副業20万円以下は確定申告が必要?「20万円以下ルール」についてわかりやすく解説! | 税理士コンシェルジュ

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副業20万円以下は確定申告が必要?「20万円以下ルール」についてわかりやすく解説!

2023年10月30日
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収入を増やしたりスキルアップを図ったりするため、本業とは別に「副業」をしている方も多いのではないでしょうか。

そのような方のなかには「具体的にどれくらい稼ぐと確定申告が必要なのか?」「確定申告しなかったらどうなる?」などの疑問を抱くこともあるでしょう。

この記事では、副業に関する「確定申告の知識」や「所得20万円以下ルール」についてわかりやすく解説します。

副業収入の確定申告に関する不安を解消し、スムーズに副業をおこなうためのポイントを押さえることができますので、ぜひ最後までご覧ください。

副業は必ず確定申告が必要?


副業をしている場合であっても、必ず確定申告が必要なわけではありません。結論からいうと、所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です

ここでは、所得が20万円を超える事例や、反対に確定申告が不要なケースについて、具体例を用いて解説します。

副業とはどんな働き方?

副業とは、法律上の定義はなく、一般的には、二つ以上の仕事を掛け持ちして収入を得ている人を指します

個人のスキルを活かして作品販売をしたり、農作物を育ててスーパーなどに卸したりするなど、副業の形態はさまざまです。

人生100年と言われている現代において、多様な働き方が社会全体で認められつつありますが、一方で、副業を一律に禁止している会社も多く存在し、堂々と副業をできる環境にいる方は少ないかもしれません。

労働時間以外は自由

たとえ会社に雇用されていても、働いている時間以外の時間をどのように使うかは基本的に自由であると、過去の裁判例(京都地判平成24年7月13日)でも言及されています。

しかし、現実的には、副業が認められていないケースも多々あるようです。

確かに、副業によって本業の勤務に支障をきたしたり、情報漏洩が起こったりする可能性は否定できませんが、副業によって得られたスキルが本業で活かされることもあります。

このように、副業を認めることは会社にとって有益な面もあるため、今後は社員の多様な働き方を尊重していく企業が増える可能性もあるでしょう。

副業は誰でもできる?

会社員の場合、副業をできるかどうかは、その会社によって異なります。

一律に禁止されていたり、条件付きで認められていたりするなど、就業規則等によって会社のルールが示されている場合が多いでしょう。

また、副業が認められている場合であっても、事前の手続きが必要なケースもあります。

副業を検討する場合、まずは就業規則等や必要な手続きを確認し、ルールを守って始めることが大切です。

20万円以下ルールとは

冒頭でも説明したとおり、副業での所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

会社の給料は、基本的には、年末調整をすることで確定申告が不要になります。一方、副業の所得に関しては、20万円を超えた場合は、自分で確定申告をしなければなりません

これは「20万円以下ルール」とも呼ばれており、一度は耳にしたことがあるという方も多いでしょう。

ここで大切なのは、このルールにおける20万円は「収入」ではなく「所得」であるという点です。

所得 = 収入 - 必要経費

たとえば、会社に勤めながら、副業でデザインの仕事を受託している場合、副業の1年間の収入が50万円、必要経費が10万円あれば、所得は40万円となるため確定申告が必要です

このケースにおける必要経費は、副業をするために支出した材料や機材などが対象となります

上記の例でいうと、デザインの副業のために購入したパソコンや、デザイン関連の書籍の購入費用などが必要経費として認められるでしょう。

ただし、金額が10万円以上になる場合は、減価償却費として数年に分けて経費として計上していく点に注意が必要です。

なお、上記のケースにおける所得は、いわゆる「雑所得」に分類されます。もし、副業としてアルバイトで「給与収入」を得ている場合、20万円ルールは収入の金額で判断します。

確定申告が不要な人

上述したとおり、副業での所得が「20万円以下」の場合は確定申告は不要です

ただし、所得が20万円以下であっても申告が必要なケースがあります

ふるさと納税をした場合

ふるさと納税は、寄付した金額に応じて所得税が控除できますが、年末調整で対応できないため、控除を受けるためには、原則として確定申告をしなければなりません

この場合、所得が20万円以下であっても「副業の確定申告」が必要ですが、このようなケースではワンストップ特例を利用するとよいでしょう。

この特例は、確定申告をしなくても、ふるさと納税による「住民税の税額控除」を受けることが可能であるため、副業の確定申告も不要となります

なお「医療費控除」や「初回の住宅ローン控除」を受ける場合も確定申告が必要ですが、ワンストップ特例のような制度はないため、副業の申告もあわせておこなう必要があります。

確定申告が不要でも住民税の申告は必要

住民税の申告には、20万円以下のルールはありません。したがって、副業での所得が20万円以下で所得税の申告は不要であっても、住民税の申告は必要です

この場合は、税務署ではなく、1月1日時点で住民票のある市町村の窓口、郵送、eLTAXなどで手続きをおこなわなけばなりません

副業は会社に知られてしまう?


副業をしていると「会社に知られてしまうのでは」といった不安を抱える方も多いでしょう。

ここでは、副業が会社に知られる可能性のあるケースについて解説します。

「給与天引の住民税が増える」と会社に知られる可能性がある

会社勤めの場合、給料から住民税を差し引かれている方が多いでしょう。

この場合、市町村から会社宛てに、社員の住民税をいくら差し引くのかを記載した「特別徴収税額決定通知書」が送付されます。

住民税は「本業である給料の所得」と「副業の所得」を合算した金額に対して計算されるため、本業の給料に大幅な変動がないにもかかわらず、通知書に記載されている住民税の額が増加している場合は、副業を疑われる可能性があります

それでは、会社に知られないための対処方法はあるのでしょうか。

会社に知られないためにはどうする?

会社に副業を知られないためには、副業に関する住民税を「普通徴収」で支払うように手続きをする必要があります。

なお、この方法は副業が給与所得以外の方が対象であり、具体的には、確定申告書を作成する際に「自分で納付」を選択します

出典:「申告書第一表・第二表【令和4年分以降用】」国税庁

前述した、所得が20万円以下の場合の「住民税の申告」においては、市町村が受付窓口となります。

その際、副業での住民税は「普通徴収」の方法で納付する旨を伝えることが大切です

また、住民税の申告書においても「自分で納付(普通徴収)」等の記載欄があるので、郵送やeLTAXで申告する方は特に注意して確認しましょう

出典:「市町村民税・道府県民税申告書」総務省

住民税は、給料から天引きされる「特別徴収」と、市町村に直接支払う「普通徴収」の二つの徴収方法があります。

普通徴収を選択すると、副業にかかる住民税については市町村から通知を受けるため、原則として会社に知られることはありません

普通徴収の場合は、納付書や口座振替などの方法で支払いをしましょう。

副業で確定申告をするメリット


副業の所得を確定申告する場合、具体的にどのようなメリットがあるのかについて紹介します。

副業の所得を損益通算できる

副業における所得が「雑所得」の場合、同じ雑所得内での損益を相殺することができます。

たとえば、在宅で「デザインの副業」と「仮想通貨の取引」をおこなっているとしましょう。

収入 経費 所得
デザイン副業 30万円 35万円 −5万円
仮想通貨 100万円 40万円   60万円

デザインの副業だけであれば所得は−5万円(20万円以下)のため、確定申告は不要です。しかし、仮想通貨の所得が20万円を超えているため申告をしなければなりません。

このようなケースの場合、雑所得を申告することで、それぞれの損益を相殺する、いわゆる損益通算をおこなうことが可能です

具体的には、このような計算になります

このように、仮想通貨のみの所得は60万円ですが、デザインの副業分のマイナス分を相殺することで所得金額をおさえることが可能です

なお、雑所得は、ほかの種類の所得とは損益通算はできません。さらに、先物取引(分離課税)にかかる雑所得との損益通算もできないことに注意が必要です。

還付を受けられる場合がある

つぎに、副業の確定申告をすることで、所得税の還付が受けられるケースを紹介します。

たとえば、講師の副業で報酬を受けとった場合などは、すでに所得税が源泉徴収されていることがあります。

この場合、本業の給料と合算すると、副業での所得税が引かれすぎている可能性がありますので、確定申告により所得税が還付される場合があるでしょう

副業で確定申告をするデメリット


ここでは、副業の確定申告をするデメリットについて解説します。

会社に知られるリスクがある

前述のとおり、副業の確定申告をすると、住民税の増加などにより会社に知られるリスクがあります。

そのため、確定申告では住民税の納付について「自分で納付」を選択し忘れたりすることがないよう注意が必要です。

会社によっては副業が禁止されていたり、事前の届け出が必要な場合があります。会社との信頼関係を維持できるように、副業に関する規則をしっかりと確認しておきましょう。

申告手続きの手間が増える

副業で確定申告をおこなう場合は、申告手続きの負担がデメリットとなるでしょう。

会社の給料のみであれば、基本的には年末調整だけで済ませることが可能ですが、確定申告をおこなう場合は確定申告書を作成しなければなりません。

しかし、近年、申告の方法はますます便利になっており、スマートフォンからも申告が可能です。申告書に直接記入して郵送する必要がないので、手軽に申告をおこなえるようになったといえるでしょう。

なお、詳細については、国税庁のHPでご確認ください。

副業の確定申告をしないとどうなる?


副業の確定申告をしなかった場合、延滞税や無申告加算税などの納付を求められる場合がありますので、それぞれ解説します。

●延滞税
確定申告が必要にもかかわらず、期限内におこなわなかった場合には「延滞税」が課せられます。具体的には下図のとおりです。

納期限の翌日から2か月を経過する日まで 年7.3% or  2.4%
納期限の翌日から2か月を経過した日以後 年14.6% or  8.7%

※令和4年1月1日~令和5年12月31日までの期間。延滞金の最新の情報は国税庁HPでご確認ください。

なお、確定申告の提出期限を過ぎると、過ぎた日数に応じて延滞税を支払わなければならないため注意が必要です。

●無申告加算税
無申告加算税は、期限内に必要な申告をおこなわなかった場合に課せられる税金で、罰金のようなものです。

納付すべき税額の50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じた金額を、納税額とは別に納付しなければなりません。

さらに、令和5年1月からは、300万円を超える部分については30パーセントを乗じた金額が加算されます

そのため、申告が必要な場合は、必ず期限内に申告をおこなうようにしましょう。万一、忘れてしまった場合でも、気付いたらできるだけ早く申告をおこなうことが大切です

まとめ


この記事では、副業をしている方や副業を考えている方に向けて、所得20万円ルールについてくわしく解説しました。

確定申告が必要かどうかについては「所得が20万円以下であるかがカギ」となりますが、申告が必要なケースはさまざまであるため、ポイントを押さえることが重要です。

また、副業をおこなう場合は、本業の会社の就業規則を事前に確認し、信頼関係を壊さないようにすることも大切でしょう。

働き方の多様化は、今後もますます広がっていくことが考えられます。安心して取り組むためにも、副業における確定申告について理解を深めることが重要です。

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