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亡くなった人の所得を申告・納税をする「準確定申告」の方法

2021年4月14日
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生前に確定申告の対象者であった場合、亡くなった人の所得税を、相続人がかわりに確定申告することを「準確定申告」と言います。通常の確定申告とは申告の期限が異なるなど、様々な相違点があります。この記事では、準確定申告について詳しく解説していきます。

「準確定申告」とは?

準確定申告とは、生前に確定申告の対象者であった人の1月1日から死亡日までの所得と納税を、相続人が行う手続きのことです。通常、所得税の確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告と納税が行われます。

亡くなった人は確定申告をすることができないので、本人に代わって相続人、もしくは包括受遺者が行います。(包括受遺者とは、遺言により遺産をすべて、もしくは3分の1など割合を定めて遺産をもらう人のことです)

準確定申告の期限は「4ヶ月以内」

準確定申告の期限は通常の確定申告期限とは異なり、相続の開始(被相続人の死亡)日の翌日から、4ヶ月以内と決まっています。納税も死亡から4ヶ月以内に納めなければいけません。

もしもこの期限が過ぎてしまうと、加算税が発生します。加算税は納付額が大きくなればなるほど、それに比例し、加算税も大きくなりますので期限内に申告・納税を済ませましょう。

死亡する前年分の確定申告をしていない場合は2年分の準確定申告が必要

準確定申告は、原則として1月1日から被相続人が死亡した日までに得た所得を申告するものです。ただし、1月1日から3月15日までの間に死亡した場合で、前年度の確定申告も行われていなかった場合は、本年分と前年度も含めた2年分の準確定申告をする必要があります。

その際、被相続人が死亡してから4ヶ月以内に申告すればよいので、通常の確定申告期限である3月15日を過ぎてしまっても問題ありません。例えば、被相続人が前年度分の確定申告をしないまま2月1日に死亡した場合は、準確定申告の期限は、前年度と本年度分とも死亡の4ヶ月以内の6月1日が申告の期限となります。

準確定申告の対象者

準確定申告は、亡くなった方すべてがするものではありません。亡くなった被相続人が生前に、次のようなケースで確定申告をしていた場合は、死亡した年の分の準確定申告をする必要があります。

・個人事業をしていた場合
・アパートや駐車場など不動産業をしていた場合
・2ヵ所以上から給与をもらっていた場合
・給与所得、退職所得以外の給与所得金額が20万円超していた場合
・公的年金などによる収入が400万円超していた場合
・公的年金による雑所得以外の所得金額が20万円超していた場合
・生命保険などの満期金や一時金などを受け取っていた場合
・土地や建物などを売却していた場合

準確定申告が必要であるにもかかわらず、期限までに申告をしなかった場合は、所得税の税額に加えて、加算税や延滞税などのペナルティも発生しますので注意が必要です。

準確定申告の手続き方法について

準確定申告には、様々な書類を用意する必要があります。また、相続人が複数いる場合は、スムーズな手続きをするために、よく話し合うことが必要となります。準確定申告を手続きするにあたり、次のことは原則として決められています。

・提出する人
準確定申告の申告は、相続人全員が連名で申告することが原則となっています。相続人のひとりが代表として申告することも可能ですが、申告の内容をすべての相続人に伝えることが求められています。なお、相続人が二人以上いる場合は、別途付表の提出が必要になります。(後述します)

・提出する場所
準確定申告の書類は、亡くなった被相続人の住所地にある税務署へ提出します。相続人の住所地の管轄税務署ではないので、被相続人の住所地にある管轄税務署が分からない、という方もいるかもしれません。そのような場合は、国税庁のホームページから調べることが可能です。

また、被相続人の管轄の税務署に行くことが難し場合は、郵送で提出することができます。郵送する場合は、控えの返送に必要は切手を貼り付けた返信用封筒も一緒に同封して、準確定申告書を提出しましょう。

申告受付日は、郵便消印の日付となりますので、期限ギリギリではなく、余裕をもって郵送されることをおすすめします。なお、準確定申告は、e-taxの電子申告には対応していませんので注意してください。

準確定申告に必要な書類

準確定申告には、次のような書類が必要です。

1、確定申告書
確定申告書A、もしくは確定申告書Bを使用します。準確定申告であることが一目で分かるように、表題に「準」と記入します。そして、被相続人の名前と住所を記載します。その他の記載事項は、通常の確定申告と同じです。

2、被相続人の源泉徴収票
源泉徴収票には、「給与所得の源泉徴収票」と「公的年金の源泉徴収票」「企業年金の源泉徴収票」などいくつか種類があります。

・給与所得の源泉徴収票
給与所得があった場合は、勤務先から交付された「給与所得者の源泉徴収票」の原本を提出してください。

・公的年金の源泉徴収票
国民年金、厚生年金、共済年金を受給していた場合、日本年金機構から「公的年金の源泉徴収票」が死亡届と提出した人宛てに送付されます。年金の受給停止手続きをしてから、源泉徴収票が手元に届くまでに2~3ヶ月の期間がかかると言われていますので早めに手続きを開始しましょう。

なお、各種年金の受給を停止するためには、「年金受給者死亡届」を提出しなければいけません。国民年金の場合は死亡日から14日以内、厚生年金の場合は死亡日から10日以内と期限が定められています。

・企業年金の源泉徴収票
勤務先企業の年金基金に加入している場合は、「企業年金の源泉徴収票」が届きます。

3、被相続人の控除証明書
各種保険料は所得控除の対象となります。被相続人が加入していた保険会社が発行する控除証明書が必要となります。発行までに時間を必要としますので、早めに手続きをはじめましょう。なお、控除対象となる各種保険は、以下の4種類です。

・生命保険料控除
・社会保険料控除
・地震保険料控除
・小規模共済等掛金控除

4、「死亡した者の〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」(相続人が二人以上の場合)
相続人の書名と捺印、相続分の割合、相続財産の価額を記入します。その際、相続人全員のマイナンバーを記入し、本人確認書類を添付します。国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

参照:国税庁「死亡した者の 年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 (兼相続人の代表者指定届出書) 」

5、被相続人の医療費の領収書(医療費控除をする場合)
医療費控除をする場合は、被相続人が医療機関にかかったときの領収書やレシートが必要となります。

6、委任状
相続人の代表者が還付金を一括で受け取る場合は、他の相続者からの委任状が必要となりますので準備しましょう。委任状は国税庁のホームページからダウンロードできます。

参照:国税庁「委任状(準確定申告用)」

相続人が二人以上いる場合に必要となる「付表」

相続人が二人以上いる場合は、「死亡した者の○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」の提出が必要となります。相続人全員の名前、住所、相続分等を記入し、連署した申告書と一緒に提出します。

確定申告書の記入方法について

準確定申告は、通常の確定申告書類と同じものを使用します。準確定申告であることが分かるように、表題に「準」の字を記入します。準確定申告は亡くなった被相続人の名前で行いますが、実際に申告するのは相続人なので、申告書には相続人の氏名やマイナンバー等も記入する必要があります。

【相続人がひとりの場合】
相続人がひとりの場合は、住所と氏名の欄に被相続人と相続人の両方、余白に被相続人の死亡した日と日付と相続人のマイナンバーを記入します。印鑑は、相続人の印鑑で押印をします。それ以外の項目は、通常の確定申告と同じように記入していきます。

【相続人が二人以上の場合】
相続人が二人以上いる場合は、確定申告書に加えて、上記でみた「死亡した者の○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」も記入する必要があります。確定申告書は、住所と氏名の欄に被相続人を記入します。

相続人のマイナンバーや印鑑の押印は、付表にするので不要です。それ以外の項目は、通常の確定申告と同じように記入していきます。付表には、被相続人の住所、氏名、死亡した日付、納め税金や還付される税金の総額を記入します。

また、相続人分全員の住所、氏名、マイナンバーなどの必要事項に加え、相続割合や相続財産の価額も記入し、氏名の横に印鑑を押印します。また、各人の算出した納付税額や還付金額なども記入します。なお、還付金を受ける場合は、銀行口座名や口座番号などの受け取り方法も記入する必要があります。

準確定申告をする際に注意したいこと

準確定申告をする際、被相続人の死亡日が、課税や控除の対象を分ける分岐点となりますので、申告の際には注意が必要です。特に注意したいのは次の点です。

・保険料は死亡日までが控除の対象になる
生命保険料や社会保険料などの控除は、相続人の死亡日までに支払ったものが対象となります。なお、還付金がある場合は、相続税の課税対象になります。

・医療費は死亡日までが控除の対象になる
被相続人本人が、死亡日まで一定額の医療費を支払っていた場合は、準確定申告をする際に医療費控除の手続きをすることが可能です。

しかし、入院費などを死亡後に相続人が代わりに支払った場合は、医療費控除の対象外となります。支払った医療費は、相続税の債務控除の対象にすることができます。

なお、生計を同一にする相続人や他の親族が入院費などの医療費を支払った場合は、支払った相続人や親族が確定申告をする際に医療費控除として申告することができます。

参照:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

まとめ

準確定申告の申告書自体は、確定申告を同一の様式を使用しますが、必要書類を揃えるために時間がかかることがあります。準確定申告の提出期限は、被相続人が死亡してから4ヶ月以内、と規定されていますので、葬儀など落ち着いたらすぐに手続きを開始しなければいけません。

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