不渡手形とは?不渡手形を出すとどうなるのか?資金繰りの基礎知識
不渡手形とは、振出人の口座の残高不足が原因で、受取人がお金を受け取ることができない手形のことです。手形は、ビジネス取引をする際、現金が手元になくても発行することができるため重宝されています。
しかし、不渡手形を発生させてしまう可能性もあるので注意が必要です。今回は、不渡手形とは何か、また不渡手形を出してしまうとどうなるか、など不渡手形の基礎について解説していきます。
不渡手形とは?
不渡手形とは、手形の満期日が到来したのに、振出人の口座の残高不足が原因で、受取人が請求した手形代金の支払いを拒絶される手形のことです。不渡手形の多くの原因は口座の残高不足ですが、それ以外の原因、つまり手形の記載ミス、必要事項が記載されていない、呈示期間が過ぎてしまっているなどで不渡手形になることがあります。
不渡手形が出た場合、手形所持人は、振出人や裏書人に対して、手形代金に法定利息や償還請求を加算した費用することができます。なお、不渡手形には、原因によって3種類に分類されています。
不渡手形の種類
【0号不渡り】
0号不渡りとは、受取人が手形を現金化できる呈示期間が過ぎてしまったものや、記載ミスのような不備がある手形のことです。原因を見てもお分かりのように、0号不渡りは振出人が原因で不渡りになったわけではありません。そのため、不渡りとみなされないため、不渡手形に課せらるペナルティは発生しません。
【1号不渡り】
1号不渡りとは、振出人の当座預金に手形の額面以上の残高がなかったため、残高不足が原因で生じる不渡りのことです。原因は振出人にあるため、ペナルティが発生します。
【2号不渡り】
2号不渡りとは、0号不渡りにも1号不渡りにも該当しないものがすべて2号不渡りになります。例えば、手形を盗まれた、手形が偽造されていた、契約不履行だった・・などの原因が挙げられます。2号不渡りは資金不足が原因ではないため、異議を申し立てることが可能です。
不足手形の基本的な考え方
手形の所持人は、支払呈示期間に手形代金を請求できる権利があります。 しかし、支払人がそれに応じることができなかった場合、その手形は支払を拒絶された手形ため、「不渡手形」になります。不渡手形になると、手形の所持人は、振出人や裏書人に対してその支払いを請求できる「遡求権(そきゅうけん)」を持てます。
手形法第49条には、「遡求できる金額は、手形代金に加え、満期日から実際の支払日までの法定利息や遡求にともない発生した支出も含まれる」と定められています。前述したように、手形所持人は、振出人や裏書人に対して、手形代金に法定利息や償還請求を加えたものを請求できる権利があります。
不渡手形を出すとどうなる?
不渡手形(1号不渡り)を出してしまうと、金融機関が「不渡届」を作成し、手形取引交換所へ提出します。手形取引交換所は「不渡報告」を掲載し、すべての金融機関に情報共有をします。つまり、「不渡手形を出した○○企業との取引は注意するように」という通知を出します。
そのため、金融機関から信用度が低くなり、借入が難しくなってしまいますが、それ以外の処分はありません。しかし、半年以内に2度目の不渡を出してしまうと、金融機関からの借入がすべて停止してしまいます。そのため、倒産の危険性が生じます。
不渡手形を勘定する方法
不渡手形を勘定科目として記載するのは、主に3つのケースが挙げられます。それは、①受取手形が不渡りになった場合、②割引した手形が不渡りになり償還請求を受けた場合、③裏書した手形が不渡りになり償還請求を受けて支払った場合、です。
いずれも借方に記載します。記入金額は、手形金額に加え、、満期日から実際の支払日までの法定利息と、遡求にともない発生した支出も含めます。
まとめ
手形は手元に現金がなくてもビジネス取引ができる便利なものです。しかし、不渡手形を出してしまうと、手形取引交換所からすべての加盟銀行に不渡りの情報が開示され、今後の資金繰りに大きな影響を与えます。最悪の場合は、倒産危機まで追い込まれることもあります。ですから、手形を振り出す際には、十分注意しましょう。
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