関東itソフトウェア健康保険組合はどんな健康保険?加入条件と制度を徹底解説!
関東itソフトウェア健康保険組合は、主に関東圏のIT関連企業を対象とした健康保険組合です。「IT健保」や「ITS健康保険」とも呼ばれており、企業の加入条件が厳しいことで知られています。
しかし、多くの特典やメリットがあるため注目されています。この記事では、関東ITソフトウェア健康保険組合はどのような健康保険か、加入条件、特典、メリットなどについて紹介します。
目次
関東ITソフトウェア健康保険組合とは?
関東ITソフトウェア健康保険組合とは、その名前の通り、主に関東圏のIT関連企業を対象とした健康保険組合です。一般社団法人コンピュータソフトウェア協会を母体としており、昭和61年4月に設立されました。現在(令和2年8月時点)では、加入事業者の数は7,000以上、被保険者数は54万人以上の方が加入しています。
そもそも会社員が加入する健康保険制度には、大企業や同業者の組合で運営されている「組合管掌健康保険」と、中小企業の会社員が加入している「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2つに大きく分類されています。
関東ITソフトウェア健康保険組合は、前者の「組合管掌健康保険」に該当します。なお、正規名称は「関東ITソフトウェア健康保険組合」ですが、「ITS健保」や「ITS健康保険」とも呼ばれています。
関東ITソフトウェア健康保険組合の加入条件とは?
関東ITソフトウェア健康保険組合への加入には、関東圏でIT関連企業であることに加え、いくつかの細かい加入基準が設定されています。
【加入基準】
①下記の業務での売上が、会社の売上の50%以上を占めていること。
・ソフトウェアなどの開発、もしくは販売
・コンピュータや周辺機器の販売(レンタルやリースも含む)や保守サービス
・コンピュータの利用による情報の提供
②社会保険加入期間が1年以上あり、現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県、山梨県の全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していること。
③被保険者数が20名以上いること。
④被保険者の平均年齢が、IT健保の平均を著しく上回っていないこと。なお、令和2年5月末現在の平均年齢は36.9歳。
⑤扶養率が、IT健保の平均を著しく上回っていないこと。
⑥標準報酬月額8等級以下(月額118,000円以下)の被保険者がないこと。
⑦過去1年間に公租公課の滞納(納入遅延)がないこと。(公租とは法人税・消費税・所得税・地方税などの国税や地方税のこと/公課とは健康保険・厚生年金保険・雇用保険の保険料のこと)
⑧反対会的勢力に関して、過去も現在も、そして将来においても関係性がないこと。
➈組合運営に支障を及ぼすおそれがないこと。
⑩健康保険組合加入後、保険料の納付は当組合指定銀行の本店、もしくは支店で口座振替納入ができること。なお、当組合指定銀行とは、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・三井住友信託銀行のいずれか。
これら10の加入基準は、関東ITソフトウェア健康保険組合の公式ホームページに記載されています。それに加え、ホームページには記載されていませんが、審査の際には、決算状況なども確認されます。その際には、欠損金の繰越額が資本金以上でないか、社会保険料を納入する資金があるか、などの要素も確認されます。
関東ITソフトウェア健康保険組合への加入方法とは?
上記の加入基準を満たしているなら、関東ITソフトウェア健康保険組合へ加入することができます。関東ITソフトウェア健康保険組合の公式ホームページの「加入申出書」から手続きが行えます。次のような流れで進みます。
ステップ1:加入基準を満たしているを確認する。
ステップ2:公式ホームページの「加入申出書」(Excel)を開く。
ステップ3:加入申出書の画面に、必要事項を入力する。
ステップ4:加入申出書などを印刷する。
ステップ5:印刷した加入申出書に代表者印を押印し、添付書類を添付して、郵送もしくは窓口へ提出する。
ステップ6:後日、組合から連絡があり、手続き完了
必要な添付書類
加入申出書に添付する添付書類とは、次のものです。
・商業登記簿謄本又は履歴事項全部証明書(3ヶ月以内の原本1通)
・最近の法人の確定申告書写(別表1・2、決算報告書、勘定科目内訳明細書)
・直近1年の法人税の領収書、もしくは納税証明書(その3・未納税額のない証明用)
・直近1年の源泉所得税の領収書写
・直近1年の社会保険料の領収書写もしくは納入証明書
・(賃貸の場合)賃貸借契約書写(1通)/(転貸借の場合)本契約、転貸借契約、オーナーの承諾書
・事業所の概要(事業所名・事業所所在地・事業主名・業務内容などが記載されている会社案内)
・事業所調査に対する事業主の同意書(年金事務所・健康保険組合・全国健康保険協会宛に計3通を、当公式ホームページでダウンロードできる同意書のフォーマットで作成)
・反社会的勢力などの排除に関する誓約書(当公式ホームページでダウンロードできる誓約書のフォーマットで作成)
関東ITソフトウェア健康保険組合へ加入するメリットとは?
関東ITソフトウェア健康保険組合は加入基準は厳しいですが、他の健康保険組合と比べると、さまざまなメリットや特典が受けられます。では、加入するメリットを大きく3つみていきましょう。
メリット①法定給付+付加給付金の制度
健康保険には、被保険者の病気やけが、死亡などの際に一定額が給付される「法定給付制度」があります。そして、各保険組合では、独自に上乗せする付加給付制度を導入しています。関東ITソフトウェア健康保険組合の付加給付制度は、次のようなときに給付金がでます。
・病気やけがをしたとき
・在宅介護が必要なとき
・立て替え払いをしたいとき
・高額な医療費がかかったとき
・病気やけがで働けなくなったとき
・移送費
・出産したとき
・亡くなったとき
メリット②保険料率がお得!
協会けんぽの場合、保険料率の一般保険料率は5.0%、介護保険料率は0.785%(事業主負担・被保険者負担とも)が設定されています。しかし、関東ITソフトウェア健康保険組合の場合、それぞれ4.25%、0.8%が設定されています。したがって、事業主と被保険者の双方の負担額が軽減します。年間を通してみるなら、法定福利費を大幅に削減することができるでしょう。
メリット③保険事業や保養施設の充実度
関東ITソフトウェア健康保険組合は、保険事業や各種福利厚生施設が充実していることでよく知られています。
・直営保養施設の利用
箱根や館山など観光スポットとして人気が高く、東京からアクセスの良い関東圏を中心に多くの直営保養施設をもっています。被保険者と被扶養者は、1泊2食付き5,400円で豪華な施設を利用することができます。
また、直営保養施設のほかにも、全国に提携キャンプ場があり、1人1,000円で利用することができます。さらにJTB契約保養施設を利用した場合は、1泊につき5,000円まで補助金がでます。
・スポーツ事務やスポーツ施設の利用
コナミスポーツやセントラルスポーツには、法人料金で利用できるお得なプランが用意されています。法人会員の場合は、1回あたり本人負担額は1,000円前後での利用が可能です。月会員で通うことが難しい・・という方でも、気軽にジムライフを楽しめます。
・レストランやバーの利用
東京赤坂の寿司「鮨一新」や、銀座の「銀座鮨かねさか」などの有名鮨店や、新宿の中華料理店、イタリアンレストランなどの料理を、リーズナブル価格で利用することができます。どれも人気なレストランやバーばかりで、すぐに予約でいっぱいになってしまうものばかりです。ただし、被扶養者と被扶養者の価格と、その他の同伴者では、料金が異なりますので注意しましょう。
・娯楽施設の利用
関東ITソフトウェア健康保険組合の大人気イベントのひとつに、東京ディズニーランドと東京ディズニーシー、ユニバーサルスタジオジャパンなどで行われる健保大会があります。
申し込みをするだけで、チケットを利用できる期間が限定されていますが、安く入園できるというイベントです。とてもお得な価格で楽しめるため、人気の抽選申し込みイベントとして知られています。
・常備薬を特別価格で購入できる
常備薬や医薬品などを特別価格で購入することも可能です。定期的に送られてくる保険の雑誌「TOCOTOCO(トコトコ)」に記載されている専用パスワードを入力すると、サイトにアクセスでき注文できます。
医薬品だけでなく、腸内環境検査やピロリ菌検査などの郵送検診キットも取り扱われており、気軽な検査も人気となっています。
・インフルエンザ予防接種費用の補助
関東ITソフトウェア健康保険組合では、インフルエンザの予防接種に対して、2,000円の補助がでます。年に1回、9月から予防接種を受けられます。
・年に1度の無料歯科検診
年に1度、無料で歯科検診を受けることができます。
・健康保険窓口と健康プログラム
関東ITソフトウェア健康保険組合では、39歳以下の方を対象に、生活習慣病予防プログラムを用意しています。このプログラムでは、将来の病気の予防を目的とした運動を行います。その他にも糖尿病教育プログラムや、ダイエットプログラムなども用意されています。プロによる適切な指導が受けられる魅力のプログラムとして人気があります。
まとめ
関東ITソフトウェア健康保険組合は、加入条件が厳しいことで知られている保険組合ですが、加入するメリットの多い健康保険です。独自の付加給付制度の充実度や保険料率の低さ、保険事業や保養施設の充実度など、他の健康保険では得られないメリットや特典を得ることができます。加入基準を満たしているのであれば、加入を検討する価値がある保険と言えるでしょう。
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