電子帳簿保存法とペーパーレス化!具体的な導入方法についてわかりやすく解説! | 税理士コンシェルジュ

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電子帳簿保存法とペーパーレス化!具体的な導入方法についてわかりやすく解説!

2023年8月11日
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電子帳簿保存法の義務化をひかえ、会計帳簿書類のペーパーレス化を進めたい事業者も多いのではないでしょうか。

この機会に、法律に沿った形で書類を電子化するのは、ペーパーレス化のひとつの有効な手段です。

この記事では、ペーパーレス化の効果や電子帳簿保存法の概要、電子データの保存要件などについて、わかりやすく解説します。

ペーパーレス(電子化)がもたらす効果

ここ数年、急速にペーパーレス化が進んでいます。新聞・書籍・書類など、情報を保存する媒体が、紙から電子データにシフトしつつあるのです。

ペーパーレス化は何をもたらすのか、その効果をみていきましょう。

コスト削減が期待できる

ペーパーレス化すると、印刷や保管場所等にかかるコストが削減できます。

印刷コストとは、紙代やトナー代、コピー機やプリンターのメンテナンス費などです。個人情報や企業機密の入った書類はそのまま捨てられないため、廃棄コストも考慮しなければなりません。

さらに、保管場所のコストもかかります。大量の紙の書類は、限られたオフィスのスペースを圧迫します。レンタル倉庫を借りれば、賃料もかさむでしょう。

こうした費用も、ペーパーレス化による削減が期待できます。

業務効率化につながる

ペーパーレス化は、業務効率を改善する効果もあります。

紙の書類を扱う場合、保管場所からファイルを探すために時間がかかります。しかし、クラウド上にデータがあれば、デスクや出先、テレワーク中の自宅などから、瞬時にアクセスが可能です。

さらに、電子データは、紙の書類に比べ、書類の整理や保管、破棄等がしやすいため、ファイリングの時間も削減できます。

リスク管理にも有効

電子データは、パスワードやアクセス権の設定、アクセス履歴の管理などにより、他人に閲覧されない状態にできます。また、火事などの災害時に焼失することもありません。

このように、ペーパーレス化には多くのメリットがあるため、会計業務を電子化したい会社は少なくないでしょう。

電子帳簿保存法とペーパーレス化

会計帳簿書類をペーパーレス化するルールを定めたものが、電子帳簿保存法です。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、帳簿書類の電子データによる保存を認め、かつ一部を義務化した法律です。帳簿書類のペーパーレス化に関する法律ともいえます。

以前は、紙での保存義務があった帳簿書類ですが、電子帳簿保存法により「電子データで保存してもよい」と容認されました。さらに、2024年1月以降は、一部について電子データ保存が「義務化」されます。

電子帳簿保存法では、保存方法を「電子帳簿等の保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つに分け、それぞれに保存のルールが定められています。

ペーパーレスが義務化される電子取引書類

2024年1月に義務化されるのは「電子取引データの保存」です。

ペーパーレスが任意の書類

3つの保存方法のうち、「電子帳簿等の保存」と「スキャナ保存」を取り入れるかどうかは、会社の任意です。

引用:教えて!令和3年度改正電子帳簿保存法 国税庁

電子帳簿保存法に沿ったペーパーレス化の例

ここでは、電子帳簿保存法に定められた方法による、ペーパーレス化の具体例をみていきます。

会計ソフトを活用した帳簿保存

帳簿書類を、自社の会計ソフトで作成した場合、その帳簿や書類は、電子データのまま保存できますが、従来どおり紙で保存しても構いません

ただし、電子データで保存するときは、かならず次の要件を満たす必要があります

より詳しい要件は、国税庁のリーフレット「はじめませんか?帳簿・書類の電子保存」をご参照ください。

なお、訂正・削除の履歴が残る会計ソフトで作成するなど、帳簿書類が「優良な電子帳簿」に該当するときは、誤った額を申告した場合でも、過少申告加算税が5%軽減されます。

この場合、あらかじめ税務署に届け出ておく必要がありますので、押さえておくとよいでしょう。

スキャナを活用した帳票・書類保存

紙で受け取った請求書や契約書、見積書などは、スキャナやスマートフォンで読み取ることで、画像データとして保存することができます。

スキャナ保存は義務ではないため、紙のまま保存することも可能です。なお、スキャナで画像化した書類については、原本の紙は廃棄して構いません。

一般的には、スキャナ保存の多くのルールに対応するため、電子帳簿保存法対応のソフトウェアを使うことが多いでしょう。

次に、スキャナ保存の要件のうち、主なものを挙げます。

より詳しいスキャナ保存の要件は、国税庁のリーフレット「はじめませんか?書類のスキャナ保存」をご覧ください。

【2024年義務化】電子取引データの保存方法と注意点

メールに添付して送受信した領収書、ECサイトからダウンロードした請求書など、電子取引をしたデータは紙に印刷せず、電子データのまま保存しなければなりません

電子取引データの保存は、2024年1月から、原則としてすべての法人および個人事業主の義務となります

電子取引データの保存には、原則として、次の3つすべてが必要です。

なお、「改ざんを防止する措置」と「検索を可能にする方法」には、次のような例が考えられます。

詳しくは、国税庁のリーフレット「電子取引データの保存方法をご確認ください」をご参照ください。

なお、次の2つに該当するときは、検索機能を備えなくてもよいとされています。

また、次の場合は、検索要件を満たしていなくても、単にデータを保存しておくだけでよいとされます。これは、「新しい猶予措置」と呼ばれるものです。

【電子帳簿保存法】ペーパーレス化を進める手順

ここでは、一般的なペーパーレス化の進め方について解説します。

保存義務のある書類の洗い出し

はじめに、保存義務のある帳簿や書類をリストアップします。仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、請求書、契約書など、紙で保存している書類を洗い出してみましょう。

このとき、電子取引データに該当するものは、チェックマーク等をつけておきます。電子取引データは、必ず電子データのまま保存しなければならないからです。

各書類の保存方法やフローを検討

次に、洗い出した書類等の保存方法と使用ツールを考えます。「仕訳帳は電子帳簿等保存」「手書きの領収書はスキャナ保存」など、各書類等について検討していきます。

このとき、電子取引データだけは、必ず電子データのまま保存しなければならない点に留意してください

保存方法が決まったら、業務フローや担当者、責任者等を決めます。「請求書は、書類を受領してから〇日以内に保存」「△△がチェックし、〇〇が入力」など、ルールを作っていきましょう。

社内マニュアルを作って周知

決定した保存方法を、社内で共有します。簡単なマニュアルや取扱規程を作った方がよいでしょう。

なお、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データの保存それぞれの規程例は、国税庁のサイトからダウンロードできます。

タイムスタンプがなくても電子化は可能

タイムスタンプとは、その書類がオリジナル(原本)であることを証明するためのものです。

タイムスタンプを付与することで、その日時にその書類が存在したことを証明でき、書類が改ざんされていない証拠となります。

タイムスタンプの付与には「時刻認証局と直接契約する」方法と「対応しているソフト、クラウドシステム等を利用する」方法の2通りがありますが、どちらも費用がかかるため、導入に消極的な事業主も多いでしょう。

しかし、タイムスタンプは、電子帳簿等保存に必須の要件ではありません

そのため、タイムスタンプがなくても、事務取扱規程を作成して運用すれば、改ざん防止措置がとられていると認められます

段階的に進めるのがコツ

これまで紙で保存してきたものをペーパーレスに変えていくのは、大変なことです。

それは、多くの場合、保存をおこなう従業員の習慣自体を改める必要があるからです。

そのため、一度にペーパーレス化をしようとせず、段階的に進めることが一番のコツといえるでしょう。したがって、まずは、電子帳簿保存法で義務化される電子データ保存から、着手することをおすすめします。

まとめ

2024年1月から、電子帳簿保存法の義務化がはじまります。

ペーパーレス化には、コスト削減・業務効率化・リスク管理といった効果があるため、多くの紙の書類を扱う会計業務に、ぜひ取り入れたいものです。

ペーパーレス化は、一度にやろうとせず、段階的にすすめるのがコツです。そのため、ペーパーレス化のポイントやコツを押さえ、少しずつ取り入れていくことをおすすめします。

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