薦めします。

よい方向に考えれば、トラブルを経験したことで、より自社にとって適切な税理士に出会うチャンスを得たともいえます。これを機会に、理想の税理士像を具体的に考えてみたり、別の考え方を持っている税理士にアプローチをしてみたりするのも、経営にとって前向きな判断といえます。

ただし、税理士と揉めて顧問税理士の変更をする場合、怖いのは税理士同士の横のつながりです。

「新たな顧問税理士候補が、実は揉めた税理士と関係が深かった・・・」という事態は避けたいものです。経営者の方にとって、不本意な情報が先回りしている可能性も否定できません。

そうした場合、便利なのは税理士紹介サービスです。第三者的な視点からアドバイスを受けることができますし、登録税理士のなかから相談者にとって問題が生じない税理士を紹介してくれます。

税理士も人間ですから、クレームを入れられたときの対応は千差万別です。クレームを入れるのであれば、それまでの関係の途絶を覚悟しておくべきでしょう。

したがって、クレームを入れる前に、いま一度トラブルの原因を確認し、クレームを入れた場合と入れない場合のメリット・デメリットについて検討してみましょう。

検討した結果、やはりクレームを入れざるを得ない場合は、上記のように段階を踏むとよいでしょう。

もちろん、何にでもクレームを入れることを推奨するわけではありません。しかし、クレームを入れることが問題の解決や顧問税理士との関係修復に繋がる場合もあります。そして、いざとなれば顧問税理士は変更することが可能なので、必要以上に臆する必要はありません。


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