副業でも確定申告すべき?確定申告の有無が決まる「20万円ルール」
政府が働き方革命を推進することによって、近年、副業をしている会社員の方も増えています。増えた収入を毎月の生活費の足しにする方もいれば、今後の独立や企業のために副業で収入を増やしている方もいます。
どんな理由で副業するにせよ、気になるのが確定申告のことです。副業をしている方の中には「会社にバレたくない…」と思われている方もいることでしょう。副業でも確定申告をする必要があるのでしょうか?この記事では、副業確定申告について詳しく解説していきます。
目次
確定申告の期間延長について
確定申告は、毎年2月16日から3月15日までと期間が決まっていますが、昨年に続き、新型コロナウイルス感染症の影響により期間が延長になりました。よって、2021年3月(令和2年分)の確定申告の期限は、4月15日までです。副業で確定申告が必要な方も、4月15日までに申告をしましょう。
参照:国税庁「令和2年分確定申告の申告・納付期限に関する情報」
副業とは?
副業とは、本業以外に行う仕事のことです。本業はメインとなる収入の源となる仕事のことですから、会社員の方にとっての副業とは、「生活費の足し」や「小遣い稼ぎ」などのイメージに該当するものが副業になります。具体的には、次のようなものが副業に該当します。
・就業後や休日に行うアルバイト
・ブログなどを利用したアフェリエイト事業
・ライティングやデーター入力などのクラウドソーシング
・転売ビジネス(せどり)
・賃貸経営やマンションなどへの投資(大家)
・株やFXなどへの投資
また、最近ではYouTubeに動画をアップして広告収入を得ることや、自分の空き時間を活用して配達を請け負うUberEats、個人宅や空いている部屋を貸し出して民泊で稼ぐ副業などもあります。
副業は確定申告をすべき?
会社員の方が副業で確定申告をする必要があるかどうかを判断する基準のひとつに、「20万円ルール」があります。20万円ルールとは、本業が会社員などで給与をもらっていて、会社で年末調整をしている方が対象となっています。
本業の給与以外に副業などの所得がある場合、20万円以下であれば確定申告をしなくてもよい、というルールになっています。しかし、このルールは、副業がアルバイトやパートなのか、それともアルバイトやパート以外なのか、によって変わってきますので注意が必要です。では、それぞれのケースをみてみましょう。
【副業がアルバイトやパートのケース】
本業が会社員で、その給与以外の副業がアルバイトやパートの場合は、アルバイトやパートで得た「収入」が1年間で20万円未満の場合は、確定申告は不要です。
【副業がアルバイトやパート以外のケース】
副業がアルバイトやパート以外のケースとは、クラウドソーシングや内職などが該当します。本業が会社員で、その給与以外にアルバイトやパート以外で得た「所得」が20万円未満の場合は、確定申告は不要です。
アルバイトやパートの場合と異なるのは、「収入」ではなく、「所得」であるという点です。所得とは、「所得=売上-経費」のことですので、経費を差し引いて20万円未満となります。
【副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方をしているケース】
副業がアルバイトやパートとそれ以外の両方をしているなら、両方を足して20万円未満であるなら、確定申告は不要になります。
「20万円ルール」で注意したいこと!
20万円ルールには、いくつか注意したい点があります。それは次のようなことです。
①本業がフリーランスの人が副業した場合は適用されない
20万円ルールは、すでにみたように、本業で給与をもらって年末調整をしている人が対象となっています。そのため、本業がフリーランスの方などで、確定申告をしなければならない状況の方は、副業の所得が年間20万円未満だとしても、その副業も所得にまとめて確定申告をする必要があります。
②控除を受けるために確定申告をすると適用されない
年末調整をした方が、その後に確定申告をする場合には、20万円ルールは適用されません。年間20万円未満の副業の所得を確定申告しなければいけません。
③住民税の申告には適用されない
20万円ルールは、所得税の確定申告のみに適用されるものであって、住民税の申告には適用されません。所得税の確定申告書は、住民税の確定申告書も兼ねているため、副業の所得を確定申告しない場合は、住民税の確定申告書を自治体に提出しなければいけません。
ちなみに、住民税の確定申告書は、自治体のホームページからダウンロードすることができます。提出期限は確定申告書と同様、3月15日までとなっています。
確定申告をすると税金が戻ることも?!
上記でみたように、副業の所得が20万円未満の場合は確定申告をする必要はありませんが、確定申告が不要でも申告することで税金の還付を受けられるケースもあります。会社員の方で副業をしている場合は、次のようなケースが該当します。
・給与や報酬など源泉徴収の対象となる種類の収入がある場合、必要な経費や各種控除を差し引くと、所得税の税額合計が源泉徴収された税額合計よりも少なくなる場合
・確定申告をしないと受けられない控除がある場合(医療費控除、扶養控除、寄附金控除、雑損控除など)
・事業所得や不動産所得などが赤字で、他の所得と相殺することが可能な場合
副業で確定申告をするメリットとは?
副業で確定申告をすると、税金が戻る可能性があることに加え、次のようなメリットも期待できます。
・所得控除や税額控除が給与所得だけからでは引ききることができない場合、副業などのその他の所得から差し引くことができるので節税につながる。
・青色申告で事業所得や不動産所得などに赤字がある場合、他の所得と赤字を相殺しても赤字であるなら、翌年以降3年間赤字を繰り越すことができる。そして、その後は黒字と相殺できる。
副業で確定申告をしないデメリットとは?
確定申告をする必要があったのに、確定申告をしなかった場合は、次のようなペナルティが課されます。
・無申告加算税
納めるべき税金があったのに確定申告をしなかった場合は、申告で納めるべき税金が50万円までの場合は15%、50万円を超えた部分は20%の無申告加算税がペナルティとして課されます。
・重加算税
確定申告をしなかった理由が悪質であると判断された場合は、無申告加算税に加えて、最大40%の重加算税も課されることがあります。
・延滞税
確定申告期限を過ぎてから税金を納めた場合、その遅れた期間に応じて延滞税が発生します。年利は最大14.6%となっています。
副業の確定申告とその流れ
では、副業の収入が20万円以上の確定申告が必要な場合、どのような手順で申告すればよいのでしょうか?
確定申告の期限
確定申告の期限は、2月16日から3月15日までです。この期間内に申告書を提出し、税金を納めなければいけません。1日でも納付が遅れてしまうと、延滞税が発生しますので注意が必要です。(冒頭で前述しましたが、令和2年分の確定申告期間は4月15日まで延長になりました。)
確定申告書の作成
副業の所得が「給与所得」か「雑所得」かによって、申告書の作成方法が異なります。給与所得として申告する場合は、源泉徴収票が必要です。給与の支払いを受けている会社が発行してくれます。申告書は「確定申告書A」を利用します。
なお、もし年末調整で対応できない控除があるなら「確定申告書B」を使用します。国税庁のホームページにある申告書作成コーナーを使って申告するなら、質問に答えて、源泉徴収票の数値を入力するだけで簡単に申告書作成が行えます。
続いて、副業が雑所得として申告する場合は、まず雑所得を計算するために1年間の収入と必要経費をそれぞれ計算する必要があります。本業の給与の源泉徴収票も用意しましょう。申告書は「確定申告書A」を利用します。給与所得と雑所得を入力していきましょう。
なお、もし年末調整で対応できない控除があるなら「確定申告書B」を使用します。本業の給与は給与所得として記入し、源泉徴収票の数値を入力します。そして、副業の利益は雑所得として、事前に計算して確定させた収入金額と必要経費を入力して申告書の作成は完了です。
会社に副業がバレたくないときは?
副業が認められるとはいえ、会社に副業をしていることや副業で稼いだ額まで知られたくない、という方もいることでしょう。会社に副業での稼ぎを知られたくない場合は、自分で確定申告をする必要があります。では、その方法をご紹介しましょう。
「確定申告書B」第二表には、所得税に加えて、住民税や事業税についての情報を記載する欄が設けられています。その右下の方には、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という項目があります。
給与所得以外の副業を確定申告する場合は、「自分で納付」に〇を付けるなら、会社に副業分の税額通知は届きません。副業分についての税額通知は、市区町村から直接本人宛に税額が通知されます。
参考記事:会社に副業がばれない方法とは?副業がばれる仕組みとその理由
まとめ
勤務先で年末調整をしている会社員だとしても、副業で20万円以上の所得を得ている場合は、確定申告をすることが義務付けられています。もしも副業の収入から源泉徴収されている場合は、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性もあります。いずれにせよ、副業で20万円以上の所得があるなら、忘れずに確定申告をしましょう。
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