顧問税理士との関係がうまくいかない会社の共通点と、改善の進め方
顧問税理士との関係がうまくいかないと感じるとき、その引っかかりはたいてい正しいものです。税理士の力量だけの話ではなく、会社の段階が上がったのに、資料の共有方法も会う頻度も数年前のまま変わっていない、という例が目立ちます。
同じ状態に陥っている会社に共通する5つの特徴を挙げたうえで、課題が税理士側にあるのか自社側にあるのかの切り分け、90日で試せる改善方法、相性という言葉の分解のしかたまでを順に解説します。

顧問税理士との関係が滞る会社には、期待を言葉にしていないという共通点がある
顧問税理士との関係がうまくいかないと話す社長に話を聞くと、決定的な事故が起きたわけではない例がほとんどです。
実際に起きているのは、聞けば答えてくれるが聞かなければ何も出てこない、というコミュニケーションの停滞です。
同じ状態の会社を並べると、共通点は5つに整理できます。期待を言葉にしていない、渡す資料が薄い、会う頻度と中身が噛み合っていない、払っている額の内訳を分けていない、担当が替わるたびに説明をやり直している、の5つです。
土台になるのは1つ目です。何を頼み、何を自分で持つのかが決まっていないと、税理士は目の前の申告と記帳に寄せて動きます。
年商5,000万円を超えたあたりから、この土台のズレが表に出てきます。規模が大きくなると資金繰りや借入の相談が増え、申告だけでは足りなくなるためです。
2つ目の材料が薄い状態は、顧問税理士から見える範囲を狭くします。数字がそろうのが決算の直前なら、打てる手も決算の直前にしか出てきません。
3つ目は頻度です。毎月顔を合わせていても近況の報告で終わっているなら、時間を使っているのに残るものが少ない状態になります。
4つ目は金額です。顧問料の内訳を記帳の代行分と決算の作業分に分けていないと、高いのか安いのかを測る物差しを持てません。
5つ目は担当の交代です。同じ説明を最初からやり直す往復が続くと、これまでの蓄積が引き継がれずに消えていきます。
この5つは、どれも相手の人柄とは別のところにあります。顧問税理士との関係を立て直すなら、5つのうちどれが自社に当てはまるかを先に決めてください。
当てはまりが1つか2つなら、渡し方を変えるだけで動きます。3つ以上あるなら、進め方そのものを組み直したほうが早く届きます。
うまくいかない状態を相手の性格の問題として語ると、そこで手が止まります。5つの共通点はいずれも段取りの話なので、順に直していけます。
改善方法を選ぶ前に、当てはまった項目へ印を付けてください。印の数が、この後に踏む手順の重さを決めます。
- 頼みたいことと自分で持つことの線引きを、言葉にしていない
- 渡している材料が薄く、顧問税理士から見える範囲が狭いままになっている
- 会う頻度と、その場で扱う中身が噛み合っていない
- 払っている額の内訳を分けておらず、対価の中身を測れない
- 担当が替わるたびに、同じ説明を最初からやり直している
うまくいかない原因は、相手の力量よりも材料の流れ方にあることが多い

原因を税理士の能力に求めすぎると、選択肢が契約を継続するか、変更するかの二択に絞られてしまいます。実務では、材料の流れ方を直すだけで届く指摘が変わることが少なくありません。
開示すべきものを開示し、相談したい中身もはっきりしていて、規模が年商5,000万円ぐらいに達していれば、資金の借り方や売上を計上する時期まで踏み込んだ助言が返ってくるはずです。
裏を返せば、材料が薄いまま提案だけを待っている状態では、税理士は答えようがありません。判断に必要な数字が手元にないからです。
切り分けの手順は単純です。直近1年に渡した資料を月ごとに並べ、その月に返ってきた指摘の数を横に書き足してください。
年商1億円の会社で、試算表を年に1回しか出していない例があります。この形だと、期中に何が起きても手の打ちようがありません。
資料を提出しているのに指摘の欄が空のままなら、顧問税理士との関係の課題は相手側にあると読めます。
渡していない月が半分以上を占めるなら、先に直すのは自社の段取りです。ここを飛ばして事務所を替えても、同じ空欄がまた並びます。
この作業に必要なのは、請求書の控えと会計データの更新日だけです。1時間もあれば表は埋まります。
埋めた表は、そのまま次の面談の材料になります。数字の並びを見せながら話すと、感想の交換ではなく事実の確認になります。
顧問税理士との関係を直すときに最初に触るのは、相手ではなく自社から出ていく材料の側だと考えてください。
相手の側にしか原因がないと分かった場合も、この表は無駄になりません。何がどれだけ足りないのかを、日付つきで示せるようになります。
うまくいかない原因を1つに決める必要はありません。相手と自社の両方に理由があるのが普通です。
表を埋める作業そのものが立て直しの入口になります。渡した月と返ってきた指摘が並ぶと、次に何を足せばよいかが見えてきます。
うまくいかないと感じ始めてから何年もたっている会社ほど、この表は空欄が多くなります。空欄の並びは責める材料ではなく、伸びしろの一覧です。
開示する材料の量と粒度をそろえると、返ってくる助言の中身が変わる
渡す材料は、種類と締め切りを決めて固定します。毎回そろえる形にすると、税理士の手元に判断材料が積み上がっていきます。
基本になるのは月次の試算表です。締め日から10日以内に数字が固まる形にできれば、翌月の初めには具体的な相談の議題として活用できます。
ここに資金繰りの見通しを足します。3か月先までの入金と出金を並べた表があれば、借入の要否を早い時点で話せます。
受注の残高と、決まりかけている案件の一覧も有効です。売上が伸びる時期が読めれば、納税の資金を先に確保する話につながります。
設備の購入予定、人の採用予定、借入の返済予定表の3つも渡してください。会社の現金がどう動くかは、この3つでおおよそ決まります。
粒度もそろえます。金額だけでなく、いつ・誰と・どの取引で発生するのかまで書くと、返答が一般論から自社の話に変わります。
会社の中で起きていることを全部伝え、そこに潜む危うさを指摘してもらったうえで判断していくのが、上手な付き合い方といえます。
都合の悪い数字ほど先に出してください。赤字の月、回収の遅れ、税金の納付の遅れは、隠すほど選べる手が減っていきます。
渡す担当と受け取る担当も決めておきます。窓口が定まらないまま送ると、届いたかどうかの確認だけで往復が増えます。
開示の量を増やすと工数が心配になりますが、増えるのは最初の月だけです。型が決まれば、2か月目からは差分を足すだけになります。
顧問税理士との関係が動き出す合図は、こちらが聞いていないことについて指摘が来ることです。開示の粒度を上げた翌月に、この変化が出るかを見てください。
変化が出ないまま3か月が過ぎたなら、材料の量ではない要因を疑う番になります。顧問税理士との関係の課題を、次の段落から数字で確かめます。
開示を厚くしてもうまくいかないままの場合があります。その見分けは、こちらから聞かずに来る指摘が増えたかどうかで付きます。
改善方法の中で最も費用がかからないのが、この渡し方のそろえ直しです。新しい契約も追加の支払いも要りません。
- 月次の試算表(締め日から10日以内)
- 3か月先までの資金繰りの見通し
- 受注の残高と、成約が見込める案件の一覧
- 設備の購入予定・人の採用予定・借入の返済予定表
- 赤字の月、回収の遅れ、納付の遅れなどの都合の悪い数字
決算書の4か所を突き合わせると、課題が相手側にあるのかどうかが見えてくる

書籍は、いま付き合っている税理士が見直しを検討したほうがよい層なのかを見分ける方法として、決算書を読む手順を挙げています。
用意するのは直近の決算書と、期末日時点の通帳です。専門の知識がなくても、2つを並べて見比べるだけで現状を確認できます。
1か所目は預金です。期末日の通帳の残高と、貸借対照表に載っている普通預金の金額がそろっているかを見ます。
本来ここがずれることはありません。例えば、通帳の残高が300万円で決算書が320万円といった食い違いがあれば、他の箇所にもずれが潜んでいる可能性を疑うべきです。
2か所目は仮受金と仮払金です。中身の説明がつかないものが積み上がっているなら、締め切り間際の処理を残したまま申告まで進んだ可能性があります。
3か所目は売掛金と買掛金です。入金の見込みが立たない売掛金を何年も置いたままにすると、金融機関の見方が厳しくなり、借りられる枠が縮みます。
4か所目は社長への短期貸付金です。残したままにしたときの不利益を伝えてもらえていないなら、そこは指摘があってよい場所です。
見つけたズレは、責める道具ではなく質問の材料として使ってください。この数字はどこから出ているのか、と尋ねるだけで十分です。
答え方に違いが出ます。経緯と直し方まで返ってくるなら、進め方の問題は小さいと判断できます。
問い方を変えても答えが返らないなら、顧問税理士との関係の課題は相手の仕事の丁寧さにあります。1期だけでなく2期分を並べると、偶然か癖かも見分けられます。
4か所とも問題がなかった場合、日々の処理は整っています。顧問税理士との関係の引っかかりは、処理の質ではなく助言の量から来ていると考えられます。
2か所以上に当てはまったなら、うまくいかない要因の一部は相手の処理側にあります。数字で示せる材料がそろったことになります。
当てはまりがなくても、そのままでよいという意味ではありません。処理が丁寧なだけで、助言が足りない状態はあり得ます。
- 期末日の通帳の残高と、貸借対照表の普通預金の金額を並べる
- 仮受金と仮払金に、中身の説明がつかないものが残っていないかを見る
- 売掛金と買掛金が、取引の実態とかけ離れていないかを確かめる
- 社長への短期貸付金が積み上がったままになっていないかを見る
- 気づいた点を質問の形にして、答え方の違いを書き留める
相性という言葉には、性格の合う合わないと仕事の進め方が混ざっている
相性が悪いという言い方には、さまざまな要素が含まれています。分けないまま扱うと、直せるものまで直せない扱いになってしまいます。
分解の切り口は5つです。返信までの日数、説明の細かさ、決めるときの関わり方、連絡の手段、同席する人の範囲です。
返信までの日数は数えられます。直近10件の質問について、投げた日と返ってきた日を書き出せば平均が出ます。
説明の細かさは、結論だけが返るか、理由まで添えられるかの違いです。理由が省かれる事務所には、根拠も書いてほしいと頼めば変わることがあります。
決めるときの関わり方は、背中を押す型か、材料を並べる型かに分かれます。社長が押してほしい型なのに材料だけが返るなら、相性の話ではなく期待の伝え忘れです。
連絡の手段と同席する人の範囲は、決め直せば済みます。電話が苦手ならメールに寄せ、経理の担当者を必ず同席させる形にするだけで、往復の摩擦は減ります。
5つのうち直せないものが残ったとき、初めて相性という言葉が当てはまります。
背景として、書籍は、税理士という職業を選ぶ人には変化より安定を選ぶ傾向があり、提案そのものが得意な人は数として多くないと書いています。
これは目の前の相手の怠慢ではなく、この職業の成り立ちから来る傾向です。責める話にすると、こちらも相手も動けなくなります。
相性を測るときは、人柄ではなく行動で書いてください。話しにくいではなく、質問から返信まで平均5日、と書けば手の打ちようが出てきます。
顧問税理士との関係を診るときの相性は、この5つの行動に翻訳できるかどうかで扱いが変わります。翻訳できたものは要望として渡せます。
翻訳できないまま残った相性の違和感は、メモとして残しておいてください。顧問税理士との関係を見直す時期が来たときの判断材料になります。
この言葉で片づけてしまうと、うまくいかない状態が動かないまま固定されます。分解の作業は30分ほどで終わります。
5つの切り口のうち4つまでは、頼み方と決め事で動かせます。人柄の問題が本当に問われるのは、残った1つだけです。
顧問料の支払いと約束の履行が、改善の話を持ちかける前の前提になる

要望を出す前に、こちら側の前提を整えます。良好な関係を保つには、決めた報酬の完済、隠しごとをしない姿勢、交わした約束の履行が不可欠です。
支払いが遅れがちな会社は、優先順位を下げられても文句を言いにくくなります。振込の日を固定し、担当者に任せきりにしない形にしてください。
資料の遅れも同じです。渡すのが遅れれば処理が遅れ、指摘が届くのは翌々月になります。ここは税理士の怠慢ではなく順番の問題です。
社長が悪いという話でもありません。渡す順番と担当を決めていないだけで、決めれば1か月で整います。
顧問料の内訳も分けておきます。請求書を、記帳の代行、決算と申告の作業、年末の手続き、相談への対応の4つに割り振ってください。
割り振ってみると、相談への対応に対価が付いていない事業者が目立ちます。付いていないものを無償で頼み続ける形は、長続きしません。
相談を厚くしてほしいなら、その分の対価を足す提案から入る手もあります。顧問料を上げる話ではなく、範囲を決め直す話として持ちかけると通りやすくなります。
逆の判断もあります。記帳を自社で行い、その分の顧問料を下げて、浮いた分を相談の対価に振り替える組み替えです。
組み替えの話は、契約の更新月か、申告を終えた直後に持ちかけてください。年度の途中では先方も金額を動かしにくいものです。
顧問税理士との関係の見直しは、値切りの交渉とは別物です。払う額を変えずに中身を組み替えるだけでも、返ってくるものは変わります。
前提が整うと、要望が通りやすくなります。払うものを払い、決めた約束を守っている会社の依頼は、後回しにされにくくなるからです。
顧問税理士との関係を対等に保つ土台は、この地味な履行の積み重ねにあります。
前提が崩れたままだと、何を頼んでもうまくいかない形になります。決めた額の支払いと、交わした約束の履行を先に戻してください。
4つに割り振った表は、来年の点検でもそのまま使えます。数字を更新するだけで、範囲の見直しに入れます。
改善方法は、伝える・頼む・続けるという3つの動作に分けると実行しやすい
改善方法を考えるとき、いきなり全部を変えようとすると止まります。動作を3つに分けて、順番に試してください。
1つ目は現状の伝達です。困っている場面を2つか3つ選び、事実の形で渡します。返事が遅くて困る、ではなく、あの融資の相談は返答まで9日かかった、という形です。
伝える場は、月次の面談か、期首の打ち合わせを使います。改まった場を作ると身構えられるので、定例の中に混ぜるほうが進みます。
2つ目は具体的な依頼です。書籍にもあるとおり、何も言わなければ教えてもらえないもので、黙っていて向こうから動いてくれる場面はまずありません。
頼む中身は3つまでに絞ります。資金繰り、税負担の見通し、金融機関への見せ方のうち、いま欲しいものを選んでください。
3つ目は同じ形の反復です。1回頼んで返ってきたかどうかで判断せず、3か月は同じ形を回します。
期間の目安を置いておきます。伝えるのに2週間、頼み方を整えるのに1か月、効き目を見るのに90日という組み方です。
この改善方法の利点は、途中で止めても損が出ないところにあります。伝えた段階で動く税理士なら、そこで打ち切って構いません。
失敗しやすいのは、全部を一度に伝えてしまう進め方です。要望が5つも6つも並ぶと、相手はどれから手を付けるかを決められません。
もう1つの失敗は、社長だけが動く形です。経理の担当者が同じ理解でいないと、資料の締め切りが守られず、頼んだ側から崩れます。
顧問税理士との関係を組み直す作業は、社内の段取りを組み直す作業とほぼ同じ範囲を扱います。片方だけを直しても長続きしません。
うまくいかない期間が長い会社ほど、伝える動作を飛ばして替える話へ進みがちです。順番を守るほうが、結果として早く着きます。
相性が合わないと感じている場合も、この3つの動作は同じように使えます。合う合わないの判定は、動かしてみた後で下せば足ります。
次の一覧は、この改善方法を90日で回すときの並びです。顧問税理士との関係の状態にかかわらず、上から順に進められます。
- 1週目:困っている場面を3つまで選び、日付と経緯を事実の形で書き出す
- 2週目:定例の面談でその3つを渡し、相手の受け止め方をメモに残す
- 3〜4週目:渡す材料の種類と締め切りを決め、社内の担当を割り振る
- 2か月目:頼みたいことを3つに絞り、目的と期限を添えて依頼する
- 3か月目:返信までの日数と、こちらから聞いていない指摘の数を数える
- 90日後:数字が動いたかを確かめ、続けるか組み替えるかを決める
依頼を出すときは、目的・期限・判断材料の3点をそろえて渡す
頼み方の型を決めておくと、返ってくる中身が安定します。そろえるのは目的、期限、判断材料の3点です。
目的は、何を決めたいのかを書きます。設備を入れるかどうかを決めたい、という一文で足ります。
期限は、いつまでに答えが欲しいのかです。今月末に決めるので、その1週間前までに、と書けば先方も予定を組めます。
判断材料は、こちらが持っている数字です。見積書、資金繰りの見通し、直近の試算表を先に渡します。
例文にすると次のようになります。来期に1,500万円の機械を入れたい、自己資金と借入の組み合わせを3通り出してほしい、決めるのは今月末、資料は添付のとおり、という形です。
3通りという指定が効きます。数を決めずに頼むと1案しか返らず、比べようがなくなります。
頼める範囲は、税務の中だけではありません。他の士業とのつながりを持つ税理士は多く、司法書士や社会保険労務士の紹介を頼んでいる会社や、事業の提携先などを紹介してもらう場合もあります。
紹介を頼むときも同じ型を使います。誰を探しているのか、いつまでに会いたいのか、どんな条件なら合うのかを書いて渡してください。
断られることもあります。断られた理由が手が回らないことなら、期限を延ばすと通る場合があります。
頼んだ順に番号を振っておくと、返ってきた順との差も見えます。後回しにされやすい種類が分かれば、渡し方を変えられます。
依頼の記録は必ず残してください。口頭で頼んだものは、双方の記憶がずれたときに確かめようがなくなります。
顧問税理士との関係が良くなる会社は、頼み方が具体的です。何をどこまで頼んでよいのかが、双方の間で共有されています。
顧問税理士との関係を良くしたいという要望は、この3点に翻訳して初めて相手に届く形になります。
頼み方が曖昧なままだと、何度お願いしてもうまくいかない往復が続きます。届かないのは熱意ではなく、判断に要る条件のほうです。
目的と期限を書くのに要する時間は5分ほどです。この5分で、返ってくる中身の密度が変わります。
力を借りたいと考えたときは遠慮なくお願いすること、そして、お願いできる関係を築いていくことを考えるようにしましょう。
記録を残す運用にすると、改善したかどうかを感覚ではなく数で確かめられる

手応えを主観的な感覚だけで測ると、判断が曖昧になりがちです。数えられる形にしておくと、90日後に判断ができます。
記録する項目は4つです。依頼した日と回答が来た日、こちらから聞いていないのに来た指摘の数、面談で決めたことと期限、期限を守れた割合です。
依頼と回答の日付は、表計算の1行に1件で足ります。差の平均を出せば、返信までの日数が数字になります。
聞いていない指摘の数は、質の指標になります。前期の数字まで読み込んだうえでの指摘が月に1件でも出てくるなら、中身を見てもらえている証拠です。
面談で決めたことは、必ず箇条書きにして双方に配ってください。決めた人と期限を書いておけば、次の面談は確認から始められます。
記録を始めた月の数字が、比べるときの基準になります。90日後に同じ項目を測り、動いたかどうかを見ます。
目安として、返信までの日数が半分になり、聞いていない指摘が月1件以上になれば、進め方は変わったと判断してよい水準です。
数字が動かない項目があっても、すぐに結論を出さないでください。顧問税理士の繁忙期と重なっていた場合は、時期をずらしてもう一度測ります。
この表は、担当者が交代したときにも効きます。引き継ぎの場で表を渡せば、これまでの経緯を短い時間で共有できます。
数え方は月ごとにそろえてください。件数の定義が月によって変わると、90日後の比較が成り立たなくなります。
顧問税理士との関係の話は、感想で語ると角が立ちます。日数と件数で語れば、相手も具体的に応じやすくなります。
記録の手間は、月に30分あれば終わります。この30分が、後で大きな判断をするときの根拠になります。
顧問税理士との関係を測る物差しを自社に持つと、次に誰と組むかを考えるときも同じ物差しが使えます。
数えた事実がないと、何がうまくいかないのかを社内で説明できません。感想だけでは、経理の担当者とも足並みがそろいません。
改善方法を回した3か月分の書き出しは、来期の計画を組むときにも役立ちます。使う道具は表計算の1シートで足ります。
| 測る項目 | 記録の取り方 | 90日後の目安 |
|---|---|---|
| 返信までの日数 | 依頼日と回答日の差の平均 | 開始時の半分 |
| 聞いていない指摘の数 | 月ごとの件数を数える | 月1件以上 |
| 決めたことの実行率 | 面談メモの項目と期限の達成数 | 8割以上 |
| 資料の提出の遅れ | 締め切りを過ぎた回数 | 0回 |
顧問税理士との関係を90日動かしても変わらないときの、整理のしかた

手を尽くしても数字が動かないことはあります。そのときは、期待の置き場所を確かめ直すところから始めます。
税理士を替えれば売上が上がるのかという問いに対し、直接は上がらないが、上がるきっかけにはなり得る、という考え方があります。
売上を伸ばすのは社長の仕事であり、自社の客をいちばんよく知っているのも社長です。ここを取り違えたまま見直しても、期待は満たされません。
見直しで変わるのは、決めるまでの速さと、決めた後の落ち着きです。数字の根拠を持って判断できる状態になることが、得られるものの中身です。
そして、税理士は5つの層に分けられます。下の2つの層は見直しを考えたほうがよい層、上の層は付き合い続けるとよい層といえます。
特に下から2つ目の層については、長い付き合いになっている事務所も多く、思うところがあっても踏み切れずにいる社長が多いのが現状です。
動けない理由は3つに分かれます。長い付き合いを壊したくない気持ち、引き継ぎにかかる手間、動いた後に困るのではないかという心配です。
この3つ目について、書籍は、見直すと嫌がらせを受けるのではないかと心配する社長がいると紹介しています。
そうした不安の背景には、粉飾や脱税が隠れていることを恐れるケースもありますが、後ろ暗いところがない会社の社長でも、心理的な抵抗を感じることは珍しくありません。
報酬を決めたとおりに払っていて、表に出せない処理を抱えていなければ、この心配は要らないというのが書籍の答えです。
顧問税理士との関係を90日動かした記録があれば、この整理は感情論になりません。何を頼み、何が返り、何が返らなかったのかが残っているからです。
うまくいかない状態が続いていても、動けない理由は性格ではなく構造の側にあります。比べる相手を持たないまま年数が過ぎるためです。
顧問税理士との関係を続けるにせよ組み替えるにせよ、決め手になるのはこの記録です。数えた事実の上でなら、どちらを選んでも後から説明ができます。
「税理士を変えれば売上は上がりますか」という質問を受けることがあります。これに対しての答えは「直接的には上がりませんが、売上が上がるきっかけとなることはあります」という返答になります。
改善方法を続けるために、年に一度は付き合い方そのものを点検する

一度整えた形も、会社が動けばずれます。点検の時期を決めておけば、ずれが小さいうちに直せます。
点検に向くのは、申告を終えた直後です。1事業年度分の記録がそろい、翌期の計画を立てる時期とも重なります。
見る項目は4つです。渡す材料の種類が今の規模に合っているか、頼む中身が去年と同じままになっていないか、払う額と範囲が釣り合っているか、測った数字が前年より良くなっているかです。
規模が上がった年は、頼む中身を組み替えてください。年商5,000万円のときに要らなかった資金繰りの管理が、1億円を超えると毎月の話題になります。
3億円を超えると、部門ごとの数字を見る話が加わります。求めるものが変われば、相性の意味も変わります。
代が替わる時期も点検に向きます。先代の頃から残る付き合いは、切り出しにくさだけを理由に続いていることがあり、そこへ言葉を与えられる数少ない機会です。
点検の結果、今の相手で足りるなら、それが最良の結論です。比べたうえで残す判断は、なんとなく続けるのとは中身が違います。
足りないと分かった場合は、次に組む相手の条件を書き出すところから始めます。この1年で頼んで返らなかったものが、そのまま条件表になります。
候補をどの入口から探すかによって、届く層は変わります。知人の紹介、取引のある金融機関、商工会議所、インターネットでの検索、届いた案内では、会える相手の顔ぶれが違います。
経路ごとの向き不向きは、比べ方まで踏み込んだ税理士の探し方の記事に整理しています。条件表を書き終えてから読むと、見るべき点がぶれません。
改善方法を1年回した社長は、条件表の精度が上がります。頼みたいことを、行動の形で書けるようになるからです。
顧問税理士との関係は、点検の習慣を持つ会社ほど崩れにくくなります。ずれが小さいうちに直せるためです。
うまくいかないまま数年が過ぎると、比べる物差しを持たないまま金額だけが動いていきます。顧問税理士との関係を毎年見る会社は、この形に陥りません。
点検の日程を、いまのうちに手帳へ入れておいてください。改善方法は、続ける仕組みを持った会社にだけ積み上がっていきます。
税理士コンシェルジュ事務局からのコメント
顧問税理士との関係の相談は、税理士の良し悪しの話として持ち込まれます。伺うと、会社の規模が変わったのに材料の渡し方が数年前のままだった、という場面が多くあります。1,600名との面談でも、渡した資料と返った指摘を並べた時点で話が具体的になりました。顧問税理士との関係は、表を1枚埋める作業から動きます。