マイナンバー制度導入で税金手続きはどのように変わった? | 税理士コンシェルジュ

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マイナンバー制度導入で税金手続きはどのように変わった?

2020年7月27日
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平成27年10月に個人へのマイナンバー通知が行われ、翌年平成28年1月からマイナンバー制度が導入されました。すでに導入から数年経過していますが、マイナンバー制度で私たちの生活はどのように変わったのでしょうか?今回は、マイナンバー制度によって、住民税関連の手続きがどのように変わったかに注目してみましょう。

マイナンバー制度の目的

政府はマイナンバー制度を導入することで、次の3つの実現を目指すことを目標としてかかげています。それは①行政の効率化、②国民の利便性の向上、③公平・公正な社会の実現です。どのような内容なのか、ひとつづつ確認していきましょう。

①行政の効率化
マイナンバー制度導入前は、住民票の「住民登録番号」、年金の「基礎年金番号」、健康保険の「保険者番号」、税金の「整理番号」が個々に割り振られていました。手続きをする際には、それに合った番号を利用することはもちろん、役所間で情報を共有することは不可能でした。

しかし、マイナンバー制度導入後は、社会保障や税分野に関して番号が統一したので、役所間で情報を共有できるようになりました。そのおかけで、行政の手続きがスムーズになっています。

②国民の利便性の向上
マイナンバー制度の導入前は、市区町村の役場や税務署、社会保険事務所など複数の機関を訪れ、書類を入手し、提出する必要がありました。マイナンバー制度導入後は、社会保障や税関係の申請をする際、課税証明書などの添付書類の提出が免除されるため、以前よりも負担なく、手続きが簡単に行えるようになっています。

③公平・公正な社会の実現
マイナンバー制度を導入することで、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなりました。そのため、税金や社会保障の負担を不正に免れることや、給付を不正に受けるなどの防止につながり、国民の公平・公正な社会の実現させています。つまり、税金のごまかしもできなくなっています。

住民税の概要

マイナンバー制度の導入により、公平・公正な社会を実現するために、税金のごまかしができなくなりました。では、マイナンバー制度により、どのように税金手続きがどのように変わったのでしょうか?そのためには、まず住民税がどのようなものかを把握しておくことは大切です。

そもそも私たちが支払っている住民税、つまり「個人住民税」は、「都道府県民税」と「市町村民税」の総称のことです。つまり、住民税は、都道府県と市町村の2ヵ所から徴収される税金です。では、どのように住民税額は決まるのでしょうか?

住民税額の決め方とは?

都道府県税と市町村民税の2つの住民税は、前年の所得に応じて計算する「所得割」と、定められた額で一律に課税される「均等割」で税額が決まります。住民税額の計算方法は簡単に思われる方もいるかもしれませんが、税額を求めるのはとても複雑です。

なぜなら、税額を決めるために、国税庁や税務署、年金機構、各企業などから提出された書類をすべて確認する必要があるからです。提出された書類とは、確定申告書、給与支払報告書、年金支払報告書などが該当します。

これらの書類に記載されている人物が、本当に同一人物なのかどうかを照合する作業をしなければいけないのです。このように同じ人物やIDなどをまとめる作業を「名寄せ作業」といいます。

例えば、「高橋」「髙橋」という漢字の違い、「1丁目2番地3号」と「1-2-3」という表記の違いなど、私たちにとっては些細なことでも、住民税を計算する際には、別の人かもしれないという可能性があるため、同一人物であると確認できるまで作業を続ける必要があるのです。

マイナンバー制度導入で住民税額の決定がスムーズに!

マイナンバー制度導入後は、行政機関に提出する書類にマイナンバーを記載することで、「名寄せ作業」がとても容易になり、作業の効率がアップしています。つまり、マイナンバーのおかげで、同一人物かどうかをすぐに判別することが可能になりました。

それに伴い、住民税など税金類の支払を滞納している人のチェックも容易になり、これまで以上に住民税のごまかしをすることは難しくなっています。

マイナンバー制度導入で税務手続きがスムーズに!

マイナンバー制度導入後、税務関係の書類には、「氏名もしくは名称」の欄のそばに、「マイナンバー」を記入する欄が設けられるようになりました。本人が作成する書類であれば、本人自ら自分のマイナンバーを記入することができますが、会社で作成する書類の場合は、人事労務担当者が従業員からマイナンバーを提出してもらう必要があります。

その際、マイナンバーは大切な個人情報のため、提出してもらう際には本人確認をしたり、預かったマイナンバーは法令で義務付けられている保管法に従って扱わなければいけません。

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とマイナンバー
年末調整をする際、必ず提出しなければならない「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」とは、その年に納めるべき税額を計算したり、住民税額を決定したりなど、税関連手続きに使われる書類のひとつです。マイナンバー制度の導入により、書類にはマイナンバーの記入欄が追加されました。

提出者本人(従業員)のマイナンバーはもちろんのこと、配偶者が扶養家族のマイナンバーも記載する必要があります。マイナンバーを記載することは、住民税などの税金関連の手続きに直接関係するものです。なお、配偶者や扶養親族のマイナンバーに関する本人確認は、事業者ではなく、書類を提出する従業員本人が行います。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のマイナンバーの取扱い方法とは?

マイナンバー書類は、マイナンバー法で管理方法から破棄方法まで、取扱いについて定められています。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載されている従業員本人のマイナンバーと、その配偶者や扶養親族のマイナンバーは、マイナンバー法に従って扱わなければいけません。では、具体的な取扱い方法についてみていきましょう。

・扶養親族に利用目的を通知することは義務
事業者は、マイナンバーの利用目的について、従業員の扶養親族に通知する義務があります。個人情報法第18条には、「利用目的を本人に通知、もしくは公表しなければならない」と記載されており、この個人情報にはマイナンバーも含まれます。利用目的を通知することは義務ですので、忘れないようにしましょう。

・事業者は扶養親族のマイナンバーを確認することは可能
事業者は、記入された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員から受け取った後、従業員や扶養親族のマイナンバーが正確に記載されているかどうかを確認することでしょう。もし1つでも番号が間違っていた場合は、すべての事務手続きにトラブルが発生します。

では、事業者はどのように確認することができるのでしょうか?前述したように、配偶者や扶養親族のマイナンバー「本人確認」は、書類を提出する従業員本人が行いますが、「番号確認」の場合は、従業員から扶養親族のマイナンバーカードのコピーなどを受取り、確認することができます。あくまでも「本人確認」は不要ですので、写真付きの免許証やパスポートなどを提示も不要です。

・記載されているマイナンバーの利用目的範囲
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、年末調整時に提出してもらう書類のひとつです。では、この書類をもとに、同じく年末調整時の書類である源泉徴収票の作成することができるでしょうか?「マイナンバーの流用ではないか?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と源泉徴収票は、年末調整に欠かすことができない書類で、両者は深い関係があります。そのため、従業員から提出された給与所得者の扶養控除等(異動)申告書のマイナンバーを、源泉徴収票を作成する際に利用することは、利用目的の範囲内と認められています。

まとめ

マイナンバー制度が導入されたことにより、さまざまな手続きの効率化が実現しています。特に行政機関が個人情報をスムーズに共有することが可能となったため、税金関連の手続きも正確さが増しました。これに伴い、住民税など税金のごまかしは難しくなり、公正・公平な税制が実現しています。

今後ますますマイナンバーの利用範囲が拡大していくと予想されます。マイナンバーの今後の動きにも期待を高めていきましょう。


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