事業計画書とは?目的・メリット・書き方まで分かりやすく解説! | 税理士コンシェルジュ

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事業計画書とは?目的・メリット・書き方まで分かりやすく解説!

2020年11月2日
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事業計画書とは、その名前の通り、事業の計画書のことです。特にビジネスに必要な資金調達や事業継承をするときなどに、金融機関や投資家などに事業計画書を提示する必要があります。

そのため、相手を説得できる事業計画書を作成することが重要なポイントとなってきます。この記事では事業計画書の書き方はもちろん、事業計画書の目的、作成するメリットなど事業計画書について分かりやすく解説していきます。

事業計画書とは?

事業計画書とは、文字どり、事業の計画書のことで、英語では「business plan(ビジネス プラン)」と言われています。つまり、今後の事業内容や戦略、収益の見込みなどを説明するための書類です。

主に事業を立ち上げや継続的に資金を調達するときなど、事業をする上で資金調達が必要なときに事業計画書が必要となります。

事業計画書の目的

事業計画書は、公的・民間の金融機関や投資家などに提示し、資金調達や事業継承をするときなどに使うことが主な目的です。企業資金の出所は、返済義務のある「融資(借入)」と、返済義務のない「出資・投資」に分かれますが、どちらの場合も説得力のある事業計画書を提示しなければ、資金を調達することはできません。

金融機関であれば、将来の返済能力の見込みがない事業所にはお金を貸したいとは思わないでしょう。また投資家も、成長の見込みがない事業所に出資をしたいとは思いません。そこで必要となるのが、説得力のある事業計画書、つまり、事業の継続的な収益性を見込めるプランを提示し、信頼を得ることがポイントとなります。

金融機関は将来の返済能力が期待できない事業者にお金を貸すことはできませんし、投資家も成長が見込めない企業や事業に出資したいとは思わないでしょう。そこで、事業計画書を提示し、事業の継続的な収益性を示し、信頼を得なければいけません。

つまり、説得力のある事業計画書があれば、公的・民間の金融機関や投資家などから資金を調達しやすくなる、ということです。

事業計画書の作成は必要?それとも不要?

このように事業計画書は、資金調達の際に提示する必要書類ですが、それと同時に、事業計画書を作成することで自分の事業を客観的に見直すことができます。必要な改善点を見つけることもできるかもしれません。

ですから、資金調達の予定がなくても、事業計画書を作成する価値はあると言えるでしょう。ですから、すでに開業しているとしても、事業計画書を作成してみるのはどうでしょうか?では、事業計画書を作成すると、どのようなメリットが得られるのかを詳しくみていきましょう。

事業計画書を作成する3つのメリット

メリットその①事業を客観的見直すことで改善できる

先述したように、事業計画書を作成するなら、自分の事業を客観的に見直し、改善点を見つけることができます。自分の事業計画を立てているときは、「完璧な計画ができた」と思いがちです。しかし、後に事業計画書を作成することで、改善点を発見することができます。

起業前であれば、軌道修正をすることが可能です。またすでに起業しているとしても、将来の事業計画を作成することで、陥るかもしれない間違いを回避することができるでしょう。

メリットその②事業の方向性を共有しやすくなる

一人だけで起業する方もいれば、従業員を抱えて法人として企業する方もいることでしょう。一人など小規模で起業をするとしても、起業をする上ではさまざなな人たちが関わってきます。事業計画書を作成していれば、事業に関わるすべての人たちに、今後事業がどのような方向に進むのか、方向性を共有することができます。

方向性の共有がきちんとできれば、事業をスタートさせた後も、事業に関わるすべての人たちと同じ方向を向いて企業を運営することが可能となります。

メリットその③資金調達がしやすくなる

先述したように、事業計画書があれば、融資などで資金提供を受ける際、資金調達がしやすくなります。どのくらい資金調達ができるかによって、事業が左右してくるものです。主に資金調達面では、以下のようなメリットを得られます。

・資金提供者への説得
資金調達をする際、金融機関や投資家など資金提供者に対して、事業に方向性や将来見込める収益などついてアピールしなければいけません。もちろん口頭でアピールすることもできますが、相手が納得する事業計画書を提出すれば、短時間で正確に伝えられるだけでなく、説得力もプラスされます。

・審査通過率が高くなる
事業計画書を通して細かく伝えることは、審査の通過率を高めます。将来性の見据えた事業計画であれば、審査にプラスなイメージを与えるでしょう。

事業計画書作成の基本「6W2H」

事業計画書を作成するにあたり、事業の方向性や内容などを明確にする必要があります。その際に基本となるのが、主にマーケティングで用いられるフレームワーク「6W2H」です。6W2Hは、以下の8つの要素で構成されています。

・When:どのタイミングで実行するか?
・Where:どの市場を狙うか?
・Who:誰(中心人物)が行うのか?
・Whom:どの顧客(ターゲット層)を狙うのか?
・What:どんな商品やサービスを提供するのか?
・Why:なぜ事業を行うのか?
・How:どのように実施するか?
・How much:どのくらい資金が必要か?

6W2Hを活用しながら事業計画を立てるなら、事業計画書をスムーズに作成することができるでしょう。

事業計画書作成の注意事項

事業計画書を作成する際、事前に以下の注意点を念頭に入れておきましょう。

①内容は細かく具体的に記載すること
金融機関や投資家など資金提供者に理解してもらえるよう、計画だけでなく、具体的な数字も記載することは大切です。またそれ以外にも、事業にプラスとなる情報も記載しましょう。それには一見資金調達には関係なさそうに思える内容の情報も含まれます。

具体的には、企業の沿革、代表者のプロフィール、従業員の数、取引先、解決すべき問題点・課題などが挙げられます。これらの情報があれば、その企業の概要を理解しやすくなるだけでなく、今後の施策も伝わりやすくなるでしょう。

②簡潔で分かりやすく記載すること
さまざま情報を細かく盛り込むと、膨大な情報量になってしまうかもしれませんが、できるだけ簡潔で分かりやすく記載することがポイントです。事業についての知識がまったくない方が読んでも分かりやすように、グラフや図解など視覚に訴えるものを挿入することができるかもしれません。

③競合について調査し記載すること
事業計画書を作成する前に、競合についての調査をしっかりしておきましょう。また市場環境の調査をすることも大切です。これから参入しようとしている事業の主なターゲット層はだれか、どのくらいの収益を見込んでいるのか、を明確にするなら説得力が増します。

④根拠のある数値を記載すること
事業計画書に示す数値は、実現性やその根拠、裏付けなどを問われることがあります。ですから、その数値がどのように実現するのか、具体的な根拠や裏付けも一緒に記載しておきましょう。

事業計画書に記載すべき必要項目

【創業者のプロフィール】
金融機関は、通常、過去の事業実績をみて融資の可否や金額を判断します。しかし、創業したばかりの場合は、過去の実績がありません。そのため、創業者の事業経験や経歴などのプロフィールを見て判断します。つまり、創業者のプロフィールはとても重要な項目と言えるでしょう。

なお、すでに開業しているのであれば、会社概要を記載してください。具体的には、商号、所在地、役員、株主構成、電話番号、ホームページアドレス、メールアドレス、主要取引先、主力商品(サービス)、代表者の経歴などを記載することができるでしょう。

【ビジョン・理念・目的】
金融機関や投資家などの資金提供者は、事業を始めた理由、何を目指しているのかなど、ビジョン・理念・目的などを知りたいと思っています。なぜなら、それを知ることで、その人が事業にかける熱意や本気度が伝わってくるからです。そのためには、ビジョン・理念・目的に共感してもらえる説得力のある事業計画書が欠かせません。

【事業の概要】
どのようなビジネスモデルを目指しているのか事業を客観的・具体的に記載します。例えば、カフェを開業したい場合、ただ単にカフェを開業したい旨を記載しても、資金提供者はイメージしにくいことでしょう。

カフェといってもドリンク中心のカフェもあれば、食べ物が充実したカフェもあります。また雰囲気によっても大きく印象は異なります。ですから、相手がイメージしやすいように説明しましょう。

【自社のサービスや商品の強みや特徴】
競合他社と同じ事業に参入した場合、自社のサービスや商品に強みがなければ、顧客を獲得することは難しいでしょう。そのためには、ライバルとなる競合他社を研究し、自社にしかない強みや特徴をアピールできるものを考えることがとても重要です。

【市場環境、競合について】
市場のニーズや事業に関する政策の動向、競合他社の存在など、競合を分析しなければいけません。マーケティングでは、基本とされる4つのPを考慮することで競合が見えてくると言われています。

それは①モノサービス(Product)、②価格(Price)、③販売チャネル(Place)、④販促方法(Promotion)です。これら基本の4Pを競合他社と比較し、事業を取り巻く環境と端的に伝えましょう。

【販売やマーケティング戦略】
どんなによい商品やサービスを提供するとしても、市場の需要を把握していなければ顧客を獲得することはできず、ビジネスが成立しません。つまり、販売することが売上に直結します。その点を踏まえて、今後目指したい現実的な販売とマーケティングを伝えましょう。

また、ターゲット層やどこで商品やサービスを提供するのかを明確にすることも大切です。どれほどの人材や予算をマーケティングに投資するかも含めるなら説得力が増すことでしょう。

【生産方法、仕入れ先など】
開業前に、どのようなルートで商品を調達するかが決まっていれば、資金提供者にビジネスに対する熱意や本気度をアピールできます。もし仕入をせず、自社のみで生産する場合は、本当に作れるという証拠を示さなければ、資金提供者を説得することは難しいでしょう。

【売上予想、売上計画】
自社の商品やサービスの特徴、市場調査、競合他社と状況を総合し、売上の予想を立て、具体的に数字化させてください。売上の予想を3年分作成してみましょう。特に1年目に関しては、開業初月から1ヵ月ごと予想してみましょう。

季節や営業日、祝日など月によって売上の予想も変わってくるはずです。事業計画書を作成するなら、月ごとにどのような対策が必要なのか改善点もみえてくるでしょう。

【損益計算書予想】
売上予想に続き、3年分の損益計算書も作成してみましょう。売上予想を先に作成すれば、それを基にどのくらいの出費があるのかを予想することができます。売上から費用を差引いたものが利益ですから、毎月の経営状況の予想にもつながるでしょう。

また費用には、さまざまな経費も関係してきます。それらも具体的に数値化するなら、現実味のある事業計画書が仕上がるでしょう。

【開業資金】
開業資金には、この事業を行うために開業時~開業後半年間ほどの期間、どのくらいの資金が必要なのかを記載します。そして、事業にかかる費用をすべて記載します。それには店舗を借りる場合は保証金や家賃、内装、各種設備、仕入代、開業後の人件費、光熱費、広告費、通信費などが該当します。

それに加えて、自己資金はいくらあるか、また金融機関や投資家からどのくらい融資を受けたいのかを記載しましょう。

事業計画書の作成に関するQ&A

【事業計画書はいつ準備すればいい?】
通常、融資は、事前相談→融資の申し込み→面談→審査→融資の決定という流れで進みます。そして、事業計画書は、融資の申し込みの段階で提出します。ですから、まずは事前相談で融資先を検討し、どこの金融機関を利用するかを決めてから準備を始めることができるでしょう。

【事業計画書に特定のフォーマットはあるか?】
事業計画書は、特定の形やフォーマットなどは特に決められていません。ただし、上記でご紹介した最低限共通している項目は記載する必要があります。

なお、金融機関や投資家から融資を受けるための事業計画書、ベンチャーキャピタルから投資を受ける事業計画書、自社のための事業計画書では目的が異なります。そのため、目的に応じて書き方も若干変わってきます。

【事業計画書の雛形はある?】
事業計画書には、雛形はありません。しかし、これから創業する方で融資を考えている場合は、日本政策金融公庫の事業計画書の雛形を参考にすることができるかもしれません。各種業種ごとの事業計画書の雛形をダウンロードすることができます。参照:JFC日本政策金融公庫

また、freeeが提供する「創業融資freee」の利用もおすすめです。ステップに沿って入力するだけで、事業計画書を自動で作成してくれます。クラウド上から無料で利用することができるうえ、作成した計画書をもとに専門家による面談を無料で受けることも可能です。

【事業計画書と創業計画書の違いとは?】
事業計画書と創業計画書は、言葉は違いますが、その内容は同じです。具体的に言うなら、創業したばかりの人が作成する事業計画書は、創業計画書といいます。創業計画書の場合は、創業時のため創業者のプロフィールを充実させる必要があります。

【事業計画書は何ページ作成すればいい?】
事業計画書は、その目的によって内容が異なるためページ数も変わってきます。金融機関から融資を受けるために事業計画書を作成する場合は、上記でご紹介した日本政策金融公庫の創業融資であれば所定の1枚のみで仕上げることができるでしょう。

【事業計画書は手書きで作成しても大丈夫?】
事業計画書は、手書きで作成しても問題はありません。しかし、銀行などの金融機関や投資家などさまざま人に提示します。なので、可能であれば、ExcelやWordなどで作成した方が見やすいと言えるでしょう。

【事業計画書を作成すれば必ず融資を受けられるのか?】
事業計画書を作成しなければ、融資を受けることはできません。ただし、事業計画書を作成したとしても、必ずしも融資を受けられるという保証はありません。

なぜなら、金融機関は、事業計画書を基に融資の可否、また融資金額を判断するからです。ですから、融資を受けることができたとしても、希望額通りいかないこともあります。

【予想される時代背景も記載すべきか?】
創業しようとする業界が、時代に合う業界なのであれば、説得力のある事業計画書が仕上がります。例えば、コロナ渦により生活スタイルが大きく変わりました。まだいつ終息するのか予想がつきません。そこで新しい生活スタイルに特化した商品やサービスの提供であれば、今後需要が増すと判断できるでしょう。

また、日本は今後、超高齢化社会となり、シニア層が占める人口の割合が大きくなることは確実です。すでに将来のことが現時点で確実に分かるのであれば、それらに特化した商品やサービスの需要を見込めるため、説得力のある事業計画書に仕上がるでしょう。

まとめ

会社設立前後は多くの手続きがあり、事業計画書もそのひとつです。特に創業時に作成する事業計画書は、これからのビジネスに向けての本気度や熱意を伝える重要なものです。もちろん、熱意だけではなく、現実的な事業であることを相手に説得できる内容でなければいけません。

またすでに事業を営んでいる方でも、自社のために事業計画書を作成するなら、客観的に見直すことで改善点が見つけることがあります。事業計画書の作成には多少の手間と時間はかかりますが、作成する価値はあります。この機会に事業計画書を作成してみるのはどうでしょうか?


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