印象に残る屋号の決め方と4つのポイント【個人事業主必見】 | 税理士コンシェルジュ

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印象に残る屋号の決め方と4つのポイント【個人事業主必見】

2021年10月13日
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個人事業主として開業することを検討しているのであれば、「屋号」を持つことは大切です。開業届や確定申告など様々な届出や書類などには、個人事業主の屋号の項目欄が用意されています。

では、どのように屋号を決めればよいのでしょうか?この記事では、屋号の付け方や印象を与えるポイントなど、屋号について徹底解説していきます。

屋号とは?

屋号とは、事業の名称や店舗の名前のことです。法人の場合、代表者と会社は別人格なので、必ず「○○株式会社」など会社名を付ける必要があります。個人事業主の場合もそれと同じで、屋号は法人の会社名のようなものです。

国税庁の公式サイトによると、屋号(又は雅号)とは、個人事業主の方が使用する商業上の名前のこと、税務署に提出する個人事業主の開業・配偶等届出書には屋号欄がある、などと記載されています。つまり、屋号は個人事業主が名乗る事業名のことです。

参照:国税庁「屋号・雅号の入力について」

屋号を記載したり使用する場面とは?

屋号を使用する機会はたくさんあります。例えば、請求書や見積書、契約書、領収書などを作成する際には、屋号の名称を使用します。住所や電話番号に加えて、屋号や個人名も一緒に記載することが一般的です。

また、名刺を作成する際には、個人名と一緒に屋号も併記することができます。屋号も一緒に併記しておくなら、どのような仕事をしている人なのか、相手に事業内容を覚えてもらえることにつながるでしょう。

さらに、個人事業で使用する銀行口座を開設する際にも、屋号を使用することが可能です。基本的に銀行口座は、個人事業主の名前で開設する必要がありますが、名前の横に屋号を入れることが可能です。

屋号名を記載することで、個人の口座と区別しやすくなり、事業に関する経費の集計や売上金の管理などを効率よく行えることにつながります。このように屋号を使うシーンはたくさんあることに加え、社会的信用を得ることもできます。

屋号は必ず必要?

カメラマンやフリーランスのプログラマー、WEBデザイナーなど個人で活動する個人事業主の場合、「個人名」でお仕事をしている方も少なくありません。また、開業届を提出しているなら、開業届を記入する際に屋号の存在に気付くはずですが、開業届を出さずに個人事業をしている方もいます。

そのような場合は、確定申告書類の作成をしているときにはじめて屋号の存在に気づくようです。このように、屋号は、必ずつけなければいけない、というものではありません。屋号を使用しない場合は、本名で活動することもできます。

しかし、お店を経営したり、事務所を開いている場合などが、屋号があったほうが便利です。なお、屋号を使用していない場合は、開業届の屋号の項目は、空欄のまま提出します。

個人事業主が屋号を付けることで得られるメリットとは?

先述したように、個人事業主にとって屋号を付けることは必須ではありませんが、屋号を付けるなら様々なメリットを得られることができます。メリットには次のようなものが挙げられます。

メリット1:事業内容を分かりやすくアピールできる

屋号を持つことで得られる最大のメリットは、事業内容を分かりやすく宣伝できる、ことが挙げられます。例えば、斉藤さんという方がクリーニング屋を始めることにした場合、「斉藤クリーニング」と屋号を付け、お店の前やホームページなどに記載するなら、誰に対してもどのような事業内容なのかを簡単にアピールすることができます。

メリット2:屋号付き口座を開設することでお金の流れが明確になる

上記でも少し触れましたが、屋号を持つと、銀行で個人事業主向けの屋号付きの口座を開設することができます。屋号付きの口座があれば、個人名義の口座と区別しやすいだけでなく、確定申告や帳簿をつける作業などが効率よく行えるようになったり、資金の流れを明確にしやすくなります。

メリット3:社会的、また顧客からの信頼アップにつながる

屋号を持つなら、ビジネスをしている人と認識されやすくなるため、取引先や顧客からの信頼アップにつながります。また、顧客が銀行口座に入金する際にも、個人名義の口座よりも屋号が記載されている口座のほうが安心や信頼を得やすくなります。

屋号の付け方とは?

屋号は後から変更することも可能ですが、屋号の付け方次第では、好印象与えることができます。では、印象に残る屋号はどのように付ければよいのでしょうか?

基本的なルール

屋号に使える文字の種類は決められています。次のものを使用することができます。

・漢字
・ひらがな
・カタカナ
・アルファベット(大文字・小文字)
・数字(アラビア数字)
・特定の記号(「「&」「’」「.」「-」「.」「・」など)

上記以外のハングル文字やタイ文字などの外国語の文字、「Ⅰ」「Ⅳ」などのローマ数字、「♪」や「☆」などの記号は屋号に使用することはできません。

屋号を考えるときのポイント!

ポイント①事業内容がハッキリ伝わる
屋号を決める際、どのような内容のビジネスをしているのかがハッキリ伝わる屋号にすることはとても大切です。例えば、「カフェ○○」とか「○○美容院」など、屋号にさりげなく業種を含めるなら、業務内容を明確に伝えつつ、宣伝することができます。それとは逆に、何をしているのかがよく分かない屋号だと顧客も仕事の依頼をしづらくくなります。

ポイント②覚えやすい
利益を得るためには、顧客に名前を覚えてもらうことも大切です。もしほぼ同じ価格で、同じサービスを提供してるお店がいくつかあるとしらら、覚えやすい屋号の方が口コミで早く伝わります。

また、英語など外国語を使った屋号はオシャレですが、難しいなら覚えてもらうのは難しいでしょう。ターゲットにする年齢層も考慮に入れて、覚えやすい屋号を付けることができるでしょう。

ポイント③言いやすくて書きやすい
屋号は口に出して言ったり、書類に記入したりする機会が多々あります。つまり、言葉の意味や見た目だけで決めるのではなく、実用性という観点も考慮にいれる必要があります。

電話や名刺交換などの際に、相手から何度も聞き返されたり、正しく読んでもらえないことが多いのであれば、相手にとってはストレスとなるかもしれません。

それとは反対に、言いにくい屋号ゆえに、相手に強烈なインパクトを与えるという逆効果を得ることもあります。ですから、屋号を決める際には、第三者の客観的な意見も参考にするようにしましょう。

ポイント④SEO(検索エンジン最適化)を意識してみる
お店などを探す場合、多くの方はインターネットの検索を利用します。その際、「地域名」と「業種」を絡めて検索する方が多くいます。屋号に地名や業者を含めるなら、インターネット検索されやすくなることにつながるでしょう。

付けてはいけない屋号とは?

基本的なルールを守って屋号を決めたとしても、次のような屋号をつけると受理されないことがあります。

①会社や組織をイメージさせる言葉や表記を使用した屋号
個人事業主の屋号の場合、「会社」や「法人」、「コーポレーション」など会社や法人をイメージさせる言葉や、「Co.」や「Inc.」などの表記も使用することはできません。

②他の事業所と同じ屋号
故意にに他の事業所と同じ、もしくは類似している屋号は受理されないことがあります。同じ屋号だとしても業種が異なれば問題ありませんが、同じ業界の場合は訴訟などの問題になることもあります。また、一般的に知名度の高い企業と誤解されるような屋号や、商品登録された言葉を含めた屋号などにすることは禁止されています。

③マイナスイメージを与える屋号
マイナスイメージを与えたり、下品な言葉を使った屋号も禁止されています。

屋号を決定するまでの3つのステップ

では、実際に個人事業主が屋号を決める際には、どのような手順で決めていけばよいのでしょうか?3つのステップをみてみましょう。

ステップ1:屋号になりそうな候補をたくさん出す
まずは屋号の候補になるそうなものを列挙してみましょう。思いついた候補の単語を組み替えたりしながら、多くの候補を出すことがポイントです。数に制限をもうけないで、数百個ほど思いつくままに列挙するのが理想的です。

もしアイデアに詰まってしまったら、友人や知人からアドバイスをもらうこともできます。漢字やひらがな、カタカナ、ローマ字、数字などを使用して、楽しみながら候補を出してみましょう。

ステップ2:絞り込む
たくさんの候補となる屋号を列挙したら、絞り込みに入ります。絞り込みは、次のような方法で行います。

①先述した基本的なルールやポイントなどを参考に、10~20個ほどに候補を絞る

②「特許情報プラットフォーム」の公式サイトで候補を検索する。もし商品登録されていた場合は、候補から外す。

参照:J-PlatPat「特許情報プラットフォーム」

③残っている候補をインターネットの検索エンジンにかける。同じ業種で同じ屋号で開業している人を見つけた場合は、その屋号を候補から外す。さらに確実に調べたい場合は、法務局で屋号調査を無料で行っているので、確認をお願いすることができるかもしれません。

④インターネットでの事業展開も検討しているなら、屋号にちなんだドメインを取得できるか確認してみる。

ステップ3:決める
徹底的なチェックをした中でクリアした候補の屋号から、最も気に入ったものをひとつ選びます。個人で決定することもできますが、友人や知人などから客観的な意見を聞き、参考にすることも大切です。是非、多くの方の意見を取り入れてみましょう。

印象を残せる屋号の例

ここまで見てきた点を踏まえ、事業を印象付けることができる屋号の例をいくつかご紹介しましょう。

・お店の場合
○○屋、○○家、○○工房、○○本舗、○○堂、○○サロン、○○ベーカリー、○○商店

・事務所系の場合
○○オフィス、○○事務所、○○企画、○○スタジオ、○○制作、○○舎、○○塾、○○ラボ

屋号を決めるタイミングは?

では、個人事業主はいつのタイミングで屋号を決めればよいのでしょうか?結論から述べるなら、屋号を付けるタイミングに決まりはありません。ですから、好きなタイミングで付けることができるでしょう。

しかし、個人事業主として開業することになると、開業届「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する必要があります。原則として、事業の開始から1ヵ月以内と期限が設けられています。この開業届には、屋号名を記入する欄があります。屋号を使用しない方や屋号をまだ決めていない方は、空欄のまま提出しても特に問題ありません。

ちなみに、開業届を空欄のまま提出した後に屋号を決定した場合は、その後、個人事業主が名刺やホームページなどに屋号を使用することができます。特別な手続きをする必要はありません。また、確定申告書にも屋号を記入する欄がありますが、空白でも問題ありません。

しかし、銀行で屋号のついた口座を開設する際には、屋号が記載された開業届や確定申告書などの提出が求められることがありますので念頭にいれておかれることをおすすめします。

屋号の登録方法とは?

個人事業主が屋号を付けた際、「どのように登録すればいいのだろう」と思われることでしょう。実は、個人事業主が屋号を登録するための、特別な手続きはありません。開業する際に税務署へ提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」に屋号名を記入するだけです。

また、屋号を変更したいときにも、特別な手続きはありません。決められているルールではありませんが、開業届を再提出して、変更した屋号を書くこともできます。

屋号と商号の違いとは?

屋号は個人事業主が使用する事業の名称ですが、法的に保護されることはありません。一方、法人の会社名の場合は「商号」になり、会社を設立する際に法務局へ登記します。登記することで「商号権」と呼ばれる法的は効力が発生するため、法律によって保護されます。では、個人事業主の屋号が商号として登記することが可能なことや、屋号と商号の違いについてみてみましょう。

個人事業主の屋号を商号登記するには?

個人事業主の屋号も、商号として登記することができます。法人の商号は登記することで法律によって保護されています。また、商号には、他の人がその商号の使用を妨げられない「商号使用権」と、他の人が同じ商号や類似した商号を不正に使用することを排除できる「商号専用権」という権利を有しています。個人事業主も商号登記するなら、同様の法的保護を受けることができます。

参照:商法第12条「他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止」

特に個人事業主の場合は、設立登記されている法人と比較すると、社会的信用度が低い傾向にあります。しかし、商号登記するなら社会的信用度を高めることにつながります。

では、どのように商号登記すればよいのでしょうか?商号登記をするためには、法務局で登記申請の手続きをする必要があります。その際、商号を登記するための登録免許税が3万円かかります。(収入印紙による納付も可能)

ただし、商号の保護や権利を守ることは、同一市町村までと限られています。将来、事業を拡大することを計画しているなら、より強力な法律による保護が受けられる特許庁の申請を検討することができるでしょう。

屋号と商号の違いとは?

個人事業主として事業を始める際、屋号を使用するのか、それとも登記した商号を使用するのかを決めるためには、双方の違いを理解することが大切です。

・屋号
法的な保護:他の人に使用される可能性がある。
費用:0円
手続き:「個人事業の開業・廃業等届出書」」を税務署へ提出する。
参照:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

・商号
法的な保護:同一市町村では同じ商号を使用することはできない。
費用:3万円
手続き:「商号登記申請書」を法務局て提出する。
参照:法務局「商業・法人登記の申請様式」

法人化を見据えた屋号を付けよう!

独立して個人事業を立ち上げる際に、屋号を付ける方が多いことでしょう。その際、将来的な法人化になることを見据えた屋号を付けることができるでしょう。なぜなら、事前に法人化のことまで考慮することで、屋号や商号などに関するトラブルを回避することにつながるからです。

個人事業が成長し規模が大きくなってくると、節税などの観点などから法人化することが有力な選択肢となってくることが想定されます。一般的には、将来的に法人化する場合は、個人事業で使ってた屋号をそのまま商号として使用しています。

つまり、屋号を付ける際に、商号登録をしても問題ないかどうかを調査し、事前にしっかり検討することが必要です。思わぬトラブルに発展しないように、将来法人化にすることを見据えた屋号を検討されることをおすすめします。

まとめ

個人事業主として事業を始めるために、屋号を付けることは義務とされていません。しかし、屋号を付けるなら、事業の内容を分かりやすくアピールできたり、社会的な信用度を高めるなど様々なメリットを得ることができます。そのためには、相手に印象を残す屋号を付けることがポイントとなってきます。

これから個人事業を始める方は、是非、上記でみた基本的なルールやポイントを参考にしながら、印象に残る屋号を決めましょう。


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