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給与所得と給与収入の違いって何?意味や違いなどを分かりやすく解説!

2020年5月4日
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「給与所得」と「給与収入」は、同じような言葉に感じますが、所得税法では「所得」と「収入」は全く違う意味を持ちます。会社員にとって「収入」とは、毎月受け取る給与や賞与などの年間合計のことです。一方、「所得」とは、給与所得控除を差しい引いた後の金額のことです。

両者をしっかり理解することは、会社員はもちろん、経営者や経理担当者にとっても所得税の基礎知識と言えます。この記事では、給与所得と給与収入の違いやその基礎知識について詳しく解説していきます。

給与収入と給与所得の意味の違いとは?

給与収入と給与所得は、よく似ている言葉なので、同じような意味があると思われている方もいるかもしれませんが、実際には全く異なる意味をもっています。では、両者には、どのような違いがあるのでしょうか?

会社からもらったお金の合計額が「給与収入」

給与収入は、会社からもらったお金すべてを合計した金額のことです。「年収はどれくらいなの?」と聞かれた場合は、通常、給与収入の数字を答えることが一般的となっています。給与収入には、毎月の給与をはじめとし、賞与、残業代、役職手当、地域手当など各種手当など、税金が差し引かれる前に受け取ったお金が該当します。

ただし、通勤手当(交通費)に関しては、社会保険料を申告する場合は、通勤手当を給与収入に含めます。しかし、住民税や所得税を申告する場合は、1ヶ月当たりの手当が10万円未満であれば非課税なので収入に含めませんが、10万円以上の場合は収入に含めます。

給与収入から控除を差し引いたものが「給与所得」

給与所得とは、給与収入から給与所得控除を差引いた金額のことです。つまり、「給与収入-給与所得控除=給与所得」という計算式になります。なお、給与収入は年収のことですが、給与所得が必ずしも「手取金額」になるわけではありません。手取金額は、給与収入から各種税金や保険料などを支払った金額のことです。

つまり、「給与収入-(社会保険料+雇用保険料+所得税+住民税)=手取金額」という計算式になります。ですから、給与所得と手取金額は、異なるものであることを覚えておきましょう。

給与収入から控除される「給与所得控除」とは?

では、給与所得として扱われる際に、給与収入から差し引かれる「給与所得控除」とは、どのようなものなのでしょうか?簡単にまとめるなら、サラリーマンにおける「必要経費」のようなものです。

例えば、会社で使うために購入したスーツや靴、カバンなどは経費に該当します。しかし、毎回購入するたびに領収書を発行してもらい、その度に申告することは本人はもちろん、経理担当者にとっても非常に手間と時間がかかります。そこで、あらかじめ費用として発生すると思われる経費を控除しておくことが「給与所得控除」なのです。

給与所得控除額の計算方法

給与所得控除の金額は、全員一律の金額ではなく、給与収入によって変わってきます。給与所得控除額の下限は55万円、上限は195万円と定められていますが、その間では段階的に規定されている計算式を使って計算をします。つまり、給与所得控除額は、一人ひとり異なるということです。通常、年収が低いほど控除率が高く、年収が高いほど控除率が低くなる傾向になっています。

なお、令和2年分以降の給与所得控除の計算は、次のようになっています。

(令和2年分以降の給与所得控除額)
・給与年収が180万円以下:収入金額×40%-10万円/55万円に満たない場合は55万円
・給与年収が180万円超~360万円以下:収入金額×30%+8万円
・給与年収が360万円超~660万円以下:収入金額×20%+44万円
・給与年収が660万円超~850万円以下:収入金額×10%+110万円
・給与年収が850万円超:195万円(上限)

なお、令和2年分以前の給与所得控除額とは、主に次の3つの点が変更されているので注意してください。
1、給与所得控除額の下限が65万円から55万円へと変更
2、給与所得控除額の上限が220万円から195万円へと変更(但し、子育て世帯などは除く)
3、ほぼどの年収層も10万円ほど減少

給与所得者の「特定支出控除」について

給与所得控除は、必要経費として使用したかどうかに関わらず、必ず控除されるものです。しかし、給与所得者に給与所得控除額の半分以上の経費が支払われた場合は、その超えた分を確定申告で控除することが可能です。なお、控除できる出費には、次のようなものが挙げられます。

・通勤費
通勤に必要な電車、地下鉄、新幹線、バスなどの定期券代

・転居費
会社の辞令による転勤のためにかかった引っ越し費用

・研修費
会社の業務に必要な技術や知識を身に付けるために受講した講習や研修などの費用

・資格取得費
会社の業務に直接必要となる資格を取得するためにかかる費用(公認会計士・弁護士・税理士などの資格も対象)

・単身赴任者の帰宅費用
単身赴任をしている従業員が、週に1回自宅に帰宅するためにかかる費用

・勤務必要経費
会社が業務をする上で必要と判断した衣服費、交際費、図書費など(上限は65万円まで)

自分の給与収入と給与所得を確認してみよう!

マンションやマイホームなどの契約やローンを組む際、収入の証明を求められるケースはよくあります。では、自分の給与収入と給与しょとくは、どのように確認することができるでしょうか?確認する3つの方法をご紹介しましょう。

方法その1:「源泉徴収票」で確認する

源泉徴収票があれば、1社分の給与収入と給与所得の両方を確認することができます。源泉徴収票は、年末調整後に会社で発行される書類です。この書類には、会社が1年間支払った金額と、その中から支払われた税金の金額が記載されています。収入証明書としても活用できるので、失くさないように大切に保管しておきましょう。

なお、アルバイトや副業など1社以上から収入を得ている場合は、源泉徴収票の情報だけでは不十分です。収入を得ているところから所得証明書を入手し、すべての給与収入を合計して計算する必要があります。

方法その2:「所得証明書」で確認する

すべての給与収入を把握する場合は、所得証明書を活用することができます。所得証明書には、複数のところから得た収入の合計額が記載されています。所得証明書は、市区町村の役場にて、およそ300円ほどの発行手数料を支払うことで発行してもらえます。その際、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要となります。収入が分散している方や源泉徴収票が発行されない方などは、所得証明書を利用して確認しましょう。

方法その3:計算して導きだす

給与所得だけを確認したい場合は、給与収入から計算して算出することができます。上記でみた年収に応じた計算式を当てはめるなら給与所得額控除が算出され、給与所得額を導きだすことが可能です。

自営業者や個人事業主などの収入と所得

ここまでは、一般的なサラリーマンや公務員などの給与所得者の給与収入と給与所得についてみてきました。では、自営業者や個人事業主、フリーランスの場合の収入や所得とは、どのようなものなのでしょうか?

収入と経費

自営業者や個人事業主などの収入とは、いわゆる年商が収入にあたります。開業医の場合は社会保険料収入や自由診療収入、飲食店経営者の場合は、売上が収入になります。

会社員が給与収入から必要経費として「給与所得控除」が規定に従って差し引かれるのと同じように、収入を得るために必要な経費を差し引くことができます。ただし、自営業者や個人事業主の場合は、業種や業態によって変わってきます。

例えば、開業医の場合は、家賃や駐車場代、看護士や事務員などの給与、医療設備などが必要経費の対象となっています。飲食店の場合は、食材などの原価、厨房器具、シェフやウェイターなどへの給与などが必要経費の対象となります。

所得

所得は、収入から必要経費を差しい引いた金額が所得、つまり、事業所得となります。

年金受給者の収入と所得

では続いて、年金受給者の収入と所得についてもみてみましょう。

収入と経費

年金受給者の場合、民間の保険会社などで年金タイプの保険に加入していなければ、「公的年金」の額面が収入金額となります。自営業者や個人事業主の場合は国民年金、会社員や公務員などは厚生年金など、公的年金にもいくつかの種類がありますが、源泉徴収票に記載されている支払金額を合計したものが収入金額になります。

そして、年金受給者にとって必要経費に該当するものは、「公的年金等控除額」と言われています。年金受給者の年齢(65歳未満もしくは65歳以上か)、また公的年金などの収入金額に応じてその額が決まってきます。なお、公的年金等控除額は、給与所得控除同様、税制改正により、令和2年から10万円引き下げられています。

所得

所得の金額は、公的年金などの源泉徴収票に記載されている支払金額の合計金額から、公的年金等控除額を差しい引いた金額が、所得金額になります。

年収103万円までは税金が課せられない理由とは?

よく「主婦のパート年収が103万円以下だと税金がかからない」という話を見聞きします。なぜそのように言われているのでしょうか?これは、収入から必要経費(給与所得控除)を差引いたものが所得である、という収入と所得を理解しているならば、この仕組みも理解することができるでしょう。

まず、ここで言われている「103万円」は、収入のことです。「収入-必要経費=所得」の算式を当てはめると、「103万円(収入)-55万円(必要経費)=48万円(所得)」となります。なお、令和2年以前の必要経費額は65万円だったので、「103万円(収入)-65万円(必要経費)=38万円(所得)」でした。給与所得控除と公的年金等控除が引き下げられたことで、配偶者控除や扶養侵食の所得金額の要件、配偶者特別控除の所得金額の要件もそれぞれの引き上げられ、法改正がされています。

さて、話を戻し「非課税の年収」である103万円の所得と収入の関係をみてみましょう。先述した「給与所得控除」の「給与年収が180万円以下」の場合、給与所得控除は55万円となっています。したがって、年収180円までの給与所得控除額は、一律55万円になります。そのため、年収55万円までなら非課税の対象になりそうですが、所得税法には全ての所得申告者に対する一律控除、つまり「基礎控除」48万円があります。(基礎控除も令和2年から法改正により38万円から48万円へと変更しています)

この基礎控除48万円と、給与所得控除額55万円を合計した金額は103万円になります。したがって、パート収入が103万円以下の場合は、給与所得控除と基礎控除を差し引くと所得金額が0円となり、税金が課せられないのです。

ちなみに、給与収入が103万円以下の場合は、すべての金額が控除扱いとされますので、確定申告は不要です。なぜなら、確定申告は所得税を決定することを目的とした制度だからです。しかし、源泉徴収としてあらかじめ給与から税金が徴収されている場合は、確定申告をすることで還付されることもありますので、確認されることをおすすめします。

まとめ

給与所得と給与収入は言葉がよく似ていますが、それぞれ意味が異なり、違いがあることについてみてきました。給与収入は給与や賞与、手当などをすべて合計した税引き前の年収のことです。一方、給与所得は、必要経費である給与所得控除などを差しい引いた金額のことで、この額に所得税が決まってきます。給与所得と給与収入の違いをしっかり理解し、毎月の給与明細書や年末に発行される源泉徴収票などをじっくりと見直してみるのはどうでしょうか?


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