給与支払報告書はマイナンバーの対象!マイナンバーを記載する法定調書とは? | 税理士コンシェルジュ

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給与支払報告書はマイナンバーの対象!マイナンバーを記載する法定調書とは?

2020年5月24日
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平成28年1月よりマイナンバー制度が導入されたことに伴い、給与支払報告書などの法定調書にマイナンバーを記載する必要があります。この記事では、マイナンバーを記載すべき給与支払報告書など法定調書とマイナンバー制度の関係、マイナンバー収集で注意すべきことなどについて解説していきます。

マイナンバー制度の対象とは?

平成28年1月より導入されているマイナンバー制度は、すでに多くの分野で利用されており、今後ますます広い分野で活用されることが期待されています。ここでは現時点で活用されている「社会保障」「税金」「災害対策」の3つの分野に注目してみましょう。

社会保障分野でのマイナンバー制度

社会保障分野では、健康保険や雇用保険、年金などに関する書類を提出するときに、マイナンバーを記載する必要があります。それには、次のような書類が挙げられます。

・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届・喪失届
・健康保険・厚生年金保険算定基礎届
・傷病手当金支給申請書
・雇用保険被保険者資格取得届・喪失届
・扶養控除申告書
・育児休業給付金支給申請書

税分野でのマイナンバー制度

税分野では、税務署に書類を提出するときにマイナンバーを記載する必要があります。それには次のような書類が挙げられます。

・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・給与所得者の扶養控除申告書
・給与所得者の配偶者特別控除申告書
・給与支払報告書
・不動産の使用料等の支払調書 など

災害対策分野でのマイナンバー制度

災害分野でマイナンバーの記載を必要とする書類は、次のようなものが挙げられます。

・被災者生活再建支援金の支給に関する事務
・被災者台帳の作成に関する事務  など

給与支払報告書などの法定調書とは何?

上記でご紹介した書類はほんの一部ですが、マイナンバー制度が導入されたことでマイナンバーの記入が必要となっています。その中でも「法定調書」と呼ばれる書類は、会社の経理担当者が作成する書類のひとつで、数多くある業務の中でも作業の割合が大きい業務として知られています。

「給与支払報告書」をはじめとした法定調書には、「退職所得の源泉徴収票」「報酬・料金・契約金・賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」などが該当します。では、それぞれの法定調書について詳しくみていきましょう。

給与支払報告書

給与支払報告書は、「個人明細書」と「総括表」の2つが組み合わされた書類です。個人明細書とは、源泉徴収票と同じ内容が記載されています。それには給与を受ける人の氏名、住所、生年月日、給与の金額、保険料控除の金額などが記入されています。源泉徴収票との違いは、提出先が税務署ではなく市区町村であることと、使用用途が住民税と国民健康保険を計算すること、という点です。

一方、総括表とは、個人別明細書の表紙のようなものです。その会社から何人の従業員の個人別明細書が提出され、退職者が何人いたかなどを市区町村ごとに記載します。つまり、従業員が住んでいる市区町村の数だけ、総括表と個人明細書が組み合わされた「給与支払報告書」が作成されるということです。

退職所得の源泉徴収票

退職所得の源泉徴収票とは、退職者に退職金を支払ったときに提出する書類です。受給者が法人の役員の場合にのみ、提出することが求められれています。

報酬・料金・契約金・賞金の支払調書

報酬・料金・契約金・賞金の支払調書とは、給与以外の所得の金額が記載された書類です。主に外交員や税理士、税理士などに報酬・料金・契約金・賞金などを支払うときに作成します。例えば、外交員に合計50万円以上支払われた報酬や料金、弁護士に合計5万円以上支払われた報酬や原稿料などが挙げられます。

不動産の使用料などの支払調書

不動産の使用料などの支払調書とは、不動産使用料の金額が記載されている書類です。不動産の使用料などを支払っている法人や、不動産業者が提出するよう求められています。

マイナンバーは重要な個人情報!厳重な管理体制が必須

マイナンバーは重要な個人情報ですから、マイナンバーを管理する事業主は、厳重な管理体制で保管することが必要です。特に従業員数が100名を超える大企業などは、マイナンバーの情報を守る「安全管理措置」という取扱い規定を社内で決めるよう定められています。

これには①基本方針の策定、②取扱規定の策定、③組織的安全管理措置、④人的安全管理措置、⑤物理的安全管理措置、⑥技術的安全管理措置、の6つのルールがあります。大企業はこれらのルールを社内決め、それに従ってマイナンバーを管理をする必要があります。

一方、従業員数が100名未満の小規模な事業者の場合は、そこまで厳重な管理を求められてはいませんが、重要な個人情報であることには変わりはないので大切に保管することが大切です。マイナンバーの具体的な保管例として、カギが付いているキャビネットに保管することができるかもしれません。また、PDFなどの電子ファイルで保管する場合は、パスワードをかけて保管することができるでしょう。

そもそも法律では、従業員のマイナンバーは社会保険、税金、災害時の情報管理のみの利用できる、と規定されています。ですから、退職者のマイナンバーに関しては、退職後に必要な書類の届出が終了すれば、速やかにデーターを破棄する処理が必要となります。

従業員のマイナンバーを収集する際の注意点

先述したように、事業者が作成しなければならない給与支払報告書をはじめとし、税金や社会保険などの書類など多くの分野にわたって、従業員のマイナンバーを記載する欄が設けられています。マイナンバーを従業員から収集するためには、その使用目的の対象となる人に何のためにマイナンバーを収集するのかその目的を通知する必要があります。マイナンバーを提供することは従業員の義務となっているので、担当者は書類を作成するたびに同意を得る必要はありません。

では、事業者は、だれからマイナンバーを収集すればよいのでしょうか?マイナンバーを収集する対象となっているのは、次のような方です。

・従業員
アルバイトやパートなど雇用形態を問わず、給与の支払いをしている従業員は対象となります。市区町村へ給与支払報告書を作成する際にマイナンバーが必要となります。その他にも社会保険や雇用保険の加入手続きや、税務署に提出する源泉徴収票などにもマイナンバーを記載する必要があります。

・扶養親族
扶養親族のマイナンバーは、給与支払報告書への記載は不要ですが、社会保険の扶養に入れる手続きや税務署に提出する源泉徴収票にはマイナンバーの記載が必要となります。

・支払調書の発行対象者
税務署に支払調書を提出しなければならない人がいる場合は、従業員でなく外部の人であったとしてもマイナンバーを収集する必要があります。それには弁護士や税理士、大家さんなどが該当します。

まとめ

マイナンバー制度が導入して数年経過しているので、経理担当者の多くの方がマイナンバーの記入書類について理解しておられることでしょう。マイナンバーは、重要な個人情報ですから、マイナンバーを収集した後は、適切な管理を行うことが事業者に義務づけられています。

今後、マイナンバーの利用できる分野は、ますます拡大していくことが予想されています。是非、どのような書類にマイナンバーが必要となるかをしっかり把握しておくようにしましょう。


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