【令和最新版】初めてでも分かる確定申告書き方
確定申告書には「申告書A」「申告書B」「申告書第三表(分離課税用)」の3種類あり、用途によって使用する用紙が異なってきます。この記事では、確定申告の作成が初心者の方でも分かるように令和最新版の書き方について分かりやすく解説していきます。
目次
確定申告書の種類
確定申告書を作成する前に、まずどの用紙を選ぶかを確認することは大切です。確定申告書には、申告書A、申告書B、申告書第三表(分離課税用)の3種類あり、使用する人は次のようになっています。
申告書A
申告書Aは、所得の種類が給与所得、配当所得、一時所得、雑所得に該当する人が使用します。主に給与所得の会社員の方が使用する用紙と言えるでしょう。一般的な会社員の場合、通常、会社側が年末調整で納税作業を代行してくれるので、確定申告をする必要はありません。しかし、会社員でも確定申告が必要となるケースもあります。なお、会社員で確定申告を必要とする人は、次のような人です。
・1年間の給与所得が2,000万円を超える人
・2つ以上の会社から給与の支払いを受けている人
・給与所得や退職所得以外の所得(不動産所得など)の合計金額が20万円を超えている人
・公的年金や個人年金の雑所得を一定額以上受けた人
・厳選著収されていない海外の企業から退職金などが支払われた人
・特定口座以外(源泉徴収口座)以外で株式などを譲渡した人
・原稿料や講演料、アフェリエイトなどで為替差益があった人
・災害減免法によって税金の軽減免除を受ける人
・不動産関係の売却で譲渡所得があった人 など
申告書B
申告書Bは、給与所得、配当所得、一時所得、雑所得に加えて、不動産所得や事業所得がある人が使用します。個人事業主やフリーランスの方なども対象となっています。所得の種類に関わらず、誰でも使用することが可能な申告書です。
申告書第三表(分離課税用)
申告書第三表は、土地や建物の譲渡など分離課税に該当するものがあったとき、株主などの譲渡所得があるとき、申告分離課税の上場株式等の配当所得等があるとき、申告分離課税の先物取引の雑所得等があるとき、山林所得や退職所得があるときなどに、申告書Bと併用して記入します。
確定申告書A・第一表の書き方
確定申告書Aの第一表の記入欄は、大きく5つの分野に分かれています。では、それぞれの書き方について詳しくみていきましょう。
収入金額等(緑の欄)
まず一番上の収入金額等の欄は、源泉徴収票を参考にしながら記入していきます。「㋐給与」の欄は、1年に支払われた給与の合計の支払額を記入します。源泉徴収票では、会社から支払われた金額(収入)、実際に受け取った金額(所得)、所得控除の金額が記載されています。この収入、所得、所得控除を、続けて記入していきます。
所得金額(水色の欄)
所得金額(水色の欄)の「①給与」の欄に、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を記入します。その他に「②雑所得」「③配当所得」「④一時所得」の記入欄もあります。該当する所得がある場合は、それらの所得金額も記入します。そして、「⑤合計」にすべての合計金額を記入します。
所得から差し引かれる金額(赤色の欄)
赤色の欄の所得から差し引かれる金額には、該当する各種控除額を記入します。具体的には、すべての人に適用される基礎控除38万円(48万円)や、源泉徴収票にすでに記載されている「社会保険料控除」「小規模企業共済掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」などの金額を記入します。それぞれ該当する控除は異なりますので、対象となる控除を記入するようにしましょう。そして、最後の「合計⑳」の欄に、すべての控除額の合計金額を記入します。
税金の計算(紺色の欄)
続いて紺色の欄の税金の項目は、「所得金額の合計⑤」から「各種控除金額の合計⑳」を差引いた金額を、「課税される所得金額㉑」の欄に記入します。その後、「課税される所得金額㉑」に所得税率を掛け、算出された金額を「上の㉑に対する税額」という欄に記入します。
「配当控除㉓」から「住宅耐震改修特別控除㉛」までに該当する場合は、それらの金額を記入し、「上の㉑に対する税額」から差引いた金額を「差引所得税額㉜」へ記入します。そして、「差引所得税額㉜」から「災害減免額㉝」を差引き、その金額を「再差引所得税額㉞」に記入します。
すべての控除や減免額が差し引かれ算出された「再差引所得税額㉞」に、2.1%をかけた金額が「復興特別所得税額㉟」になります。「再差引所得税額㉞」と「復興特別所得税額㉟」の合計金額を㊱へ記入し、そこから㊲と源泉徴収票に記載されている「源泉徴収税額㊳」を差し引きます。金額が黒字の場合は㊴へ、赤字の場合は㊵へ記入してください。
その他(ピンク色の欄)
最後にピンク色のその他の欄を記入します。まず、配偶者の前年度の合計所得金額があった場合は、「配偶者の合計所得金額㊶」に、前年度の合計所得金額を記入します。㊷は、㊳で記入した税額のうち、雑所得、一時所得の金額に対する所得税、復興特別所得税などの源泉徴収税額の合計額を記入します。
㊸には、給与等の支払者において未払の収入金額があり、その収入金額に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の支払者の未納付がある場合のみに記入します。その未納付の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額を記入してください。
確定申告書A・第二表の書き方
確定申告書A・第二表は、第一表で記入した額の転記となっています。異なっている点は、「所得の内訳」欄に、給与や配当金などを受け取った会社名の記入や、雑所得の生じた場所や会社名について記入することです。
また、右上の「所得から差し引かれる金額に関する事項」という欄に関しても、控除の金額に加え、具体的な内容について記入します。例えば、社会保険料控除については、社会保険料の名前と支払った保険料について記入する必要があります。
確定申告書B・第一表の書き方
確定申告書Bも確定申告書A同様、第一表と第二表の2枚になっています。では、第一表の書き方からみていきましょう。
収入金額等(緑の欄)
まず一番上の収入金額等の欄は、申告する年度の1月1日から12月31日までの収入を、所得ごとに記入します。個人事業主やフリーランスの方は「営業等㋐」「営業等㋑」、従業員として給与収入がある方は「給与㋕」の欄に金額を記入します。また、不動産収入があった場合は「不動産㋒」、株などの配当があった場合は「配当㋔」に金額を記入します。
所得金額(水色の欄)
所得金額とは、上記の「収入金額等」の項目から、経費と控除を差引いた金額のことです。個人事業主やフリーランスの方の場合は、収入から通信費や交通費などの必要経費を差引いた金額が所得金額となります。
なお、青色申告の承認を受けている場合は、青色申告特別控除を控除することができます。まず上記の「営業等㋐」もしくは「営業等㋑」から、青色申告控除による金額(65万円、もしくは10万円)と、必要経費金額などを差し引いた額を「営業等①」へ記入します。
その後、事業所得以外の所得がある場合は、それぞれの金額を計算し、該当する欄に記入します。最後に「営業等①」から「総合譲渡・一時⑧」までのすべての所得金額の合計額を、「合計➈」に記入します。
所得から差し引かれる金額(赤色の欄)
赤色の欄の所得から差し引かれる金額には、様々な種類の控除が記載されています。申請する控除がある場合は、この欄に金額を記入します。具体的には、「雑損控除⑩」「医療費控除⑪」「社会保険料控除⑫」「小規模企業共済掛金控除⑬」「生命保険料控除⑭」「地震保険料控除⑮」「寄付金控除⑯」「寡婦・寡夫控除⑱」「勤労学生・障害者控除⑲~⑳」「配偶者(特別)控除㉑~㉒」「扶養控除㉓」「基礎控除㉔」などがあります。
なお、確定申告の時期が近づいてくると、各控除証明書や源泉徴収票などが送付されます。それらを参考にしながら、金額を記入していきましょう。しかし、医療費控除や寄付金控除の場合は、源泉徴収票上には反映されていません。別途に領収書や明細書などが必要となりますので用意しておきましょう。
また、「基礎控除㉔」につきましては、すべての人が控除の対象となりますので、「38(48)」と忘れずに記入しましょう。該当する控除の欄に金額を記入した後、「雑損⑩」から「基礎控除㉔」までの合計額を「合計㉕」に記入します。
税金の計算(紺色の欄)
紺色の税金の計算の欄には、納税する金額を計算していく欄となっています。税金は、「総所得金額-所得控除の合計額×所得税率」で算出します。主な税額控除には「配当控除㉘」と「外国税額控除㊸」が設けられています。
配当控除には、総合課税の所得がある場合、配当所得の10%、もしくは5%に相当する金額を控除することができます。外国税額控除とは、同じ所得に対して、外国と日本国内の両方で二重に課税されないよう調整する控除のことです。外国で税を支払っている場合は、一定の額を所得税額から控除することが可能です。
記入方法は、まず一番上の「課税される所得金額㉖」の欄には、水色の欄の所得金額の「合計⑨」から、赤色の欄の所得から差し引かれる金額の「合計㉕」の金額を差引いた金額を記入します。続いてその下の「上の㉖に対する税額」という欄に、所得税の税率をかけて算出した金額を記入します。
その後、「上の㉖に対する税額」から、「配当控除㉘」から「住宅耐震改修特別控除㊲」までの合計額を差引いた金額を「差引所得税額㊳」へ記入しします。そして、「差引所得税額㊳」から「災害減免額㊴」を差引いた金額を「再差引所得税額㊵」に記入します。続いて、
「再差引所得税額㊵」と「復興特別所得税額㊶」の合計金額を「所得税及び復興特別所得税の額㊷」に記入します。その後、該当する場合は「外国税額控除㊸」と「所得税の源泉徴収税額㊺」を差し引いた金額を記入しますが、その際、黒字の場合は「納める税金㊼」、赤字の場合は「還付される税金㊽」に記入します。
その他(ピンク色の欄)
その他の欄は、税額が正しく計算されているかを確かめための必要な情報を記入する項目です。専従者給与(控除)の合計額や青色申告特別控除額、未納付の所得税および復興特別所得税の源泉徴収税額などがある場合は、記入してください。
確定申告書B・第二表の書き方
確定申告書Bにも、確定申告書A同様、第二表も記入する必要があります。確定申告書Bの場合、第二表には所得や社会保険料の内訳などについて具体的に記載します。基本的には第一表で準備した書類を参考にしながら、記入することができます。
右上の控除に関する欄には、生命保険控除や社会保険料控除を受ける場合は、該当する欄に、実際に支払った金額を記入します。なお、源泉徴収票に記載されているのは、控除額ですので間違えないようにしてください。
所得控除の書き方
では最後に、「所得から差し引かれる金額」、つまり所得控除についてみていきましょう。
・社会保険料控除
社会保険料とは、国民年金や国民健康保険などです。確定申告の時期になると、管轄地区の年金機構や市町村の役場から「社会保険料控除証明書」が届きます。控除額が記載されていますので、確定申告書を作成する際に転記しましょう。
・小規模企業共済掛金控除
中小企業は自営業、フリーランスなどを対象とした小規模企業共済掛は、掛金すべてを控除することができます。控除証明書と呼ばれている「小規模企業共済掛金払込証明書」に控除額が記載されています。
・生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料に加入して支払いをしている場合に受けられる控除のことです。各保険会社が発行している「控除証明書」に控除額が記載されています。
・地震保険料控除
地震保険料控除とは、居住用家屋などを対象にした地震保険に対応した控除です。各保険会社が発行している「控除証明書」に控除額が記載されています。
・寡婦(寡夫)控除
納税者本人が、所得税法上の寡婦、もしくは寡夫に該当する場合、一定の要件を満たしているなら控除の対象となります。
・勤労学生控除
納税者本人が、所得税法上の勤労学生の場合、控除の対象となります。
・扶養控除
納税者本人に所得税法上の控除対象となる親族がいる場合、その人数に応じて控除を受けることができます。
・配偶者控除
納税者本人に所得税法上の控除対象となる配偶者がいる場合、控除の対象となります。
・基礎控除
基礎控除は、すべての人が受けることができる控除です。
・雑損控除
雑損控除とは、災害や盗難など資産に損害があったときに申告すると受けることができる控除です。
・医療費控除
医療費控除とは、一定金額以上の医療費を支払った場合に適用される控除です。適用条件とは、医療費の支払い額から保険金を引いた金額が10万円以上、もしくは総所得200万円以下の場合は総所得金額の5%を超える医療費を支払った場合に、医療費控除の申請をすることができます。
医療費控除をする際には、通院などにかかった領収書や交通機関を使用したことを証明する明細書などを提出する必要があります。
・寄付金控除
寄付金控除とは、一定の寄付金をした場合に控除されます。これにはふるさと納税も含まれます。控除申請をする際には、寄付をしたことを証明するために、寄付先が発行した領収書の提出が必要となります。
・青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、青色申告を対象とした特別控除のことです。
まとめ
確定申告書Aと確定申告書Bの書き方についてみてきました。確定申告は、収入、所得、控除を記載する欄で構成されています。難しく感じた方もいるかもしれませんが、確定申告を記入する前に必要な書類を揃えておくなら、初めての方でも作成することができるでしょう。
それでも不安がある方や分からない方、個人事業主やフリーランスの方などは、確定申告をサポートするツールを活用することができるかもしれません。最近は、会計ソフトも向上し、事業活動や所得の動きを自動で集計してくれるので、確定申告書の作成も簡単に行うことが可能です。
気になる方は、この機会に会計ソフトの利用を検討してみることができるでしょう。また、専門家である税理士に相談することもひとつの方法として考えることができるでしょう。
税理士コンシェルジュは、2008年サービス開始より株式会社タックスコムが運営する税理士専門の紹介サイトです。会計の実務経験を活かし、これまで1000名以上の税理士と面談し、1万件以上の相談実績がある税理士選びの専門家です。
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