当座預金とは?普通預金との7つの違いを解説!
預金種目の中にある「普通預金」と「当座預金」。多くの方にとって普通預金は馴染みがあるかもしれませんが、当座預金についてはあまり良く知らないという方も多いのではないでしょうか?この記事では、当座預金について分かりやすく解説していきます。
目次
当座預金とは?
当座預金とは、主に手形や小切手での支払いを目的とした決済用の銀行口座です。特に法人やフリーランスなど個人事業主などが、事業用として利用するのが一般的となっています。
普通預金との最大の違いは、現金の代わりに手形や小切手を使っての支払いが可能なこどです。そのため、多額の現金を持ち歩いたり、手元に置いておいたりすることは不要なので、多額の現金を手元に置くことで伴うリスクの軽減につながります。
海外などでは小切手などを使うケースが多いので個人でも当座預金を所有している人もいますが、日本では手形や小切手を使う習慣があまり浸透していません。
また、普通預金よりも開設時の審査が非常に厳しく、手間がかかるため、個人で当座預金を所有している人はごくわずかのようです。しかし、当座預金には普通預金にはないメリットが得られるため、企業や個人事業主などは当座預金を決算専用の口座として活用しています。
普通預金とは?
普通預金は、一般的に広く利用されている、自由に金銭取引が行える預金口座種目です。例えば、給与の振込や公共料金などの口座自動引き落とし、ATMでの現金引き出しや預け入れなどを利用することができます。
普通預金は個人で開設することはもちろん、ビジネス口座としても開設することが可能です。ビジネスで利用する場合は、取引先や顧客などとの金銭のやり取りをするときなどに利用されています。
当座預金と普通預金の違いとは?
当座預金と普通預金の大きな違いは、上記でもみたように、手形や小切手が使用できるかどうか、という点が挙げられます。その他にも、両者には次のような違いがあります。
1、利息の有無
普通預金は、金利額は変動しても、数パーセントの利息が必ずつきます。しかし、当座預金は、「臨時金利調整法」という法律によって、利息をつけることが禁止されているので無利息です。
2、ATMでの入金(預け入れ)と出金(引き出し)
当座預金の場合、ATMを利用して入金や出金を行うことができません。当座預金で入金する場合は、当座預金入金帳が必要となります。また、出金の場合は、小切手や手形、口座振替のみで行うことができます。なお、入金と出金には、手数料は発生しません。
3、現金の引き出し限度額
普通預金は1回に引き出せる金額の上限が設けられています。具体的には、個人の場合は50万円、法人の場合は200万円までと定められています。一方、当座預金の場合は、限度額が設けられていません。そのため、数千万円~数億円など大きな金額を動かす必要のある商取引には、当座預金の利用が適しています。
4、口座開設時の審査
普通預金も当座預金も、新規で口座を開設する際には、各金融機関で審査をする必要があります。普通預金の場合は、審査基準はあまり厳しくないので、比較的簡単に口座開設することが可能です。しかし、当座預金の場合は、小切手や手形、当座借越など様々な制度があるため、厳しい審査にクリアしなければいけません。
5、当座繰り越しの有無
普通預金の場合は、残高が0円になると、振込や引き出しは一切利用することができなくなります。一方、当座預金の場合は、銀行と当座繰越契約を結ぶなら、残高が0円でも支払いができる「当座借越」という制度があります。あらかじめ決められている限度額の範囲内であれば、銀行が一時的に肩代わりをしてくれます。
6、通帳の有無
最近普及しているインターネットバンキングには通帳がありませんが、通常、普通預金には通帳があります。銀行の窓口やATMなどで記帳をすれば、預金の預入れや引き落としなどの金額などを、時系列で確認できます。
しかし、当座預金には通帳はありません。そのため、当座預金で入出金などの状況を確認したい場合は、取扱金融機関が発行する「当座勘定照合表」を使って確認する必要があります。通常、当座勘定照合表は、銀行にもよりますが毎月郵送されます。
7、元本保証
取扱い金融機関が倒産、もしくは破綻した場合、預金保険機構による払い戻しが保証されています。しかし、普通預金の場合は、ペイオフ制度により、保証限度額が1,000万円までとなっています。一方、当座預金の場合は、保証限度に上限はなく、全額保証されています。
当座預金のメリットとは?
当座預金のメリットには、次のような点を挙げることができます。
・小切手や手形などで決済できるため、多額の現金を手元に置いておく必要がないこと
・出金する際、手数料が発生しないこと
・1日に引き出せる金額に上限がないこと
・取扱金融機関が破綻した場合は、全額が保証されていること
・当座借越契約を結ぶと、残高が不足していても限度額まで自動的に融資が受けられること
・取引先や顧客などへの信頼性が高まること
当座預金のデメリットとは?
当座預金には、次のようなデメリットがあります。
・ATMでの取引ができないこと
・利息が一切つかないこと
・口座開設の審査が厳しいこと
「不渡り」に要注意!
当座預金では、手形や小切手を用いた決済ができます。そのため、不渡りには注意が必要です。不渡りとは、手形や小切手をもらった受け取り人が銀行へ行き、現金に換えようとしたものの、現金残高がゼロで決済できなかったこと、を「不渡り」と言います。
残高不足などが原因で不渡りを出してしまうと、「不渡届」が金融機関から手形交換所へ提出され、その後、取引の内容が記載された「不渡報告」が、参加金融機関に通知されます。同一の金融機関で、6ヶ月の間に2回不渡りを起こしてしまうと、取引停止処分となります。
取引停止処分を受けると、その後2年間、全国の金融機関で当座預金などが禁止されてしまうため、資金調達をすることが難しくなります。その結果、実際多くの会社は倒産へと追い込まれていますので、十分気を付けましょう。
当座預金と普通預金の目的と用途
ここまでみてきたように、当座預金と普通預金は全く異なる口座です。よって、それぞれの特徴を踏まえた上で、目的と用途に応じて使い分けなければいけません。では、使い分けの基準となる目的と用途についてみていきましょう。
当座預金の目的と用途
当座預金は、主に企業間で利用される手形や小切手の支払いを目的として使われています。企業の場合、利用金額が高くなることや、取引の回数が多くなることが予想されています。
よって、1日の限度額に制限がない当座預金は、用途に会った口座と言えるでしょう。ですから、法人の設立を検討している方は、この機会に当座預金の口座開設も考慮することができるかもしれません。
普通預金の目的と用途
普通預金がお金を預けたり、引き出したりなど比較的自由に使える口座です。そのため、事業に関連する資金を管理するための口座として利用することができます。
特に個人事業主の場合、資金の額が大きくないので、普通預金口座でも十分、資金を管理することができます。ただし、個人事業主でも、多額の取引をする場合は、1日の限度額に制限のない当座預金の利用の方が用途にあっているかもしれません。
まとめ
当座預金の特徴、普通預金との違いについて解説してきました。当座預金は、手形や小切手に使われる口座です。一方、普通預金は比較的誰でも開設できる預金口座です。それぞれ特徴、目的や用途が違いますので、自分のビジネスに適した口座を開設するようにしましょう。
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