【法人の印鑑証明書】印鑑登録から印鑑証明書取得までのステップを徹底解説
会社設立時の手続きには法人印鑑が必ず必要となります。また、個人の印鑑証明書と同じように、法人の印鑑証明書も重要な取引をする際に欠かすことができません。では、どのように法人の印鑑証明書を取得すればよいのでしょうか?この記事では、印鑑登録をはじめとし、印鑑証明書をどこで、どのように取得するのか、印鑑証明書について徹底解説していきます。
目次
法人の印鑑証明書を取得するまでに流れ
法人の印鑑証明書を取得するためには、次のようなステップを踏む必要があります。
ステップ1:法人の印鑑登録をする
ステップ2:印鑑カードの交付をする
ステップ3:印鑑証明書の手続きをする
印鑑証明書を取得するには、まず法人の印鑑登録、そして、印鑑カードの取得が必要です。なぜなら、印鑑カードがないと印鑑証明書の手続きが行えないからです。印鑑カードは印鑑登録をすることで交付することが可能となりますので、まずは印鑑登録から行いましょう。では、それらの方法について詳しくみていきましょう。
法人の印鑑登録
日本に籍を置く法人であれば、代表者印や銀行印、また、毎日の業務の中ではゴム印や角印などが使われています。様々な種類の印鑑が使われている印鑑ですが、これらの印鑑の中には、登録が必要な印鑑と登録の必要がない印鑑に大きく分類することができます。登録が必要とされている印鑑は主に「代表者印」と「法人銀行印」の2種類です。
代表者印は「会社の実印」「法人実印」などとも呼ばれています。銀行印はその名前の通り、銀行に届出をした会社印のことです。法人が印鑑証明書を取得するためには、まず「印鑑登録」をする必要があります。個人の印鑑登録であれば、市区町村の役所で行えますが、法人の印鑑登録の場合は、「印鑑届書」を法務局に提出する必要があります。
法人に必要な印鑑
では、印鑑登録をする前に、法人に必要な印鑑について詳しくみていきましょう。会社設立時には、3つの印鑑を準備すべきと言われています。それは「実印」「銀行印」「角印」の3つです。印鑑証明書に必要な印鑑は「実印」ですが、それぞれどのような目的、また効力があるのかを理解しておくことは大切です。
・実印
会社設立の際、必ず必要となるのは実印です。実印は、代表者印、会社実印、法人実印、丸印などとも呼ばれています。法務局で会社設立の手続きをする際の登録手続きで、実印が使用されます。法人登記を変更する際にも使われる最も重要な印鑑として扱われています。
原則として、実印が押されている書類は、正式な意思決定に基づいて印鑑が押されたとみなされます。法律上必ず必要とされている印鑑は実印だけなので、どの会社でも厳密に保管されています。
・銀行印
銀行印は、取引口座を開設するときに、金融機関に提出する印鑑のことです。銀行印は、銀行届印、金融機関届出印などとも呼ばれています。銀行印と通帳があれば、金融機関で引き出しができるため、金銭的な不正を防ぐために内規を定めている会社も少なくありません。
会社の実印を銀行印として届出することもできますが、実印は大きな効力を持つ重要な印鑑なので、一般的には会社の実印と銀行印を別々にすることが常識となっています。そうすることで、紛失や盗難、悪用などのリスクの軽減につながります。
・角印
角印は、ビジネスシーンなど日常的によく使われる印鑑で、社印と呼ばれることもあります。見積書や請求書、領収書など実印を押すほどでもない書類に押印が必要なときに使われます。角印には特に決められた形式はありませんが、正方形の四角形状が一般的となっています。
法人の印鑑登録方法
法人の印鑑登録の手続きは、設立登記申請と同じときに行うことができます。印鑑登録は、「印鑑届書」という書類と提出する必要があります。一般的に法人の印鑑登録をする場合、会社の実印を登録申請しますが、その際、届け出を提出する本人の個人の実印と印鑑証明書も必要となります。つまり、本人が届け出を提出する場合は、会社の実印、届け出る本人の実印、本人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)を準備してください。
本人が届け出をするときは、「印鑑(改印)届書」の「印鑑提出者本人」の欄に「レ」点を入れ、本人の住所や氏名などの個人情報の他に、法人の商号・名称、法人の住所、会社法人番号などを記入します。左上の捺印欄には、今回登録する実印を押します。そして、右下の捺印欄には、提出者本人が市区町村の役所に登録している個人の実印を押します。
すべて記入された「印鑑届出書」を提出する際には、提出者本人の実印の印鑑証明書を一緒に添付して提出します。印鑑登録の手続きが完了したら、印鑑カードの交付を申請されることをおすすめします。
なお、法人の印鑑登録は本人ではなく、代理人が届け出をすることもあります。例えば、会社設立手続きの代行サービスや司法書士など代理人として行うことがあります。代理人が手続きをする際には、「代理人」の欄に「レ」点を入れ、代理人の住所や氏名を記入し、右下の捺印欄に代理人の印鑑を押します。また、代理人の場合は、「委任状」という項目を本人に記入してもらい、本人が市区町村の役所に登録している個人の実印を押してもらう必要があります。
印鑑カードの交付方法
印鑑登録の完了後は、印鑑カードの交付の申請が必要です。なぜなら、法人の「印鑑証明書」を取得するためには、印鑑カードが必要となるからです。印鑑カード交付申請は、会社設立や印鑑登録をする際に必ず行なわなければならない、というわけではありません。しかし、印鑑証明書の手続きで必ず必要となってきますので、印鑑登録後に印鑑カードの手続きも一緒に行われることをおすすめします。
なお、印鑑カード交付申請書は、印鑑届書と様式が似ています。代理人に手続きを依頼する場合は、委任状欄に記入してもらうようにしましょう。印鑑カードは、書類と提出したら、数十分で受け取ることができます。印鑑カードが手元にあれば、このカードと一緒に印鑑証明書の手続きが行えます。
印鑑カードの交付申請手続きを郵送でする場合
印鑑カードの交付申請は、郵送での手続きも可能です。「印鑑カードの交付申請書」は、法務省のホームページからダウンロードし、プリントアウトして使用することができます。用紙に必要事項を記入し作成が完了したら、切手を貼った返信用封筒を一緒に同封して、管轄地区の法務局に送付します。書類が受理されると、印鑑カードが郵送されます。
印鑑カードは、印鑑証明書をとることができるとても重要なカードですので、返信用封筒は配送状況が追跡できるタイプのものを利用されることをおすすめします。なお、法人の印鑑カードの郵送先は、本店の所在地、もしくは代表者個人の自宅の住所のみしか指定することができません。
印鑑証明書の手続き方法
印鑑登録、印鑑カードの交付が完了すれば、いよいよ印鑑証明書の手続きです。では、印鑑証明書の取得手続きはどのように行えばよいのでしょうか?
法人の印鑑証明書の取得場所
法人の印鑑証明書は、印鑑登録同様、法務局で行うことができます。以前は、指定された特定の法務局のみでの手続きが求められていました。しかし、現在では、全国の法務局がオンラインで情報を共有しているので、どこの法務局からでも手続きすることが可能となっています。つまり、最寄りの法務局で印鑑証明書を取得することができます。
法人の印鑑証明書の取得手続きができる人
印鑑証明書の場合、原則として、印鑑提出者である会社代表者本人のみしか手続きをすることができません。しかし、代理人による手続きも可能です。印鑑登録のように委任状は必要ありませんが、印鑑カードが必要になります。
法人の印鑑証明書の取得に必要なもの
法人の印鑑証明書を取得するためには、「印鑑カード」と「手数料」が必要となります。なお、手数料は、1通につき450円となっています。
法人の印鑑証明書に使用する印鑑
法人の印鑑証明書の手続きするために必要となる印鑑は、「代表者印」です。代表者印には法務局によって定められている条件があります。条件とは次のようなものです。
・登記所に提出する印鑑の大きさは、1辺の長さが1~3㎝の正方形に収まる大きさであること。
・印鑑は照合に適するものであること。
形状や刻印内容については、特に規定はありません。一般的な丸型の代表者印には、「株式会社○○○○代表取締役印」などと刻印されています。
また、シャチハタなどのインクが浸透するタイプやゴム印などは、時間の経過と共に印面が変形や劣化する可能性があるため、照合には適していません。つまり、シャチハタやゴム印などでは登録してもらえません。一般的な代表者印であれば、特に問題はないと思われますが、登録前にしっかり確認しておくようにしましょう。
法人の印鑑証明書の手続き方法
法人の印鑑証明書の手続き方法には、「窓口」「証明書発行請求機」「郵便」「オンライン」の4種類の申請方法が用意されています。それぞれ特徴がありますので、自分に適した方法で申請することができるでしょう。では、どのような特徴があるのか、ひとつずつ確認していきましょう。
方法1:窓口で申請する場合
法人の印鑑証明書の手続きで最も一般的なのは、窓口での申請です。窓口で申請する場合は、「印鑑登録証明書交付申請書」を作成し、提出する必要があります。この書類には、会社の商号・本店(法人の名称・事業所)、印鑑提出者の資格(会社代表者)、氏名、出生年月日、印鑑カード番号などを記入する欄が設けられています。書類が完成したら、印鑑カードと一緒に法務局の窓口へ提出します。その際、番号札が発行されますので、それを受け取り、順番がくるまで待ちます。
印鑑証明書の発行にかかる手数料は、収入印紙で納める必要がありますので、待ち時間に収入印紙を購入しておきましょう。そして、順番がきたら交付窓口で内容に間違いがないかどうか確認した後、発行手数料を収入印紙で納めて終了となります。
方法2:証明書発行請求機で申請する場合
法務局によっては、証明書発行請求機が設置されているところもあります。この端末を利用すれば、端末の画面上で必要な情報をすべて入力することができます。したがって、申請書の作成は不要となります。また、窓口よりも待ち時間が短いという利点もあります。証明書発行請求機の利用方法は、次のようなステップで行います。
ステップ1:端末機に印鑑カードを挿入する。
ステップ2:画面の案内に従って、会社の情報を入力していく。
ステップ3:番号札が発行される。
番号札が発行されてからは、窓口での手順と同じ流れとなります。
なお、端末の画面では、代表者の生年月日を入力する欄があります。代理人が申請する場合は、事前に確認しておかれることをおすすめします。
方法3:郵便で申請する場合
印鑑証明書は、郵便で申請することも可能です。ただ、窓口よりも時間がかかるので、印鑑証明書を急ぎで取得したい方には向いていません。郵便での手続きには、申請書、収入印紙(発行手数料)、切手が貼ってある返信用封筒、印鑑カードが必要となります。記入漏れや必要なものが不足していないかよく確認し郵送しましょう。
なお、印鑑カードはとても重要なもので、機密情報が含まれています。ですから、郵送で申請する場合は、セキュリティや安全性を考慮し、配達の記録が残る書留などを利用されることをおすすめします。
方法4:オンラインで申請する場合
オンラインで申請手続きをするためには、事前に「法人の電子証明書」を取得しておく必要があります。法人の電子証明書は、法務局で申請し、交付されます。発行手数料がかかりますが、これからますますオンライン化していくことが予想されますので、法人の電子証明書を取得しておくなら、今後、効率よく業務を行うことができるでしょう。
代表者印の登録変更手続き方法
代表者印を紛失してしまったり、代表者が変わったので印鑑を変更する必要がでたりなど、様々な理由で代表者印を変更しなければならないケースがでてきます。では、代表者印を変更するためには、どのような手続きをする必要があるのでしょうか?まず知っておきたいこととして、原則、代表者1人に対して1つの代表者印を登録します。つまり、代表取締役であるAさんが登録した代表者印は、Aさん本人のみしか使用できません。
では、共同代表の場合はどうなるのでしょうか?原則、代表者1人に対して1つの代表者印ですから、代表者が複数いる場合は、それぞれが代表者印を登録することができます。しかし、複数の代表者がいる企業の多くは、複数の代表者印があると複雑なため、印鑑登録をしているのは1人だけというケースが多いようです。では、これらの点を踏まえ、登録変更が必要なケースの手続き方法についてみてみましょう。
ケース1:代表者印を紛失してしまった場合
代表者印の登録変更の必要が生じる最も典型的なケースは、代表者印の紛失です。代表者印はとても重要なものですから、紛失しないように管理することが基本ですが、だれでも紛失してしまう可能性はあります。もし紛失してしまったなら、すぐに変更手続きをすることが大切です。すでに見たように、代表者印は、1人に対して1つの代表者印を登録することができます。したがって、新しく印鑑登録をすることで、紛失した代表者印の登録が更新されることになります。
ケース2:代表者が交代した場合
退任などを理由に代表者が後退した場合、退任と同時に、法人印鑑が消滅されます。新しく就任する代表者の就任登記をするのと同時に、新しい代表者の法人登録を行うことが一般的となっています。
ケース3:共同代表者がすでに登録されている印鑑を使う場合
例えば、AさんとBさんが共同で会社を経営しているとします。代表者印を持っているのはAさんですが、Aさんが代表者印の使用を中止し、共同代表者のBさんがAさんの代表者印を使いたい場合は、Aさんの印鑑廃止とBさんの印鑑届の2つの手続きを行わなければいけません。つまり、Bさんの法人印鑑登録と、Aさんの印鑑廃止手続きをするということです。印鑑廃止手続きにも専用の書類があります。必要事項を記入して提出すれば手続きは完了となります。
「印鑑・印鑑カード廃止届書」について
もし代表者印や印鑑証明書、印鑑カードなどが第三者の手にわたってしまうと、最悪の場合、複製などされて悪用されてしまう危険性もあります。ですから、紛失したと気づいたらすぐに「印鑑¥印鑑カード廃止届書」を法務局に提出してください。
そして、新しい代表者印ができたら時点で「印鑑(改名)届書」を法務局に提出し、もう一度実印を登録します。その際に必要となるものは、本人確認書類、代表者の印鑑、代表者の印鑑証明書、新しく登録したい代表者印となります。
「印鑑・印鑑カード廃止届書」には、会社の称号・名称、本店・事務所の住所、印鑑提出者の基本情報(資格・氏名・生年月日)、印鑑カード番号、カードの廃止理由、申請人などの記入欄があります。また、本人以外が申請する場合は、書類の下段にある「委任状」の欄を記載してもらう必要があります。
法人の印鑑証明書が必要になるシーン
法人の印鑑証明書は、設立登記をするときに必ず必要となります。したがって、会社を説明する際には、必ず印鑑登録を行い、法人の印鑑証明書が取得できるよう準備しておく必要があります。印鑑証明書が必要になるのは、設立登記のときだけではありません。不動産売買に関連する契約、所有権の移転登記、法人口座の開設、取引先との契約など、様々な場面で印鑑証明書が必要となります。
個人の契約の場合、認印のみで契約を完了できるものが多いですが、法人の場合は印鑑だけでなく、印鑑証明書を必要と場面が多々あります。ですから、いつでも印鑑証明書を取得できるよう備えているなら、事業を円滑に進めることにつながると言えるでしょう。法人の印鑑証明書が必要となるシーンをまとめると次のようになります。
・会社の設立登記をするとき
・不動産売買に関する契約をするとき
・所有権の移転登記をするとき
・法人口座を開設するとき
・取引先と契約するとき
・金融機関で融資を受けるとき
法人の印鑑証明書の有効期限
法人の印鑑証明書は、取得後、会社の名称や所在地に変更がない場合は、有効期限はありません。なぜなら、期限を設けてしまうと、印鑑の信頼性まで失うことにつながるからです。しかし、一般的には取引の際の使用する場合、印鑑証明書は3~6ヶ月以内に取得したものを使用すること、などの条件があります。
つまり、契約する相手によっては、「〇ヶ月以内の印鑑証明書」など指示される場合があります。ですから、印鑑証明書には有効期限はありませんが、事前に準備しておくのはやめましょう。また、法人の印鑑証明書の提出や提示を求められた際には、相手に有効期限を確認されることをおすすめします。
まとめ
起業して会社設立をするときには、実印、銀行印、角印の3種類の印鑑が必要となります。そして、法人登記には必ず実印が必要となり、様々なシーンで法人の印鑑証明書が必要となります。ですから、実印を登録をした後は、印鑑証明書を発行する際に必ず必要となる印鑑カードも一緒に取得しておきましょう。
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