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固定資産評価証明書の基礎知識 | 証明書が必要になるとき・取得方法など

2021年8月25日
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固定資産評価証明書とは、相続や贈与などの際に必要となる書類のひとつです。固定資産税の課税対象となっている資産の評価額を証明します。

固定資産税を毎年納付している方でも、固定資産評価証明書についてしっかり理解している方は少ないようです。この記事では、固定資産評価証明書の基礎的知識について解説していきます。

固定資産評価証明書とは?

固定資産評価証明書とは、「固定資産課税台帳」に登録されている固定資産評価額を証明する書類のことです。固定資産税の課税対象となっている土地や建物などの評価額を証明します。

通常、固定資産税の課税対象は土地や家屋などですが、償却資産、つまり、事業所有の機械や建築物などの資産も課税対象に含まれています。固定資産の評価額は、固定資産税評価額基準という総理大臣が定めた基準をもとに、市区町村長が決定します。

ただし、その評価額は一度決定されたら変わらない、というものではありません。評価額の見直しがを3年ごとに行います。固定資産税評価額は、土地の場合は公示価格の約7割、建物の場合は新築の時点での建築費の約5~7割の額が設定されています。建物や償却資産の評価額は、年数が経過するにつれて下がっていきます。

なお、既存の固定資産の新築や増改築、土地の合筆など資産評価額を見直す必要が生じた場合は、3年ごとに行われる見直しとは別に、新しい評価額が翌年から課税されるケースもあります。

固定資産評価証明書が必要になるときはいつ?

では、どんなときに固定資産評価証明書が必要となるのでしょうか?主に次のような場面で必要となります。

・不動産登記にかかる登録免許税の算定をするとき
・相続税や贈与税の申告をするとき

では、それぞれについて詳しくみていきましょう。

不動産登記にかかる登録免許税の算定をするとき

相続や贈与などで所有していた不動産の名義変更を行う際には、登録免許税が発生します。そもそも登録免許税とは不動産の登記、会社の登記や特許、免許、許認可などを対象に課される税金のことです。

不動産の場合、登録免許税は不動産の価額に所定の税率をかけた金額が課税されます。この不動産の価額が、市区町村の役所で管理している固定資産税評価額です。(固定資産税評価額がない場合は、登記官が認定します)

売買や相続、贈与などで不動産の名義を変える移転登記をする場合には、最新の固定資産評価証明書を添付する必要があります。なぜなら、登録免許税を算出するためには、固定資産評価証明書をもとに評価額を確認する必要があるからです。

なお、市区町村によっては、法務局に固定資産価格を電子通知しているところもあります。そのような場合は、固定資産評価証明書の添付は原則不要とされています。

相続税や贈与税の申告をするとき

相続税や贈与税は基本、譲り受けた財産の時価をもとにして税額を計算します。しかし、不動産の時価を求めることは容易なことではありません。そのため、国税庁は、相続税や贈与税を算定する場合の不動産の評価方法を次のように定めています。

【土地の場合】
国税庁が定める路線価図に記載されている宅地については、原則として1平方メートルあたりの路線価に面積をかけて算出した額が、土地の評価額になります。

一方、路線価図に記載がされていない宅地や農林、山林などは、固定資産税評価額に所定の倍率をかけて算出した額が、土地の評価額になります。

【家屋の場合】
家屋の場合は、固定資産税評価額で評価します。相続や贈与された財産に固定資産税評価額を使って評価する対象のものがある場合は、相続税や贈与税の申告書に固定資産評価証明書を添付する必要があります。

固定資産評価証明書の取得方法について

固定資産評価証明書は、市区町村の役所(東京23区の場合は各都営事務所)で取得することができます。ただし、証明書は誰でも取得できるものではなく、固定資産の所有者本人、もしくは本人の同居親族、本人の代理人、借地人、借家人、民事訴訟等の申し立てをする人、法人のみが手続きすることができます。

窓口で直接取得する方法に加え、郵送での取得方法もあります。郵送で取得する場合は、必要書類に加えて、手数料(定額小為替)、返信用封筒(宛先を記入して郵送切手を貼ったもの)を一緒に同封して郵送します。郵送先は、各自治体の公式サイトで確認するか、電話などで問い合わせをしてください。

また、固定資産評価証明書を取得する際には、以下のものが必要となります。

・身分証明書(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険書、年金手帳、老人医療証などが有効ですが、顔写真がない本人確認書類については2つの提示が必要))
・直近の納税通知書(任意)
・委任状(代理人が取得する場合)
・所得者が亡くなったことを証明する書類と相続人であることを証明する書類(相続人が取得する場合)
・証明手数料

固定資産評価証明書の申請手数料は、各市町村の役所によって異なりますが、1筆、1棟につき約300円前後が目安となっています。

例えば、土地の上に建物が建っている場合は、土地と建物それぞれに固定資産評価証明書が必要となりますので、2つの申請手数料が必要となります。

また、建物が店舗と車庫が2つある場合は、土地、店舗、車庫の3つの固定資産評価証明書が必要となりますので、申請手数料は3つ分必要となります。

どの年度の固定資産評価証明書が必要となるか?

固定資産評価証明書は、毎年4月1日に新しい年度にものへと切り替わります。不動産の登記申請に固定資産評価証明書を添付するために取得する場合は、申請日の年度の固定資産評価証明書が必要となります。

一方、相続税の申告に固定資産評価証明書を添付するために取得する場合は、相続開始した年度の固定資産評価証明書が必要となります。

また、贈与税の申告に固定資産評価証明書を添付するために取得する場合は、贈与を受けた日の年度の固定資産評価証明書が必要です。なお、固定資産評価証明書は、過去5年度分までしか遡って取得することができません。

固定資産評価証明書の申請書の書き方について

固定資産評価証明書を取得する際には、申請書を記入する必要があります。各市町村によって申請書の様式には若干違いがありますが、主に次のような項目が設けられています。

・申請日および事務所名
固定資産評価証明書を申請する日付と管轄の市区町村の役所の名称を記入します。

・申請の種類
評価証明、物件証明、土地・家屋名寄帳閲覧、課税台帳閲覧、地籍図解欄などから、申請する種類に「レ」点を入れます。

・申請者の情報
申請者の情報として、住所、氏名、フリガナ、電話番号を記入します。法人が申請者の場合は、法人の所在地、名称、代表者氏名を記入したうえ、代表者印を押印します。また、代理人が申請書を提出する場合は、代理人の記入欄に代理人の住所、氏名、フリガナ、電話番号を記入します。

・証明の対象となる固定資産の納税義務者の情報
証明の対象となる固定資産の納税義務者が申請者と同じ場合は、申請者に同じという欄に「レ」点を入れます。申請者と異なる場合は、証明対象となる固定資産の納税義務者の住所、氏名を記入します。

・証明を必要とする理由
証明を必要とする理由として、金融機関、官公署、裁判所、その他などの項目があります。該当する理由の種類に「レ」点を入れます。

・証明を希望する年度、区分、物件の所在地(登記簿上の地番)、家屋番号、通数
納税通知書を参照しながら、証明を希望する年度、区分、物件の所在地などの情報を記入します。区分は土地、家屋、償却資産のいずれかに「レ」点を入れます。

固定資産評価証明書に記載されている項目

固定資産評価証明書には、次のような項目が記載されています。

【土地】
・所有者の氏名と住所
・土地の所在地
・台帳地目
・現況地目
・地積
・評価額

【建物】
・所有者の氏名と住所
・建物の所在地
・家屋番号
・種類
・主体構造
・屋根構造
・階数
・登記床面積
・課税床面積
・評価額

参照:東京都主税局「令和3年度固定資産評価証明書等の申請について

固定資産評価証明書と固定資産公課証明書の違いとは?

先述したように、「固定資産評価証明書」は、市区町村の役所の固定資産課税台帳に登録されいてる物件の価値を証明する書類で、固定資産評価額は、総務省大臣が定めた固定資産評価基準によって算出します。

固定資産評価証明書とよく似ている「固定資産公課証明書」とは、固定資産評価証明書の内容に加えて、固定資産税の課税標準額と税相当額、都市計画税の課税標準額と税相当額も記載されている書となっています。

固定資産税や都市計画税は不動産の所有者が納めるものと定めています。したがって、不動産売買で物件の所有者が移転する場合は、前の所有者と次の所有者の間で、固定資産税や都市計画税を按分することが一般的です。

その際に、固定資産公課証明書に記載されている税相当額で日割りをし、それぞれが負担する税額を精算するために固定資産公課証明書を取得するケースが多いようです。

ちなみに、固定資産公課証明書も固定資産評価証明書と同じように、各市区町村の役所で取得することができます。

まとめ

土地や建物など課税対象となる固定資産の「固定資産評価証明書」の基礎知識やその取得方法についてみてきました。固定資産評価証明書は、主に不動産の相続や贈与の取引などが発生するときに必要となります。

特に同族会社を経営している事業所であれば、相続は想定されるケースの一つです。突然に手続きが発生することもありますので、固定資産評価証明書の取得方法をしっかり把握しておくことはとても大切です。

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