副業の雑所得はどこまでが必要経費?雑所得の経費の範囲と確定申告書の書き方 | 税理士コンシェルジュ

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副業の雑所得はどこまでが必要経費?雑所得の経費の範囲と確定申告書の書き方

2020年9月19日
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働き方改革が施行されて以来、ダブルワークや副業などを認める会社が増えています。勤務終了後や休日などのスキマ時間に副業をしている方も多いのではないでしょうか?

本業の給料以外の副収入を得た場合、確定申告で「雑所得」として申告しなければならないケースもあります。今回は副業の雑所得や必要経費の範囲などについて解説していきます。

雑所得の概要

所得税法では、所得が10種類に区分されています。そのひとつである「雑所得」は、9つの所得に属さないものが該当します。9つの所得とは、事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、山林所得、一時所得、退職所得、譲渡所得です。これら以外の所得は、雑所得に区分されます。

そして、雑所得は、「公的年金などの収入金額」と、「公的年金以外の収入金額」に大きく分類されています。会社員など給与所得者の方が本業以外で収入を得た場合の利益は、雑所得の公的年金以外の収入金額に該当するため、確定申告が必要になることがあります。

公的年金以外の雑所得には、次のようなものが挙げられます。

・インターネットオプションやフリマ販売での収入
・アフェリエイトでの収入
・FXや株取引などのよる所得
・仮想通貨で得た利益
・原稿料
・講演料
・印税 など

なお、副業がパートやアルバイトで得た収入の場合は、雑所得ではなく「給与所得」該当します。

雑所得として申告すべきものとは?

副業で得た雑所得の場合、その金額が20万円を超えると、確定申告をする義務が発生します。所得は、収入金額から必要経費を差引いたものです。つまり、副業で得た収入から必要経費を差引いたものが、雑所得になります。

雑所得の金額は、基本、「総合課税」です。そのため、給与所得などほかの所得と合計した総所得金額に対して所得税が課税されます。ただし、一部の雑所得に関しては、総合課税ではなく、「申告分離課税」や「源泉分離課税」などほかの課税方式で所得税が課税されます。

副業の雑所得の必要経費の範囲とは?

会社員の副業で経費が認められている所得は、「雑所得」に加え、「事業所得」「不動産所得」の3つだけです。そして、前述したように、雑所得は収入金額ではなく、収入金額から必要経費を差引いたものものです。

そのため、税法上認められている必要経費を少しでも多く計上するなら、節税効果を期待できます。では、副業による雑所得での必要経費には、どのようなものが含まれるのでしょうか?そもそも必要経費とは、雑所得を得るために、直接必要となった費用のことです。

副業の業種にもよりますが、物販業の場合は仕入代金など収入に直接関連する費用や営業活動に必要となった取引先との飲食代や交通費、ライターやカメラマンなどのフリーランスの場合はパソコンなどの備品や通信費などが挙げられます。必要経費となる具体例をみていきましょう。

【パソコン】
インターネットを利用した物販の副業を行なう場合やライターの場合、作業をするうえでパソコンは必要不可欠です。そのため、必要経費として計上することができます。ただし、注意すべき点があります。それはパソコンの購入代金の金額です。

パソコンなどの備品の場合は、購入金額が10万円未満の場合のみ消耗品としての必要経費が認められています。つまり、10万円以上のパソコンやカメラなどの備品を購入した場合は、購入金額で費用として計上することはできません。

個人で経費として計上したい場合は、毎年、取得金額の一定割合を「減価償却費」として経費計上をする必要があります。備品や設備によって「法定耐用年数」が定められており、それに基づいて減価償却費として処理します。

例えば、パソコンの場合、法定耐用年数は4年と定められています。20万円のパソコンを購入した場合は、「20万円÷4年=5万円」となるため、1年で経費として計上できるのは、5万円となります。

【通信費・水道光熱費】
副業の収入を得るために直接使用した通信費や電気代なども、必要経費として計上することができます。例えば、インターネットを利用してパソコンで作業をした場合は、それにかかった通信費や電気代などが必要経費に該当します。

また、事務所などを借りてる場合は、電気代や水道光熱費などの費用も経費として計上できます。不動産賃貸業の場合は、賃貸物件の電気代や水道代、ガス代なども経費として計上することができます。

【飲食代】
取引先とカフェなどで打ち合わせをしたり、招待した場合の接待にかかった飲食代は必要経費になります。得意先に出すお茶菓子や手土産なども該当します。

【交通費】
取引先に行くために交通機関を利用した場合、電車代やバス代なども必要経費として計上できます。また自家用車を使用した場合でも、仕事のためにかかったガソリン代は経費となります。

【販売費】
物販を副業としている場合は、販売する商品の仕入れやそれにかかった発送費用、保管している場所の賃貸料なども経費として計上できます。

【税金類】
不動産賃貸業の場合は、賃貸物件にかかる固定資産税や不動産所得税などの税金類も必要経費として認められています。

【消耗品費】
10万円以下のパソコンやデジカメはもちろん、ボールペンやコピー用紙などの事務用品や、仕事に関する雑誌類も必要経費として計上できます。

プライベートと副業を区分する「家事按分」

家事按分(かじあんぶん)とは?

副業をしている方の多くは、自宅で作業をしたり、すでに持っているパソコンやスマホなどを利用している方がほとんどです。例えば、自宅の一室を仕事場にしている方もいることでしょう。その場合、電気代や水道代、通信費などはプライベートと混在しています。

このように副業とプライベートの利用が混在している場合は、副業に使用した部分だけを必要経費と計上できます。副業部分とプライベートと部分が混在している費用は「家事関連費用」といい、支出を区分することを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

副業部分とプライベート部分を区別する比率は、副業の内容や時間などによって異なるため、法的に定められている基準はありません。では、どのように経費を区分すればよいのでしょうか?

家事按分の計算について

電気代や水道代など、どのくらい仕事で使っているか分からない方がほとんどのことでしょう。そのようなときは、「副業で使っている金額=支払金額×仕事で使っている割合」という計算式で求めることができるでしょう。

例えば、自宅の一部を副業で使用している場合は、賃貸か持家かによって必要経費の範囲は大きくことなってきます。持家の場合は、住宅ローンの元本は経費の対象にはなりませんが、減価償却費、住宅ローンの金利、火災保険料、地震保険料、固定資産税などは必要経費の範囲として認められています。

自宅の総面積の中で、仕事場の面積はどのくらか「面積割」、また「業務時間」で求めることができます。また、自家用車を仕事で使った場合は、「走行距離」で求めることができるでしょう。電気代や通信費、水道代などは、1日の中でどのくらいの時間作業をしていたか「業務時間」で算出できます。

雑所得を確定申告する方法

会社員など給与所得者で副業をしていない方は、原則、雇用主が「年末調整」において所得税の精算をしているため、確定申告する必要はありません。しかし、給与所得者の方で副業で収入を得た場合は、本業で得た収入は「給与所得」、副業で得た収入は「雑所得」に分類して確定申告をする必要があります。

ただし、確定申告が必要となるのは、雑所得が年間20万円以上になった場合です。つまり、雑所得が20万円未満の場合は、確定申告や納税の義務は生じません。しかし、雑所得が20万円未満だとしても、住民税は課税の対象となりますので、住民税の申告は忘れずに行ってください。

雑所得20万円未満の注意点

前述したように、雑所得が年間20万円未満の場合は、確定申告が不要となります。ただし、申告が不要になるのは、年末調整をした給与所得者のみです。つまり、会社員などの給与所得者以外の個人事業主やフリーランスなどは、金額に関係なく雑所得がある場合は、確定申告が必要となります。

確定申告で必要となる書類

確定申告書には、「確定申告書A」「確定申告書B」「確定申告書第三表(分離課税用)」の3種類の様式があります。会社員などの給与所得者の方が副業で得た収入を雑所得として申告する場合は、「確定申告書A」を使用します。

確定申告書Aに必要な添付書類には、次のものが挙げられます。
・マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類
・源泉徴収票
・各種控除の証拠書類

確定申告書の作成方法

確定申告で雑所得の申告だけでなく、各種控除などの所得控除を申告する場合は、すでに納めている税金が戻ってくることがあります。そのため、確定申告が初めての方や慣れていない方にとっては、税額計算を難しく感じるかもしれません。

雑所得の申告の場合は、主に「確定申告書A」の第一表と第二表を記入することになります。第一表の「収入金額等」の欄と「所得金額」の欄に、それぞれの収入と所得の金額を記入してください。

そして、第二表の「雑所得(公的年金等以外)・配当所得・一時所得に関する事項」の欄に、副業の種類と収入金額、必要経費を記入します。第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」欄には、源泉徴収された報酬がある場合は、その金額を記載してください。

必要経費の証拠書類は保管しておくこと!

雑所得を確定申告する際には、領収書やレシートなどの添付は不要ですが、必要経費として計上した領収書やレシートは、確定申告後も保管しておくことが義務付けられています。なぜなら、税務調査を受けることになった場合は、それらの証拠書類を確認することがあるからです。

所得税の税務調査は、原則、事業所得のある個人事業主が主な対象者ですが、近年は給与所得者でも副業をしている方が増えています。そのため、副業でまとまった収入を得ている会社員なども税務調査の対象となっています。

なお、経費の証拠書類は、5年間保管する必要があります。万が一の税務調査に備え、領収書やレシートなどは月毎に封筒に入れとくなど分かりやすいように管理しておきましょう。また、家事按分した場合は、その割合が分かるように領収書やレシートなどの余白に経費として計上した金額を記載しておくことができるかもしれません。

まとめ

副業をして雑所得を得ている場合は、必要経費を計上することができます。この必要経費には、収入を得るために直接かかった費用がすべて含まれます。副業部分とプライベート部分が混雑している費用に関しては、「家事按分」をして経費として計上できるものをはっきり区分させておく必要があります。

副業の収入から必要経費を差し引くことができれば、節税効果を期待できますので、必要経費の範囲についてしっかり理解しておきましょう。また、確定申告について分からないことがある場合は、税理士に相談してみましょう。


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